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映画『THE FIRST SLAM DUNK』にハマってます

5月16日(火) ※ぜひコメントや感想お待ちしてます
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最近、外を歩くときにテーマの色を決めて、その色を探しながら歩くのを日課にしてるMizukiです #世界が違って見えるよ #普段気づかない部分に気づけるよ

 
さて。


今日はハマりにハマっている 映画『THE SLAM DUNK』がCG WROLD 2023年6月号(No.298)に大特集があったので、その感想を書いていきたいと思います。

 

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※映画をこれから見る方、CG WORLDをこれから読む方、ネタバレになりますのでご注意ください。また長文で専門用語も多いのでご容赦くださいませ。
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▼ 物語的にも映像的にもアツいスラダン!
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ほとんど宣伝されていなかったのにも関わらず、公開から2日間で観客動員数が84.7万人・興行収入が12.9億円を突破。そのまま公開から2ヶ月で興行収入100億円を突破し、中国や韓国でも、歴代日本アニメの記録を次々と塗り替えています。

 
バスケが好きなわけでも得意なわけでもなく、スラムダンクの漫画を読んだこともないわたしが、劇場に4回も見にいきました。久しぶりに劇場にリピートしました。 #グレイテストショーマンの6回が最高記録 #原作ファンの皆様すみません

 
そんな中で職場で見つけたCG WORLDで55ページに渡る大特集をしているのを見つけてしまい、夜な夜なワクワクして一気に読んでしまいました。

 
わたしが何度も何度も足を運んでしまうほど魅力的な作品なのはわかっているけど、具体的に何がどこが優れているのか語源化できないでいました。そこをこの雑誌で全て語り尽くされていて、さらに作品が好きになり、正直この雑誌を読んだ上でもう一度見にいきたくなっちゃってます。笑

 

▼ 原作・井上雄彦自らが監督および脚本を務める
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井上雄彦が監督と脚本をしていることで「方向性を間違えずに再現なくこだわる」ことが、ここまでのクオリティを出せた要因だという。では具体的にどんな部分をこだわったのか・・・・


▼ 題目にする、映画スラムダンクの特徴
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・井上さんの今の絵柄に寄せたキャラクターモデリング
・キャラクターらしさの再現と量産化を実現した秘伝の仕込み
・今の井上ならどう描くかバスケのリアリティを追う
・量産とこだわりを両立した制作ツールの開発と工夫
・シュミレーションと視覚効果の効率化とこだわり
・セルでもなくCGくさくもなく新しいルックの模索
・大規模大容量のデータの効率的な管理システム
・新しいシーンは井上雄彦直々のネームによるコンテ


▼ 制作当初から覚悟を決めたコンテ作成
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全編の大半を占める試合シーン。プレイヤーの動きのモーションキャプチャーを行い、プレイ全てが再現されたCGによるプリビズ映像を作成しました。このプリビズ映像があったことでより空間を意識した画づくりができ、最終的なシナリオムービーを作成できました。



コンテ段階から、キャプチャ施設で17日間に及ぶ大掛かりな収録を行いました。施設ではViconカメラ48台を導入し、モーションキャプチャー10人同時収録が行われました。プレイ中に密になる場所に、なるべくViconカメラを設置しましたが、10人のモーションキャプチャーは、どうしてもロストマーカーが発生してしまいます。ここの処理を手付けでする覚悟を持って取り組んだ姿勢がもうアツいです。



連日長期間撮影によるタスクや作業も膨大で、機材の暖気、毎朝のキャリブレーション、スーツの洗濯、データの整理、スケジュール管理、制作チームの見事な連携に、同じ職種のわたしは尊敬しました。


収録はワンプレイ(攻守の切り替わり)でのカット割をし、安定バージョンのBladeではなく、リアルタイムプレビューできるようShogunを使った収録方法がとられました。また大規模な試合シーン以外は、簡易的な場所で収録できるMNVでの撮影も組み合わせました。特に、ハイタッチなどのこだわりのシーンは、MNVで何テイクも時間をかけて収録することで、効率とこだわりのバランスをとったそうです。



プリビズ映像から、マルチカム編集でどのカットを採用して繋ぐか、そこだkでも3ヶ月検討。そこから新規カットのつながりや、プレイのスピード感、観客視点のプレイのリズム感、さまざまな検証が行われて、シナリオムービーが完成したそうです。



シナリオムービーを作成する際にスタッフたちは、井上雄彦の「見えすぎない、見せすぎない」「客観的に見えるように」「早いカット割、画角外にしてあえて一瞬見せない」などのキーワードを、一つ一つ丁寧に検証していったそうです。


▼ キャラクターモデリングへの再現なくこだわる姿勢
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キャラクターモデリングは2014年から開始。当初は井上雄彦が参加していなかったので、スタッフたちは太く軸となる方針がなく苦戦したそうです。その後、井上雄彦がジョインすることで大きく進み、途中では3Dフィギュアプリントして、製作陣へのプレゼンの際に判断材料として制作したりもしたそうです。


表情はもちろん筋肉や指の動き、服の動き、髪の動き、それぞれに補助骨を入れてよりリアルさを追求して行きました。特に頭の部位によって髪の可動領域を調整したり、部位によって筋肉の見え方やニュアンスを変えたり。最終的にキャラによっては1人につき120体くらいのパターンを使い分けて捌いていたそうです。


また本編の中にあるバストアップ以上のカットは、全て井上雄彦自身の手で加筆しており、通常の商業映画では複数人の作画監督がこなす仕事量を、井上雄彦監督1人でこなすほどだったそうです。(2305カットという通常の映画よりも遥かに多いカットのうち、500カット以上に自信の手で加筆)


今回、劇場版ではフルアニメーションではなく、2コマ打ち採用で制作を進めました。また動きによっては1コマ打ち-3コマ打ちを使い分けるこだわり。最終的にアニメーションは2305ショットですが、その裏には平均テイクは17.5回、合計4万テイクにおよぶ膨大な作業量が隠されています。


▼ ルックにこだわる姿勢
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3DCG内で画づくりを完成するのではなく、30種類以上の素材をレンダリングしてAEで組み上げていくルックデヴが採用されています。筋肉の陰影だけ描いたテクスチャ素材、タッチの素材、キャラの関係だけのオクルージョンの素材。あのルックを成立するためにたくさんの素材を重ねています。



当初モデリングはセルルックで進めていましたが、井上雄彦の「新しいが目に馴染むもの」「ガサガサ、再度低く、さりげなく、汚くなく汚す」などのキーワードを指針に、2年以上費やして細かい試行錯誤が行われました。最終的にハーモニー処理のようなルックになりました。



またハーモニー処理になったことで、境界線の「線」の表現もこだわることになります。部位によって線からグラデに馴染む場所があったり、カメラとキャラ(被写体)の距離によって線の太さを変えたり、ライン自体もノイズが乗った手書き感のあるテクスチャなど、ひたすらルックをこだわりました。


手書き感を増すためにコンポジットブラシタッチ素材も、部位ごとに入れ込んであったり、キャラクターの腕の左右でも、ラインの太さやタッチを変えたりしています。


▼ 膨大な作業量、膨大なデータ量、膨大なスタッフ。
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膨大なデータや作業量を効率化させることも、このプロジェクトが破綻しないための、そしてこのクオリティを安定して全編におよび担保するための課題でした。



効率化に大きく貢献した開発ツールのなかに、コンボジットのベースをつくり、レンダリングした素材と差し替えて、ShotGridにアップするまでの一連をシステム化したツールがあります。このツールおかげで2305カットという膨大な量にも関わらずこのクオリティを量産できました。



CG上に手書きのタッチを加えるツールを開発したことで、井上雄彦監督自身が500カットに加筆してクオリティ向上に大きく貢献しました。また背景や床面などの情報をカットして、よりキャラクターに視点を誘導する漫画的処理をCG上で成立させたことも革新的でした。


もう一つ井上雄彦のために開発されたと言っても過言ではない、井上雄彦の独特のハッチング(複数の平行線を描き込む表現)のタッチを、アニメーションでも再現するためのツール開発も行われました。あるフレームで2Dのタッチを書くと、他のフレームでも3Dモデルに沿ってタッチ線が描かれる、そのおかげでより少ない手数で、画から浮くことなく更新が可能になりました。


また試合中のキャラクターの迫力を支え印象的だった汗の表現について、アニメーターがつけたアニメーションに対して、自動で汗のシミュレーションをしてキャッシュを出す機能のツールも開発されました。


クラウドから更新された素材や構成、内容について、更新があれば自動的にダウンロードされる仕組みや、クラウドでのやり取りで各社間PMを挟まずにアーティスト同士でのデータのやり取りを可能にすることで、作業量や手数を減らし効率的に制作進行しました。


また複数の制作会社が協業しているので、それぞれ仕様する機材の違いなど、環境固有のエラーもありバッジ処理全てログを取ってエラー対応の効率化も同時に行なっていたそうです。


編集部分だけでなく、シミュレーションさえも自動化するツールを開発しました。シミュレーションを都度都度行っている中で、素材を差し替えたり追加したときに、全編通して素材が転用されて、シミュレーションしてその結果をShot Gridに記録する、という一連の作業を自動化するツールを開発し、そのおかげでより多くのシミュレーションを行えたそうです。


さらに情報共有も効率化できるようツールを作りました。膨大なデータ量の中で、どのショットがどんな修正が発注されていて、どんなステイタスなのか管理しコントロールするのは難しい仕事の一つです。特に外部企業との情報共有にはどうしても時間のラグや伝言ミスができてしまいがちです。そこでレビューコメントの一覧が見れるShotn Reviewを活用しながら、各ショットのサムネイルにリテイク内容やステイタスを反映し、Shot Gridで共通認識としてリアルタイムで共有できるシステムを開発しました。


▼ 作品そのものにもだし、制作背景にワクワク
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制作背景について、ほんの一部だけれど知ったことで、もう一度見たくなりました。それぞれ専門性を持ったプロフェッショナルが集まって、知恵や時間を振り絞って、本気で作品を作るとこんなものが出来上がるのか、という希望にも見えました。そしてそれを見せつけられた気がしました。

 

わたしは今は映画以外の形のさまざまなプロジェクトを持っているけれど、ここまでワクワクして本気で取り組むという初心に帰るきっかけになりました。

 
明日からまた仕事頑張るぞ

式インスタグラム
https://www.instagram.com/cinemacolor_info/

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