【短編】スケール 第6話 サイズ
彼女は何かを迷っているらしく言いあぐねていたが、やがて背を伸ばし潮風の匂いを思い切り吸い込んだ。「ふぅ! 気持ちいい。あのね、先生は生真面目過ぎるんです。これまで測ることも研究も、真摯にやってきました。それは素敵な事なんですけれどね。しかもそれで人生が上手く回っていましたし」
「そうでしょうか。小さい頃はだいぶ周りの子に苛められましたよ?」
「ふふ、それは子供の頃の思い出でしょう? 今となっては些細なことです」
「そんな……当時は気にし過ぎないよう思いこませていました