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月とライカと吸血姫7 あとがき

【※注:未読の方は読まないでください。ネタバレしています】

2016年に出した1巻で、史上初の有人宇宙飛行を書いたときには、月面着陸は考えていませんでした。あくまでも歴史に隠れた物語でした。しかし2巻の"宣言"があり、連合王国側に宇宙飛行士との対比となる技術者を出したときから、歴史のifである『2国共同での月面着陸計画』に向かってスタートしました。そして、宇宙開発に関わる人びとは、それぞれの思惑を抱いて未知に挑戦し、さまざまな問題を乗り越え、月に到達します(巻末クレジット掲載の取材協力者の皆様には大変お世話になりました)。
本作の舞台は5~60年前で、現代に科学技術こそ劣りますが、人びとの思考や行動は、現代とたいして変わらないものです。その『月とライカと吸血姫』の世界の先に、どういう未来が待っているか――


↓(ここから先はラストに触れます)

じつは、最初の構成段階では、ラストはあそこで終わらず、地球への帰還があり、そしてその後にエピローグとして、2021年まで時間を飛ばした『月とライカと吸血姫』の世界がありました。これは細かいところまで書いていました。ただ、7巻の構成を練り直した結果、蛇足になったので全カットしました。
1巻の序章で、別々の場所で月を想っていたふたりは、出会い、仲間を得て、たくさんの協力を得て月へ向かう。月へ向かうなかで、仲間は宇宙船から見えない場所にいたり、声だけの存在になったりして、最後、再びふたりになる。――世界はつづいていても、ふたりではじまった物語は、ふたりで閉じるべきという判断です。だからあとがきも余計なものだと考えて掲載しませんでした。
あの先の未来に、21世紀博覧会で描かれた世界が訪れるのか、イリナが新しい夢を想像したように、想像していただければと思います。

最後に、1巻発売当時からでも、途中からでも、アニメからでも、応援してくださった皆様に、そして制作に携わってくださったすべての皆様に、感謝をおくります。ありがとうございました。
 牧野圭祐

【10/22追記】

・これはガガガチャンネルで言ったことの補足で、月への飛行と降下はアポロ計画の交信記録を参考にしていて、コンピュータートラブルも同じです。ただ、着陸前の数分間だけはアポロ11号と異なります。アームストロング船長が「燃料限界になっても、こういう方法で着陸できたはずだ」とどこかで語っていた『エンジンストップさせて着陸』を実際にやりました。


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