じゃがいもの天ぷら
先日、野菜があったので夕飯に天ぷらを揚げた。じゃがいもとアスパラガスとしいたけの天ぷらと、玉ねぎとにんじんと三つ葉と干しえびでかき揚げにした。
天ぷらを揚げていると、家に残っている食材をいろいろと揚げたくなる。揚げていると水分が出る食材は油がバチッとはねるので天ぷらに向いた食材を探す。
新しょうがが残っていたので千切りにしてかき揚げにしようかと思ったり、さつまいもの天ぷらにしょうゆをぼたぼたかけて食べたかったけれどじゃがいもしか無かったので、この日はじゃがいもの天ぷらにした。
魚肉ソーセジやちくわもあったら揚げたかった。タコもいいなぁ‥。熟れたバナナとりんごが残っていたけれど、おかずというよりはデザートになるのでやめておいた。多めに粉を溶いでしまい残った天ぷら衣をきれいに使いきったときの気持ちよさったらない。
小さなこどもたちと一緒に楽しんできた絵本に、絵本作家のせなけいこさんの絵本「めがねうさぎ」のシリーズの「おばけのてんぷら」がある。
視力のよくない“めがねうさぎ”のうさこがまちがって、自分のめがねを揚げちゃったり、天ぷらの揚げたいい匂いにつられて山から降りてきて小さくなったおばけまで天ぷら衣に入れて揚げそうになっちゃうお話しだ。
余談ながら、せなけいこさんの「ねないこだれだ」や数々の絵本、やなせたかしさんの“アンパンマン”の存在は、小さなこどもたちと一緒に過ごすようになってから偉大さを思い知った。
天ぷらの作り方の本まで親切に貸してくれて、お弁当の天ぷらまでわけてくれる“こねこくん”が“うさこ”に、
「おいもの てんぷらなら
たべても いいけど
おさかなの てんぷら
とっちゃ いやだよ」
ここを気持ちをこめて読むのが好きだ。せなけいこさんの旦那さまは噺家さんだからなのか、元来のせなさんのユーモア溢れるご性格もあると思うのだが、絵本の登場人物たちはにくめなくて愛嬌がある。
こねこくんはお魚の天ぷらのほうが好きだからじゃがいもの天ぷらならいいよと、うさこに味見をさせてくれる。わけてもらったおいもの天ぷらをうれしそうに食べるうさこのおいしさだけを素直に喜んでいる表情がいい。
じゃがいもの天ぷらを揚げているときに、味見が止らなくなった。新しく揚がるとまた食べたくなる。
あぁ、いまの気持ちに似たことを絵本で読んだことあるな‥と頭に浮かんだら気になってしまい、本棚のある部屋へ行って絵本を取ってきて開いた。
ついつい揚げたてをつまみ食いしちゃう「めがねうさぎ」のうさこが、
「やっぱりてんぷらはあげたてにかぎるわ」
と味見を続けながら言う。
まさにその通り!だった。すっきりしたところで、“もう一つだけ”と言い訳しながら、揚げたてのじゃがいもの天ぷらに塩を振ってぱくっとほお張る。
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