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植野DatPiff日記21プレイボイカーティ

Playboi Carti、プレイボーイという名前の通りルックス良しで、モデルもやってます。自分の価値を分かって、的確な努力とコントロールができるタイプです。自分なんかとは、絶対に友達になってくれなそうなタイプです、チクショー。でも、発表する音楽は本当に素晴らしいです。

と言っても、現在までに発表した作品は、アルバム単位だと2つしかありません。商業ミックステープである「Playboi Carti」と、スタジオアルバム「Die Lit」です。「商業ミックステープ」とか言って、自分にはもはや意味がよく分からないんですが、DatPiffにはなくて普通に販売状態です。逆にDie Litは、DatPiffにストリーミングだけですがあります。

しかしDatPiffには出所不明のカーティの音源が結構あります。6曲入りの「Whole Lotta Red」、これは出る出ると言われてなかなか出ない最新作のタイトルですが、もちろん違います。じゃあ何なんだ?と聞かれても、全然分かりません、、、あと7曲入りの「Red」、3曲入りの「The Omen」、これはトラヴィス・スコットとのEPですかね、、、あと3曲入りの「Fetti」っていうのもあって、3曲中2曲はThe Omenと同じ曲のようです。

2019年にアップされた「Whole Lotta What」っていう16曲入りのやつもあって、これなんかは最新アルバムに近い内容なんじゃないか、と思います。Lil Uzi VertとA$AP Rocky、Young Nudyとの共演曲やLil YAchtyがゲストの曲、Tripple Reddがゲストの曲が3つ、Lil Uziは違う2曲にもゲスト、Young Thugもいたりして豪華です。トラックのほうも多少ごちゃごちゃしてる印象ですが、どうやらほぼPi'erre Bourneのようです。これらの曲のどれかが新作に入るのか、はたまたすべてボツになるのかは全然分かりませんが、、、たぶん後者じゃないかな、と。内容は素晴らしいんですが、最新シングル「@MEH」を聴いた限り、サウンドが更に先を行ってそうに思えたので。

Cartiの音っていうのはPi'erre Bourneの音で、この人のトラックっていうのがまた、今までのグレイト・プロデューサー達が作る音達とまたひと味違う上に、心地よくて新しさがあってカッコいいっていうのが特徴です。つまり最高の部類に入ります。

Cartiも、この人と出会ったからこそ気合いが入って、相乗効果と化学反応みたいなものも起こって、傑作を生み出したのではないでしょうか?2枚とも、どちらも同じぐらい良くて、シングル的なキャッチー要素もあるし、ラップもトラックも斬新という内容です。どちらも最高です。

これは当然、最新作にかなりの期待が持てるんですが、、、まだ出ていないようです。ほとんど出る出る詐欺です、、、

で、DatPiffにはもう一つ、出所がハッキリしないけど、16年にアップされた「In Abundance」っていうのがあって、これは何と!45曲も入って全部で2時間にも及びます。実は自分は最初にこれを聴いて、非常におもしろく感じ、興味を持って他の作品を聴く気になったのです。

アップされた時期を見る限り、最初の正式リリース「Playboi Carti」に辿り着くまでのカーティとボーンの試行錯誤の記録、といった感じでしょうか?でも、「Broke Boi」とかシングル曲(最高!)も入っています。全体的に実験色に溢れていて、めっちゃ好みな感じです。これはもう本当に、聴いててずっとおもしろい、カッコいい上に量がごっそりあってクオリティもブチ高いお得な1枚(もしくはCD的には2枚)です!

ではここで、キーパーソンというか、ほぼサウンド面の相方であるPi'erre Bourneも聴いてみました。16年頃から、Young NudyやTrippie Reddにトラックを提供しだして、翌年の17年にカーティと出会うようです。

Pi'erre Bourne本人の音源っていうのは、どうやら15年に出したミックステープ「King Of The Hill」というやつで、インストじゃなくてボーン本人のラップによるアルバムになっています。まだ、トラックには、あの独特なストレンジな気持ち良さ、まではいかないですが、それでも曲の途中で延々とシンセ逆回転になるような実験性や全体に漂う浮遊感は既にあります。普通の青春っぽい感じもあります。

ラストの「Outro」は、6分半近くある浮遊感のあるスローなR&Bで、途中でラップが入ったり展開したりで、かなりの力作でした。全然アウトロじゃない!

そして16年から「The Life Of Pi'erre」という、いかにもライフワークっぽいシリーズが始まります。19年発売のVol.4ではついに!スタジオアルバムでデビューってことになっています。

ボーンは自分の声には、結構オートチューンをかけてラップしたり歌ったりしていて、このシリーズから、リズムもトラップの感じが入ってきています。

ところで、、、こういう、自分でトラック作ってラップも歌もやってソロを出す人って、他人に提供しているトラックの基準ってどうなってるんだろう、、、とっておきは自分用なのか、それともよりヒットの可能性が高い人に出すのか、それとも何らか基準があって、自分用と他人用には明確な違いがあり、特に悩んだりせずにどちらも全力を尽くしているだけなのか、、、あるいは、もともと深く考えてなくてそのタイミング、タイミングでできてくるものを順に出してるだけなのか、、、

このThe Life Of~シリーズを聴いていると、何となくですが自分のところでは色々試してみて、その成果を他人に出しているのかな、という印象です。全然過激とかじゃないんですが、曲途中の速度変えやちょっと変な音のスネアがあったり、ホーンやピアノ、アコースティックギターなどの生楽器の音があったり、あと若干ポップス曲寄りなものがあったりします。「2」の「Solodolo」の水のようなリズム音なんかは、かなり斬新でおもしろいと思います。ちなみに、この「2」だけなぜかDatPiffでフリーDLできます。

「3」になると、サウンドもラップも、かなりカーティのアルバムの感じに寄ってきます、、、って逆ですけど。キャッチーラップ的な感じもあって、トラックも女性の声をバッキングに使った「4 Your Eyes Only」とかかなりいいです。

「4」の前にCardoとのコラボアルバム「Wild Adventure」が18年に出ます。ジャケの雰囲気そのままに、仲良し2人組のピースで穏やかなサウンドとラップって感じです。全体的に何となく祝福感も漂っています。ぬるいっちゃねるいけど、こういうのもいいよねー、て思います。

そしていよいよスタジオアルバムのデビュー盤「4」が出ます。ますますカーティの感じに寄ります、って逆なんですが、、、さすがに気合が入った雰囲気で、1曲目「Poof」からもう、落ち着いた冷ややかな浮遊感トラックが流れ、続く「Try Again」もいい曲で、、、ところでこの「Try Again」と9曲目の「Romeo Must Die」って言葉でアリーヤと何か関係が!?って思うのは僕だけでしょうか?

ラップも頑張っているんですが、悪いとかじゃないんですがオートチューンもかけてしまって、どうにも没個性で何も引っかかってきません。トラックとか含めて全体の出来もすごくいいんですが、特に突出してたりおもしろいところがあるわけでもないので、結局は地味な印象になってしまってる残念さがあります。個人的には、せっかく凄腕プロデューサーのソロでメジャーデビューってことで、何か世に仕掛ける部分が欲しかったなあ、て思ってしまいます。

今回の、激お薦めのDatPiffにある作品は「In Abundance」なんですが、正式リリースアルバムの2枚も少し。

自身の名前そのまんまがタイトルの17年「Playboi Carti」、1曲目「Location」が始まった瞬間からもう、何か新しいことが始まったような感触があります。本当にそういう素晴らしいサウンドです。ラップのスタイルも、メロディアスとは違う意味でキャッチーです。そしてそのサウンドとラップが合わさって、新しくてキャッチーでカッコよくて気持ちもいい音楽なのです。2曲目がヒット曲「Magnolia」で、これもまた同じように素晴らしい。3曲目「Lookin」も同じように、、、といった具合に、結局全曲いいというスーパーグレイトなアルバムです。

18年「Die Lit」も最初の「Long Time(Intro)」からもう世界が広がって、数秒で名盤を予感させるヴァイブが溢れます。そしてその後は予感通りカッコよくてかつキャッチャーなグレイトトラックが次々と並びます。個人的には「Right Now」のシンセリフがスーパーキャッチー最高なのと、「Poke It Out」のこれまた素晴らしいシンセリフ組み立てに「ポグラ、ポグラ!」って言ってるだけみたいなものは、たまらない快感度最高です。

スタジオアルバムデビューなので、ゲストも豪華で盟友Lil Uzi Vertはもちろん、Travis Scott、Nicki Minaj、Chief Keef、Gunna、Young Thug、Young Nudy、グライムのSkeptaなんかもいます。スタジオアルバム・デビューにして、最高傑作の風格を備えた作品です。

もうすぐ出る、はずのアルバムに多大な期待が寄せられるのもしょうがないですが、個人的にはこの2人の実験精神が詰まった「In Abundance 2」みたいなものも出ないかなあー、と思ったりもします。

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