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「他部署が動いてくれない...」 全社プロジェクトの困難はなぜ起きる?

Monstarlabは7月5日(月)、音声ライブ配信シリーズ「みんなのDXプロジェクトルーム」vol.3を開催した。

DXのプロフェッショナルによるディスカッションをラジオ感覚で聞ける「みんなのDXプロジェクトルーム」。テーマに精通したゲストを招き、リスナーとともにDXの課題について考えるトークライブシリーズだ。

今回のテーマは、vol.1vol.2に続き「社内調整」。なかでも、vol.3では大型プロジェクトの進行に伴う悩みにフォーカス。

冒頭ではリスナーからのお悩みを紹介した。

DX推進担当となり、企画の承認もおりました。しかし、困ったことに他部署がまったく動いてくれません。既存の業務で忙しいことは重々理解しているのですが......。部署横断型のプロジェクトをうまく進める方法はありますか?

このほか、「他部署にDXの重要性を説得するのが難しい」「DX関連の業務の優先度を下げられてしまう」など、プロジェクトの拡大に伴う悩みが多数寄せられた。

これについて、歴戦のプロジェクトマネージャーであるパラダイスウェア株式会社 代表取締役・橋本将功氏、株式会社モンスターラボ 上級執行役員 デリバリー責任者・宇野智之氏が討論。

本記事では、ライブ配信の内容を抜粋してお届けする。

"動かない人"の心理的抵抗

橋本 僕はDXを"業務とシステムの全体最適化"だと捉えています。そのため、最終的には全社的な取り組みにならざるを得ず、それに伴い、さまざまな部署の社員が動かなければいけない状態になる。

そのときに多くの社員を動かすためには、まず上層部が「これをやるんだ」と明確な意思表示をすることが重要だと思います。

宇野 その通りだと思います。僕は以前、独立系の大手システムインテグレーション企業に勤めており、プロジェクトマネージャーとしてシステム開発案件を担当していたのですが、自分のプロジェクトチームに他部署の社員が含まれていることが何度もありました。まさに今回いただいたお悩みのように「どうしたら動いてくれるだろう」と悩んだこともあります。

自分なりに試行錯誤した結果、効果的なアプローチは2パターンあるなと。

まずはボトムアップ。動いてくれない社員に対して、モチベーションが上がるような働きかけをすることです。例えば一緒に飲みに行って、普段どういうことを感じているのか尋ねたり、僕が考えるプロジェクトの意義を伝えたり。

もうひとつはトップダウン。該当部署の部長に「実は僕、こういうことをやりたいんですよ」と話し、部下に働きかけてもらう。これも飲みながら話しましたね。

橋本 社内政治的な動きではありますが、飲みに行くのは大事ですよね。業務時間内で解決できるのがベストですが、やっぱり人間はそう簡単にはいかないもの。

特にDXのような全社的な取り組みでは「自分の縄張りを侵害されるんじゃないか」「これまでのやり方を変えないといけないんじゃないか」と感じる人も少なからずいるはず。そうではなく、「会社全体を良くしていきたいんだ」という気持ちを理解してもらうには、インフォーマルなコミュニケーションをないがしろにできないことも。

宇野 そうですね。振り返ってみると、前職でそのようなコミュニケーションを図るなかで相手に「本当にやりたいと思ってるんだな。だったらちょっと協力しようかな」と感じてもらえたんじゃないかと思います。

橋本 心理的に抵抗している状態を、コミュニケーションを通じていかに変えることができるかがポイントですよね。

ちなみにこれは僕の経験則ですが、他部署の担当者が動いてくれないときはその人自身に働きかけるのではなく、その部署の部長に声をかけてしまったほうが早いと思います。

部署・事業部を統括する立場にいるような方たちは、新しいチャレンジやそれに取り組む社員の重要性をとても理解している。なので、飲みに誘ったら応じてくれるケースがほとんどだと思います。まずは単刀直入に相談してみるのがいいですよ。

宇野 そうですね。積極的に相談してくれると嬉しいものですよね。

ボトムアップにせよトップダウンにせよ、相談するときには視座を1段階上げて、その部署にとってどのような価値があるかを明確に伝えるのがいいと思います。つまり「こちらの部署はこうだから、そちらの部署ではこうしてください」という押し付けではなく、「そちらの部署、あるいは会社全体の数年後を考えたときにこうしたほうがいいと思うんですよ」というアプローチですね。

一般論ではありますが、共通目的をはっきりさせたうえで適切なコミュニケーションをとっていくことが重要なのかなと。これは現場担当者だけでなくミドル層の方にも通じるセオリーだと思います。

「動くと損」が起きないために

宇野 社内政治力以外の解決方法について考えていたのですが、そもそもなぜ動いてくれない人が出てきてしまうのかを考える必要があるかなと。

橋本 そうですね。動いてくれない人は絶対出てきますから。

宇野 一番の原因は、稼働する社員にとってのインセンティブが設計できていないパターンじゃないかと思います。例えば、これまでの業務に加えてDXのミッションを課すにもかかわらず、短期的な目標値、例えば毎月の受注案件数などはそのままという状況。

橋本 vol.2でも話した、稼働が足りないパターンですね。

宇野 部署内のミッションを純増するのであれば、人も同様に増やさなければいけないのは当然のことなんですよね。現場の社員がモチベーションを保つためにも、マネージャーはKPIを分解したりミッションを再設計したりと、現状に対する適切なアクションをとらなければいけないと思います。

橋本 すでにルーティン化されている業務の外注を検討したり。

宇野 そうですね。

橋本 そのような対応を抜きにして、現場で協力体制を築くのは難しい。トップはメッセージを発信することも重要ですが、同時にミッション設計などの業務にも取り組む必要があります。

宇野 やるべきことだけでなく、やらないことも決める。

橋本 その見直しを含めてDXなんじゃないかなと思いますね。

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