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ロッキーズ投手陣が4シームを減らし、シンカーを増やす理由は本拠地にあり。空振りを奪えないクアーズフィールド

昨年より指標を向上中のロッキーズ投手陣の不思議な傾向


今季下馬評以上の健闘を見せているチームは複数ありますが、その一つがロッキーズでしょう。CJ・クロンやコナー・ジョーなど野手の活躍も光る一方で投手陣も防御率が4.83から4.73に、FIPが4.47から4.11へと改善しているのも好調の要因でしょう。

さらに投手陣について深堀してみると面白いことが見つかりました。それは今季ロッキーズの投手陣が4シームを減らす一方で、シンカーを増やしているということです。

最近の野球界での流行りは高めの4シームであり、4シームをここまで大幅に減らしシンカーを増やしているのはトレンドとは真逆です。今回はロッキーズが4シームを大幅に減らしている理由について考えていきたいと思います(シンカーを増やしている理由についても簡単に触れます)。

過去数年は球界で最も4シームの投球比率が高かった


実はロッキーズは速球の中でも近年は4シームを重視しているチームでした。実際2019年から3年連続で4シームの投球比率が最も高い球団はロッキーズでした。おそらくこの4シーム重視の背景には、チームの特殊な本拠地クアーズフィールドの存在があるのでしょう。

クアーズフィールドはMLBファンにとっては有名な打者天国の球場で投手には地獄のような環境です。クアーズでは打たれるとボールがよく飛びます。この状況で良い成績を残すために必要なのは、空振りを奪いボールを前に飛ばさなければ良い。おそらくこれがロッキーズの編み出した作戦だったと思います。

そのために近年話題の球速が早い回転数の多い4シームを多く取り入れたのが過去数年間だったと思います。しかし意外なほどにこの作戦はハマりませんでした。昨年のK%は21.0%で両リーグ25位とかなり悪い水準に落ち込みました。

三振(空振り)が奪えない理由はクアーズフィールド


なぜ4シームを増やしているのに三振が増えないのか。もちろん原因は複数ありますが、1つの大きな要因はクアーズフィールドにあります。なんとクアーズフィールドは4シームが他の球場と比較してライズ量が小さいのです。

Vertical Movementが小さいクアーズ

上のグラフは今季の球場別の垂直方向の4シームの変化量です。クアーズフィールドだけ明らかに変化量が小さいことが分かります。ロッキーズの選手のホーム/アウェイの4シームの変化をGIFにしたものが以下ですが、これを見てもクアーズ(紫)では4シームが垂れていることが分かります。


つまりクアーズでは他球場と同じ高品質の4シームを投げても、残念ながら同じライズ量は得られないのです。さらにいうと、クアーズは打球がよく飛ぶだけでなくライズ量が得られず空振りも奪いにくいという意味で2重で投手には苦しい球場だということです。


実際球場別の4シームの空振り率(下記)を見ても分かります。クアーズでの空振り率は7.64%であり、これは30球場中最悪の数字です。この中にはアウェイの選手の成績も含まれていますので、いかにクアーズが空振りを奪うことが難しい球場かわかるのではないでしょうか。

このようにクアーズは打球が飛ぶだけでなく、空振りも奪えない二重苦の球場なのでロッキーズは今季4シームの比率を減らしているのではないかと思います。他球団もこの傾向には気づいているようで、ドジャースもシーズン全体では37.8%投げている4シームをクアーズでは33.1%に減らしています。

逆にシンカーは優秀な成績


ここまではクアーズがどれだけ4シームで空振りを奪うのに向いてないかを説明してきました。しかし逆に言うとクアーズはボールが沈む傾向があるため、シンカーは使い方次第では非常に有用な球種になります。それゆえにロッキーズは4シームを減らして、シンカーを増やしているのではないかと考えます。実際クアーズでのロッキーズ投手陣の4シームとシンカーの成績を比較するとそれは一目瞭然です。

シンカーが4シームを圧倒

なんと被打率や長打率、空振り率、三振率とすべての指標でシンカーの方が優れているのです。もしかするとロッキーズ投手陣は長年苦しんできたクアーズの攻略法を見つけたのかもしれません。

今回のまとめ

・ロッキーズ投手陣は今季シンカーを増やして4シームを減らしている
・クアーズフィールドは4シームのライズ量が小さくなり、4シームを投げるのには不向き
・逆にシンカーは有用な球種になりうる

Photo BY:Alex Juel