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Photo by
rich_otter743
半分ろうそく
明るかった会場が、急に薄暗くなり、
アナウンスが流れた。
メモリアルキャンドルの点灯です。
末長く、この火を灯し続けてください。
大きな拍手とたくさんのフラッシュの中、
昴と早苗は、1メートルほどもあるメモリアルキャンドルに火を灯した。
それから毎年、結婚記念日には、このろうそくに火が灯された。
ろうそくは、書かれたメモリが2、3、4…と大きくなるにつれ、少しづつ短くなっていく。
二人でそれを眺めながら、毎年乾杯した。
しかしいつのまにか、ろうそくは忘れられた。
ある年、大きな台風がやってきて停電になったとき、昴と早苗はあのろうそくを思い出し、久しぶりに火を灯した。
停電は3日間続き、二人はあの日を思い出しながら、和やかな時間を過ごした。
ところがその後、ろうそくは灯されることはなかった。
二人は別の道を歩き始めたのだ。
その時まだ半分ろうそくは残っていた。
半分ろうそくは、その後も押入れの奥で、二人のそれぞれの人生を密かに応援し続けた。
ここまで本文410文字
これはたらはかにさんの企画
♯毎週ショートショートnote
の企画に参加したものです。
思い出半分
創作半分…
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