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UNDER5 AWARD 2023 感想~圧倒的な完成度/コンパクト賞レースの魅力/今後の位置付け~

THE SECONDに続き今年から新たに生まれた芸歴五年目以下の新、賞レース「UNDER 5」皆さんご覧になられただろうか。
優勝は金魚番長。五年目以下とは思えなかったハイレベルな戦いを一組ずつ振り返っていく。

Aブロック1組目 三遊間
トップバッターは三遊間だった。痛ファンが戦国時代にいたらという漫才は完成度が非常に高かった。ハイツ友の会やタイムキーパーと並ぶ大阪41期のエースで優勝候補であったが残念ながら敗退。
大阪全般不勉強なので他のネタもガンガン見てみたい。

Aブロック2組目 あくびぼうや
決勝メンバー唯一のフリーということで謎に包まれていたが、ふたを開けたらとんでもない漫才だった。
決勝の舞台であんなたっぷりと間を取ってるだけでもう根性の座り方が違う。
相方もどんな顔してんだよとか思ってたら急にギアが上がって、そのまま最後まで魅せられてしまった。
「好きな子と手をつないでるのに何をムカつくことがあるねん!」ってのは確かにフリなしでいきなりトップギアで怒って良い理由なんだよな。
だからあの急展開にもついていけたし、その後もめちゃくちゃ面白かった。
うっかり吉本入って売れまくって10ステとかやったら喉どうなっちゃうんだろうという無駄な心配すらしてしまうほど好きになってしまった。
最後10秒の意味不明な激怖演説だけ謎過ぎたからそれで客票入らなかったのかなあ。

Aブロック3組目 ハマノとヘンミ
吹奏楽部と応援団のコント。面白かったなあ。冷静に考えると一本のネタにするのにあるあるさが弱すぎるんだよな。甲子園見てて、あの暑さで楽器熱くならないのかなって引っかかるのもすごいし、それはまだしもそれを一本のネタにしてあれだけ面白くできるのは凄いよなぁ。

Bブロック1組目 イチゴ
この動指様というネタ(どんなタイトルだよ)は5月の24期ライブのプジョルと、UNDER5の三日前の三八闘魂師というライブで二回見たが相当仕上がっていた。
イクトのキャラは平場でもネタと同じわけのわからなさで最高だし、木原もセンス系のボソッとしたツッコミをしそうな見た目からの大声最低限的確絶叫という形でそのギャップが面白い。
俺も早く手を広げながら一定のリズムで「アー!」と叫んでお金もらう仕事に就きたい。

Bブロック2組目 キャプテンバイソン
とんでもなく面白かった。野暮だけど入口で待ってる時点でNHKの集金なんだろうなとバレバレなのだが、そんなものにかまわず一分半贅沢に振って振って「外に謝ってる人がいる、そんなに自分を責めないでください」でもう元取るどころか拍手笑いだった。
低音でたっぷりと間を取るあのキャラクター、いそうでいないところを絶妙に突かれたような感覚がする。渡部陽一ぐらいじゃないか、また全然違うけど。

Bブロック3組目 どんちっち
M-1で披露していた(よね?)甲子園のネタ。
良いネタだけど個人的に面白いより上手いなぁとか確かになぁが勝つ感じだった。
二人で柔道やってくれて全然よかったんだけどな。

Cブロック1組目 エナマキシマ
ラヴィットの掴み-1GPでUNIQLOのモデルに似てるみたいな掴みで相当インパクトを残していたのが印象的で、大阪吉本とは聞いていたが、まさにそれらしく見た目を活かさないしっかりとした漫才でびっくりした。
なんで窓そんな閉めたがるんだよ笑 
絶妙に嫌な歌のあるあるも面白かったなあ

Cブロック2組目 ライムギ
不審者が不審者としてよかったし、子供の子供然とした感じも良かった。
キャラコント漫才を存分に活かしていて、コントも見たいなと思った。
面白かったけど残念ながら敗退。

Cブロック3組目 金魚番長
引っ越しというネタで初めて見たが、めちゃくちゃ面白かった。
はちゃめちゃだし、ツッコミが入るまで何をしているのか理解が難しいボケもあるのに、動きとマイムがしっかりしてるから、全部伝わるんだよな。
だから余計な説明なく「三色ボールペン!?」「ご飯派になっちゃう!」だけでツッコミとして成立してるのが凄い。
かと思えば「酒場まで持っていきます」とかそういうワードセンスのボケツッコミもあるし、とにかく色んな種類のボケがあるから見てて楽しいんだよな。圧巻でした。

決勝1組目 あくびぼうや
「覚えてますか」とか「客票低くて面喰いました」とか、つかみの内容ほぼマシンガンズなのにテンション真逆すぎるのがまず面白かった。
三回見て集中してよく聞いて、やっと会話の内容というか、行われているキャッチボールが理解できて今ようやく面白い。
初見と二回目は欲望の話なのかよく坊の話なのか、よく坊だとしても突飛に話が飛びすぎとかであんまりついていけなかったんだよな。
話し方とかシステムだけで完成してるから一本目みたいにわかりやすい感じのほうが個人的にはありがたい。。
にしても面白かった。今後も期待。

決勝2組目 キャプテンバイソン
今度はボケツッコミ逆の形だったが変わらず面白かった。
同じ設定のネタをキャラなしでやったらああは面白くならないだろうな。
KOC決勝で見たいなあ。

決勝3組目 金魚番長
一昨年(ですよね?)のM-1のママ活のブラッシュアップ版。決勝三日前もやってたが、それはお母さん=家庭教師 という流れになっていて、確かに面白いけどごちゃつくなって思っていたので、今回の見やすい形になっていて安心して笑えた。
ほんとに完成度高いよなぁ金魚番長。このママ活のネタで金魚番長にハマったので、このネタで優勝したのが嬉しい。おめでとう!

ついでですが平場の金魚番長×ニューヨークも最高すぎたな、、
3日前の金魚番長出演の闘魂三八師というライブでもあの倒れるくだりをやっていて、なぜか川瀬名人も含めて全員が「金魚番長はこのバイオレンスチックな感じを推していこう」ということになったからなのも絶対あるんだよな。
客としてその空気に加担したことに責任を感じています(?)

大会全体の感想
まず司会の我らがニューヨーク。少しテンション高くもそつなく、審査員との程よい距離感にネタ後の平場といい、何から何まで完璧だった。(最後の嶋佐除く、笑)

次に審査員。たぶん6人じゃなくて7人のほうが絶対良いけど、にしても東西・漫才・コント・ピンと幅広く、全員の芸歴の重ね具合かつ現役感、どれをとっても完璧な人選だし審査内容も人それぞれ違う基準も垣間見えながら的確なコメントだらけで最高だった。
ちょっとボケ過ぎて演者の若手がかわいそうな気もしたが、まあ見る分にはめちゃくちゃ面白かった。

最後に大会全体。
まずABCに近い方式とルールはめっちゃ良かったと思う。
キャプテンバイソンが爆発起こしたときは、漫才がフリになってしまうコント有利な大会なのかなと思ったけど、金魚番長がそれを覆す完璧な漫才で優勝してくれて本当に良かった。

また、ルミネでライブ形式で開催されたことで、テレビ番組の賞レースと異なり、煽りも最小限、CMもなし、女性アシスタントとの二重進行も無いのでサクサクと進む感じが新鮮で、非常に見やすかった。
というかこのコンパクトな賞レースが快適過ぎて既存のテレビ賞レースに戻れる気がしない。。笑

Twitter見てるとM-1とか他で見たことあるネタだったからもっと勝負してほしいってツイートもあった。
気持ちはわかるが5年目以下でこれだけハイレベルな戦いで、そんな余裕もないし、というか賞レース決勝でできるネタをそんな何本も持ってないでしょうよと。
マシンガンズなんて26年やって2本しかないんだぜ?(関係ない)

他にも、YOUTUBEでネタ上がるから他賞レースでやりづらくなるのではって意見も見た。
確かにコントはそうかもしれないけど、あとは別に初見インパクトが絶対大事ってわけではなさそうだったから良いんじゃないかな、、

というか1-5年目はM-1より全然チャンスあるんだからUNDER5にガンガンかけていって欲しいな。
自分がもし芸人だったら、このネタ叩いたり、初見インパクト残しとけば賞レースいけるけど今年はまだ早いから取っとこうとか絶対あると思うけど、UNDER5で決勝行けば芸人界隈では絶対有名になると思うからここに全つっぱは全然あると思うんだよな。
UNDER5で予選敗退する分にはそこまで消費もされないだろうし。

M-1で絶対準決勝以上行けるとかならともかく、三回戦行ってYOUTUBEの動画に載って知名度上げようとかそれぐらいの魂胆ならUNDER5で決勝行った方が絶対良い気がする。

今後も大会をやり続けてもらうのは当然として、来年はもうちょい更に大会の知名度上がって規模も拡大してほしいな。ナベプロNO.1すらABEMAでやってるんだから、UNDER5もせめてABEMAぐらいではやって欲しい。

改めて最高の大会でした。来年以降知ってる芸人が更に減るけど、このレベルの高さは変わらないしむしろ上がる可能性も全然あると思うので楽しみです。
お読みいただきありがとうございました。

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