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バスに揺られながら

社会人になってからというもの、学生の頃より少しばかり懐に余裕ができたのでお金で時間を買うようになった。住んでいる土地が割と便利な場所にあるため、時間を買ってしまえば東京〜大阪くらいの間なら日帰りで帰って来れる。お金より時間を優先できるのは身体的に助かる。ありがとう私。

そうしてここ数年過ごしてきたのだけど、最近少々散財しすぎた(どれもこれも今しかできないもののために使った必要経費といえばそうなのだけど‥)でも予定は詰め込んであるしキャンセルなんてしたくないし。これは久々に長い時間をかけて目的地まで向かった方が良さそうだ。

久々に学生の頃使いまくっていた高速バスのサイトを開く。‥‥あれ、ログインパスワードなんだったっけな‥‥?流行病と、大好きなアイドルがデビューして公演回数が減ったこと、前述のように時間を買うようになったことなどを理由に、気づけばそのサイトは2年半年ほど開いていなかった。流れる時と一緒にパスワードの記憶も流れていってしまった。全然思い出せん‥!

なんやかんやありつつ往復でバスを予約する。なんだかこのサイトを使うだけでちょっとコンサート遠征の気持ちになってきてワクワク。絶対に体はバキバキになるけど、それよりも少し「あ〜あの頃お金はなかったけど楽しかったな〜」の懐かしさが勝っている。

早朝に起きて寝ぼけ眼で化粧を始めて。(チケットは前日にバッグに入れたから大丈夫。チケットさえあればなんとかなる。)と思いながら家を出る。朝焼けを眺めながらバス停のある駅まで電車で向かう。早めに駅に着いて朝ご飯を買って乗ることもあれば、ギリギリに着いちゃって大慌てで走る時もあったな。1限だけ受けて夜公演のために大慌てでバスに飛び込んだこともあった。バスの中でしばらく息上がってるの恥ずかしい。

乗ってしまえばあとは大阪まで運ばれていくだけなのでのんびりとバス内で過ごす。途中で停まるPAの山にしかない澄んだ空気を肺いっぱいに取り込む瞬間も恒例行事です。街並みが賑やかになってきて、バスの中から太陽の塔が見えると一気に心の中のボルテージが上がる。大阪来たぞ!来たぞ〜!って気持ちになる。当時の私は知らないけど、道枝くんはその太陽の塔の下からデビュー日を始めたんだよ。そう思うとなんだかやっぱり感慨深くなっちゃうよね。ずっと見つめていたあの時間への伏線回収みたいな。勝手に。

名古屋に住んでいると、デビュー組の公演については基本的にツアー地に組み込まれてることが多いので、高校生まではコンサートのための遠征をしたことがなかった。ありがたいお話だ。大学生になって、初めてジャニーズJr.というものを好きになった。あの時大阪に行かないと見ることのできない、会うことのできないアイドルを応援していたことは私にはとても特別な経験だった。あぁ〜私って、移動時間が長いの嫌いではないんだったな!体がバキバキになるのがしんどいけど。

「次の日仕事だから早く帰らなくちゃ、そしてちゃんと寝なくちゃ。」みたいな、そういう焦りがあるから最近は移動時間にお金をかけていたけど。たまにはこうやってゆったり目的地に向かうのも悪くないな。ていうか好きだな。すでに肩バキバキだけど。

もうすっかり全国を飛び回るツアーができる方々になって、名古屋にも来てくれて、ご当地グルメのお話をMCでしてくれるようになって。私は私で学生ではなくなって、明日のこと考えてしまうようになったし、週一、ニで大阪に通う、みたいなことはもうないんだろうな〜と思う。でもこうやってたまにゆったりとバスに揺られながら、当時のことを振り返ることができたらいいな。それであの時間は間違いなく私の大切な青春の一部だったって再確認したい。

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