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正解とは…

 朝5時に目が覚めて、ドラマ『ばらかもん』(“元気者”という方言)を観る。都会育ちの青年書道家が、「実につまらない字だ」と書道界の重鎮に言われたことがきっかけで、五島列島に渡り一人暮らしを始める。さまざまなトラブルに巻き込まれるが、その度に助けられ、励まされて、成長し、書の新境地を開拓していく。今後、どんな成長を見せるのか楽しみだ。
 「この壁を登ってみないとわからない。見ようとしないと見えない。」「人に取られたものを欲しがる必要はなか。諦める必要もなか。譲ってやって、もっと大きな餅ば狙え。」というセリフに心を打たれ、ここに筆を執る。上ばかり見ていては目の前にある大事なことを見逃しかねない。ああしたい、ああなりたい、など目標やら欲望は尽きないものだが、自分にとって登りつめたい壁とはいったいどういうものだろうか。ブリッタ・テッケントラップ著の絵本『かべのむこうになにがある?』は、その問いに向き合うには丁度よい。
 このドラマを観ていると、砥上裕將著『線は、僕を描く』を思い出す。この小説は水墨画を描くストーリーだが描写表現が豊かなので、目の前に絵が存在しているかのように感じる。書にしても、画にしても、何か正しきものがあるわけではないはずだ。この壁にぶつかるといつも思い出す過去がある。小学生のときに風景画の中で空を灰色で描いたら、「空は青色ではないのか」と担任に指摘され、仕方なく直した。見たものをそのまま描くことは果たして正解なのだろうか。それは芸術と呼べるのか。それならば、ピカソは世界がどんなふうに見えているというのか。
 何でもそうだが、まだやってもいないのに、最初からできないと諦めていたら、できるようにはならない。水墨画を描くにも、とにかく描くことが大事だと前述の著作に書かれていた。当たり前だが、いきなり師範レベルになれるはずもない。誰しも何度も失敗しながら、たくさんの絵を描いている。それは何事にも通ずるのではないか。失敗を恐れたら、何もできない。まずはとやかく言う前に、やってみることだ。考えたいなら、やってみてから考えればいい。
 愛読書『書斎の鍵』著者の喜多川泰さんは、仕事、勉強などにおいて「実は誰にでも出来ることこそ、差が出るもの」と語る。たとえば、お茶は淹れ方次第で美味しさが変わる。もっと言えば、食事の際、箸を置くときに、ただ置くだけでなく、食べる人のことを想って丁寧に置けるかどうか。そういう気持ちが物事の差となって現れるように思う。食べるテーブルが整っていなければ、美味しさも半減してしまう気がする。ミシュランガイドは食の正解ということではないが、ガイドに掲載されている店は隅々まで“気”が行き届いているのは私だけだろうか。

이 세상을 다 준대도  바꿀 수가 없는 넌데  너는 그걸 왜 모르니 우
この世界をすべてくれると言われても 代えることのできないあなたなのに あなたはなぜそれがわからないのよ
(ソバンチャ<消防車>소방차『어젯밤 이야기(ゆうべの話)』)

🎵 人生いろいろ。人の色もいろいろ。対話を楽しもう~ 🎵
 
【Color 58】私はkpopがきっかけで韓流ドラマにはまりましたが、先生は何がきっかけではまりましたか。好きな俳優さんがいたら教えてください。
【A】妹が韓国の高校生と文通をしていて、あるとき音楽のテープが送られてきました。それを聴いて衝撃を受けました。日本にない曲調でありながら、どこか懐かしささえ感じたのです。それ以降20年以上kpopを聴き続けています。
 映画『猟奇的な彼女』(2001)、『僕の彼女を紹介します』に出演しているチョン・ジヒョン、『私の頭の中の消しゴム』(2004)のソン・イェジン、チョン・ウソンに惹かれてから、ドラマもたくさん観てきました。『復活』(2006)が面白かったです。今は、何と言っても『キム秘書はいったい、なぜ?』です。最高です。笑えます。泣けます。パク・ソジュン、パク・ミニョンが好きです。
 
【Color 59】食欲の秋。色々なものが食べたくなってしまう季節に、食欲をどうにかして抑える方法は知っていますか。
【A】その気持ち、すごく分かります。美味しいものいっぱいあるから困りますよね。逆に抑える方法を教えてほしいくらいです。ほぼ毎日間食します。食べることは私にとって憩いのひとときなので、あまり無理しないようにしています。あればあるだけ食べてしまうので、なるべく食べたと思えるように量を調節するようにしています。その一つとして、我が家ではお菓子はお箸を使って食べています。
 
【Color 60】私は「努力は必ず報われるものではないが、無駄な努力はひとつもない」という言葉が好きです。でも、そんなことないだろうとこの言葉を疑ってしまうときがあります。(うまくいかないときとかに。)先生は無駄な努力は一つもないと思いますか。
【A】私もその言葉好きですね。ただ、私は受験のために勉強したり、大会出場のために練習したりするとき、その過程で努力しているとは捉えたことがありません。ようするに、何が無駄で、無駄でないのかを考えたことはほとんどありません。もっと言うと、努力という言葉を自分自身に使えるのか少々疑問です。みなさんも勉強したり、演奏したり、絵を描いたり、ダンスしたりするとき、うまくいくようにやりますよね。そのとき努力していると認識していますか。ただ、うまくいかないときがあっても、そのときやっていた努力(取り組み)はこれからのあなたに向けてなくてはならない経験だと思っています。努力どころか、今やっていることに無駄なものは一つもないと思います。
 
【Color 61】部活動に今とても熱中しています。最近は後輩が入ってきて一層活気のある部活になりました。後輩に色々教えるとき、どうしても気を遣われている気がします。部活にガチになりすぎて怖がられている気さえします。どうしたらいいですか。先生ならどのように接しますか。
【A】何かに熱中できているというのは素敵なことです。活気があれば、教えるときも気合いが入りますよね。気持ちはよく分かります。後輩が気を遣っているように思えるということは、あなたも後輩にこんな教え方をして大丈夫かなとか不安になって何となく気を遣っていませんか。“他者は自分の鏡”ですから、あなたがどう思っているかを察しているかもしれません。まずはあなたがどう教えてもらうのが心地よいか考えてみたらどうでしょう。熱意溢れるあなたの気持ちは後輩に届いていると思いますよ。だから、後輩への気遣いではなく、後輩への心配りだと思ってみてはいかがでしょうか。

2023.10.13

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