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恋と積み木。2

1/3のつづき

彼女とは毎日ハグし合い
たまに一緒のベッドに潜るようになった。

2人は目を閉じ 寝ずに一緒に過ごした。

友達なら、するんだろう
することだから、とおもいながらも
背後から彼女を抱くわたしの手が
15センチ上にズレるだけで この関係は 終わるのだ。

柔らかくて温かいものを大切に抱きながら
鼻に当たるシャンプーの香りに
振り向かせたい狂おしさに 悶えた。


初めての性は 恐怖と混乱で幕を開けた。


なのに布団に潜ろうと誘うことを
やめられるわけがない。

いつも不自然にならないように細心の注意を払い
息が漏れないよう 少しずつ吐いた。

結局、指一本 触れられなかった。


キスしたい。
でもこの子を失ったら
もう生きていけないほど すでに深い所にいる。

汚したくない。自分の物にしたい。側にいたい。
想いを遂げたい。大切にしたい。守りたい。
なんなのかわからない、だけど抱きしめていたい。

くちびるに触れたら、触れられたら。


◆◆


13歳のある日 返ってきた交換ノートには
彼女のクラスの男子の名前があった。

お前にどこまで理解できんだよ という
説明のできない暗くて激しい 憤りと焦り。

心から喜ぶ気持ちで 張り裂けそうなのに、
なぜわたしではダメなのか 理由を知りたい。

わたしは その男の子との接点を 徐々に増やした。
だから 彼女が彼を見つめる目を 何度もみた。
何度も打ちのめされながら
何度もその顔の美しさに ひれ伏した。


◆◆


中3になっていた。
勉強は時間に比例して結果が手に入るから
分かりやすい。
時間をかけても
分からない、手に入らないものばかりの中
もう同級生といることが 苦痛だった。

1時間目の授業を抜け
4時間目まで図書室に隠れた。
そのあと保健室で 連日の睡眠不足を補う。
登校中に行き先を 図書館に変更した。


どうしてみんな普通に生きてられるのかな。
生きてることに疑問がない状態が
羨ましくて妬んだ。
誰かに理解されることは とっくに放棄だ。

ただどうやって生きたらいいかだけ知りたい。
どうしたら生き続けていけるのか

カムパネルラが彼女で残されたお父さんがわたし。
全て失っても
わたしには現実を見つめることしか 残されない。
どう生きたらいいかなんて
世間の誰からも 見つめてもらうことはない。

人は 暗い河岸での事件は騒ぎ立てるが
宵が開けると 散り散りになるものなのだ。

昼も夜も地続きのわたしは それを眺め
そういうものなのだなと 理解した。


この頃、父が人身事故を起こした。

助手席に乗っていたわたしは
ガラスの亀裂に紅が刺したの
スローモーションのように眺めた。
伏せるには いい口実だった。
相手100%の事故だと、父はわたしに
理解を求め謝罪したのを 耳だけで聞いた。

父がわたしに謝る必要なんて、本当にはない。
親に期待する素地がないのは
不必要に痛みを得ないという点で 有益だった。


なにかへの期待や希望を
この狂った積み木の上に どうやって積めるのか
本当に知らなかった。
もし知っていたら、きっともう、死んでた。

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