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植野DatPiff日記25 100s

ラップのスキル申し分なし、ルックス良し、の100Sの2012年のデビューミックステープ「Ice Cold Perm」は、Gファンクというよりもっとフューチャリスティックなテクノのようでもあり、ジャケをオマージュしたスヌープというよりドレイクを先駆けてるようでもあり、、、ヒップホップというより、R&Bにも被るような、でもそこからも少しずれたところにあるような、何か新しい感触がする名作だと思います。

この頃には、もしかしたらそういうものが多かったかもしれません。時代に常に一つだけが新しいってことはなく、有名になったものの背後に無数に同じようなものがあり、同じような可能性があったのにそれほど展開しなかったものがあります。

「Ice Cold Perm」は、これが出た当時は結構話題になり、100Sも相応の期待をされていたようです。「次は?」、の記事は検索しても出てきませんでした、、、

100Sは、高校の時に親にハメられてアフリカの学校に転入させられ、ほぼ1年ぐらいアフリカのアイヴォリー・コーストってとこで過ごして、テレビでMTVのMac Dreの「Gumbo」を観てラップに目覚めたようです。影響は、Snoopはもちろん、Lil Boosieに大きな影響を受けているとか。

そして次のミクステもDatPiffで聴けます。2年後の14年に出た「Ivry」です。やや期待を長めに引っ張ったセカンドです。

しかしここに展開されるのは、この時期2年かかった割には内容もさほど変化がなくて、曲もやや少なめです。ジャケのイメージは、ジョークの一種なのか、ナルシストなスターっぽくなっています。

冒頭から1、2曲目は、おおっと思うような、前作を引き継ぎながらもカッコいい感じなんですが、段々とただレトロ売れ線臭くなる感じで、ミステリアスを剥がされていくような思いになります。

100Sはその後、Kossiskoと名前を変えて、数個のシングルと15年に「Red White N Cruel」という7曲入りのEPサイズの作品、18年に「Low」というアルバムサイズの作品を出しています。ジャケはどんどんナルシズムが中途半端に開花したようなダサい感じのまま、ラップもほとんどしなくなって、歌に専念している感じでクロスオーバー感はもはやほとんどありません。あんなに新しく感じた2012年の作品より、18年の最新作のほうが古臭く感じるぐらいです。

「Ice Cold Perm」は今聴いても尚新鮮です。アルバム全体を通して色々なものが混在していて、色々な可能性が詰まっています。

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