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30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい 第8話感想と簡単な考察

※この記事には第8話までのネタバレがあります。特に第8話が多大にありますというかほぼネタバレです。第7話以前の話についても言及があります。ネタバレが嫌な方は読むのを止めてください。なお原作についての言及はありません。

 どうもこんばんは。すっかり『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』通称『チェリまほ』にハマってしまった霧海さと(きりゅ)です。前置きが長いので本文にすぐ入りたい方は目次まで飛ばしてくださいませね。
 私は元々ドラマが始まる前に原作を4巻まで買って読んでおり、お話はpixivコミックや単行本で追って読んでいたのですが、4巻の後辺りから原作の続きが早く読みたくなってしまい、先生のTwitterで先に漫画が公開されることを知り、フォローし始め、過去ログや先生のpixivを拝読しつつ、pixivコミックや先生のTwitterでドラマ化を知り、10月8日にリアルタイムでドラマを見始めてから夢中になり、後でドラマ公式のTwitterをフォローしたというなかなかの異端っぷりです。なので原作もドラマも両方楽しく感じております。
 作品名にやや抵抗があると思われますが、ジャンルとしては、男性同士の純愛ラブコメです。第1話が2020年12月現在、無料でyoutubeに公開されています。

 これまでは壁打ち用アカウントのTwitterに思ったことを単に垂れ流すだけでnoteにまとめていなかったのですが、第8話があまりにもメインカップルのラブコメ要素が多く、またサブカップルの進展があり面白く、また考えさせられることも多かったため、感想や簡単な考察をまとめて記事にすることにしました。毎回考えさせられることが多い本作品ですが、第8話は登場人物が多く様々な要素が詰め込まれているので、自分の考えをまとめておこうと思った次第です。(まとめると言っても、ドラマの流れに沿って感想などを書き連ねているだけなので見にくいと思われますが……)

 第8話の予告を見ていただいても盛り沢山なことがわかりますが、本編の比ではないです。ということで本編の感想に行ってみます。長いので場面ごとくらいの単位でサブタイトルを入れてみました。
※心の声とモノローグはわかりやすく【】で囲うことにしました。

思いを実らせ社内恋愛を満喫する黒沢と、戸惑う安達

 第8話は黒沢が安達との社内恋愛を楽しみ、安達が黒沢に絡まれ緊張しているところから始まります。安達は緊張のあまり普通に過ごせず困っている様子ですが、黒沢は安達のその反応を楽しんでいる様子です。落ち着かない安達が可愛いですが、ウキウキと楽しそうな黒沢も可愛らしいです。
 黒沢が仕事のお礼を言い安達の席を離れ事務所の外に出た後、安達がそれを追うように辿々しい歩き方で事務所を出ていきます。出るまでの途中で浦部先輩が安達に心配そうに声をかけますが、余裕のない安達にはその声が届かないようでした。その安達と黒沢の異変を、遠くから優しい笑顔で見守っている藤崎さんがちらっと映ります。彼女は恐らく二人の関係を察しているのでしょう。いや多分二人の関係が他の人にバレるのも時間の問題でしょう。これでバレなかったら皆鈍いか、安達と黒沢に興味がなさすぎると思われます。

黒沢のことが、頭から離れない(困惑)

 辿々しいペンギン歩きの安達がたどり着いた先は、誰もいない社員食堂でした。安達は場所を変えて少し気を緩められた様子でしたが、これまでの黒沢との出来事を思い出してしまい、戸惑っている様子です。安達はモノローグで、【会社では今まで通りにしようって思ってたのに】と言っているように、普通に過ごしたかったのですが、前日の夜(第7話の終わり)に黒沢に「これ以上一緒にいたら、歯止めが効かなくなりそうだから」という意味深な言葉を言われたり、翌朝、黒沢から急に電話がかかってきて甘い声を聞かされたりする始末です。ちなみにここサラッとまとめましたが、前日の夜の黒沢が、「それって……安達の家に行っていいってこと?」と言った後に、安達が顔を背けつつしどろもどろに話すたびに顔を傾けて攻める様子がとてもいいです。電話の声も甘々の声でとてもいいです。安達が目をパチパチさせているのもまた一興。何度でもお替わりできます。ご馳走様です。
 さておき、安達の方はずっと黒沢が頭をぐるぐる回っているようで、仕事どころではありません。そのせいで安達は、【これじゃ心臓がもたない!】と思っているようでした。安達は両思いの恋愛が初めての経験なのに、『社内』というおまけが付いているために、更に難易度が上がっているようです。私も好きな人が同じフロアにいたら、仕事どころではないと思います。声をかけられたら尚更です。

この世の春を満喫中

 安達が回想から現実に戻ると、ちょうどそのタイミングで背後から「もしかして今俺のこと考えてた?」と、黒沢が声をかけてきます。足音を一切立てずに接近している忍びの黒沢がいました。突然の登場に驚きながらも、素直にうなずく安達に、黒沢が嬉しそうに笑顔で安達の横に座ります。そういえば黒沢は安達より先に事務所を出て、その後に続くように安達が出ていったんですよね。一体何故安達が食堂にいることがわかったんでしょうね。安達が休憩する場所もリサーチ済みと考えるのが妥当でしょうか。もう黒沢何でもありですね。有能ですね。話を戻します。辿々しく、何か用事があるかどうか、目線をそらしつつ伺う安達に、黒沢は明日の安達の予定の空きを確認します。「空いてるけど」と安達が答えます。すると、嬉しそうにお出かけを提案する黒沢に対して、安達は驚いてしまいます。安達は黒沢に対してずっと緊張をしているわけで、そんな状態で不意に一緒の外出を提案されたのは寝耳に水という感じなのでしょう。「ダメ?」と、憂いを含むといいますか、捨てられた子犬のような表情で黒沢に聞かれると、優しい安達は戸惑いながらもお出かけに同意します。すると「じゃ明日迎えに行くね」とワクワクした表情で黒沢は席を立ちます。不意に迎えに行くと言われて戸惑う安達に対して、黒沢は振り向いて「楽しみにしてて。最っ高の一日にするから(笑)」と答えて去っていきます。「いちいち格好いいなぁおい」と去っていく黒沢を見ながら言う安達は、この時点ではその誘いの意味をわかっておらず、じわじわと、「ていうかそれって」場面は事務所内の黒沢に移り、【俗に言う、デート?】と、デートのお誘いであることを実感します。場面では明らかに浮かれながら観賞植物に手を掠めつつ歩いている黒沢の様子を、藤崎さんが「ふふっ」と笑いながら見ています。もう、この世の春を満喫中の黒沢には、安達以外は視界に入らないようです。恋は盲目ですね。

想定外の訪問者

 場面は安達の家に移ります。翌日となっているようです。デート当日ですね。時間は朝か昼かといったところです。黒沢が『最っ高の1日にするから』と張り切っていたので朝からなのかと思いましたが、午後からのデートを考えていたようですね。確かに安達は朝が苦手そうですものね。寝癖が毎日ついているくらいですからね。最近ついてませんけど。
 さて、初めてのデートということで、着る服がどんなものが良いかがわからない安達は、洋服をベッドの上にたくさん並べて、立ちすくんでいました。別に普段着で良い気がしますが、おしゃれ着を着たいのでしょうか。安達が愕然としていると、家のチャイムが鳴り、訪問者が現れたことを示します。服装選びのタイムリミットを示す安達のモノローグが聞こえてきます。意を決して安達は玄関に向かいます。途中の紐のれんを開ける萌え袖最高ですね。玄関のドアを開けると、そこには黒沢の代わりに柘植がいて安達は驚くのでした。第8話の予告で予想はしていましたけど、ここで柘植が現れたのは意外でした。なぜかと言うと、第4話で安達に童貞と言ったらきっと馬鹿にされると想像してしまい、相談するのを躊躇していたからです。親友に馬鹿にされるかもしれない不安よりも、湊に関する相談事を解決したいという思いが勝った(まさった)のでしょうね。「安達」と真剣な表情で柘植が息を荒げます。真剣な表情で息を荒くしているので、なかなかの怪しさを醸し出していますが本人は至って真剣です。安達が「つ、つげ?」と聞くと、柘植は安達に詰め寄り肩を掴みます。「ち、近いな」と驚く安達に、柘植が「俺は、もう、ダメかもしれん」と八の字に眉を寄せ悩む様子を見せます。他の方のTwitterでの発言で気づきましたが、黒沢が近づいても「近い」と言わないのに柘植に対して「近い」と言うのが、黒沢と柘植との関係性の違いを示していて良いですね。ここで安達が「お、おい、どうしたんだよ」と柘植を心配して声をかけます。いきなり距離が近くなっている親友に対して『もうちょっと離れて』とは言わず、困っている親友を心配するのが優しい安達らしいですね。

魔法使い同士の会話

 困っている柘植の様子を見て、【もしかして、スランプ?小説書けないとか】との安達のモノローグに【いや、そういうことじゃないんだ】と心の声で柘植が答えます。そうです。魔法使い同士の初めての会話です。唐突な心の会話に安達が心の声で驚きます。すると妄想のBGMのオルゴールバージョンが鳴り響き、柘植の妄想風景が安達に浮かびます。これを書いていて思いましたが、妄想風景は魔法使いには、どう映るのでしょうね。現実世界を切り離して映るのか、それとも浮かび上がるのか、脳の中に思い浮かぶだけなのか。映し出されている様子と安達の反応を見ると視界が切り替わる感じのような気がします。さておき、心の声を使いこなして妄想を映し出す柘植は要領が良いのか、それとも恋愛小説で培った想像力の賜物なのでしょうか。その妄想は、湊が宅配の荷物を柘植の家に持ってきている様子で、心なしか可愛さ2倍増しでした。【誰だ?このイマドキ男子は】との疑問を浮かべている安達を真剣な様子で息を荒げつつ柘植がじっと見つめています。ハッと元の視野に戻った様子の安達に、柘植がここに来た理由を心の声で話し始めようとします。そこで不意に場面が変わり、安達のアパートの前で黒沢が遠くから、安達と柘植の2人を見て驚いている様子が出てきます。先程書いたように、安達の両肩を柘植が両手で掴んでおり、距離が近いです。はたから見ると2人の様子は、キスをしようとしているように見えます。黒沢の驚きの声に2人も黒沢に気づきます。傍にあった自転車を倒しながら取り乱す黒沢に、驚きながら安達は柘植と黒沢を交互に見て、ようやく黒沢の心境を理解し、「えっえっ、あーーーー違う違う!違うんだ!これは!違うんだ!あぁっ!(声が裏返る)」と両手をバタバタ動かしながら必死に疑いを否定します。7年間の片思いをようやく実らせた後の初デートにして浮気現場に遭遇してしまった黒沢の気持ちを考えると取り乱すのは当然の反応だと思われますし、比較的すぐその心境を理解して必死にジタバタと浮気を否定する安達が可愛らしいです。柘植の前だから明確に言うわけにもいかず、かといって浮気を否定しないわけにも行かず、焦燥にかられた安達は本当に愛おしさ満点です。最高のタイミングでオープニングに入ります。

2人の魔法使いに置いてけぼり

 オープニング明けで、画面は3人が卓袱台を囲う場面に変わり、黒沢と柘植がお互いに謝るところから始まります。2人の共通の知り合いである安達が柘植と黒沢を紹介します。柘植の方は「大学時代の友達」と軽く紹介しますが、問題は黒沢です。「で、こっちが黒沢。俺のーー」と言ったはいいものの紹介内容に安達は悩み、躊躇います。その様子を見てフォローするように「安達の同期の黒沢優一です。仲良くさせてもらってます」と答え、『これで良いよね?』という雰囲気で黒沢が安達を見つめます。黒沢のフォローを心の中で感謝しつつ安達は笑みを浮かべます。ここで安達が何故黒沢の紹介内容を悩んだのかについては諸説ありますが、自分で考えたものではないので省略します。個人的には恋人のいない柘植に気遣った説を推します。黒沢を紹介された柘植は、「黒沢……さん……うん?黒沢?」となにかを思い出した様子です。どうも第2話で相談されたことを思い出しているようです。ちなみに第2話では、柘植が安達から聞いた話を要約して話した際に黒沢のことを『社内の男』としか表現しておらず、安達が具体的にどう話したかは明言されていませんでした。ただ、この反応から推測すると、安達がその話をした際に、『黒沢』という名前を柘植に伝えていた可能性が高いと思われますがいかがでしょう。柘植は自分の反応に驚く黒沢に対して「安達から話はよく伺っています」と答えます。「俺のこと話してくれてるんだ。どんなこと?」と嬉しそうに聞く黒沢に、安達は答えを濁します。心の声が聞こえて、告白される前から黒沢の安達への思いを知って、柘植に相談したなんて、言えませんからね。「じゃ、俺はこれで」と柘植は身支度を始めます。安達が驚いたので、先約があることも考えずに急に押しかけてしまったことを謝罪して立ち上がる柘植の腕を安達が掴み、引き止めます。このとき、上目遣いで柘植を引き止める安達の様子がまたかわいらしいです。安達にここに来た理由を暗に聞かれ、柘植は何と話そうか迷っている様子です。【この魔法の力についても、話したいし】との安達の心の声に【前に相談されたとき、真に受けないで悪かった】と謝り、柘植は軽く頭を下げます。誠実ですね。【それは全然】と笑みを浮かべつつ、安達は頭を軽く横にふります。柘植と安達の様子を不思議に思いながら見ている黒沢の顔がちらっと見えます。数分無言で腕を掴んだ状態なので、心の声が聞こえない黒沢は不思議に思うでしょう。このキョトンとした表情がまた可愛らしいです。柘植の【お察しの通り、実は俺もど】という心の声に被せて【童貞なのは知ってた。ごめん】と謝る安達に心の声で悲鳴を上げて取り乱しつつ、柘植は腕を安達から振りほどきます。その様子を両手を上げて(恐らく二人を引き離そうとしていたのでしょうか……?わかりませんが……)見ている黒沢が「ふたりとも大丈夫?」と心配して声をかけます。心配そうに見ている黒沢がまた可愛らしいです。すると安達が大丈夫と言いながら座り直します。安達が柘植に声をかけると、柘植も座り直し「少しだけ、時間もらってもいいか?」という確認をすると、黒沢は安達を見て目配せし、安達も了承します。このアイコンタクトがまた良いですね。黒沢が『俺は大丈夫だから、安達の判断に任せるよ』という意味合いに見えます。

湊との約束

 柘植が安達の家に来た理由を話し始め、柘植の回想に入ります。場面は柘植の家で、湊は猫のうどんを抱いて撫でています。うどんかわいいようどん。うどんに対して「元気だったか?うん?」という湊の可愛らしい声に「きゅん」とときめいている柘植は相変わらずの不審っぷりです。きゅん声に驚く湊に、柘植は誤魔化します。「久しぶりだな」と柘植が話題をふると、「あー、かもですね。大会近いんで、バイト入れてなくて」とうどんをあやしながら湊が答えます。第6話(確か)では湊に嫌われたのではないかと悩んでいましたが、シフトを入れていないという理由が当たってよかったですね。「大会?あ、ダンスのか!」と気づく柘植に、話した心当たりのない湊は不思議そうに「話しましたっけ」と伺います。湊のダンスの練習風景をたまたま見かけたと答える柘植に、「声かけてくれれば良かったのに」と残念そうに湊が言います。柘植は邪魔をしては悪いと思ってと律儀に答えます。湊はふてくされたように「全然悪いことないですよ」と答えながら、うどんを柘植に返します。その際【見るならちゃんと見てほしかったな】との残念そうな湊の心の声を聞いた柘植は、湊を元気づけるためでしょう、「今度、見に行ってもいいか?」と聞きます。湊が頷くと、興奮した様子の柘植が映り、回想終了します。湊の反応から、恐らく自分が気にしていた猫を大切にしてくれている相手ということで、視聴者の想像以上に柘植に対して高く評価しており、懐いている様子がわかります。
 そのような経緯で「今日、練習を見に行く約束をしてしまったんだ」という柘植の話を聞き、その約束を果たす事の難しさを安達は即座に理解します。一方黒沢はなかなか理解できない様子です。珍しく少し声を荒げて「路上でダンスをしているようなタイプの人間なのに、俺らみたいなのが入っていくんだぞ。そんなの、考えただけで、もう」と安達がうつ伏せます。「かと言って、約束を破るのは人としてどうかと……」と柘植も続きます。安達と顔を向き合わせて「なあ、どうしたらいい?安達」と困った様子の柘植に、悲鳴を上げながら再び安達がうつ伏せます。かわいい二人です。大学時代からの親友という理由がわかった気がします。そこで「じゃみんなで行く?」と笑顔で言う黒沢の提案に、驚きながら黒沢を見る二人でした。

僕の恋人

 場面はバスの中に変わります。バスの最後列に、黒沢と安達が2人並んで座っており、柘植はその前の座席に座っています。安達がスマホを操作していると、黒沢のスマホのバイブレーションが鳴ります。柘植に聞こえないようにLINEで、約束を反故にしてしまったことに対して安達は謝罪します。それに対して、黒沢は、謝ることはない、安達と一緒にいられればいいんだとLINEで返し、安達の方を笑顔で見て安心させようとします。その様子を安達もみて、安心して笑顔になります。ほっと窓を見ていると、黒沢が「楽しみは後にとっておこうよ」「俺達、これからずっと一緒なんだから」と、深い思いを感じさせるメッセージを送り、優しい笑みで安達を見ます。しかしずっと一緒だと決意できる愛の重さは……すごいなと思います。黒沢が第7話で言った『ずっと離さないから』という気持ちが本物なのだとわかります。7年も一途に思い続けていたから当然かも知れませんが……。その笑顔の後、バスが揺れ、安達が黒沢側に傾き、体の右側がぶつかってしまいます。ぶつかったことを安達が謝ると、「大丈夫?」と心配そうに聞く黒沢が聞きます。安達は大丈夫だよと示すために頷きます。安達が正面を向くと、窓を見る黒沢の【僕の恋人】という心の声が、ぶつかったままの足(というか靴)を通じて不意に聞こえてきます。驚いて安達は黒沢の様子を見ます。【黒沢優一 横を見れば 君がいる 恥ずかしがり屋の 僕のエンジェル】
【と、突然のポエム?!】と、安達が心の声で突っ込みます。ちなみにこのnoteの画像イメージは『エンジェル』繋がりで過去に描いた落描きを持ってきてみました。話を戻します。そんな安達の様子を知る由もなく、黒沢はポエムを続けます。
 笑いをこらえる安達ですが、とうとう堪えきれず、吹き出します。当然黒沢は安達の方を見ます。安達は謝りながらも誤魔化し、そっと黒沢から足を離します。久しぶりに黒沢の心の声でお腹いっぱいになりました。というか、こんなポエムまで読んでいただけていたとは……。実は原作にも似たような物が出てくるのですが、演者様の都合で厳しいかと思っていました。本当にドラマ関係者の皆さんには頭が上がりません。ありがとうございます。

世の中せまっ!

 CMを挟んで、場面は公園に移ります。場には六角、湊と、ダンスの格好をした男性(達央というらしいです。出典はダンス指導者の方のTwitterより)と、スーツの男性(圭太というそうです。出典は第9話公式ストーリーより)、柘植、黒沢、安達の7人がいます。世間の狭さに驚く六角の声から始まります。安達の友達・柘植と、六角のダンスサークルの仲間・湊が友達だという事実に驚いていました。「そんなことあるんだな!」との六角の声に、隣りにいた圭太が同意します。「彼がいつも、俺の家に荷物を届けに来てくれてるんだ」との柘植の声に、六角は「ヤバ!」と感嘆の声を出します。「彼って……俺、名前湊って言うんで」と初めて湊が名前を明かします。「そうなのか!い、いい名前だな」と初めて聞いた湊の名前に柘植は嬉しそうです。「えっ?名前知らなかったんですか?ウケますね」という六角の発言で、繊細な柘植は目を泳がせてしまいます。5歳以上年上の人にウケると言える勇気を持つ六角の心臓は一体何でできているんでしょうね。ダイヤモンドですかね。
 「お友達も連れてきてくれたんすか?」という湊の疑問に、頷きながら柘植が安達と黒沢に向けて手を上げて答え、安達と黒沢は二人でお辞儀し、湊も礼をします。恐らく湊の「お友達」発言を受けてだと思いますが、柘植が「ダンスのお友達は、これで全員か?」と聞き、湊が肯定すると、「わかった」と柘植が突然湊とは反対側に向かって歩き出します。湊のダンスを見に来てくれたはずの柘植が突然その場を離れだしたので、戸惑いつつ立ち上がる湊が声をかけると、「差し入れ、買ってくる」と歩みを止め、柘植が答えます。「じゃあ、俺らも行こうか」との安達の声に黒沢も頷きます。そうして歩きだす3人に対して六角が「アイス的なもの」をおねだりするのに対して「わかったよ」と黒沢は優しく答え、六角がお礼を言います。六角、甘え上手ですね。一方、大きく映し出される湊の表情が優しいです。柘植を見ているのでしょうかね。

 場面はコンビニのようなお店に移ります。「その汗に、きゅんってする。」というポスターのメッセージに心奪われた様子の柘植から、彼を遠くから2人で見ている安達と黒沢にフォーカスされます。「柘植さん、湊くんのこと、好きなのかな?」と黒沢が安達に話しかけます。なんとなくですが、この発言をしているときの黒沢が、片思いの先輩に見えます。そうでした、先輩でした。「え、黒沢もそう思う?」と黒沢の観察眼に安達は驚きます。「なんか、湊くんを見る目が、キラキラしてたから」との黒沢の感想に「モテてきた奴は恋愛洞察力が違うわ」と安達は軽く僻みます。「なんだよそれ」と冗談めかして言うと、「いや……黒沢、人の心読めるんじゃない?」とまさかの冗談で返します。安達は黒沢も魔法が使えるかもと期待したのでしょうか。真偽は不明です。「まさか」と笑いながら答えつつ、黒沢が安達のもつ籠を手に取ります。【読めたら、もっと安達のしたいこと、やりたいこと叶えてあげるのに】という心の声が聞こえて、安達はハッとした表情になります。黒沢の言葉に安達の心が動いたのでしょう。そんな2人に構わず、「行くか」と人数分のペットボトルを入れた籠を柘植が持ち上げて見せ、安達が頷き、湊たちのもとに戻ることになります。

夢を諦めた人と、夢を諦めない人

 場面は湊たちがダンスの練習をしている公園に戻ります。湊と達央の踊っている様子を見て、安達と黒沢が感嘆の声を上げています。六角がその様子を応援しながら見ています。カメラか何かを両手で持って、動画でも撮っているのでしょうか?媒体越しに二人を見ています。一方、柘植はキラキラした目で湊を見ています。しかし、その空気を思い切り壊すように、六角の隣りにいた圭太が「やっぱ就職選んで良かったわ」と、唐突に発言します。その声に六角が驚きます。「これじゃ無理だろ」と言って圭太は立ち去ろうとします。「何言って……」と六角は言いますが、すぐ湊のダンスの応援に戻っていました。ダンスを見ながら声援を続ける六角に、圭太が六角のところに戻り「じゃあな!」と声をかけてまた立ち去ろうとします。その様子を見ていた湊がダンスを止め、圭太にいきなり掴みかかります。怒っているようです。六角は湊を止めようとします。遠くから見ていた安達、黒沢、柘植も、三者三様に湊たちの喧嘩を止めようと動きます。「わざわざ冷やかしに来たのかよ!」と圭太に掴みかかり湊が言います。止めようとする六角の声虚しく、「本当のこと言っただけだろ」と圭太が言い返します。湊もにらみ続けます。「無駄じゃね?そんな頑張ってもさ」との声に「圭太!」と六角が止めますが「ほら離せって!」と声を荒げて湊を圭太が吹っ飛ばします。吹っ飛んだ湊を安達が支えます。恐らくここで湊の心の声を安達が聞いていますが、この場ではわかりません。「ちょっと落ち着いて」と黒沢が圭太を止めようとするが「なんだよオッサン」とキレた様子の圭太に黒沢は「オッサン……」とフリーズしてしまいます。後から他の方の発言でなるほどと思ったのですが、ここで黒沢がフリーズしないと、黒沢が第4話よろしく仲裁に入ってしまう可能性が高く、この後の柘植の仲裁が入らなかったのではということのようです。つまりこのフリーズは物語の展開上必要だったと言うことになります。話を戻します。圭太はそのまま湊に「わかってるだろ自分らのレベル!今芽が出てないってそういうことだから!」と湊たちを絶望に叩きつける言葉を投げつけます。声を荒げる湊を六角が抑えようとします。すると「止めなさい!」と柘植が喧嘩をしている二人を叱咤します。「これでも飲んで、少しは頭を冷やせ」と柘植がペットボトルを圭太に差し出しますが、「は?」と意に介しません。悪態をつき、居心地の悪くなった圭太はその場を去っていきます。圭太を追ってすぐ達央が駆け出します。六角は困りつつも、場にいる3人の先輩に謝り、圭太たち二人を追いかけていきます。六角たちが去ると、「余計なこと、しなくていいですから」と湊が言います。湊にとって柘植が仲裁に入ることは、余計だったのでしょうか。あのまま湊は圭太と言い合って、お互いに納得の行く答えを出したかったのでしょうか。ただ、あの雰囲気からすると、圭太も湊も、お互いが納得できる答えは出せずに終わってしまった気がするので、柘植の仲裁が余計だとは思えないのですが……圭太と湊には、何か深い関係があるのでしょうか。この時点ではまだわかりません。そんな湊に仲裁を『余計なこと』と言われた柘植は、「そうか……わかった」と言ってその場を静かに去ってしまいます。安達は柘植を追いかけ、黒沢もついていきます。一人取り残された湊は、ダンスをこのまま頑張り続けて良いのか、悩んだ表情に見えましたが、もしかすると圭太のことについても何か考えていたのかもしれません。

安達の交際宣言

 場面はバス停に映ります。黒沢は立ってバスを待っていて、安達と柘植は二人並んで座っています。柘植の肩を叩き心の声で安達が呼びかけます。先程仲裁し湊を受け止めた際に、彼の心の声が聞こえてしまったと告白します。先程安達が湊を支えた際、【なんで笑うんだよ。俺だけ本気で、かっこわる】という心の声が聞こえていたことが判明します。湊の心の声が聞こえた話を何故柘植自身にするのかと疑問を呈する柘植に、柘植の湊への好意を安達が心の声で確認します。柘植は、ハッとします。【そんな相手に拒まれたら、一歩引いちゃうのもわかる】と安達は頷きます。以前の自分であれば自分もそうだったと心の声で言いながら、ゆっくり視線を黒沢に移します。安達の視線に気づき微笑む黒沢に対して、安達は笑顔を返します。仲睦まじいですね。柘植から手を話し、意を決した安達は「柘植、あのさ」と言い、立ち上がって黒沢に寄り添い「俺、く、黒沢と……付き合ってる!……んです!」と告白します。黒沢に内緒で心の声で柘植に伝えることもできたと思いますが、恋人である黒沢に極力隠し事をしないために、敢えて口で告白したのでしょう。軽く黒沢が驚きます。大きく驚きながら柘植が立ち上がります。「だから……だからっていうのも変だけど、とにかく!」と差し入れの袋を柘植に差し出し、「頑張れ!…………柘植!」と言いながら渡します。安達に励まされた柘植は差し出しの袋を両手に持ち、湊のもとへ駆け出していきます。一方、安達の横に並んで戸惑いを隠せない様子の黒沢。「今の……何?」と黒沢が聞くと、急に交際宣言をしてしまったことを安達が謝ります。「あんな不意打ちされたら……俺……」と目を瞬かせた後、視線を安達に向けて「心臓もたないんだけど……」と珍しく狼狽えた様子の黒沢に、『俺もだよ』と同意をしているように安達は頷きます。なんといいますか、冒頭で『心臓が持たない』と安達が言っていた一方で、黒沢も『心臓もたない』と言っているのが、似た者同士であり、お互いにお互いを影響し合う、良い関係性であることがわかり、ほっこりします。

自分を信じろ!

 場面は柘植が湊のいる公園に移ります。スマホをいじりながら休憩している湊を見て彼の名前を呼ぶ柘植に対して、湊が驚いて立ち上がります。柘植は階段を降り、息を吸い「俺も小説家を志し、大学時代に担当が付いたことで調子に乗り、就職もせず小説を書き続けてきたが、何作書いても賞が取れず、無駄に歳を取ることへの将来への不安、己の才能への不信感、社会に属していないことによる恐怖はよくわかる。……それに、本気のやつをバカにするやつは、どこにでもいる。……夢を持たぬものは、夢に破れたものは、そうなりがちだ!バカにしていたほうが、楽だし、傷つかないから。けど、……俺はお前を絶対に馬鹿にしない!笑わない!だから……自分を信じろ。……以上だ」という長台詞を言います。その様子に「急にめっちゃかっこいいじゃん」と柘植を湊は褒めます。柘植が驚き、湊は素直にお礼を言います。そこで柘植は「湊……」とつぶやき、「俺……」と何かを言いかけますが、そこで謝りながら六角が登場します。圭太と達央の二人が帰ったという六角の声に、柘植は差し入れを置きます。六角が黒沢たちの行方を聞くと、それには誰も答えず、柘植が「帰る」という声に湊が驚きます。柘植がダッシュで帰る様子に六角が呟いて場面が終わります。
 この場面を日曜にチェリまほ同時鑑賞会で見直していた際に思い至った推測が以下です。

 恐らく、安達が交際宣言をした理由は、柘植の背中を押して、アタックを頑張ってほしいということだったのでしょう。少なくとも柘植はそのように受け取って、湊を励ました後に告白しようとしたのではないかと。自分が告白することで、湊に自信を持ってほしかったのではないかと思っています。告白されるということは、それだけ魅力があるということを自覚できますからね。それに、そうでないと、この後の柘植の動悸が収まらない理由に説明がつかないので。

ゆっくりのんびりいこうよ

 場面は安達と黒沢が坂を登る様子に移ります。「やっぱ格好いいよな。夢や目標があるのって」という安達に「さっきの安達も格好良かったけどね」と黒沢。安達が驚くと、「さっき、柘植さんの背中を押してあげてただろ?」と優しく黒沢が答えます。まんざらでもなさそうに、安達が照れます。「夢とか目標とかって、ふいに見つかることもあるし」と、言いながら、安達の手を、ゆっくり握ります。「ゆっくりのんびりいこうよ。こうやって、一個一個、新しい初めてを楽しんで行くのも、良くない?」と、つないでいる手を示しつつ言う黒沢に応えるように、彼の手を握り返し、嬉しそうに安達が頷きます。黒沢が笑みます。【誰かと付き合うって、考えること多すぎだけど、でもこの感じ、悪くないかも】と安達は思い直します。【好き。かわいい。好き。すき!大好き!】と黒沢の心の声が溢れ出します。黒沢の心の声が可愛すぎるのは私の気の所為でしょうか。【うん。けど、やっぱりこそばゆい】と嬉しそうに笑み、黒沢と視線を交わすのでした。ゆっくりのんびりと、坂道を二人で歩くその様子は、まるで今後の二人の人生を表しているようです。

 場面は夜の公衆電話の前に移ります。柘植はベンチから立ち上がり、苦しみながら公衆電話をどんっと叩きます。明らかに不審者です。おまわりさんこの人です。しかし周りには人気がありません。人がいたら救急車かパトカーが呼ばれていたでしょう。それくらいに不審な動きをしています。しかし柘植本人は必死です。胸を抑えながら【ダメだ……胸の高まりが、収まらん……】と考えます。はっと決意して歩き出します。【湊がいなければ、おとなしく帰って寝る!】と湊がいた場所に向かって柘植が歩き出します。【でも、まだ湊が練習していたら、その時は!】と決意を新たにして、湊のいるところまでたどり着くと、何と夜が更けているにも関わらず、まだ練習していました。湊を発見した柘植は、意を決して湊に近づこうとしますが、そこに「湊」と呼びかける別の人の声が聞こえます。先程湊と喧嘩していたはずの圭太が足早に湊にかけより、カバンを落として突然キスをするのです。柘植はハッと口を両手で抑え目を見開きます。そこで第8話終了です。柘植先生どうなっちゃうんでしょうか。圭太は湊にとって一体何なのでしょうか。とても気になるところで第9話に続きます。これを書いている今日(2020年12月3日)に放映されます。

ここまでの簡単な感想と考察について

 いやあ、長かったです。この感想というかほぼ書き出しに近いのですが、これを感想なしで書いた時点で、何と8500字を超えていました。恐ろしい文字数ですね。こんなに文字を書いたの初めてです。それだけのボリュームがあったんですね……。恐るべしチェリまほ。
 さて、この第8話ですが、いろいろとTwitterで話題となったことや、私なりに考えたことを以下に述べていこうと思います。

安達の交際宣言について

 安達の交際宣言ですが、黒沢との交際を本人に許可なく言うことはアウティングに当たるのではないか、という話題が出ていました。最近『一橋大学アウティング事件』がトレンドに上がっていたので、そのためかと思います。私もアウティングについては当事者ではないので知らなかったのですが、Wikipediaによると以下だそうです。

アウティングとは:アウティング (英語: Outing、発音: [a'utiŋ]))はゲイやレズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダーなど(LGBT / LGBTQ+)に対して、本人の了解を得ずに、他の人に公にしていない性的指向や性同一性等の秘密を暴露する行動のこと。アウティングはプライバシー問題、選択の自由の侵害問題などを引き起こし、さらに同性愛への嫌悪や異性愛中心主義(ヘテロセクシズム、en)解消の取組みにまつわる共通善(en)議論の火付け役ともなる。(Wikipedia「アウティング」より)

 というデリケートな問題なようです。私もこの問題を聞いたとき、以下のように思いました。

 私の拙い脳みそだとこんな考えくらいしか浮かびませんでしたが、今考え直してみると、制作陣は異性愛(ヘテロロマンティック)との差を出さないために敢えて確認しなかったのではないかと思います。個人的には異性愛だった場合でも、他の家族や友達に打ち明ける際には、確認が欲しかったりしますが。

圭太について

 湊と喧嘩したりキスしたり何かと憎まれ役の圭太くんについて、朝の回らない頭で思いついた呟きがこちらです。

 圭太は就職したものの、豊川が休日の日に出勤するような会社に就職してしまったのではないかと思われます。確かドラマでは六角の年齢が明言されていなかったと思いますが、原作では新卒という設定なので、もし圭太が六角と同い年だとすると、新卒で休日出勤をするような会社はかなり人手不足の会社のように思います。要するに、就職失敗組で、だから精神的に追い詰められている中で、時間を作って湊たちのダンスを見に行ったのではないかと思います。元々の湊との関係性を想像すると、キスをするような間柄なので、少なくとも湊に好意をよせていることはわかります。疲れた体で久しぶりに湊に会ったら、知らない男と湊が仲良くなっていたことが面白くなく、湊に八つ当たりで酷いことを言ってしまったのかなと思いました。
※2020年12月5日追記:Twitterの中で「土曜日」と書いていますが、第8話で出てくるカレンダーが11月で10月31日土曜日はあり得ないので、時系列的には第8話は11月1日(日曜日)か3日(祝日)のどちらかのようです。お詫びして訂正いたします。

終わりに

 何とか第9話放映前にここまで書き上げることができました。第9話も楽しみですね。メインカップルは第9話は少なくともラブラブ仲良しのようなので安心していますが、サブカップルの進展がここでどうなるのか見ものですね!頑張れ、柘植!!
 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


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