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機械の小ネタ集

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機械設計その他工学・工業に関する色んなことを取り上げます。難しいこともなるたけ噛み砕いて書くので、工学に縁の無い方も是非覗いていってください。
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記事一覧

一日一つ機械の小ネタ 十二粒目「テオヤンセンのリンク」

機械の小ネタ十二粒目は「テオヤンセンのリンク」です。 サムネイルはテオ・ヤンセン氏の「アニマリス・ペルシピエーレ・プリムス」です。 機械の世界で「リンク」といえば機械機構のリンクのことでしょう。リンクとは棒と軸を組み合わせて目的の動きをさせる機構のことです。ロボコン界隈ではチェビシェフ歩行リンクなどが有名です。 チェビシェフ脚(PukiWikiより) ですが、機械の世界広しといえどテオヤンセンのリンクほど複雑で美しく、生物的で気持ち悪い(ほめてる)機構は、そうはないでし

一日一つ機械の小ネタ 十一粒目「鋳造」

機械の小ネタ十一粒目は「鋳造」についてです。 サムネイル画像は株式会社コヤマさんより拝借しました。 鋳造という技術ははるか昔から使われてきました。青銅器なんかも鋳造ですし、大仏様も鋳造です。細かい文様のあるものや、大きなものを作ろうとしたとき、人類は鋳造に頼ってきました。 5軸加工機などで細かい形状を仕上げることが出来るようになった今では、「鋳造しか方法が無い」ということは無くなりましたが、「材料の無駄が少ない」や「最終形状に近いものが出来る(=追加工が少なく済む)」など

一日一つ機械の小ネタ 十粒目「溶接」

機械の小ネタ十粒目は「溶接」についてです。 サムネイル画像は日本財団図書館から拝借しました。 溶接は金属材料を融かしてくっつける技術です。ですが融かす方法にもいくつか種類があり、融接・圧接・ろう付けの3つに大別されています。 ちなみによく見る溶接(お面を持ってバチバチやってるやつです)は融接(材料をドロッと融かしてくっつけるヤツ)に分類されます。 さて溶接の技術が開発されたのは1900年代ごろとされています。 詳しい歴史は引用リンク先を参照されたいのですが、日本での導入当

一日一つ機械の小ネタ 九粒目「リベット」

機械の小ネタ九粒目は「リベット」です。 サムネイル画像は大江戸線の浅草駅で撮影した駅舎の柱です。 さて「リベット」というのは八粒目で取り上げた「ボルト」と同じ、物を締結する機能を持った物体です。 リベットの外観(Wikipediaから) リベットの固定状態(福井鋲螺さんより拝借しました) 複数枚の板に開けた穴にリベットはリベットを通し、スリーブ側(頭部の逆側)をかしめる(つぶす)ことで板を締結します。 構造が単純なので、鉄鋼業が普及した時から広く締結手段として使われて

一日一つ機械の小ネタ 八粒目「ボルト」

機械の小ネタ八粒目は「ボルト」です。 サムネイル画像はAston Martin Red Bull RacingのYoutube動画から拝借しています。 めちゃめちゃカッコよくボルトの誕生から機体に組み込まれるまでを描いているので、ぜひ見てください。 小ネタ七粒目で「ネジ」について取り上げましたが、今回は「ボルト」です。ネジとボルトの違いはナットの有無なのですが、ここでのボルトは締結部品としてのネジの総称ということにしておきます。(細かい区分の話はめんどうですので) さて

一日一つ機械の小ネタ 七粒目「ネジ」

機械の小ネタ七粒目です。 今日は「ネジ」について。 サムネイル画像は東洋シャフト株式会社さんより拝借しています。 さて、あなたが家の中にあるネジを片っ端から抜いていけば、様々なものを分解することが出来るでしょう。例えばあなたが今この記事を見ている端末(スマホかもしれないし、PCかもしれない)の裏面をとめているネジを外せば素晴らしく緻密な電子回路とご対面できるでしょう。(画面は2度とつかなくなるかもしれませんが) それほどまでにネジは色々なところで使われている、偉大な発明です

一日一つ機械の小ネタ 六粒目「エンプラ」

機械の小ネタ六粒目です。 今日は「エンプラ」について。 サムネイル画像は佐津川モールド株式会社さんより拝借しています。 さて、エンプラについてですがそもそもエンプラは「エンジニアリングプラスチック」の略語です。直訳すると「工業用樹脂材料」ですかね。工業の分野でも使えるように改良したプラスチックのことを指します。 ただのプラスチックのどこら辺が工業に向かないかという話をする前に、コンビニのプラスチックの弁当ガラを思い出してください。あれって、強く握るとすぐベコベコにつぶれる

一日一つ機械の小ネタ 五粒目「アルミ合金」

機械の小ネタ五粒目です。 今日は「アルミ合金」について。 サムネイル画像はアルミニウムワールドより拝借しました。 アルミニウムは私たちの生活にかなり身近な金属ですよね。一円玉にも使われているので、よく見かける金属ランキングなら鉄に続いて2位にランクインするのではないでしょうか? ところで、一円玉以外の製品でアルミが使われている所、パッと言えますか?結構難しくないですか? 滅茶苦茶使われているのに一般にはちょっと影の薄い金属、アルミニウムとその合金が今日の主人公です。 (まぁ

一日一つ機械の小ネタ 四粒目「Fusion360 ジェネレーティブデザイン」

機械の小ネタ四粒目です。 今日は「Fusion360 ジェネレーティブデザイン」について。 サムネイル画像はFusion360サイトより拝借しています。 機械の小ネタ三粒目で設計最適化について取り上げました。読んでいない方のために設計最適化についてざっくり説明すると、「機械をより高機能にするために、部品を軽量化するやで」っていう話です。そして「そのためにいろんな最適化手法が存在するよ」という話でもありました。 ジェネレーティブデザイン(GD)は最適化手法の一つといえます。

一日一つ機械の小ネタ 三粒目「設計最適化」

機械の小ネタ三粒目です。 今日は「設計最適化」について。サムネイル画像は株式会社イナックさんより拝借してます。 「設計最適化」とは読んで字のごとく設計を最適化することです。 でもそもそも何に対して最適にするのでしょうか??🤔 おおよその場合は重量を軽くすることで「最適化した」と呼ばれることとなります。機械設計では「必要な強度や機能を維持しつつ出来うる限り軽量化する」というのが至上命題とされています。基本的に物体は軽ければ軽いほど性能が良くなるからです。 飛行機なら軽いほど

一日一つ機械の小ネタ 二粒目「CAD」

機械の小ネタ二粒目です。 今日は「CAD」について。ヘッダーはSolidWorksから拝借してます。 CADは”computer-aided design”のことで、直訳すると「コンピュータによる支援を受ける設計」です。要はパソコンで図面を引くことです。現在では機械、電気電子、建築、土木など図面を必要とするすべての分野で利用されています。 CADは2Dと3Dに大別されますが、近年では3DCADが主流になっている所も多くなりつつあります。 日本で2DCADといえば、Auto

一日一つ機械の小ネタ 一粒目「3Dスキャナ」

機械の小ネタ一粒目です。 近年3Dなんちゃらってのがトレンドですよね。3DCADとか3Dプリンタとか。今日の小ネタは非接触3D計測についてです。 そもそも3D計測とはなにか? 文字通り3次元的に物体の形状を読み取ることです。SFアニメでよくある物体の「スキャン」みたいな技術です。 3D計測は接触式と非接触式で大別されています。接触式はすんごく大雑把にいうとメジャーで測ってデータにしているような感じです。まぁ読んで字のごとくですよね。 では非接触式はどうか? 非接触式はレ