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井上尚弥 2階級四団体統一 速記

正直、苦戦だったと思う。
リング上の井上の手応えほどの優勢は、リング外には伝わっていなかったのではないか?

タパレスのパンチを躱し切れていなかった。
最後まで見切れてはいない。
「今のパンチ見えてた!?」というようなタイミングのパンチもあった。

4Rのダウンから回復し、むしろ井上にダメージを与えたタパレスの5R。
あえてタパレスを呼び込んでダメージを蓄積させた井上の6R。
拘っているという以上に、右ストレートへ拘泥しているようにさえ見えた井上。7、8Rは神経戦の中、どちらのポイントにしてもいいようなラウンドだった。

普通に考えれば、井上が、たとえ小差であったとしても、判定で獲る内容だったと思う。
しかし、世界では首を360度回転させたくなるようなジャッジが、オフィシャルとして存在する。
これまでの井上なら、そんなジャッジに当たり、仮に判定までもつれ込まれてしまったとしても、間違いが差し挟まれる余地なく圧倒できていた。
しかし、今日の試合は違ったのではないか――?

仮に、今日の試合におかしなジャッジが紛れ込んでいた場合、タパレスの判定勝ちもあり得た。
そう考えると、4R、パンチのヒットと共に距離を詰め捩じ伏せるように倒したように、泥臭く距離を縮め磨り潰すような戦い方に移行した方が、間違いが起こらないのではないかと感じだしていた。
中間距離での技術戦、神経戦には明確な差がない。右ストレート。右ストレートの後に追い掛けてダブルの右ストレート。

スマートさをかなぐり捨て、被弾覚悟で削りに行かなければいけないのではないか?!
左ボディは?!タイミングではなくがむしゃらさでは?!
果たしてそんな10R。

ワン・ツー。タパレスの手が跳ね上がりガードが壊れる。さらに追い掛けてワン・ツー。タパレスが倒れる。
そしてカウントアウト。

結局右ストレートで決着を付けてしまうのかモンスター・井上。
現時点では、スコアシートがどうだったのかはわからないが、嫌な予感が現実になるかもしれなかったその前に、自らの拳で試合を終わらせた。

しかし、それでもやっぱりタパレスは強かった。
柔らかな上体は、相手のパンチをナチュラルに躱すのでは?という予測以上に、意思と技術の下、裏付けを持って井上のパンチを回避していた。

率直に、タパレスがスーパーバンタム級のラスボスだったと思う。
前戦のフルトンはもちろん、今後対戦が予想されるネリやアフマダリエフを相手にしても、今日ほど苦戦することはないのではないか。
井上が周囲の楽勝ムードに流され、ほどほどの練習、それなりの調整でこの試合を迎えていたなら負けていたのでは?
タパレスはそういう選手、確固たる二団体統一王者だったと思う。

井上チャンピオン。2階級に渡り四団体統一おめでとうございます。
弛みのない努力。素晴らしいです。

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