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VICE編集部が本気で選んだ、2010年代ベストアルバム100 (中編)


67位、JOHN MAUS「WE MUST BECOME THE PITILESS SENSORS OF OURSELVES」(2011年、SYNTHPOP)、最初聴いた時はすごいおもしろく感じたんですけど、現代の奇跡っぽくて。でも今、他の作品も含めて聴き返すと、雰囲気はいいけどそこまでじゃないかな、と。もろジョイ・ディヴィジョンじゃん、とか。


66位、J BALVIN「VIBRAS」(2018年、LATIN POP)、自分にはここが本格的なレゲトンへの入口でした。こりゃ最高だな!と思いつつ、他のアーティストも色々聴けました。レゲトンを聴くようになったのは、、、大きいです。「この特集を読んで良かった」と思えることの1つです。このアルバム「Vibras」は、レゲトンとか抜きにしても本当に良くて、基本アッパーな音楽のはずなんですが、この人のは歌も音もいい感じに落ち着きがあってどこか穏やかで気持ちが良くって、何度でもずっと聴いてられます。デビューは2009年「Real」から。これと次の「El Negocio」はミックステープってことになってたりして、2013年の「La Familia」からファーストとか書かれてる記事もありますが、「Real」の最初のシングル「Ella Me Cautivó」でEMIコロムビアからデビュー、とも書かれてあり、まあ、、、どうでもいいか、そんなこと。今では、みんなもう配信で音楽を聴くから、どれがフリーのミックステープとか、どれがスタジオデビューとか、どうでもいいことですよね。ここでは、いちおう古い順に聴いていきますが、、、で、この「Real」、既にかなりいいアルバムだと思います。曲的に、これは!っていう特別なやつは、「Hola Que Tal.」ですかね。あと、少し古い韓国ポップスにも聴こえる「Dime Tu」もいいです。他の曲も、幅広いジャンルかつキャッチーで楽しい曲が揃っていて、音も他のレゲトンに比べるとやさしめで、心地よくて何度も聴けます。

次の「El Negocio」(2011年)もこれまた、前作と同様か、それ以上にいいアルバムです。「Abrázame」とか、ちょいダサな感じもなかなかいい曲です。でもあれ!?また「Invisible」と「Hola Que Tal」、「Dime Tu」が入ってる、一体どうゆうこと、、、?翌年の12年には、その名も「Mix Tape」という今までのベスト的な盤が出ます。11曲中8曲も「El Negocio」から選ばれています。また「Invisible」が入ってる、、、当然、ほぼ全曲いいっていうことになりますが、この盤の目玉は、最後の30分近くある「Mixtape Volume 1」じゃないでしょうか。これは、数曲がDJミックスでつながって1曲になっているっていう、何だか入れ子状態みたいな構成で、これがかなりいい。おかげで、アルバム全部で60分ちょいが全然飽きずに聴ける。レゲトン名盤なんじゃないでしょうか。

そしていよいよ、13年の「La Familia」から爆裂売れていきます。まずは、シングル「Yo Te Lo Dije」がかなり当たって、イングリッシュマン・イン・ニューヨーク的な「6 AM」や「Ay Vamos」が超バカ当たりします。このアルバムはとにかく、出だしの「Sola」や2曲目の「La Venganza」にも顕著な、彼の特徴である哀愁を帯びた優しめな音と、ややゆったり目なリズムが上手く作用したいい曲が多くて、音楽性の幅も更に広がっているのにどの曲もしっかり彼の音楽になっている、というウルトラCをキメています。「Lose Control」なんか売れ線クラブ系ですが、1分イントロかけて始まったメインリフのキャッチャーなこと!、、、こんなに名曲オンパレードなのにデラックス盤的な「La Familia B side」では、更に珠玉シングル曲達が加わって最強名曲集みたいになっています。

16年の「Energia」は、前作から3年もたってるだけあって、抜群な内容です。セールス的にも、アルバム発売前に出たシングル「Ginza」がウルトラスーパー大ヒットしてたので、アルバムも当然激売れしたようです。まあ売れた売れないとかいう話を抜きにしても、またもや名曲名トラック揃いの傑作です。サウンドは、更に大人びて、実に心地良いです。R&BやHipHop、エレクトロニック的なもののクロスオーバーも実に深くシブく見事です。1曲目の「Veneo」のイントロからからもうゾクゾクします。「Safari」ではなんと、Pharrell Williamsがスペイン語で登場します。「No Hay Título」は、アコギのみのトラック!、「Snapchat」は非常に穏やかなアンビエント・エレクトロニックなトラックです。「Ginza」はさすがにイントロも歌メロも、間奏までもベリーキャッチーな作りでトラック自体もベリーグーでサイコーです。

そしていよいよ2年後の2018年、大本命のアルバム「Vibras」が出ます。既にシングル「Mi Gente」が、今までの本人の記録を塗り替えるメガトン級のヒットをブチかましてるばかりか、Bad Bunnyと共に参加したCardi Bの「I Like It」がビルボードNo.1ヒットという、ついに最高峰ヒットしてて、完全に追い風の中発売されました。しかも、そんな追い風もさらりとかわすような素晴らしい出来!、、、実はこのアルバムが人生初めて買ったレゲトンCDなんですが、本当に何度聴いてもぜーんぜん飽きないです。1曲目のイントロ的な「Vibras」がCarla Morrisonの歌声から始まった瞬間からもう最高で、そこからテンポダウンしながら2曲目の「Mi Gente」に移行するところとか、くわー!ってなります(意味不明)。サウンドは更に一見シンプルになり、歌もリズムの音も含めて、すべての音が最上級に気持ちいいです。1曲ずつ取り上げて解説する必要がないぐらい、全曲極上です。レゲトン永遠の名盤だと思います。このアルバムでの1番大きな変化は、女性ゲストヴォーカルが目立つことでしょうか。それによりアルバム全体はより幅広くバラエティがあるように感じるし、実際どのトラックも相当いい効果を発揮しています。従来のレゲトンが持つミソジニーからの、更なる脱却(もともと排除する傾向にあった)の意図も感じます。

実際Balvinは、音楽と人柄こそひょうひょうとしている感じだけど、政治的な発言、行動はしっかりやるし、英語が喋れるのに決して英語で歌わず、歌詞は全部スペイン語です。住むところもコロンビアの地元にこだわっています。従来のレゲトンの歌詞にあるミソジニーやヴァイオレンスはできるだけ避け、サウンドも派手で攻撃的なレゲトンあるあるより、もっと穏やかで哀しみを帯びたスムースな柔らかい感じで、ジャンルも色々なものを本当に上手に取り入れています。これらはすべてしっかり意図的であり、並々ならぬ努力があり、こだわりがあり、そしてそれらを実現できる高い能力があります。ここまでの作品はすべて毎回、内容もセールス結果もどんどん上がっていく感じでした。

と書くと、ここから下がるのか?と思うかもですが、そうでなく方向、視野を変えていく感じです。これ以上、上を目指す必要もないだろうし(そもそも上なんて目指してたわけじゃないかもしれないし)、、、ということで、次の作品はBad Bunnyとのモダンレゲトン2大スーパースターのコラボ「Oasis」(2019年)です。これはまあ、内容は手堅い感じがしました。

次のアイデアとしては、コンセプトアルバムとして、20年の「Colores」が、色をテーマに10曲(10色)入りで発売されます。マイルス・デイビスの「Aura」を思い出しました。ジャケは村上隆で、たぶんカニエとファレルの影響だと思いますが、Balvinはずっとコラボしたかったようです。彼のファッションとかアートワークのセンスと、よく合ってますよね!さて、コンセプトは実際に聴いてみるとほぼ意味ないですが、内容的には珠玉の10曲が29分という、あっという間に流れてしまうので、せっかくすごくいいのに何だか物足りない印象が残る感じです。でも、それだけ完成度が高いというか、コンセプチュアルなだけにかなりまとまった作品です。

この年の夏は、本人もそういう物足りなさも感じたのか、ただの商売気か、「Summer Love」、「Summer Vacation」、「Summer Fiesta」というそれぞれ6曲入りのEPを、7月31日から8月14日の2週間に連発します。すげー、と思っていると、中身はアルバム「Colours」からと他人とのコラボ系の曲を集めた内容でした。内容は激豪華ですが、まあシングル再利用コンピみたいなもんです。

今年も特大の新作が出ました。タイトルはズバリ!本名の「Jose」、全24曲。ゲストは、新旧同世代の3世代に渡る豪華多彩。ジャンルは節操ないぐらい多岐に渡り、少し前のヒット曲は当然、古い曲までも再利用。今までのストイックな路線の真逆をいく、むしろそれがコンセプトなんだ!と言わんばかりの、もうほとんどコンピじゃね?ぐらいの力技アルバムです。音楽的なジャンルや出来にバラツキや弱いとこがあったりもしますが、それを軽く上回る良曲とエネルギーに目眩がします。後世まで語り継がれる、レゲトン歴史的名盤な気がします。

蛇足ですが、最近TinyDeskシリーズに登場したので、見てみたんですが、ライブは特に何があるってわけでもなく、あまりおもしろくなかったです。


65位、LORDE「MELODRAMA」(2017年、ART POP)、実は良さがあまり分かりません。ファーストアルバム「Pure Heroine」に入ってる出世曲の「Royals」は、確かに感動的なぐらい良かったですが、自分にはそれぐらいで、後はビョークみたい、とかケイト・ブッシュみたい、て思うぐらいで、、、人気絶頂期ぐらいに突然ネット社会から消えて、動向が掴みにくくなったりしてたみたいですが、先日待望の新譜「Solar Power」が無事に出てました。前作たちと比べるとかなり落ち着いた地味な印象でした。ジャケがFREE(70年代のバンド)のセカンドに似ている気がします。


64位、LIL PEEP「COME OVER WHEN YOU’RE SOBER 」(2017年、EMO RAP」、この記事で知った紛れもない天才でした。こんな人、音楽があるなんて、かなり衝撃でした。トラップとオルタナロックの融合という発明を、たった1人のインターネット中毒の若者があっさり成し遂げてすべてを変えたという、、、しかもイケメンという、、、時々ニルヴァーナすぎね?とか、そもそもこれはラップなの?とか素朴な疑問はありますが、とにかくすごい人でした。知った時は既に遅し。大変残念です、、、Peepはかなり多作だったようで、活動期間が短かった割に結構作品を乱発してて、彼の死後も続々と未発表音源が出てて、正直どれもいい曲ばかりです。どえらいキャッチーです。2019年の「Everybody’s Everything」みたいな寄せ集め最終盤的なものですら、予想を超えて素晴らしい内容でした。Lil Peepについては、前編のGucci Mane同様、全作品聴きみたいな文章を書いたことあるので、ここではこのへんで、、、


63位、BURNA BOY「AFRICAN GIANT」(2019年、AFRO BEATS」、最初に聴いた時はアフロビーツって?!って過剰な期待をしたせいか、なんか地味に思えたんですが(実は昔、フェラクティを初めて聴いた時もそうだった)、よくよく聴くとディープな世界が広がった巨大な作品だということが分かります。耳に心地良い音でアダルティな雰囲気すらあるんですが、音楽的にはとても芳醇でかつ実験的でもあります。

ハマったのは、DatPiffに彼のファースト、ここにあるからミックステープなのかな、と思うんですがどうもファーストアルバムってことらしく、まあそんなことどうでもいいんですが、そのフリーダウンロードできた2013年の「L.I.F.E - Leaving An Impact For Eternity」を聴いてぶっ飛びました。アフリカンルーツやフェラ・クティなどのアフロビート、ジャズやR&B、ヒップホップ、ダンスホールやエレクトロニックなど、色んな音楽の混合がエネルギーの塊みたいなものになっているすごい状態で、めちゃめちゃカッコいいです!最初の作品が、こんなのってあり得ないでしょっ!と叫びたくなります。ちなみにアフロビートとアフロビーツは違うくて、コレがアフロビーツってことなら、、、なんとすごいジャンルだ、と思います。すべてのトラックをプロデュースしているLeriqって人の手腕もたいしたものですが、全部レベルアップさせるBurna Boyもまた、、、いや、このコンビとしての業績ですよね。とにかく全編溢れるエネルギーと緊張感、色んな音楽に対するリスペクト感は感動的です。

ここで、自分はアフロビーツをもっと知るために、この時期に「これがアフロビーツだ!」的に話題になっていたアルバムを聴いてみました。華々しいデビューだったっぽいWizkidの「Superstar」(2011年」、Davidoの「Omo Baba Olowo」(2012年)、Iyanyaの「Desire」(2013年)、Moelogoの「Moe Is My Name, Music Is My Logo The EP」(2013年)、Tiwa Savage「Once Upom a Time」(2013年)、などです。これらを聴くと、レゲトンのように、既にここにはアフリカのリズムとUSやUKのR&Bとの交配が成されているばかりか、しっかりしたプロダクションによるポップ産業も成り立っていることが分かります。どれも、シングル的にはかなりいい曲を含んでいて、アルバム全体的にも聞き応え十分な内容ですが、自分にはちょっとメジャー感ありすぎて、逆に物足りなく思います。しかしこのへんから、アフロビーツが爆発していることは確実に伝わってきます。アーティストもプロデューサーも、役者が揃っている感じです。

そして2015年にBurna Boyのセカンド「On A Spaceship」が出ます。長めの台詞の引用?のオープニングの後に始まる「Oluwa Burna」がいきなり激カッコいいです!タイトルにスペースシップがあるせいか、スペイシーシンセ音がピキュンピキュン飛び交う中、クールなリズムとトラックが鳴り響きます。次の曲「The Realest」は、アフリカ伝承曲みたいなメロディをダンスホール的なアレンジでやってて、これもいいです。次の「Mine Tonight」はモロにダンスホールすぎるような、、、古いアフリカルーツっぽい曲の現代アレンジっぽい曲が多くて、そういう意味ではポップス的じゃないキャッチーさがあってすごくいいです。ファーストにあった、あの無闇なカオティックエナジーは失われていて、やや落ち着いた感じです。それはそれでいいし、彼自身の独特の凄みのようなものはありますけど、、、どうやら、ファーストで全面的にお世話になったLeriqさんとは袂を分けたようで、彼は不参加のようです。

その1年前にWizkidがセカンド「Ayo」を出してて、これはファーストの豪華でイケイケ気味なポップスアルバムから一転、アフリカン要素が強いです。1曲目「Jaime Jaiye」から、Femi Kutiゲストでアフロビートが炸裂します。その後もカッコいいアフロビートナンバー連発です。メロウ系の曲だと、「Ojuelegba」がリズムといいリフといい、奇妙なシンセフレーズといい最高です。最後らへんの「Joy」も、超いい曲です!

2015年に、Tiwa Savageがセカンド「R.E.D」をリリースします。ファーストは、デビューにしてアフロビーツはもちろん、R&Bやダンスホールなど何でもありつつ立派なプロダクションで仕上げられ、21曲も入った豪華なデビューでした。豪華ですが、これといった特徴もなかったんですが、、、セカンドは、冒頭2曲からぐいっとアフリカにルーツバックな感じいい感じですが、18曲全部聴くと、やはり色々な曲調やっててこれといった特徴がない印象に終わってしまいました。

Wizkidは、17年にサード「Sounds from the Other Side」をリリースします。この年には、AmaaraeがEP「Passionfruit SUMMERS」でデビューします。Amaaraeは、US在住ってこともあるんでしょうが、独自のサウンドでおもしろいし、何と言っても、声が超カワイイです!Wizkidのほうは、DrakeやChris Brown、Major Lazer、Ty Dolla $ign、Trey Songzなど、US HipHop、R&B勢を取り込み、アフロビーツのグローバル化を狙いますが、内容は意外と地味な感じで、売れ線というよりしっかりナイジェリアンポップを繰り広げていて、好感が持てます。自分に好感を持たれても何の足しにもならないでしょうけど、、、

2017年は他には、プロデューサーでもあるCkayが自身のEP「Who The F**k Is Ckay」をリリースしています。これは6曲入りで、バラエティとバランスがいいポップス寄りな作品で、一体どういうことか分からないけどDJ Brytosがミックスして倍以上の分数になった「Who the Fuck Is Ckay Mixtape」っていうのも出ています。戦略みたいなものですかね、、、?

2018年、Burna Boyサード「Outside」が出ます。これは、、、全曲いいぐらいの素晴らしいアルバムじゃないでしょうか。全体的にある種の凄味すら感じます。色んなことに挑戦して、すべてモノにしている感じです。名盤です。

アフロビーツという呼び名も、アフロビートと紛らわしいからか、だんだん使われなくなります。代わりに、アフロフュージョンとか言われ始めます。

そして2019年になり、今回ピックされたBurna Boy「African Giant」が出ます!こうして流れで聴いていくと、内容が一層興味深いことになっています。この作品は巨大です。UK、US、ジャマイカ、色んな音楽をクロスオーバーしているのに、完全にアフリカンに、もっと言えば完全にBurna Boyの音に聴こえます。このアルバムは、地味でもあります。ダンストラックでありながら、ダンスを目的としてないし、ポップでありながらポップスを目的としていません。ついでに言うと、見事にクロスオーバーを成し遂げているにも関わらず、他ジャンルの取り入れを目的としていません。聴く度に何か気付き、聴く度にズブズブとハマっていく沼のようなものです。巨大でありつつ深淵、現代の音楽でありながらナイジェリアの歴史があります。アフロビーツは、ついにここまで来た!という、おそらく歴史的なアルバムなんじゃないかと思います。

この年には、スーパースターDavidoのセカンド「A Good Time」も出ます。ファーストが12年だったから、なんと7年越しのリリースです。なんというマイペース!、、、アフロビーツ以前のナイジェリアポップスシーンというのは、シングル中心でアルバムは二の次だったらしく、このDavidoさんはその全時代の人達の流れの延長上にいるらしく、リリースがシングル中心だったので、こういうことになったらしいです。で、その前時代の代表的なやつが、D’banj、Wande Coal、Don JazzyらによるMo’ Hitsの人達で、音源は「Curriculum Vitae」というシングル集コンピで聴けます。アフロビーツ勉強中の身として、これも聴いてみました(Soundcloudで聴けます)。シンセバリバリの、イケイケぐいぐいナンバー目白押しって感じで楽しいです。クロスオーバー的なものも、既にここでバッチリ為されています。とにかく明るくてエネルギッシュです。

話が逸れましたが、逸れてはいませんがDavidoのセカンドに戻ります。このアルバム、Burna Boyと印象は真逆ですが、同じようにクロスオーバーは自然体でオリジナリティを獲得していて、かなりグレイトなアフリカン作品になっています。こちらは、とにかく明るくてのんびりしています。これはこれで、かなり素晴らしいと思います。

この年は、CkayがセカンドEP「Ckay The First」も出ています。またEPかよ、とも思いますが、今回は8曲入りで相変わらず全曲のバラエティ度とポップス完成度が高い内容です。この作品は発売当時も結構売れたみたいですが、中でも「Love Nwantiti」は、なんと2年後の21年ににTik Tokチャレンジでバズって、スーパーヒットをかっ飛ばします。今風なサクセス展開ですね。

19年は、新しい才能が一気に噴出し始めます。自分が気に入ったものは、Fireboy DMLの「Laughter, Tears and Goosebumps」と、Joeboyの「Love & Light」、Kamo Mphelaの「Twentee」などです。名前に「boy」多いですね、そういえば、Burna Boyもboyだし、Wizkidはkidですね。特に話はこれ以上広がらないですけど、、、Fireboyは、曲の良さと歌の独特さで目立ちます。全体的にも非常にバラエティのあるアフロR&Bで、ソフトな音の感じです。「Jealous」という曲が激ヒットしてすかさず作られたアルバムにしては、既に作家性を感じる力量のある、いいアルバムだと思います。Joeboyのほうも、「Baby」と「beginning」が爆ヒットして、こちらは5曲入りのEPでとりあえず的な形ですが、さすがに全曲いいです。Kamo Mphelaは、かなり変わり種で、ミュージシャンでダンサーというか、自作の曲とダンスの動画をネットに上げて、めちゃめちゃ話題になったという、まさに新世代な感じです。音のほうも最新アマピアノにラップかまして、踊るという、、、いやー、サウンドがめちゃカッコいいです。新しいだけじゃないです。

あとこの年は、Beyoncéのディズニーサントラ「The Lion King: The Gift」が出ていて、Jay-Zはもちろん、Kendrick LamarやChildish Gambino、Pharrell、Saint Jhnまどの豪華客演に加えて、Burna BoyやWizkid、Tiwa Savageなどのアフロ勢アーティストやプロデューサーも参加しています。内容は、さすがにというか、かなりしっかり作られていて聴き応え抜群でした。映画は観てません、、、

2020年は、アフロビーツの年でした、、、とか知らなかったくせに書いておきます。ここまで色々調べたり聴いたりして、勝手に言ってます。なぜかと言うとこの年は、主要アーティスト達のリリースラッシュだったのです。Burna Boyは「Twice As Tall」、Wizkidは「Made In Lagos」、Davidoは「A Better Time」、Tiwa Savageは「Celia」、Amaaraeはデビューアルバム「The Angel You Don’t Know」、他にもすっかり影が薄くて忘れていたMoelogoの「Myself」も出てるし、オバマのプレイリストにも入って一気に話題の新世代アーティストRemaのシングル集「Compilation」などが出ています。新世代系では他に、Oxladeという人が「Oxygene」でEPデビューしてたり、Omah Layという人がEPを2枚出してたりします。TemsのデビューEP「For Broken Ears」もあります。Fireboy DMLもセカンド「Apollo」を出しています。、、、自分なんかでこれぐらい知ってるんで、他にもきっと重要作が10こぐらい出ているんじゃないか?と思います。

まず驚くのは、Burma Boyの新譜ですね。あんな大傑作の翌年にもうフルアルバムすか!?、みたいな。まさに脂が乗り切った大トロ状態です。記事によると、「African Giant」がグラミーを取れなかった失意が、このアルバムを作るモチベーションになったとか、、、鵜呑みにはしませんが、一因であることは確かなようで、そんなんでアルバム作るなら、もうずっとグラミーなど取れずに作り続けて欲しいものです。ちょうどこれを書いてるところに、DrakeとThe Weekndが今年のグラミーノミネートをキャンセルしたというニュースが、、、色々変わるかもしれません。

さて、「African Giant」の代わりに(?)賞を取ったのは、超大御所Angélique Kidjoの「Celia」です。皮肉なことに、Burna Boyは彼女のことをリスペクトしていて、「African Giant」の「Different」にもゲストとして招いています。ここで、このAngélique Kidjoの「Celia」も聴いてみました。Tony AllenやMeshell Ndegeocelloなど凄腕が参加のアツいアフリカンバンドサウンドでした。彼女のその前のアルバムは、Talking Headsの「Remain In Light」をアルバム丸々全曲カバーした、タイトルも同じのものです。おもしろいですね!Talking Headsのこの作品が、そもそもアフリカンサウンドに特化したものだったからでしょうけど、こういう企画は非常に興味深いです。内容も、こっちのほうがオリジナルだっけ?って思ってしまうような見事なものでした。

さて、「Twice As Tall」は、前作が音楽面だけでなく、アフリカの歴史や政治を織り込んだ大作だったのに対して、歌詞の内容は個人に向かいます。結果、政治的でもあるんですが、、、音楽面は前作のすべてを引き継いで、全体的にトーンを落として仕上げられています。しかも曲がますます良くなっていて、これは前作を上回る出来ではないでしょうか、いや比べる意味もないか、、、どちらも素晴らしいです!

Tiwa Savageの「Celia」は傑作です。彼女は、Burna BoyともDavidoともまた違う境地で、独自のアフロR&Bという見事なクロスオーバーを成し遂げました。このアルバム、全曲いいしアプローチも多様で斬新ですが、特に「Bonmay」はスゴいですね。最初から最後まで、どの曲も聴き応えがあります。

Wizkidの「Made in Lagos」も傑作です。全曲いいです。内容はぐっと落ち着いて、アフロとカリビアンをしっかり融合させています。少し地味な気もしますが、聴いている時の心地良さはたまらないものがあります。

Davidoの「A Better Time」には驚きです。前の年に7年ぶりにセカンドアルバムを出したと思ったら、もう次のアルバムが出ました。彼の旧ナイジェリアンポップス方式だと、ある程度シングルヒットが貯まらないと出さないはずですが、、、アルバム全体、すごく幸せな雰囲気で、あまりヒット曲がどうの、とか気にしてないようです、、、とは言ってもそれぞれの曲もなかなか良くて、プロダクションもしっかりして17曲もあります。やればできるんじゃん、て感じです。アマピアノなトラックが結構多いです。

さてここでアマピアノですが、名前がまず、いいですよね、「太陽のようなピアノ」って意味みたいです。必ずしもピアノが入ってるわけじゃなくて、鍵盤でジャズ系のコードが入るのが特徴です。最大の特徴は、スリットドラムの一種のログドラムっていう空洞の木製パーカッションの音かな、と。木魚に少し音階がついた感じですね。最初の頃は、こういうリズムの特徴でサウンドは案外スカスカしててジャズファンク初期っぽい感じです。涼しげオシャレな感じです。そのまんまなコンピ名、「Amapiano Volume.1」が出たのは、2016年です。ちなみに2と3は、17年、4と5がが19年に出ています。ジャケは、かつてのフリーソウル系みたいな、セクシーおしゃれ系の安い感じでいいです。

今、話題になっているアマピアノは、この流れから才能のある若い人達が出てきて、アンダーグラウンドで発展させてるあたりのシーンのことだと思います。既に個々で作品も発表されています。おもしろそうなところで、Kamo Mphelaの「Twentee EP」(2019年)とTeno Afrikaの「Amapiano Selections」(2020年)ですかね。Kamoちゃんのは、アマピアノにラップとダンスが乗っかって、アグレッシブでかなりカッコいいです。Tenoくんのほうは、落ち着いた感じでかなり斬新でクールな感じです。しっかり進化してますね、スゴい!、、、今年になって、こういうニューカマーとベテラン勢がブレンドされた「Amapiano Now」という、何のひねりもないタイトルとジャケの、興味深いコンピが出ています。これはかなりお得なコンピで、このジャンルの新旧入り混ざる独特の進化が聴けて、とてもおもしろいし、何と言っても音とリズムが気持ちがいいです。どこか不思議な雰囲気も漂っていて魅力的です。あと、おそらく大音量でかけてもかなりカッコいいでしょうし、ずっと踊ってても疲れなさそうです。自分はもう歳なんで、疲れるでしょうけど、、、そして、これからもまだまだ変化しそうな、というよりどんどん他ジャンルと融合できそうな雰囲気、余白があります。個人的には、スカとかアシッドジャズ、トラップが出てきた時の感じに似てるかなあー、と思います。なんだかんだ言って、ハマります。中毒性あり。

あと、Tenoくんをリリースしているニョキニョキの新興レーベル、Awesome Tapes From Africaが、今年になってNative Soulのデビュー盤「Teenage Dreams」と、DJ Black Lowのデビュー盤「Uwami」を出してます。みんな超ヤングですが、めちゃめちゃ才能ある感じです。Native Soulは、ヤングとは思えないどっしり落ち着いた、ストイックでダークな静けさ漂うエレクトニック作品集で、これもまた傑作だと思います。Black Lowは、不協和音とかリズムチェンジとか、変な音色とか、色々と攻めた内容で、しかもどれもカッコいい!アルバム通して聴いてて、全然飽きないです。アマピアノの未来は明るいです。

アマピアノ・ドキュメンタリーフィルムもあります。「SHAYA !」という30分ないぐらいの尺で、2年前なので既に古く感じるぐらいですが、当時の現場の雰囲気を感じれていいです。YouTubeで見れます。

ちょうどこれを書いてる時に、幡ヶ谷ForestlimitでアマピアノのDJイベントがあったので行ってきました。すごくいい雰囲気で内容も良かったです。こちらはもともと、Gqom中心のイベントだったみたいで、盛り上がる時はやっぱりGqomでした。それで、Gqomも聴いてみました。2016年の「GQOM Oh! The Sound od Durban」というコンピです。クラブで実際に聴いてからだと、大音量を想像できていいです。

かなり話が逸れましたが、逸れてはないですが、、、2020年のアフロビーツ発売ですね。名作がたくさん生まれた年ですが、個人的にはAmaaraeですかね。相変わらず声がスーパーキュートだし、サウンドはオリジナリティ溢れるし、曲もかなりポップです。もう既に、早く次のアルバムを聴きたいぐらいです。

新世代では、まずOmah LayのEP2枚、「Get Layd」、「What Have We Done」、新人言うても、既に多くの要素を含みながらもオリジナリティがあって、完成度が高い上に、リズムやトラックの感じはかなり斬新で、歌もカラッとしててかなりキャッチーです。特に、「Ye Ye Ye」なんて、かなりすごいんじゃないかと思います。

Remaの「Compilation」は、文字通り連発されたシングルを集めたもので、かなり曲がいいです。アフリカン・トラップというか、出るべくして出てきた音楽性だとも思います。結果、Young Thugみたいな感じになるというか、、、あと重要なのは、曲がかなりポップだというところですかね。これは名盤アルバムとして見ても、全然いいと思います。

OxladeのEPは、「Away」がスマッシュヒット飛ばしてリリースされたらしいですが、6曲全部いいのです。やたら気持ちのいいサウンドで、曲もキャッチーです。全部サウンドが似た感じですが、かえって個性を感じさせていると思います。ヴォーカルもスペシャルなヴォイスです。

Temsは、「Try Me」というトラップR&Bがヒットしてのデビューです。それまでのシングルだった4曲は入ってないですが、かなり完璧な出来になっています。

Fireboy DMLの新譜もなかなか突っ走っています。かなり80‘Sテイストが強い、独特のアフロR&Bポップスです。ビリー・オーシャンかフィル・コリンズが歌い出しそうです。もちろん、そこに現代アフリカ感覚がフュージョンしていて、誰も行かない道を全力で進んでいる感じです。しかも、めちゃめちゃ出来がいいんですよね、、、気持ちのいいサウンドです。

これは、ここに入れていいのかなあー、と思いましたが、入れるとしたら間違いなくこの年のベスト、トップに並びます。Pa Salieuのデビューアルバム「Send Them To coventry」です。UKヒップホップですが、本人のルーツ含めてアフリカ要素が強いというか、しかし今までありそでないミックス具合だし、とにかくカッコいいです。少し前にオランダの同じフェスに出ていたんですが、最後だったんで泥酔して落ちてしまい、不覚にも見れなかったんです、、、Sさんに強烈にススめといたので、彼女は見たそうです。「すごーい良かったー、カッコ良かった。シンプルなんだけど今までありそでない感じだった!」らしいです、、、残念、、、

そして2021年です。ベテラン勢のリリースがほとんどなかった中で、Tiwa Savageは5曲入りの「Water and Garri」をリリースしていて、これがまた随分と趣きの違う感じです。失恋の痛みからくるものが中心みたいですが、サウンドの落ち着きぶりと斬新なアフロR&B具合はとても素晴らしくて、彼女の歌もゲストたちの歌も、そして曲もいいです。これはたぶん、彼女の最高作です。一方、Moelogoは、2020年から始まった「Me」、「Myself」に続く「私」3部作EPの最終章「I The」を出してます。彼は10年近いキャリアでありながら、出している作品6枚全部EPという、なんだろう、、、変わったこだわり?Moelogoは、実力は折り紙つきで、作品内容もいいです。ざっくり言うと、フォーキー・アフロR&Bといったところでしょうか。曲の良さ、アレンジ、歌唱すべ完璧なんですけど、クセがないというか引っかかるとこがないんで、好きでも嫌いでもない感じです。

今年はやっぱり、前述のAwesome Tapes From Afrikaからの新人2つ、DJ Black Lowの「Uwami」とNative Soulの「Teenage Dreams」が良かったです。アマピアノですね。コンピの「Amapiano Now」も良かった。もうすぐ出る、Teno Afrikaのセカンドも楽しみです。アマピアノダンサー、Kamo Mphelaの新作EP「Nkulunkulu」も出てて、前作とそんなに変わらないですが、曲とサウンドはますますカッコよくなっています。

Joeboyのファーストアルバム「Somewhere Between Beauty & Magic」は、かなり良かったです。この人の音は明るくて、愛のことばかり歌っているようで、ヘヴィー&シリアスさはないですが、このアルバムの曲の良さと曲ごとに違うアプローチ、特にリズムの種類はバラエティに富んでいます。かなりの才能じゃないでしょうか。Kamo Mphela、Oxlade、TemsはみんなEPですね。ちょっと変わったところで、Emeka Ogbohという人の「Beyond The Yellow Haze」は、かなり良かったです。変わり種の音響アマピアノって感じですかね。

と、ここまで書いてきて何なんですが、アフリカにハマって色々聴いているうちに、どんどん視界が広がったのか、調べ方が上達したのか、ここ10年ぐらいのもので、どんどんスゴいいいやつ、紹介したいやつが増えてきて、今まで書いたやつの10倍ぐらいになってしまったので、ここは一旦ストップします。まだ自分なんかでは、アフリカは書ききれません。ヒップホップもおもしろい人達が沢山いるし、アマピアノもKabza De Smallとかはリリースが膨大だし、ウガンダのレーベルNyege Nyege Tapesもアツいです!

自分のこうしたアフロビーツへの興味は、すべてはDatPiffにあったBurna Boyのファースト「L.I.F.E」から始まりました、、、と考えると、何だかおもしろく感じます。だって、DatPiffには他にはほとんどアフロビーツは載ってないから、、、



62位、LANA DEL REY「NORMNA FUCKING ROCKWELL!」(2019年、SINGER-SONGWRITER)、Taylor Swiftと共に白人寄りの雑誌では圧倒的な人気を誇る印象です。他のアルバム含めてなるべくフラットに何度か聴いてみたんですが、やっぱり特にどうということはない。嫌いでもないというか、その判断までも届かない感じです。今年になって両者とも、St Vincentもフォーク、カントリー寄りの灰色なアルバムを出していましたが、その中ではこのLana Del Rayの「Chemtrails Over The Country Club」が1番良かったです。



61位、THE-DREAM「LOVE KING」(2010年、R&B)、とにかくポップです。R&Bがすごいポップだと80’sの香り(特にプリンス)がします。ここまでポップ尽くしだとちょっと気恥ずかしいというか、、、ちなみにRihannaが歌う「Umbrella」は超大好きです。アルバムとしての質量がヤバいです。他の作品も聴いて見ます。この「Love King」もそうですが、「Love/Hate」とか「Love vs Money」とか、やたらタイトルがラヴってます。ラブソング原理主義ですかね、、、まずは大ヒットデビューアルバム「Love / Hate」、プリンス度高め。これもまたヤバい質量です。こっちのほうが好きかな。次にDatpiffにあった「It Was All A Dream : Nest Of」(2009年)という、おそらく他人にあげた曲や客演中心のDJミックスというお得なやつ。Kanye WestやJamie Foxx、Rihanna、LL Cool J、Lionel Richie、Mariah Carey、R. Kelly、T.Iあたりの名前が並びます。ポップ度一層高く、盛り上がりっぱなしの楽しいミックスです。これはいいですねー、1番いいんじゃないかな、、、他にも09年「Love vs Money」、11年「1977」(まさかプリンスを意識したタイトル?)、どちらもやはり質量スゴいです。若干アダルティに穏やかになった感はありますが創作完成のテンションは高いです。13年の「IV Play」はいつにも増して豪華ゲストでよりアダルティに作られたヒット作で、これまた底力というか盤石な作品でした。15年に「IAMSAM」というサムクックのカバーアルバムを出していて、今更どんなんだろ?とちょっと期待して聴いてみたたら、サウンドがマジ完コピに近い、思いっきり趣味盤でした。意味わかんないス。

といったところで、いちおう最新作系も聴くかーと思ってたところ、「Sextape」なるものが18年に「Vol. 1, 2, 3」がまとめて、20年に「Vol. 4」が出てて、、、ついに量までプリンスの影響が、、、とか思っちゃいましたが、内容的には質が全然落ちないどころかしっかりトラップとかも取り入れながらも、自分が影響を与えたであろうThe WeekndやMiguelの逆影響を受けてるんじゃないか?と思えるような柔軟なところもあり、それでいて相変わらず細かくしっかりした作りで量も増しているというすごい状態になっています、ヤバいです。何度か聴いてみましたが、このシリーズかなり傑作じゃないか、と思っています。



60位、SOPHIE「OIL OF EVERY PEARL’S UN-INSIDES」(2018年、BUBBLEGUM BASS)、この人もまた紛れもない天才でした。自分は先に2015年の編集盤「Product」を聴いた時、その音感覚に驚き感動しました。コレはえらいことになってるなやーって。そして唯一のアルバムになってしまったこれはもう圧倒的な内容です。これほどの衝撃作は滅多にないんじゃないでしょうか。もう新作が聴けないという意味では、Lil Peepと並び残念すぎます。


59位、FREDDIE GIBBS & MADLIB「PIÑATA 」(2014年、HIP HOP)、通称「MadGibbs」のこの作品を聴くまでFreddie Gibbsのことは知りませんでした。最初にこれを聴いた印象では、すべて古いタイプの上手いラッパー、て感じで作品自体は特に新しいものはない、と。それとは関係なく、最初から最後まで全編やたらカッコいいです。多作なMadlibがアルバム全部をラッパーと組んだのは、MF Doomとの10年前の傑作「Madvillain」以来というのも意外ですが、ラップ無しのトラックだけで成立する、複雑で独特な作品を作り続けたMadlibの曲にアルバム単位でラップできる人なんて、そうそういないかー、とも思います。では、Gibbsはどうなのか?たぶんこの作品が発表されるまでに、こんなに上手くいくと思った人はあまりいないのでは?後で知るんですが、Gibbsはこの時別に新人というわけではなく、2009年に「Midwestgangstaboxframecadillacmuzik」と「The Miseducation of Freddie Gibbs」、11年に「Cold Day In Hell」12年に「Baby Face Killa」と、いずれも名作ミックステープを発表しています。しかしラップのスタイルはあくまでも、オールドクラシックな感じで、それはこの「Piñata」でもそんなに変わりません。じゃあ、なぜそれがこんなに上手くいってるどころか、最高に相性がいい素晴らしい作品になっているのか?、、、自分には皆目見当もつきませんが、、、個人的には、「shitsville」が1番シビれた曲です!他にも、新旧入り混じったゲストラッパー達の効果も程良くて、色々な角度で完璧なヒップホップアルバムになっていると思います。

ここで「Madvillain」ですが、MadlibとMF Doomのことを書き出すと、たぶん半年以上かかってしまうので、そこは完全に割愛して、、、このアルバム、今聴いてもなお、というか今聴くと、余計に新しく感じられるぐらいの内容です。今聴くと、異様さが浮き彫りになるというか、、、とにかく両者キレキレで、情報が多くて緻密で実験性に富んでいて、そして超カッコいいです。終わり。

Gibbsはこの作品の後も、色んなサウンドスタイルで名作を次々と出し続け、すっかり株を上げ、、、このMadGibbsタッグ、5年後に続編「Bandana」が出ます。「Half Manne Half Cocaine」の前半が、なんとトラップで驚くんですが、それ以外はまあ、ほとんど前作と同じですが、お互いより強く結びついている感じと、おそらくヒップホップ状況が大きく変わったんじゃないか、と思います。いちおう3部作らしいんで、もう1発あるってことでしょうか、楽しみです。

現在、2人の最新作は、Madlibは2021年のFour Tetとのコラボという意外なプチ話題作「Sound Ancestors」、Gibbsは、20年のThe Alchemistとのコラボ作「Alfredo」ですかね。「Sound Ancestors」は、かなり広範囲に渡る音楽ジャンルと時代からサンプリングして作られた、いつものMadlibのトラックにFour Tetがミックスやアレンジを施している造りなんですが、聴いていると、「自分は今、一体何を聴いているんだろう?」という妙な気分になってきます。手の込んだDJミックスを聴いているような気もしますが、もっと人の頭の中というか、音楽マニアの夢の中にいるような感じです。「Alfredo」では、Alchemistのトラックが、Madlibともまた違った相性抜群さで、かなりいい内容です。前からそうだったかもですが、ここ最近のAlchemistのトラックは、エレキギター頻度が高くてとても好みです。



58位、BON IVER「BON IVER」(2011年、INDIE FOLK)、1曲目から最高のカタルシスがあります。パット・メセニーのようでもあり、プログレのようでもあります。声が素晴らしいのは勿論、ホーンもいいです。そして、何かが斬新です。盛り上がるとこは盛り上がるんですが、全体的な印象は静的で内省的です。これはまるでサイケ名盤。

これはセカンドアルバムですが、ファーストもフォーク名盤です。友達とやっていたバンドがダメになって、山小屋で基本1人で録音したっていうエピソードがぴったりです。フォークだけどヴォーカルが異常で、ほとんどゴスペルの域でシンプルでありそうだけど、他にはないような音楽になっているという傑作になっています。ファーストとセカンドの間に、「Blood Bank」という4曲EPがあるんですが、これもいいんです。特に、カニエのアルバム参加のきっかけになったという「Woods」は、オートチューンヴォーカルの多重アカペラで、斬新かつ美しくて神聖な感じで、とんでもない曲です。

ファーストの時期は、知り合いたちのバンド?ユニット、Volcano Choirにも参加していて、Blood Bankと同じ2009年に、ファーストの「Unmap」が出ています。内容は、ラリってセッションしてる感じかな、、、

セカンドは、そうした仲間たちと共同作業もあってか、かなり多くの人が関わってる感じで、音もそういう多人数な感じで、音楽性も曲ごとに違うジャンルなぐらい多様なんですが、すごいのはおそらくJustin Vernon(彼がBon Iverなのです)の細部のこだわりと、何と言っても彼のゴスペルシングで、ファーストにあった孤独感や静謐感が全く失われてないどころか、下手したら増大しているところです。こいつはたまげた大傑作盤です。

セカンドの後は、まず存在が謎な「iTunes Session」(2012年)があります。これは全然良くないです。次に、Blind Boys Of Alabamaという盲目の黒人コーラス隊のアルバム「I’ll Find A Way」(2013年)に参加したりしています。これはまあ、参加しているって感じで、全然目立ったところはないです。ディランの名曲「Every Grain Of Sand」とか歌っています。同じく13年は、Colin Stetsonという異能サックス奏者のアルバム「New History Warfare Vol.3:To See More Light」にも4曲ほど参加しています。この年は、Volcano Choirのセカンド「Repave」も出てて、かなり多作な年です。

サードアルバムは16年の「22, A Million」で、その特異なヴォーカルを生かしつつ、サウンドがかなり大胆に実験的になって驚きます。かなり驚きます。これまた他ではちょっと聴けないような音楽で、しかもセカンドと同じように大人数で色んな音楽要素を含む大作志向になっています。

そして、19年の「I, I」では、更に大人数と実験、エレクトロニック要素とゴスペル要素を強めながらも、すべては有機的に滲み込んで落ち着いているような、新生物的な感じがあり、感触的にはファーストの雰囲気に戻ってるような妙な気持ちになります。そう思ってまたファーストから聴き返し、そして、こんなに変わったのに何も変わってないのかも、、、、と思うのです。

このように現在までのBon Iverは、広義でフォークだと思います。壮大なフォーク。もはやジャンルに意味はありませんが、、、そして、どのアルバムも聴くと「ああ、やっぱりコレが最高だなー」と思わせる良さと説得力を持っています。どの作品も、音楽をクリエイトすることの素晴らしさと可能性を叩きつけてきます。次の作品が本当に楽しみです。



57位、STURGILL SIMPSON「METAMODERN SOUNDS IN COUNTRY MUSIC」(2014年、COUNTRY)、カントリー、アメリカでは想像つかないぐらい根強くポピュラーなジャンルみたいですが、自分はまだ、、、たまに映画などを通して、ディープな部分や狂い具合に触れて、おおっと思うことはあるんですが、、、日本も昔、カントリーが結構流行った時代があるんですよね、ちょっと違うかもしれないですが、、、ちゃんと聴いたカントリーアルバムは今のところWEENだけです(ウソ)。この人、最近自分のレパートリーをブルーグラス化したアルバムを2枚出してましたが、それを聴いてみてもやはりそんな好きとかじゃなかったです。


56位、KAMASI WASHINGTON「THE EPIC」(2015年、JAZZ FUSION」、好きなジャズはいっぱいあるけど、こういうジャズには全く興味が出ないです。


55位、JAPANDROIDS「CELEBRATION ROCK」(2012年、GARAGE ROCK)、ドラムとギターヴォーカルの2人だけの超シンプルな超普通のロックで、でもギターをベースアンプにも通して低音を得たり、インタビューでどうして2人だけなのか?みたいな質問に「友達がいなかったから」とか答えてたり、自分が20代の頃だったらアツくなれたかもです。今は特にそういうことにはなりませんでした。


54位、GROUPER「RUINS」(2014年、AMBIENT)、この記事を読む前から知っていた数少ないアーティストの1つです、、、知っていたけど、「声を使ったアンビエントドローンの人」ぐらいの認識でした。まあ、それは当たってはいるんですが、、、自分は本当に初期の音源しか知らなかったので、この「Ruins」はビックリしました。極限まで静かなピアノ弾き語り、、、いちおう彼女のディスコグラフィーを順に聴いてみます。

05年の「Way Their Crept」や「Grouper」は、声とエレキギターを使ったディレイ、エコー多用のアンビエントドローンです。基本的には、1コードか2コードでずっと同じ雰囲気のままかな、と。06年「Wide」では、ギターのリフやヴォーカルのメロディーが判別しやすくなるだけでなく、実際に作曲もギターポップやドリームポップ、ソフトロック寄りになっていて、まるでブートのシド・バレットのライブ盗み録りを聴いてるみたいです。

こういうエコー過剰な弾き語りと言えば、Simon Finn「Pass The Distance」(1970年)やMIJの「Yodeling Astrologer」(1969)などのアシッドフォーク名盤を思い出します。「Wide」では、音が一本調子ではなくてギターもエレキ、アコースティック両方使ってるし、既にピアノも登場します。川の音も。このアルバム、すごくいいと思うんですが、本人はBandcampにも載せてないですね。事実上、廃盤ってことでしょうか、、、

彼女の場合、特筆すべきは、その過剰なエコー処理にあります。こう書くと、今度は灰野敬二さんや裸のラリーズを思いつきます。でも、このへんの時期を考えるとフリーフォークブーム真っ只中なので(自分はほとんど聴いてないんで全然知らないんですが)、同時代影響みたいなものは確実にあると思います。こういうことを書くと、つまらない音楽の謎解きみたいですが、いくら謎を解こうとも、彼女の音楽は、例えば「こういうものを聴きたいなあ」と思っても他にないものです。そしてとても美しいです。

07年「Cover The Windows And The Walls」も、雰囲気と造りは依然として同じです。作曲がよりポップになったかな?って感じです。実際かなりいい曲があります。彼女のこれまでの仕事が1番成功した極めて美しいアルバムが、08年の「Dragging A Dead Deer Up A Hill」です。作曲と歌とアコースティックギターがより聴こえるようになり、ほとんどアシッドフォーク桃源郷のようになっています。こうやって流れで聴いていくと、感動的です。

めずらしく、3年もたった2011年に「AIA」という、「Dream Loss」と「Alien Observer」という変則2枚組をリリースします。2枚を比べる必要は全くありません。ここでは、前作の歌、曲的な要素も帯びながらも全体的には初期の作品のようなドローンになっています。戻ってるわけではなく、これまでの実験的集大成な大作だと思います。これは、またしても傑作です。

翌年の12年には、またまた別売り2枚組の作品「Violet Replacement」が出ます。今までの彼女の作品の中でも1番アンビエントドローン路線に踏み込んだものとなっていますが、これはさすがに退屈ですかね、、、アンビエントドローン・ファンにはたまらないかもしれませんが、、、13年の「The Man Who Died In His Boat」は、既にクラシックとなった「Dragging A Dead Deer Up A Hill」の未発表曲集らしいですが、、、マジですか、これは同等かそれ以上の代物じゃないですか、なんてこった、、、これらを作った時が2008年かそれより少し前だとして、発表せずに5年間放置してたってことですか、、、いるんですよねこういう人、その時本人がまとめた作品より、後に聴かれる未発表曲たちのほうが良かったりするワケ分からない人。ボブ・ディランっていうんですけど、、、個人的には、この「The Man Who〜」の存在が、彼女と他の似たタイプのアーティストたちとの差を、何光年も引き離す理由になるんですが、、、いやー、スゴい人ですねー

そして、いよいよ14年の「Ruins」は、深い霧のようなエコーが消えて、細かい音響は実際に周囲で鳴ってる音のバランスを取り入れ(てるように聴こえる)、今までにないぐらいハッキリとピアノ弾き語りでありながら、手法的には決して新しいわけではないんですが何かが先鋭的であり現代風であり特殊でもあります。そして非常に美しい作品です。

孤高のように感じられるGrouperことLiz Harrisは、意外と他の人とのコラボや別名義も積極的で、かなりの作品を残しています。いくつか聴いてみます。まず、

11年にLawrence Englishとの「Slow Walker」、コレです、自分の持っていたGrouperのイメージ。限りなくどうでもいいことですが、友達でもあるLawrenceから聴かせてもらっていたんで、、、LawrenceのレーベルRoom40からは、EP「Hold/Sick」も出てますね。テニスコーツも出てるんで、自分とGrouperはレーベルメイトだ!あ、ちなみに内容は、延々と暗黒系アンビエントドローンです。

12年にTiny VipersのJesy Forentinoとのコラボ、Mirrorringの「Foreign Body」、全6曲ですが曲によってどちら寄りかの曲や、同じぐらい融合してる曲、長尺な曲、など2人でできるパターンは全部やった上で、全体の統合性を持たせてる感じです。

13年に、Jefferson Cantu-LedesmaとのRAUMで「Event Of Your Leaving」、ホーリーでエンジェリックなドローンですが、いつものような独特のくぐもった感じではなく、妙に音がクリアでちょっと驚きます。そういう意味では非常に興味深い作品だと思います。モロにラブレスな音と、サイモン・F・ターナーな音があり、後者がすごくいいです。

懐かしのローファイ・バンドユニット風、Helenは2015年にアルバム「The Original Faces」をリリース。コレは自分はそんなに好きじゃなかった。

18年の「Grid Of Points」もこの路線ですが、こちらは声の多重によるハーモニーが多用されていて、ムードが少し明るくなった印象があります。

18年に「RA.621」というGrouper本人によるDJミックス的なものがあるんですが、それを聴くとまるでGrouperのアルバムを聴いているように感じられて驚きました。意図的でもあると思いますが、ここまで聴いて好きなものと作っているものの一貫性みたいなものがあるとは、、、ちなみにこのミックス、とてもいいです。今年の10月に新譜が出るみたいですね、楽しみです。


53位、TAYLER, THE CREATOR「FLOWER BOY」(2017年、HIP HOP)、日本でも比較的有名で日本語の記事も多々あるだろうから、彼のことやOdd Futureの説明をするのは避けて、アルバムをざらっと聴いていくだけにします。まず彼のキャリアのスタートとなるOdd Future「The OF Tape Vol.1」、面子はまだMellowHypeとHodgy Beats、Casey Veggiesぐらいです。Earl Sweatshirtは事情があってサモアにいる時期かな、、、ユーモアと遊び心とアイデアが溢れていて独特でカッコいい音世界は既にバッチリあって、個人的にはミックステープクラシックだと思っています。そして09年にソロのミックステープ「Bastard」です。既にTyler節炸裂で名作です。彼の寸劇的な要素はそんなに好きじゃないんですが、、、それを差し引いてもとてもおもしろくて謎でカッコよくてアイデアとバラエティに富んでます。

Frank Oceanなど、徐々におもしろいアーティスト達も加わり、10年にOdd Futureの「Radical」が出ます。まあ基本的に前作と同じようなノリです。Sydも制作のほうに関わっています。そして11年に最初のスタジオアルバムの「Goblin」が出ます。増えていった関係者はほぼ登場してますが、この時もまだEarlはサモアにいて参加してません。このアルバムは、Tylerの愉快な才能豊かな変態性が炸裂してて、何でもアリ的な雰囲気がありつつもそれぞれの曲の出来も良くて、全体的には才気走ったかなり手応えのある作品になっています。

12年にOdd Futureの「The OF Tape Vol.2」が出ます。そして13年にソロの「Wolf」なので、この時期のTylerがいかに並行してソロとOFを進めて、良く言えばまとめて、悪く言えば利用していることが分かります。相変わらず(今となっては)豪華な面子でいっぱい遊んでる贅沢感があります。なんとなくですが、ヒップホップ超初期の楽しい感じがします。

「Wolf」、「Cherry Bomb」、そして今回記事で選ばれている「Flower Boy」と着実に名作を連発していて才能を見せつけます。Tylerのソロは全部いいですね。サウンドに比べるとラップは多少飽きてきますが、、、その後は19年に「Igor」、今年出た最新作「Call Me If You Get Lost」があり、相変わらずいいです。前の3つのほうが好きですが。


52位、CARCASS「SURGICAL STEEL」(2013年、MELODIC DEATH METAL)、10年以上の見事な復活劇ということですが、どっちにしろあまり聴かない、、、復活劇も素晴らしいと思いますが、個人的には特に騒がれることなくずっと続けているバンドにも感動します。


51位、JAMIE XX「IN COLOUR」(2015年、UK BASS)、これはもう本当によくできてるアルバムで、幅広い音楽性でありながらどの曲もいいし、クラブで大音量でもカフェで小音量でもいけるという、、、何度聴いても飽きないし、ある意味完璧な1枚で、ソロアルバムはこれしか作ってないのがちょっと不思議なぐらいです。


50位、OZUNA「ODISEA」(2017年、REGGAETON)、ついに半分ですが、今は夏なせいか、ここでレゲトンしか聴かなくなって続きは秋以降とかになってしまいそうになります。自分はとにかく、今回のこの特集のおかげで知ったレゲトン、ウルヴァーノ、ラテントラップ、アフロビーツへの開眼は多大なものがあります。自分の周りにはレゲトンを聴く人は1人もいなくて、レゲエ好きですら聴かないぐらいなんですが、1人で盛り上がるには、さすがに寂しいものがあります、、、

このアルバムは、2012年から60枚近いシングルを出していたという(Wikiでは14年から数枚しか確認できず)彼のデビューアルバムです。その後も毎年「Aura」(2018年)、「Nibiru」(2019年)、「Enoc」(2020年)と名盤を立て続けにリリースしてて、しかもその間にアルバムに入ってないシングルも大量に発表してて、作るペースとクオリティがすさまじいです。今年はAngel AAとのコラボ盤「Los Dioses」を出してて、ちょっとヒップホップ、トラップ度高めです。これはこれでまあまあおもしろい気がします。

49位、ANOHNI「Hopelessness」(2016年、Art Pop)、Antony and the johnsonsのヴォーカルの人のソロです。自分はずっとAntony Johnsonっていう名前の人だと思ってました、、、プロデュースをHudson MohawkeとOneohtrix Point Neverと共同でやってて、より実験的なサウンドに特異なヴォーカルが乗っかります。個人的にはなぜか時々、安全地帯に聴こえる時がありました。


48位、Frank Ocean「Channel Orange」(2012年、Alternative R&B)、この記事に出会う前から持ってたCDはコレとJames Blakeだけでした。個人的には、テン年代のベストアルバムということでは、このChannel Orangeが1位だと思っています。初めて聴いた時の衝撃とサウンドの特異性と中毒性、本人と作品の話題性、色々な意味でとてつもない作品だと思います。次のアルバム「Blonde」も大名盤だし、今でもフリーダウンロードできるCD3枚分の「lonny BREAUX」もド名盤だと思います。これも質量含めてかなり衝撃でした、、、同じ時期に出た「nostalgia, ULTRA」はもはやクラシック、古いカセットを聴くというコンセプトで、ホテル・カリフォルニアのカバー?にはショックを受けました。少し後に出た「unreleased, MISC」もかなりいい内容で、音楽性の幅広さがハンパないです。


47位、Aphex Twin「Syro」(2014年、IDM)、コレが13年ぶりのアルバムか、、、そして今は更に7年たっているのか、、、あんなに「次はどんな作品をリリースするんだろう?」と楽しみにしていた昔、新作が出たのも知らないまま5年もたっていたとは、、、今こうしてAphexを聴いているのが感慨深いというか不思議というか、、、しかも内容的には、これまでの彼の作品を全体的に落ち着いた感じで包括してるような感じです。このアルバムの後は、2015年に「Computer Controlled Acoustic Instruments pt2」という生楽器のエラーみたいなものを利用して構築したような結構シブい試みのEPと、16年に「Cheetah」、18年に「Collapse」というSyro路線の続きのようなEPを出しています。かつての勢いや先鋭性はほぼないですが、一定のクオリティを保った創作はずっと続いているって感じです。

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