植野DatPiff日記27ピッチフォークミクステベスト50

Pitchforkで、「The 50 Best Rap Mixtapes of the Millennium」という特集がありました。まさに今の自分にピッタリな企画で早速チェックして、感想みたいなものを書いてみました。それぞれの紹介欄の1番下に、DatPiffかlivemixtapesのフリーダウンロードできるリンクがあるので、1つも聴いたことがない人でも、自分のようなiTunesやSpotifyに入ってない人でも楽しめるようになっています(いくつか例外がありますが)。

気に入ったアーティストや作品は、名前のところが更に詳しいレビューに行くリンクになっているので便利です。英語だし難しい言い回しが多いですが、、、


まず50位、Main Attrakionzの「808s & Dark Grapes II」(2011年)、いきなり知らないです、、、

当時は新世代ベイアエリア・ラッパー・デュオの登場、て感じだったっぽいですね。サウンドは爽やかで浮遊感があって白昼夢っぽくて青春っぽくて、ラップも穏やかで柔らかい感じ。少しトラップ要素もある。これはかなりよかったです。いきなり、「今回のこの特集で知った中で1番良かった!」予感です。

15年に「Ⅲ」が出てます。聴いてみるとなるほど続編だなあ、て感じですがちょっと前作を踏襲しすぎじゃないか?とか雑念がよぎりますが、じわじわと良くて後半に入るとすっかり感動してしまいました。

アートラップとかクラウドラップ、ローファイラップのはしりのように呼ばれているようですが、アートラップっていうのは初めて聞いたサブジャンルです。色々あるのは、それだけ当時新鮮だったってことでしょうか。バカ売れする前のA$AP ROCKYが参加していて、彼のアルバムのほうにも登場してました。CLAMS CASINOも参加してて、少し合点がいきました。

トラックのメインは、オタクデュオのFriendzoneで、彼らもこの作品で有名になって、その後単独名義のアルバムも出しています。彼らは、Lil Bの「B.O.R.(Birth Of Rap)」のMVを見て衝撃を受けて、「自由でいいんだ」とトラックを作り始めたらしいです。いい話だー。

Friendzoneは12年に、これまでのワークから選りすぐって「Collection Ⅰ」を出します。もちろん全編インストです。Clams Casinoの「Instrumentals Mixtape」シリーズのように、ヒップホップ曲のカラオケ集というより、それ自体で充分音楽のアルバムとして成立する作品になっています。自分のようなトリップホップ好きとかには、完全にうってつけな内容です。

13年に出た「DX」になるともはやヒップホップなのかどうか分かりませんが、ヴェイパーでリゾート感があって、謎のインスト集みたいで、これはこれでかなり好きでした。


49位、French Montana&Max B 「Coke Wave」(2009年)、両者とも他の人のゲストで名前は知ってるだけぐらいでした。NYラッパーの新旧タッグ。ジャケがこの頃のGucci Maneとかでもよくあったようなパターンのデザインですね。

意外とキャッチーな感じで、ロック系のネタも自分が分かる範囲でピンク・フロイド、デュラン・デュラン、クラッシュ(の曲を使った曲)、スティング、のヒット曲系で、「おやじ楽しい!」って感じでした。

Max Bさんは、このアルバムの後にに刑務所に入ってしまいます。75年というかなり重い判決の刑で、その後なんとか減刑にはなったようですが現在まだ服役中のようです。


48位はWale「The Mixtape About Nothing」(2008年)、やっと知ってるのがきました。DCラッパー。情報が多くて、軽やかで賑やかで器用な感じです。当時は驚きの新世代スタイルだったようですが、今聴くと、何だかレトロに感じられるような気もします。 おもしろい曲もいくつかあります。パーカッションに特徴があるこれらのトラック達のほとんどは、DCのチーム、Best Kept Secretです。

リリックがちゃんと聞き取れれば、もっと印象も違うとも思うんですが、、、時々こうして、「リリックも聞き取れない自分は、こうして聴いていても、はたしてヒップホップを理解しているんだろうか?」とか考えます。もちろん、歌詞が分かったことで逆に好きじゃなくなったロックやポップスもあったりしますが、、、やはりサウンドと共に言ってることを分かったほうがいいだろうなあー、、、

初めてヒップホップを聴いた90年代の頃に、もっと集中してリリックを聴く癖をつけてれば今では聴くのはおろか、英語でラップできたかもしれない、と夢想までしてしまいます。まあ、今更どうしようもないですが、、、

11年のスタジオアルバム「Ambition」とか、16年のミクステ「Summer On Sunset」とか聴いてみましたが、結局自分にはコレといった魅力を感じないままでした。


47位、King Louie 「Drilluminati」(2012)、ヤバい、知りませんでした。Chief Keef大好きで、シカゴドリルのことも少しは知ってたつもりだったのに、、、しかも「Chiraq」は、この人が生み出した言葉だったのか、、、

ジャケの印象から、ダークでゴツゴツな感じと思いきや、意外とカラフルというかキャッチーめなバラエティ豊かな楽曲の並びでした。しかも今聴いてもどれもそんなに古びてないというか。この時点で色んな可能性を提示しつつも、センスが光る印象です。おまけに時々、歌心まで見せてくれます。

記事だと、この作品の時ですでにベテラン扱いなんですけど、本人この時24歳。24でベテラン、長老扱いなんて、なんとおそろしい世界だ、、、でもこの時、Chief Keefは17歳か、、、

この 「Drilluminati」は、「3」まで続きます。「2」(2013)は、クオリティも高くバラエティにも富むゴリ押しドリル見本市みたいな感じで、ある意味完璧な作品なんですが、今ではほとんど日本のヒップホップでも聴けるサウンドなんで、お役目終了って感じもします、、、と思っていたら、14年の「Tony」も同じ造りなんですが、より暗く、よりバラエティなドリル、よりクオリティが高く緊張感もある、すべてが完全なドリルアルバムで、これはさすがに圧倒的です。時々ですが、メロディアスな要素もあります。絶対的ドリル名盤!


46位、Curren$y「The Drive In Theatre」(2014年)、いちおう名前は知ってるぐらいで、この作品は聴いてなかったです。スモーキーでジャジーでクラシックでアダルトです。すごく落ち着いた雰囲気で、ラップも大人な余裕がありつつキレもある、Guruの「Jazzmatazz」とか連想しますね。美学に基づいたサウンドの作りと音質などの完成度が非常に高くて、フリーのミクステなのに全然荒い部分がありません。これで結構多作でもあるという才人ぶりです。

特に好きとかではなかったんですが、4年遡って「Pilot Talk」(2010年)も聴いてみました。ジャケはいいですね。サウンドはあまり変わらないすね、でもこっちのほうが少し不思議なムードがあっていいかな、、、次に去年出てたHarry Fraudとのコラボ「The Outrunners」を聴いてみましたが、、、あまり変わらないですね。


45位、Wiz Khalifa「Kush and Orange Juice」(2010年)、器用なイメージでしたが、この作品もやはりそうです。ピッツバーグラッパー。全体的にかなりキャッチーでカラフルな内容で、そこに器用なラップが縦横無尽に駆け回ります。歌心もあります。本人はそういうつもりじゃないだろうけど、頻繁に入ってくる笑い声は、こちらはちょっとシラけさせられます。ちょっとウザいというか、、、ストーナーラップって呼ばれてるみたいなんで、ハイなんだぜー、ってことなんだろうけど。

リリックの内容はアルバム全編を通して主に3つ、マリファナかガール、それにガールとマリファナを吸うこと、なようです。たぶん他のアルバムも、、、

この作品で弾みをつけて、次のメジャーデビュー第一弾作「Rolling Papers」でドッカーンと当たったようです。このアルバムは、自分のCD棚にいつのまにかあったぐらいの有名盤です。まず、ジャケがいいです。

そして内容は、ここまでキャッチーとは、、、でもいいなあー、って聴いててすっかり気に入っちゃいました。曲の良さと雰囲気、そして歌う感じが一体となってすごくいいです。こりゃ売れるわー、名盤ですねー!


44位、Jadakiss、DJ Green Lantern「The Champ Is Here」(2005年)、今回のこの特集の中でおそらく1番古い作品じゃないでしょうか。とはいいつつ、去年もアルバムをリリースしているので、息の長い人です。この人も、何枚か聴いたけど特に気に入ったわけではなかった、て感じでした。

この作品が出たあたりは、メジャーから出した「Kiss」シリーズがどちらもバカあたりして、前身のThe Loxの大ヒット以来2度目の最盛期の頃みたいです。タイトルもチャンプだし、自信も漲っていたと思います。この「Champ」シリーズは「3」まで続きます。

聴いてみてもやはり、特にいいとかなかったです、、、でもいいきっかけと思って、Kissシリーズの「Kiss Tha Game Goodbye」(2001年)、「Kiss Of Death」(2004年)、「The Last Kiss」を聴いてみたら、、、サウンドもラップもタイトでかなりカッコよかったです、、、こういうのをいいって思って聴くと、しばらくこういうのだけ聴いてたくなります。

しかも、98年のThe Lox「Money, Power & Respect」のほうも聴いてみたらかなりおもしろく聴けました。特にシングルになった2曲、「If You Think I’m Jiggy」とアルバムタイトル曲とか、すごくいいです。最後の「We’ll Always Love Big Poppa」はとてもいい曲で、何ともいえない感動があります。今回、1番の拾い物な気がします。2000年の「We Are The Streets」も同様、かなり良かったです。

Jadakissは去年もアルバムを出しています。長い付き合いだったマネージャーみたいな人の追悼です。タイトルの「Ignatius」はその人の名前みたいですね。これ追悼のせいか新しい作品のせいか、他とは結構毛色が違いました。ちょっとクサい感じというか、、、


43位、The Jacka「The Street Album」(2008年)、15年に37歳で殺害され亡くなった「ベイエリアのラップヒーロー」。少し前にMozzyを集中的に聴いてた時、何度か登場しました。でも、単独の作品を聴いたことはなかったです。

なかなかの多作家であり、アルバムはコラボのほうがソロより多いんですが、50枚以上は残しています。Bernerって人とは7年間に渡って4枚も一緒に作っています。仲良しだったんですかね。内容のほうは、そんなに自分がピンとくる感じではなかったですが、作品ごとに少しずつ変化があって、どこかリラックスしてるような感じもあっていい感じでした。こういうのばっかりずっと聴いててもいいなあ、とかは思いました。
ここで紹介されている「The Street Album」が好みだったんで、他のも数枚聴いてみましたが、どれも同じぐらいよかったです。基本は、胸にムンとくるベイエリア哀愁系です。アルバム的には特に、14年の「What Happened To The World」が色んな曲調があって、明るいポップなおもしろい曲があったりもして、すごく良かったです。

上手く言えないんですが、こういう存在でこういう内容を聴いた時に、なんというかUSのヒップホップの奥深さを垣間見れたような気がします。最後の作品になってしまった去年出た「Murder Weapon」(殺害されたことを思うとタイトルとジャケのアートワークが微妙ですが)を聴いていると、その思いは一層強くなります。このアルバムもとても良かったです。これも、「What Happened〜」も後半がいいです。そういえば、Mozzyのアルバムも後半がいいやつが多かったな、、、


42位、Cam'ron「The Purple Mixtape」(2006年)、リンク先のDatPiffにはなく、どこにもありません。Wikiのディスコグラフィーにも載ってません。非公式ミックステープということですが、なかなか情報が少ないです。自分が検索が下手なせいかもですが、、、発売年も、この記事には06年ですが、04年と書いてあるページがあったり、07年もあります。曲数も25曲入りや31曲もあります。一体どれが本当なんだろう、、、?いずれにせよ、「Purple Haze」「Killa Season」あたりなので最盛期には違いないですが、、、とか言って、その全盛期含めて実は聴いたことがなかったんですが。

何とか拾って聴けたこの作品は、Freestyleを多めに挟み、音質も意図的なのか、ブートっぽい感じです。ただ喋ってるとこやセッションぽい感じ、ア・カペラップも多いので、ぼんやり聴いてると活気のあるラジオを聴いているような気にもなります。

04年の「Purple Haze」も聴いてみました。特にいいとか好きとかはなかったです。


41位、Don Trip & Starlito「Step Brothers」(2011年)、名前知ってるぐらいだったサウスの2人。このシリーズは2人のキャリアにとっても当たりだったみたいで、「3」まで続きます(3までってのは多いですね)。「Karate In The Garage」っていう番外編EPみたいなものまであります。

いい意味で仰々しいトラップ気味なシンセトラックに、暑苦しいラップが2人がかりでねちっこくへばりつく感じでカッコいいです。

ヒットしたシリーズにしては、2年というやや長めのスパンで「2」が出ます。トラップなサウンドは強力になり、ラップはお互いの成長を楽しんでるような気配があります。そして今度は4年たって、「3」が出ます。内容はかなり落ち着いた、というか暗めの感じで、仲が悪いというより(むしろ2人の仲はすごくいい)、より大人になったというか真摯になっているのが伺えます。

お互い不遇のタイミングに出会った同い年ラッパーが意気投合をして一緒に作品を作り、それが成功して、タイミング焦らずじっくりと回を重ねるごとに内容もセールスも成功したという、じんわりと劇的で、2人の友情も考えるとかなりヒップホップいい話、みたいな感じです。いつか地味なヒップホップ映画化して欲しいですね。

ちなみにほとんどの場合、曲中2人は交互にラップしますが、メールでやり取りをするのではなく、実際に一緒にスタジオに入って交互に録りながら考えながら進めるという制作方法をとっているようです。

実際「3」は、トラック群も素晴らしくて、かなりいいアルバムになっています。ちなみに同じ年にリリースされていたEP「Karate In The Garage」も良かったです(こっちはDatPiffにある)。きっと、「4」も出ることでしょう。今度はさらに間隔が開くのかな?

それぞれのソロも少し聴いてみました。Starlitoは15年の「Introversion」と18年の「At War With Myself Too」、ソロだと結構暗くて重苦しいディプレッションなトラップで力作なのが伝わってきますが、少し地味な感じでもあります。

Don Tripは15年の「Godspeed」を聴いてみました。全体ハードめなラップで曲調に統一感みたいなのはあまりなく、でも圧が強いというかヴォリューミーな感じです。こちらも力作感がビンビンにあります。

どちらも、いいけどなんか地味な印象が、、、


40位、Joey Bada$$「1999」(2012年)、この人に一瞬だけハマった時期があります。この感じが懐かしかったのかな、、、でもフレッシュな魅力も感じたんですよね。それにしてもこの90年代感、タイトル通りのコンセプトなんだろうけど、この時で17歳ってことは決してリアルタイムではないってことで、でもこの取り入れと落ち着きは驚愕です。自分のようなリアルタイム世代おやじは、この神童に見事に引っかかってしまいました。MF DoomやLord Finesse、J Dillaなどの曲を使っています。

これと、翌年に出たミクステ「Summer Night」は、ジャケ含めて気になって聴いた記憶があります。こっちも前作と同じ90年代路線何ですが身内の不幸とかもあったせいか、ムードは暗めです。自分はそこが気に入っていて、これもまた素晴らしい作品だと思います。

その後は当然のようにブレイクしていくんですが、オフィシャルデビューの15年「B4.DA.$$」も17年「All-Amerikkkan Bada$$」もほぼ同じ路線で入魂作ですが(17年のにはさすがにちょっとだけトラップがある)、自分は今でも何だかミクステ時代の作品のほうが好きですね。


39位、Juelz Santana「Back Like Cooked Crack 2: More Crack」(2005年)、この人をいいと思ったことは特に、、、ないです。18年に空港に銃器やドラッグを持ち込んだ挙句、逃走という罪で現在服役中(今年中に出てくるのかな)です。

同じ年に出たスタジオアルバムのほうを、と思って「What the Game's Been Missing」聴いてみました。印象は変わらず。


38位、Boosie Badazz「Superbad: The Return of Mr. Wipe-Me-Down」(2009年)、実は何枚か聴いて、そんなに好きってわけでもなく、、、ぐらいだったのですが、アルバム、ミクステ合わせると50枚以上はリリースがあるサザンレジェンドということで、今回もっとしっかり聴いてみました。

見た目も含めた印象からすると、意外だった甲高い軽いラップ声がクセもので、正直ここで好悪が分かれると思います、当たり前ですが。

2010年から14年まで色々入り組んだ犯罪事情で服役していて、おおまかに言えば服役前はLil Boosie、復帰してからがBoosie Badazzです。

改名前と後の作品をそれぞれ何枚かずつ聴いてみました。驚いたのは、03年のWebbieとのコラボ「Getto Stories」、既にトラップがかって、トラックもよくてバラエティもあって音質もいいです。ラップの声はまだそこまで甲高くてクセがあるわけじゃなく、やはりこのへんから聴いていくと全然印象が違うなあ、と。これは本当にいいアルバムです!

調子良かったのか好評だったか、すぐにこのタッグで次作が05年に出ます。「Gangsta Musik」で、これも当然のようにすごくいいです。ますますいいぐらいです。このアルバムの中から、映画「Hustle & Flow」に使われていたらしく、これ、映画は最高なんですが、自分は公開当時に観たから約15年前かー、、、今、サントラの面子を見ると興味深いかな、と思って調べたけど、今でも半分くらい分かりませんでした!あの時にサントラのほうにも興味を持って聴いてたら、違う人生だったかもしれない、、、と思いました。ひょっとして実際にそうなった人もいるかもしれませんが、、、

自分のちょい上だと、映画なら「ウッドストック」で人生変わった人が多い気がします。自分は「ブルース・ブラザース」です。その後にザ・バンドの「ラスト・ワルツ」、そして「ステップ・アクロス・ザ・ボーダー」かな。

06年の「Bad Azz」、これもカッコいい!なぜかトラップ要素が薄れて、ソリッドなトラックに甲高くなってきたあの独特のラップがハードに絡んできます。これもかなりいいアルバムです。

同じ年に出たミクステ「Streetz Iz Mine」までもめちゃいいです!声はすっかり高いままですが、もう全然嫌じゃないです。こうじゃなきゃ!と思うようになってしまいました。これは、DatPiffにあります。なぜか08年に再掲されてて、06年版とは微妙に曲も違います。

改名後の15年「Touch Down 2 Cause Hell」、これはなかなかすごい作品です。ゲストもプロデューサー陣も豪華で、かなり色んなタイプの曲がたっぷり入って、曲順も熟考されている気合いパンパンの復帰作です。ちょっと色々やりすぎじゃね?気合い入りすぎじゃね?、と思ってしまいますが、とにかく力作です。こういうのを作れることがスゴいです。

復帰後もずっとコンスタントに作品を出し続けていて、去年も「In House」という、コロナ状況を意識したタイトルとジャケのアルバムを出してます。どうも、18年の「Boonk Gang」といい、意外にもユーモアというか茶目っ気を感じる2Chainzっぽいアートワークで、実際のリリックの内容までは分かりませんが、、、

「Boonk Gang」は非常に落ち着いたシンプルな造りのトラップで、全体的にややありがちっぽい内容です。メロウ通り越してクサい曲やキャッチーな曲が多いです。クサいけど、歌ってもいる「Memories」とかグッときちゃいますけど。曲調もやたらバラエティがありつつ20曲で、、、おトクかもしれない、、、DatPiffで現在もフリーDLできます。

「In House」、曲順がアルファベット順なんですよね。だから何?と言われたら何も言えないですが、こういう遊び心がある人だったのか、、、内容はシンプルで少し風変わりなトラックにクセのあるラップが絡む感じで、雰囲気は結構明るめです。

ザラッと年代順に聴いて、最初の「Superbad〜」に戻ると、やっぱりこれ、1番声が甲高軽くて、サウンドも粗軽くて不思議な作品でした。

この09年はすごいエネルギーで、これも合わせて8枚もミクステ、アルバム出してます。ちなみに次の年、10年の「Incarcarated」、めちゃ力作です。内容も量も。

本当に、サザンレジェンドでした。Boosieだけで3日かかってしまった、、、でも今回こうやって調べて色々聴けたのは1番の出来事でした(終わってないけど)!


37位、DJ Green Lantern「Invasion Part 2: Conspiracy Theory 」(2003年)、これが今回の特集の中で1番古いんじゃないですかね、、、だからというわけでもないけど、これは古きミックステープの形式をとっています。DJが曲をかけるやつ。懐かしくて楽しくて、仕掛けがいっぱいあります。内容は、Eminem(当時は最盛期ですね)を中心とした周辺の際どい感じをうまくまとめているようです。

エミネム、ナツいー、とか思いましたがいまだに現役、しかもバリバリ。去年も「Music to Be Murdered By」を、しかも「Side B」なる36曲の続編的なもの(アルバムの余り?)までリリースしています。エミネム久しぶりに聴いてみるかー、て聴いてみたらやっぱりラップすさまじかったです、、、元気ですね。


36位、Das Racist「Sit Down, Man」(2010年)、同じ年に出したこれと「Shut Up, Dude」がとてもおもしろく感じて、、、明るくて楽しくてユーモアがあって知識もあって頭が良くて、音楽のクオリティも高くてバラエティに富んでて、すごいキャッチーです。

「Shut Up, Dude」の目玉曲「Combination Pizza Hut and Taco Bell」は、ピコ太郎のあのアッポーパイナッポーの元ネタじゃないですかね、まんまというか、、、

この2作のミクステの次の年に満を持して出たスタジオアルバム「Relax」(CD持ってました!)では、更に遊び心でゲストも含めて展開してましたが、自分は聴いててなんだかシラけてしまったというか、ちょっとうんざりしちゃいました。

そのせいか(そんなわけない)、彼らはこのアルバムで解散してしまいます。メンバーのHeemsは、その後2つのミクステとスタジオアルバム「Eat Pray Thug」(2005年)を発表しています。変な感じのラップ、おもしろいセンスのトラックは多少あるものの、Das Racistの時とは打って変わって全体的にはシリアスな感じです。聴き終わるとなぜか、どことなくさびしい気持ちが漂ってしまいます。


35位、Isaiah Rashad「Cilvia Demo」(2014年)、今回の特集の中で1番新しいんじゃないかな、ていうかコレ、ミックステープじゃないんじゃないか、、、

聴いた瞬間から、何か新しくて自由な感じがあります(7年前ですが)。いやー、実にいいなあー、、、これはいいです!、、、Kendrick LamarやSyd、SiRやSZAなどのゲスト達も世代近い感があって微笑ましいです。

とにかく新しい才能なのは間違いなさそうなので(7年前ですが)、16年の「The Sun’s Tirade」も聴いてみました。期待以上な部分とそうじゃないところ半々な感じで、どっちにしろおもしろいかな、と。新しいアルバムがずっと出る、出ると言われてるみたいなんですが、アルバムタイトルも決まってて、数曲シングルも発表されているみたいですが、、、ちょっと前のPlayboi Cartiみたいな感じでしょうか。

DatPiffにある謎の音源集「Welcome to the Game」は、この「cilvia demo」の前の年にアップされたようですが、音質や編集など、色々粗いながらも非常におもしろい寄せ集めでした。


34位、 Freddie Gibbs「Midwestgangstaboxframecadillacmuzik」(2009年)、自分はMadlibとの異色最強タッグ(通称MadGibbs)の「Piñata」(2014年)と「Bandana」(2019年)でFreddie Gibbsを知りました(CD買った)。

このPrince的な長いタイトルのミクステは、「The Miseducation of Freddie Gibbs」というなぜかローリン・ヒルをパロったミクステとほぼ同じ年に出ています。どちらもクラシックスタイルで、ミクステとは思えないしっかりとした出来です。

でも一方、そういうものなら過去にたくさんあるな、とも思います。

これがキャリアのスタートだと勝手に思い込んでたら、03年からミクステを10本も発表してたんですね!そう考えると、現在の遅ブレイクが感慨深いです。

「Cold Day In Hell」(2011年)、「Baby Face Killa」(2012年)、「Shadow Of A Doubt」(2015年)、「You Only Live 2wice」(2017年)と聴いてみたんですが、驚くことに全部すごい良かったです。音的に言うとコレといった決まったスタイルはなく、クラシックなものからトラップ、そして何と形容していいか分からないちょっと変なトラック、何でもござれな感じです。だからといって雑多な感じもありません。どのアルバムも非常に聴き応えがあります。

Gibbsはスキルフルですが、キャラほどラップに特徴がない印象で、でも作品ごとに色んなタイプの曲を演りながら着実に深めていっているように思えます。だから全然違うタイプの曲(「Cold Ass Nigga」はビビりましたが)やゲストにあまり左右されない、どころかどんな曲、人も生かせるって気がします。

18年の「Freddie」には正直驚きました。ほとんどトラップです。しかもカッコいい。トラックの半分をKenny Beatsが担当しているのは大きいでしょう!かなりタイトでソリッドでショートないいアルバムです。

その後は、The Alchemistと組んで2枚出して現在に至ります。Alchemistの作る音は、かなりオールドでクラシックなタイプなんですが、なめらかギターを多用してるのが個人的に最高に好きなのと、古いはずなのにノスタルジーを超えた新鮮さを感じます。極上なだけかもしれませんが。

AlchemistもKenny Beatsも、そしてもちろんMadlibともコラボは続いて欲しいです。


33位、Meek Mill「Dreamchasers」(2011年)、これは「4」まで続いている大ヒットミクステシリーズです。Rick Rossの一番弟子として、成功が約束された戦略の第1弾として放たれたようです。自分は、印象深いジャケなので何も知らないままDLして聴いてました。内容は、特に強い印象もなかったんですが、、、これを機会に、と1から4まで通して聴いてみました。

ラップのレベルもトラックのレベルも当然高くて、ヒット曲風、ぐっとくるいい曲風、ちょっと不思議な感じの曲、など色んな曲がかなりの密度で展開されます。アルバム全体の構成も、よく考えられていると思います、、、ていうか実際めちゃ売れてるんですよねこの人、このシリーズ(フリーだから、売れてるって表現も変だけど)も。

「1」の1年後に出た「2」は、Rick Rossはもちろん、ゲストがかなりゴージャスになります。成功の証拠みたいなものですかね。

自分は、ゲストの名前見て「おおっ」とおもったりするけど、この「featuring」、特に特に有名人、のやり方は別に好きじゃありません。結構聴き流してしまいます。もちろん宣伝的には充分意味があるし、音楽的にも本人の能力を超える時に非常に便利な方法だと思います。

ゲストはお互いさまなところがあるようで、その人の曲に参加すると大抵逆もあります。そうやって相互で出演していくとどんどん全体的に同じような印象になっていきます。呼ばれたほうも呼ぶほうも、ある種の役割を意識するようになり、結果似たようなものが量産されていくことになります。

本人達にとっては、売れるし知り合いにもなれる、コネクションができるってことで嬉しいことしかないでしょうけど、たとえそれが音楽的な理由でも、長い目で見ればおもしろいことにならないとは思います。こういうのが欲しいからこの人、じゃああまりエラー的なものが発生しません。エラーが発生しなくなったジャンルは死んでいきます。まあ、例え死のうがそれは後の話なので、本人の知ったことじゃないかもしれませんが。ミクステやアルバムなどは、作品としてあるだけでなく戦略でもあるのが現代社会での音楽の在り方、、、(以下省略)

と書きましたが、これもまたヒップホップ特有の盛り上がり方でもあるので、これはこれで重要なのかもしれません。

多数のゲストが混ざったアルバムでも、ザラッと聴いていても必ず存在感が出てくるDrakeはやっぱりすごいな、と思います。全盛期のエリック・クラプトンみたいな感じですかね。弾けば名盤、みたいな。

メジャーデビューなスタジオアルバムも挟み、律儀に1年後に「3」が出ます。相変わらずのクオリティで感心します。ゲストも相変わらずですが、やや控えめになった印象(それでも充分豪華ですが)。

「4」は3年開いて、ジャケのイメージも変わって16年に登場しています。タイトルも略して「DC4」です。全体的に結構テンション高めです。モロにブルースの曲があって、おおっ!?って思いました。曲調は幅があるんですが、ラップはそこまで幅がない印象を受けました。どちらかというとテンションで押し切る、みたいな。

スタジオアルバムのほうも聴いてみます。12年に出たファースト「Dreams and Nightmares」(CD持ってました!)、ゲストの人選はミクステの流れですが、Mary J. Bligeがやや意外です。内容的には、そんなにミクステと変化はないです。これは、もともとミクステがクオリティ高いし全力投球感あったからだと思います。

この人は、スタジオアルバムもミクステも、どの作品にもちょっと変わってるけどカッコいい曲があるのがおもしろいところだと思いました。

今のところ最新のメジャー盤、18年の「Championship」は、タイトルも内容も、そしてfeaturingも今まで以上に気合いが感じられる作品です。ゲストは、「現在のトラップ最高面子全部揃えました」感があります。個人的には、全体的には特に魅力もおもしろさも感じませんでした。いくつか、いい曲風があります。


32位、Drake「So Far Gone」(2009年)、意外と早くきましたDrake。ここからはもう自分も知ってる世界な気がします。このアルバムの1番驚いたのは、フリーで聴いてて気に入ってて、レコ屋でCD見かけたので買ったら、CDのほうが曲が少なかったという!、、、正確に言うと、ミクステが人気ありすぎてレーベルがシングル的な数曲と未発表数曲のEPとしてフィジカルも作った、と。まだ09年ですからね、CDも作れば売れたわけです。

いちおうDrake、全部聴いてるけど、どのアルバムも聴くと「やっぱこれが最高傑作かなあ」と思ってしまうクオリティですかね、すごいのは。しかもずーーーっとコンスタンに発表して、どれもバカ売れという。

自分は正直、「Views」あたりから、いいと思ってもあまり聴かなくなる飽和状態なんですが、、、

ミクステはこれが最初じゃなくて、これの前に2枚あるんで、今回はそれを聴いてみます。まずは06年「Room For Improvement」、好きな曲かけてその上にラップしてるって感じで、まさに初期衝動って感じですが、こうして聴くのもDrakeと思って聴くからかなー。内容は普通中の普通みたいな。

次に07年の「Comeback Season」、もうラップがDrake節ですね。人は頑張れば1年でDrakeになれるっていう希望を持たせてくれると思います。そんなことないか、、、サウンドもグッと落ち着いてきます。Trey Songzが3曲も参加してるのは、これから更にR&Bを取り入れていく予兆ですかね、、、これは今のDrakeファンも全然聴ける作品ですね。

この流れで久しぶりに聴く「So Far Gone」はやっぱり流石!と思わされます。静かでメロウなヒップホップとR&B、ポップスとの融合。もう完成形です。ゲストのLykkeLiの声がかわいいです。Lil Wayneこんなに参加してたんだ(4曲)、、、

今年も早速新譜(なのかな?)出てました!「Certified Lover Boy」、食傷気味のように書いてしまいましたが、さすがに聴いてみます。

やっぱりある地点から、Drakeはずっと同じものを出している気がします。ということは、完成度が高くてポップで落ち着いてて、毎回ちょこちょこと流行りを取り入れているっていうことなんですけど、、、「一度売れた後のベストなパターン」を提示している努力人の顔が伺えます。最近の作品の中では、ややこじんまりとしてますが、それすらこっちの(みんなの)飽和状態を見越しているような気がします。

まあやっぱりスゴい人ですね!


31位、 Migos「Y.R.N. (Young Rich Niggas)」(2013年)、メンバーの構成と成り立ち、トラップ、3連フロー、ファッション、シンプルとしつこさ、明るさ(トラック自体は意外と暗いんですが)、ヒット曲、どこを切っても金太郎(いい意味で!)、、、存在自体がもうキャッチーな彼ら。彼らの作品も全部聴いてます。Cultureは「Ⅰ」も「Ⅱ」もCD持ってます!

各自のソロの活動が忙しくなり、18年の「Culture Ⅱ」以降リリースがなく、もうすぐ「Ⅲ」が出て解散というイヤな噂も、、、


30位、Gucci Mane「Writing on the Wall」(2009年)、え、もうGucci Mane来ちゃうの!?正直、ミクステなら1位か2位だと思ってました。しかも、これ選ぶか、、、まあグッチの場合は、どれを選んでも誰かが異論を唱えるぐらいのものなんで、誰が何を選んだとかいう話はほとんど意味がない、ここに書かれてるように、「彼のハイライトを選ぶってことは、その人の気質次第です」(合ってるかな?)、なので、どれが選ばれたかはいいとして、グッチが30位、、、

Gucciのミクステはどれも最高で、どれを選んでもあまり変わらないとも言えますが、特にこの09年あたりの時期はどれを選んでも最高です。


29位、Future「Monster」(2014年)、こんなとこにFutureが出てくると、ますます残りが心配になってきます。正直、Futureのこの「Monster」は1位か2位だと思ってたんで、、、

とりあえずこれと、次の年に出た2枚「Beast Mode」、「56 Nights」合わせた3部作は、全人類必聴だと思います。


28位、Young Thug「1017 Thug」(2013年)、これで今回の特集に一気に興味がなくなってしまいました。Young Thugがこんな位置で、しかもこれを選ぶとは、、、これは彼の歴史の中でそんなに重要ではないです。これより聴くべき作品がたくさんあるのに、、、と思いかけ、いやリアルタイムで聴いてた人には衝撃だったかもしれないし奇抜なリリック内容も評価につながっているのかもしれない、と反省して久しぶりに聴き返したら、、、いい曲も多いいいアルバムじゃん、て思いました!でも、この後にもっとすごい作品を連発するのも確かです!

ひょっとして、1人2回登場がアリなのかな、、、それだと嫌だなあ、個人的には、、、


27位、Lil B「God's Father」(2012年)、当然と言えば当然、上位にあるとやっぱり嬉しいです。もうちょっと上でも、、、とも思いますが。

今回の特集の中で1番曲数が多いんじゃないでしょうか、Lil Bの中では普通サイズですが(100曲アルバムが数枚あるので)。ラッパーがよく「俺は発表してない曲が1000ある」とか「2000ある」とか自慢なのかどうか分からないことを言いますが、Lil Bは普通に発表している曲でそのぐらいあります。しかもほぼ全部聴いている人もいます(自分とか)。

彼はもはや生きる伝説であり、存在自体がもうグレイトアートです。彼を批評するどんな文章も、彼に当てはめることはできません。そして彼は、永遠の謎でしょう。


26位、Max B「Public Domain 3: Domain Pain」(2008年)、ついに初の2度目登場の人が出ました。しかもこの位置にこの人、てことで再びこの特集が楽しくなってきました。なぜなら、自分はこのアルバムを聴いたことがなかったからです(実は49位に登場した時に聴きましたが)。

Max Bにまつわる話は、今回の特集の中では自分にとって1番切ないです。去年出た「Wave Pack」というベストみたいな26曲入りを聴くと、、、確かにリマスタリングにより彼の声とその処理が後のオートチューンブームを予感させるとこはあります。マイルドに歪んでハーモナイズされているというか、、、そして最後の曲が「Never Wanna Go Back」で、余計に切なくなりました、、、ていうか、この編集盤すごくいいです。


25位、Kevin Gates「The Luca Brasi Story」(2013年)、この人はあまり好きになれなくて、でもこの作品はおろか、「2」も含めて5枚ミクステを聴いて、「islah」のCDも買ったぐらいなんですけど、聴けば聴くほど好きじゃなくて、ていうかほとんど嫌いで、、、今回これで聴き返して印象も変わるかな、とラストチャンスな気持ちで聴きました(前置き長い)。

「The Luca Brasi Story」のほうは印象変わらないままでしたが、「islah」はかなり、「あれこんなに爽やかでポップな感じのトラックだっけな!?」って感じでした。浮遊感もあったりして、そこにハードなラップが達者に絡んでいくという醍醐味。少し印象が良くなりました(えらそう?)。


24位、Kanye West 「Get Well Soon...」(2003年)、あ、これが今回の特集の中で1番古い!?これは、カニエを中心にみんなで延々遊んでるような雰囲気ですが、遊んでる面子がJay-ZとかMos Defとかエグいし、遊びもトレードマークの声の(歌の)ハイピッチ化とかエグいです。結局、なんだか非常に貴重な記録集を聴いているような気がしてきます。

こういう制作途中のようなものを、楽しく無料でシェアできるっていうのは、リアルタイムでも、こうやって後年になっても、文化にとっては非常に有益な気がします。創作の秘密が隠されているような。

ついでに07年の「Can’t Tell Me Nothing」も聴いてみます。これもフリーのミクステです。内容はすごく良くて、、、すごいですねカニエはやっぱり、、、これは個人的には、今回1番の拾い物かもしれません。

カニエの作品はほぼすべて、傑作でありつつ問題作であり売れているという、正に怪人ですね。


23位、Tyler, the Creator「Bastard」(2009年)、そういえばこれもフリーのミクステだったなあー、と思い出しました。音楽意外にも多角的に才能を発揮する(しかもすべてオリジナリティ溢れる)もう1人の怪人といったところでしょうか。

今こうしてこの作品を聴くと、意外と冷ややかな感じというかじわっと不穏だけど静かな落ち着いた感じです。でも相当な熱量もこもっている傑作というか。こんなものがフリーで発表されていた当時はアツかっただろうなあー、と思いを馳せます。

Tylerもまた、コンスタントに作品を出しながら、内容は毎回センセーショナルでありながら、内容が良くてセールスにもまっているっていう離れ業ですね。

そしてものすごい面子の若者が集合していた、ときわ荘状態のOdd Futureは現在のみんなの活躍を考えるとかなりロマンがある話だなあ、て思います。


22位、50 Cent「50 Cent Is the Future」(2002年)、きました、これが今回1番古いミクステです。まさにミックステープ!、、、て意味わかんないですけど。

そして、自分は「Get Rich Or Die Tryin’」のDVDを買って、映画を見始めて30分ぐらいのところで、何か突然の用事ができて中断してから2年たっていることに気付きました!これ聴いて書いたら、続きを観ます。

歴史的なこの作品の前後作、「Guess Who’s Back?」と「No Mercy No Fear」もこれを機会に聴いてみました。今こうして聴いてみて、特に何って印象はなかったです。

今のところ最後のリリースは、15年の「The Kanan Tape」みたいで、それも聴いてみます。50 Centにさほど思い入れのない自分にも、彼とトラップの組み合わせはおもしろいです、、、とか思ってたらSonny Digital作の「I’m The Man」で感動してしまいました。全7曲の小サイズですが、いい作品でした。新しいのが出たら、是非聴いてみたいです。


21位、Action Bronson「Party Supplies Blue Chips」(2012年)、え、誰、、、?この位置にくるぐらいだから、かなりの人でかなりの内容の作品のはずですが、知らなかったです、、、ハードル高いな、、、

写真見たら、スゴいキャラ!デカいー、、、太ったブルーザー・ブロディみたいな感じです。

さて内容は、かなりオールドなスタイルのトラックにゴーストフェイスなラップが乗っかる感じで、特に目新しさはないです。サウンドが少しスラップスティックなところもあり、これは歌詞がおもしろいんだなきっと、と思って調べたら、やはりそうみたいで、この人は元シェフということで(番組持ってるし料理本も出してる、食べ物ネタとコミカルなネタが多いようです。

ていうか、かなり人気者で有名でアルバムも売れてるみたいですね。MVをいくつか見たら、どれも抜群におもしろくて、映像付きだと音楽がすごい生き生きしてるんで、こうしてミクステを聴くより、YouTubeを見たほうがいいと思います。


20位、Drake「If You’re Reading This It’s Too Late」(2015年)、あーあ出ちゃったよ2回目登場が、て感じです。これがアリなら、もう残りのチャートにあまり興味出ないし、あと19枚なら絶対「これ入るべきだろ」ってのが出てくること確定じゃないですか、あーあ。

でも、前半は楽しかったなあ、と思うし、新しく知った人や聴き直してよかった盤もありました。その調子で1アーティストにつき1枚で、50人紹介してくれたら最高だったんですけどね。

ちなみにこの作品は最高、必聴、名盤です。


19位、Run the Jewels「Run the Jewels」(2013年)、複数可なら、これはどうなんだってことですよ。残りの順位の中にこれの「2」、「3」、「4」が入ってもおかしくないんですよ、全部フリーのミクステだし。

自分が知ってる限りの話なんですが、海外の知り合いで、特にヒップホップとか好きじゃないロック系の知り合いでも好きな人が多いんですよね。何か理由があるんでしょうか、、、テンションが高いから?


18位、Chief Keef「Back From the Dead」(2012年)、このシリーズは、「2」も「3」も名盤だと思っています。Chief Keefの作品は結構多いですが、どれも独特の意欲的さがあって、いいものばかりです。数あるヒップホップ・ミュージシャンの中でもかなり興味深いアーティストです。


17位、Kendrick Lamar「O(verly) D(edicated)」(2010年)、彼の作品はいちおう一通り聴いたんですが、実は自分はそこまでハマれなくて、リリックが分からないのがメインの理由だとは思うんですが、サウンドも特にジャズ系のミュージシャン達と作ったやつとか、全然好きになれず。

相当の実力者が常に何かにチャレンジしている姿勢は本当に尊敬ですが、作品によっては隅々まで気合い入っている感じが、ちょっと嫌なのかもしれない(もちろんそこが評価されている最大のとこでもあったりするんですが)、、、とか言いつつ、この作品はロマンティックでストレンジな音のトラックが多くて少しバラバラな感じ(音量もバラバラなのはちょっと)で、すごく良かったです。


16位、Future「56 Nights」(2015年)、そうでしょうね。16位でもやや不満ですが。


15位、Rick Ross「Rich Forever」(2012年)、この人も自分はイマイチ、ハマれなかった1人です。そんなのほっとけって感じでしょうが、せっかくなのでちょっと好意的に集中的に聴いてみます。なんといっても「史上最もダウンロードされたヒップホップミックステープの1つ」ですからね。

今コレを聴いて、何か思うのは自分には難しかったです。ラップもサウンドも。試しにメジャースタジオ盤10年発売の「Teflon Don」も聴いてみましたが、余計に何も感じず、、、再びやってくるかもしれない次の機会まで聴かなそうです、、、


14位、Dipset「Diplomats Volume 1」(2002年)、おお、聴いたことない!しかもこれで何度めかですが、今回の特集で最も古い作品!

心のどこかで、「今更聴いてもなあー」だったんですが、聴いてみると意外に楽しくて、つい「2」「3」「4」、と聴いてしまいました。みんなで遊んでる感じがいいですねー。DatPiffにあるものは、どれもおびただしく曲が欠けているので、他所で入手することをオススメします。


13位、Gucci Mane「The Burrprint: The Movie 3-D」(2009年)、やっぱり2度目登場は当然ですが、そもそもGucci Maneのミクステだけで、ベスト50は成立しますからね。


12位、Chance the Rapper「Coloring Book」(2016年)、この人のリリースしてる3枚のミクステは全部、事件として順位に入るべきぐらいのものです。


11位、Young Jeezy「Trap Or Die」(2005年)、意外なような妥当なような、、、「トラップ誰が発明した話」になると必ず登場する盤。もちろん、音楽の新しいジャンルっていうのはたった1人の人間が発明した、てことは絶対にないわけですが、、、まあアルバムタイトルがね、と言うとまた「Trap」が入ってるタイトルは沢山あるわけですが、、、

タイトルに「Trap」がついてて、プロデューサーがDJ Dramaの割にはそんなにトラップに聴こえないのは、時代が早いせいですかね。5年後の「2」は当然もうトラップ全開で、さらに6年後に出た「3」も、もちろん、、、1から3まで11年かけてるのは結構珍しいパターンじゃないですか?しかも「3」は、メジャー盤で全米No.1にもまっているという(実はCD持ってます)、、、ジャケのパターンも「3」だけ全然違うし。

で、好みで言えば別に好きとかじゃないんですよね、この人。嫌いでもないけど。


これで残り10枚ということになりましたが、自分の中ではそろそろ「ああ、あの人のあの作品は50にも入らないんだな」ってことが薄々分かってきてつらくなります。しかしこれはほんのわずかな角度から光を当てただけの、ひょっとしたら知識はあれども偏見に満ちた順位かもしれないし、ガッカリせず前向きな気持ちで進みたいと思います。

いいこともありました。特に前半は。これを読まなければ聴かなかったであろう素晴らしい作品に出会えました。ピッチフォークさんに多大なる感謝を!ありがとう!


10位、Rich Gang「Tha Tour Part 1」(2014年)、これなんかねえ、僕が何か言うのも憚られるぐらいの奇跡の名作なんです。1位だと思ってた。いまだに無料でDLできるっていうのもちょっと信じられないぐらいです。

想像するにこれが出た当時は、みんな「今、ヒップホップは何かすごいことが始まっている!?」って思ったんじゃないですかね。


9位、A$AP Rocky「LIVELOVEA$AP」(2011年)、これもまた超ド級の作品ですね。歴史的なポイントだけじゃなく、今聴いても相当に音楽的というか、色々な要素をうまくオリジナルのフィルターに通して、独特な世界をキャッチーに展開しています。結局その後の大ヒットメジャー盤たちは、これを超えれていないのでは?とさえ思います。発売から10年たっていますが、もう10年たっても色褪せるどころか輝きを増すような作品だと思います。

彼のミクステはこれだけで、その後はメジャリリースになりますが、発表した作品は現在のヒップホップの傾向を考えるとかなり少ないです。彼のストーリーを読むと、その少ない作品の変化を聴くのは興味深いですが、A$AP Mobの中心人物であり最重要人物Yamsが亡くなった(そしてA$AP Mobの歴史は終わった)3年後に、Rockyが新しい仲間と作った「Testing」は未聴でした。自分は、なんか冷たい奴なんだなあ、と思ってしまいました。

で、聴くと何じゃこりゃ、て感じの内容でした。前回のアルバム「AT.LONG.LAST.A$AP」の意味不明な参加者、Joe Foxはもういないし、、、


8位、Nicki Minaj「Beam Me Up Scotty」(2009年)、「The Pinkprint」大好きなのに、「Pink Friday」があまり好きじゃなくて、その前のミクステはちゃんと聴いてなかった愚か者は私です。今回聴いて、めちゃいいじゃん、と思いました。

陽気で楽しくて色んなタイプの曲があって、アイデアも豊富で、そしてやはり何をやってもキャッチーで実に楽しくて、感動まであるすごくいい内容でした。今回の特集で1番、「スゴさ再確認できたで賞」かもしれません。


7位、Earl Sweatshirt「Earl」(2010年)、問答無用、怪物、神童、異端児、完全に独特な存在。リリースしたものすべてがスゴくて、大胆な変化をし続けているという現象のような人です。キャッチーさやポップさは皆無なのに(Earlには少しありますが)、カッコよく魅力的に響きます。リリックもスゴいみたいだし、、、この作品はもちろん、全作品必聴ですかね。


6位、Lil Wayne / DJ Drama「Dedication 2」(2006年)、なぜここだけDJ Drama並列表記なんだろう、、、貢献度?

御大は以前チャレンジして、全部とはいかないまでもpかなり作品を聴いたんですが、驚いたのは2つで(1枚はミクスチャーバンド路線のアルバム)、やはりそんなに好きとかなかったです。今回再びチャンスということで、ミクステが発生する(?)1999年の「Tha Block Is Hot」を聴きました。今回、2000年以前のアルバムを初めて聴いたと思うんですが、なかなかカッコ良かったです。ちょっと変な音も入ってておもしろかった、、、ので、その次の「Lights Out」もききました。ちょうど2000年のアルバムですね。出だしからやたらカッコ良くて驚き、続く曲たちもカッコよくて曲のバリエーションやアイデアも多くて、明らかに名盤で驚きました。

思うに、ミクステブームを作った第一人者ではありますが、いわゆるその後の人達と動機がかなり違う、下手したら真逆なことが伺えます。普通、名が知れる、有名になる、などの初期的な動機だったり、ファンへのサービス、スタジオアルバムのための布石、プロモーションなどの戦略的な手段だったりするミクステですが、Lil Wayneをこうして初期から追っていくと、以上の動機は彼には全く必要がないように見えます。

なので、純粋な溢れる創作意欲、力の誇示、頭がおかしくなった、ぐらいが理由じゃないでしょうか?そう考えると、この「Dedication 2」や僕が以前驚いた作品(どうせ後で出てきます)、他の大量にあるミクステの量と質は、他の誰にもない、できない、不可能な領域であることに気がつきます。

しかし、アーティストも内容も含めて、何と豊かで分厚く混沌としたものすごいものなんだなあ、2000年以降のヒップホップは、自分が聴いてなかったからこそ思います。自分は今までどこで何をしていたんだろう、、、


5位、JAY-Z「The S. Carter Collection」(2003年)、神が下山してきてミクステに降臨、て感じですかね。実はJay -Zに思い入れ全然なくて、アルバム全聴きとかもしてなくて、、、「」は、めちゃめちゃおもしろかったんですが、だからといってアルバムを聴くってわけでもなく、このミクステも聴いて特に思うところはないです。


4位、Chance the Rapper「Acid Rap」(2013年)、そうですよね、これは最高です。どれもいいけど、どれかと言われればコレですね。初めて聴いた時、何かすごく新しい感じがあったし、すごくワクワクしました。この人のミクステに対する姿勢も、新しかったんじゃないでしょうか。


3位、Danny Brown「XXX」(2011年)、コレも最高ですね。すごい好きですが、3位とはこれまたかなり高評価ですね。

とにかくトラックもラップも変です。変だけでなく音楽性が異様に広くて質が高く、トラックだけでもかなりおもしろい音楽で、それに自在なラップがゴリゴリに乗ってきます。スゴすぎてアルバム全部聴くとちょっと疲れるぐらいです。

この後の「Old」、「Atrocity Exhibition」と更に変度は増していき、えらいことになります。おやじ的には、Beckが「Loser」で登場した時の感じを覚える瞬間が時折あります。「Atrocity Exhibition」なんかは、もうキレッキレで最高です。

今のところ最新作の「uknowhatimsayin¿」では、さすがに少し落ち着いたかな、と。Q-Tipプロデュースだからでしょうけど、、、いずれにしろ、次の作品が楽しみです。


2位、Clipse「We Got It 4 Cheap Vol. 2」(2005年)、これ、前年のVol.1も同じくらいいいと思います。ですが、3年後に「3」も出てます。


1位!、Lil Wayne「Da Drought 3」(2009年)、いくらLil Wayneがスゴいからって、ベスト10に2枚選ばなくてもええやん、1位だけで十分だと思いますが、、、

この作品は、最高が延々とCDサイズで2枚分続いて、なのに無料という問答無用のブツです。自分は、無理やりLil Wayneを聴こうとして、何も知らない状態で出会ってしまったので、「え、嘘、何コレ、ヤバない?」となりました。もはや、Lil Wayne好きとか嫌いとかじゃなく、更に言えばヒップホップ好きとか嫌いとか関係ないぐらい必聴だと思います。


結局、1番古いのは50 CentとDipsetの2002年、1番新しいのはChance The Rapperの2016年でした。つまり、この特集の中ではミックステープは2002年に始まって、2016年に終わるわけです。終わったわけではないかもだけど、ベスト50に入る画期的な作品は出てないってことです。自分は去年から聴き始めたので、もう完全に乗り遅れていたというわけです。

今では、サブスクで音楽を聴く人にとって、有料か無料かはあまり関係ないのかな、どうせ月額ですから。音楽のメディア形式は、アーティストやレーベル、聴く側が決めるのではないことは、いつの時代もそうだったので、そういう意味では昔も今も変わらないんでしょうけど、レコードとラジオのエアチェックから始まったリスナー経験の自分からすると、思えば遠くに来たもんだ、遠い目になってしまいます。

USのヒップホップ特有のこの大きな大きな現象だったものは、他所の国やジャンルに広がることもほとんどなく、14年間燃え続けたのかと思うと、長いような短いような、不思議な感じです。自分は幸運なことに今更でもこうしてハマることができましたが、年齢的にも自分の知り合いや周辺にこのへんを聴く人はいません。誰とも会話もできずに、ずっとPC(とiPad)を見続けている日々です。クラブで大音量で聴くこともありません。

しかも、これが全部では全然ないという、、、質より量の文化について、質について語るという奇妙な特集だったと言えるかもしれません。そのせいか、評価の基準が作品そのものの質だけじゃなく、結果的にもっと動き全体を見る、見れるような論文のように読めるところも興味深かったです。

ヒップホップ括りだからFrank OceanやThe Weekndは入らなかったのかな、と思えますが、僕の好みとは関係なく、そういう多角的な見地から見ても、Mac Miller、Lil Peep、2 Chainz、J Coleが1枚も入らないのは意外でした!そしてやっぱり、1人1枚にして50人分紹介して欲しかったです!

この記事により、「知ることができて良かった!」作品は、Main Attrakionz「808s & Dark Grapes II」、Friendzone「DX」、King Louie「Tony」、Wiz Khalifa「Rolling Papers」、The Lox「Money, Power & Respect」、The Jacka「What Happened To The World」、Don Trip & Starlito「Step Brothers 3」、Boosie Badazz & Webbie「Getto Stories」、Isaiah Rashad「Cilvia Demo」、Freddie Gibbs「Shadow Of A Doubt」、Max B「Wave Pack」、Kanye West「Can’t Tell Me Nothing」、Dipset「Diplomats Volume 1」、Nicki Minaj「Beam Me Up Scotty」です。

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