見出し画像

ひとりの存在

 ドラマ『うちの弁護士は手がかかる』第9話。弁護士の天野杏(平手友梨奈)から「私は、あなたがいなくても大丈夫ですから」と告げられたパラリーガルの蔵前勉(ムロツヨシ)。天野はコミュニケーションが苦手でいつもツンツンしているがゆえに、天野に“必要とされていない”と誤解してしまう蔵前は自棄になる。拘置所で天野にその発言は誤解だと知らされて、蔵前は「遠慮してそんなこと僕に言うなんて先生らしくないじゃないですか。あなたらしくいてください。いつものように思ったことを思ったように、全部言ってください」と訴える。それに反応して、天野は「あなたは何がしたいんですか。私はあなたの考えに従います」と伝える。このストーリーがいつしか起きた現実世界と何となくシンクロしている感じを受けて、このやりとりに不思議と胸がときめき、瞼が熱くなる。
 私の仕事は誰にでもできる仕事だ。代わりはいくらでもいるだろう。しかし、そんな仕事でも誰かがやらなければ前には進まないのだから、それなら少しでも役に立ちたいと思う。バタフライ効果宜しく、誰かが動かなければ、誰も動かない。ましてや仕事も進まない。だからこそ、自分にしかできないことをやって、人を支えたい。感謝されたいわけではない。必要だと思ってもらえるだけで嬉しい。
 “あなた”という存在は、あなたが思っているほど決して小さいものではない。あなたという存在に代わりはいない。ましてや誰かに務まるわけではない。仕事は誰がやっても結果的には同じかもしれないが、あなたの代わりはどこにもいない。あなたというひとりの存在は途轍もなく大きいものだ。あなたが見えないところで、あなたが思っている以上に、あなたの存在に助けられている人がいる。
 人はいつまでも生きていられるわけではないけれども、あなたが今ここに存在していたこと、そして、あなたの思念(想い)は残り続ける。そういう意味では、恩は返すものではなく、次の人に“伝える”ものだと考えている。そういう形で、思念はあり続けるのではないか。
 だから、この世に存在している限り、心狭き人間かもしれないが、どんな仕事であっても誰もができないことをしたい。人との出会いは一期一会だから。もっと言うなら、人生一度きりなのだから。やはり、私なりに全力投球したい。変なところに球が飛んで行ってしまうかもしれないが、それも人生だ。しんどいこともあるかもしれないが、それも人生だ。でも、躊躇してばかりして、投げなければ、球は飛んでいかない。球を投げれば、それを受け止めてくれるキャッチャーが必ず現れる。思ったことを言わなければ、相手はなかなか分かってくれないけれども、意見をすぐに主張するよりも、まずは相手の想いを心から聴いてあげられる、古川誠著『りんどう珈琲』に出てくる喫茶店のほのぼのとしたマスターのような存在でありたい。そして、必要とする人にとって、重松清著『青い鳥』に登場する“ハンカチ”的役割であり続けることが<生きがい>ではないかと感じる、私。

더 숨길 순 없어 / 고민 없이 선택하지 느낌대로 / 잠겼던 나를 깨워 / 흔들리지 않아 이제 난
これ以上隠すことはできない/悩まず選ぶ 感覚を信じて/沈んでいた僕を起こす/ブレないよ もう僕は
                      TRENDZ『MY WAY』

🎵 人生いろいろ。人の色もいろいろ。対話を楽しもう~ 🎵
 
【Color 88】先生はすごく嫌なことが続いたとき、どうしていますか。
【A】なるほど、もしかしたらあなたはすごく嫌なことが続いたことがあるのでしょうか。そうですね、これについて解決に導く方法があるなら、逆に私がぜひ教えてほしいです。正直、嫌だなと思うことがあって、悩み続けたことは数知れません。以前書いたようなGACKTさんみたいな捉え方は全くできなかったので、時間を要しました。
 それでも、7年前からは様々なジャンルの本を読んだり、お寺の住職に関わったり、たくさんの人に出会ったりしてきてから、自分の中で嫌だなと思うことがあっても、それも人生においては大事な物事の一つなのだと捉えるようにしています。“ノンデュアリティ(非二元論)”などに関わる本は目から鱗でしたね。東京都にある書店「読書のすすめ」に出合えたことは大きいです。
 どんな経験であっても、今のあなたにとっては、なくてはならないものなのです。もちろん、そのときは途轍もなくしんどい思いをしたことでしょう。怒ったことでしょう。投げやりになったことでしょう。むせび泣いたことでしょう。だから、こんなふうに思えるようになるまでには時間はかかるかもしれません。でも、それでいいのです。どんな経験にも、いい悪いはありません。
 嫌だなと思ったときに、それをただ忘れようとしても、未来永劫消えることは残念ながらありません。嫌だなとそのとき思ったのも自分なので、自分の素直な心を大切にしてあげたらどうでしょうか。ただ単に「今、嫌だと思ったんだよね」と感じて、声をかけてあげるだけで、あなたの心さんも身体さんもすっと受け入れてくれます。それをずっと嫌だと思い続けてしまうと、段々あなたの心さんたちは拗ねてしまい、身体に不調を来たすかもしれません。
 因みに、私は夕食後にお菓子を食べる習慣がなくなりませんね。疲れたな、しんどいなと思ったときには、お菓子をいつも以上に欲してしまいます。まさしく、「やめられない、とまらない、かっぱえびせん♪」状態です。お酒よりも、お菓子です(笑)。この世からお菓子がなくなったら大変困ります。
 ただ、こういう行動というのは根本的な解決にはなっていないんですよね。重松清著の小説『青い鳥』にこんなことが書かれていました。「ほんとうにしゃべりたいことは、しゃべらなくてはいけない。答えがほんとうにほしいときには、やっぱり、訊かなくていけない。」と。あなたひとりで抱え込むのではなくて、あなたが信じられる人に、あなたが抱えている思いを聴いてもらうのが一番よいのではないかと今は思っています。そして、その人に受け止めてもらうことができれば、あなたのその思いはきっと半分になって、心が軽くなっているような気がします。それこそが“分かち合う”ことの本質ではないでしょうか。
 そのような、あなたを支えてくれる人がきっと現れると信じています。もしかしたら、もうすでにあなたのすぐそばにいるかもしれません。あなたは支えられていることに気づいていないだけかもしれません。周りを素直な心で見てみたらどうでしょうか。今までと違った景色が見えるかもしれませんよ。
 
【Color 89】おすすめの韓国ドラマとかはありますか。
 今、BSでは面白い韓国ドラマが放送されておらず観ていないので、すみませんがお伝えできません。ごめんなさい。もしよければ、逆におすすめのドラマがあったら、教えてください。今は、日本のドラマに夢中なので、また韓国ドラマで面白いのがあったら紹介しますね。かなり古いですが、2003年放送『屋根部屋のネコ』は面白かったです。

2023.12.15


この記事が参加している募集

オープン学級通信

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?