植野DatPiff日記28FACT誌の2015年ラップアルバムベスト20

FACT誌「The 20 Best Rap Albums of 2015」

色々な雑誌の年間ベストで、Factは群を抜いて独特です。基本メインジャンルがテクノのせいか、他の雑誌のような幅広いジャンルに対する配慮もないし、ポップスの世界ともほぼ無縁で、ハイプ一切無しで小気味がいいです。

自分はそういう偏見に満ちた愛のある雑誌、記事が好きです。もともと日本の雑誌を読まなくなったのも、(当時で)どの雑誌も褒めるもの、作品がどの雑誌もタイミング含めて同じになり、どれを読んでも面子が変わらなくなったからです。それなら無料のbounceだけでいいかな、て思って、てこれはみんなそうだったんじゃないかと思ってるんですが、、、ギターマガジンだけは特集によっては買ってたぐらいかな。

ネットだと個人の感想ブログみたいなのが1番おもしろいです、今だとnoteか。特に全然売れてないやつを紹介する人の、長文のアツい文章はシビれます。

そのFactが、なぜか2015年だけヒップホップの年間ベストを特集してて、これがまた自分にとっとってはとんでもないもので、ぜーんぜん知らないし、知っててもめちゃめちゃ人気ないやつだったりして最高です。

というわけで、20位から、、、


20位、Sauce Twinz「Don’t Let The Sauce Fool U」、いきなり知らないです、、、DatPiffに、15年にSosamannって人と作った「Sauce Theft Auto」と20年発表の「Lost I’m the Sauce」がありました。

Sauce WalkaとSancho Saucyの、ユニット名の通り2人組です。拠点はヒューストン。同じ地域のDrakeには中指を立てているようです。アトランタ好きみたいで、なるほどサウンドは完全にトラップです。実際に、アトランタのミュージシャン達とも交流が深いようで、曲のゲストにもMigosとかいます。

Sauce Walkaのほうが活動的なようで、Twinz含めると14年から平均年2枚ミクステを出しています。いわゆるスタジオアルバムは出してません。名前にもアルバムタイトルにも必ず登場する「Sauce」は、本人のインタビューによると、宗教のようなもの、生き方、のようです。

聴いたのは上記の3枚ですが、どれもよくできているトラップで、どれも曲数が20曲前後のヴォリュームがあります。良くも悪くも15年の作品と20年の作品の間にはサウンド的な違い、変化はありません。

2015年の記事を読んで2021年にこんなこと言うのはアンフェアで心苦しいのですが、トラップにハマり出した頃に聴いていれば間違いなく愛聴盤になっていたと思いますが、バラエティはあれども今聴くとどれも既視感のあるトラップ曲群なので、あまり聴かないかなー、て感じです。


19位、Denzel Curry「32 Zel / Planet Shroom」、名盤を連発しているフロリダのアーティスト。日本語の記事も結構あります、、、とか書いて実は自分は「ZUU」で知って数枚遡って聴いてただけで、この作品まで聴いてませんでした。

なので、こういうジャケとサウンドがサイケデリックな感じが意外でした。これは、EP2枚組というコンセプトらしく、トリッピーなDenzelと怒りのDenzelに分かれているようです。こういうのはVince staplesのSummertime 06を思い出しますが、個人的にはフィジカルだと、ただの資源の無駄と聴きにくい、て思っています。

この作品は、かなり才気走っています。サイケが才気走る感じです。これで2作目だから、当時さぞかし有望視されてただろうなあ、と思います。そして、彼はそれを見事に応える、上回っていくわけですが、、、しかしこれもかなりいいですね。

折角なので、13年に出たファーストの「Nostalgic 64」も聴いてみました。なるほど最初からサイケデリック感覚はあったわけで、しかもこれからもっと手を伸ばしていける色んな可能性が見えるような内容になっています。うーん、コレがファーストってのはスゴいです。

この流れで16年の「imperial」を聴くと、まとまりとカッコよさとキャッチーさが加わっていることに気がつきます。そして普通っぽくなったところも、、、

世に出るきっかけとなった超初期のミクステ、「King Remembered Underground Tape 1991-1995」、「King of the Mischievous South, Vol. 1」、「Strictly 4 My R.V.I.D.X.R.Z.」の3作も聴いておかねば!、と思いました。幸いなことに、3つともDatPiffにあります!

思った通り、荒くて混沌としてます。できることを何でも詰め込んでる感じですが、これが後のサイケデリック感覚につながっていくのかと思うと興味深いです。スクリュー感に溢れていて、何度もゴジラの鳴き声と「smoke」と言う声が聴こえます。何なんだろなコレ、、、ラップはかなり少なくて、音はどんどん変わっていったり変な感じになったりします。なんだか学生の自主映画のような、、、音のコラージュ作品のような、、、もはやあまりヒップホップのアルバムって感じでもなく、思ってたよりかなりおもしろかったです!

このミクステ3作をこうして聴けただけで、もう今回は得をした気分です!


18位、Bricc Baby Shitro「Nasty Dealer」、全然知らない人です。ジャケがエグいですね。名前はBricc Babyだけでもいいみたいです。LA生まれのアトランタ育ち。

このミクステ、DatPiffでの再生回数が11,813でした。いくつかあるうちの1番多いほうです。必ずしもDatPiffの回数が、イコール全体の人気というわけでもないですが、それにしてもそう多くないような、、、ラップもトラックも幅広く一通り18曲あって、パンパンな作品です。最後のBrodinskiのトラック「51 Bands」はちょっと異色で、でも1番良かったです。

もとはマネージャー業からスタートしたみたいで、既にYoung ThugやPeewee Longway、Kid Inkなどとは交流があり、Casey Veggiesのツアー運転手をしている時にフリースタイルのやり方を教わったとか。

次の年に出た「 2」は、その人脈をフルに生かして、21 Savage、Chris Brown、Gucci Mane、Fetty Wap、Young Thug、Kid Ink、Lil Durk、Ty Dolla $ignなど、もう本人いなくてもいいんじゃね?ってぐらい豪華なゲストがいます。

そのせいか内容は、一層バラエティに富み、完成度も上がり聴きやすくなって、それ故になんだかつるんとした印象も受けます。キャッチーにはなったけど、聴きどころや個性もなくなった感じです。個性はもともとなかったかもしれませんが、、、


17位、OG Maco「15 EP」、うーんこれも知らない人です。アトランタのラッパーで、サウンドはアトランタらしく様々なトラップですが、時々トラップにとどまらないオリジナルな感触があります。ラスト2曲は、かなり壮大でストレンジなロマンティックなトラックでした。このヴォリューム、11曲40分でもEPとは、、、

大ヒット曲「U guessed It」で華々しく登場したようですが、曲自体は本人はあまり思い入れがないようで、そのシングル曲を含む14年の「EP」、、、ってコレ、15曲入りなんですが、、、で既にイメージを払拭しようとしてるのか、オレはもっと色々できるんだぜ、と言いたいのか様々なタイプの曲があります。シングル曲を含めて、スカスカしてて変な感じでおもしろいです。

全編に渡って何度も「オジジ、オジジィー!!」と叫んでて、自分のことだと思うんですが、OGだとGが1個多いと思うんですが、何なんだろ、、、?

メジャーのレーベルQuality Controlと契約して、レーベルは「Black Punk Rock Artist」として売り出そうとしたっぽいですが、、、髪は白で逆立ってるし、シャウトしてる曲が多いんでイメージ的には分からないでもないですが、サウンド的にはそういうXXXTentacionみたいなオルタナ感はないです。結局、メジャーとしてのスタジオアルバムは出ないまま、16年に音楽やめる宣言をしています。「俺はやれることはすべてやった。膨大な作品があるんで、後はそれを小出しにしていくだけだ」みたいなことを言ったっぽいです。実際、その後音楽活動は目立ってしてなくて、リリースも17年6月で止まっています。

ところが、19年のニュースでは、「人喰いバクテリア」と呼ばれる奇病と、鬱病になっていた、というのがあって、心配ですがその後のニュースは見つからなかったです。現在はどうなっているのでしょうか?リリース等は、ありません。

本人はどういうつもりだったであろうと、すべてが少しずれた変テコな感性が魅力的だったので、現状は残念です。


16位、Lord Narf「Sick」、なかなかキョーレツなジャケです。この人もまた知りませんでした。アトランタの女性ラッパー。気怠いセクシーな感じのラップでいいですねー。音もちょっと奇妙な感覚のシンセトラップでおもしろいです。コレ、すごくいいんじゃないでしょうか。

16年に「Witchcraft」を出していて、こちらもかなりいいです。少しソリッドになっています。同年に出たEP「AUTOYURNT」は、全4曲すべてSlugっていう人のトラックですが、こちらは逆に少しサイケデリックでぼやけた感じになっています。

去年は、自身の名前を冠した2枚のアルバム「Lord」と「N*A*R*F」をリリースしていますが、これは聴けてないです、、、ちなみにインタビューによると、Lord Narfはラップ用のキャラクターで、Cosmic Princessらしいです。


15位、TeeFlii「AnnieRUO’TAY 4」、またしても知らないです!LAのラッパーというよりR&Bシンガー。ダンサーとして、映画「RIZE」に出演してたという。おばあちゃんがゴスペル歌手で、歌を教わったそうです。

何度か「ratchet music」って形容が出るんですが、不潔、不快説や勘違い娼婦からのスローでゆったりとしたラップ説などがあり、結局よく分かりませんでした!

アルバム、シリーズの4作目だけあってか、非常に安定した感じでクオリティも高いです。でもなんかちょっと、自分にはあまりおもしろさはないかな、と。

気合い入りまくったEpicレコーズからのメジャーデビュー盤「Starr」が同じ年に出ていて、ゲストも、E-40、Nipsey Hussle、Chris Brown、Snoop Dogg、DJ Quikなど。アンダーグラウンド大ヒットの2Chainzゲスト「24 Hours」まで収録しています。

13年にDJ Mustardとがっちり組んだ「Fire Works」、まあMustardはいつも絡んでるみたいですが、、、

結局どれを聴いても、そんなに印象は変わりませんでした。実力があって、内容もいいし、ギターも結構入ってきたりしていい感じなんですが、、、どうしても、〇〇ほど強烈じゃないし、〇〇ほどユニークじゃないし、〇〇ほどセクシーじゃないし、〇〇ほど変でもないし、みたいな意地悪く考えてしまいます。なんか、悪いほうでさえ突び出したところがないんですよね。

今の時点で最新作の、「Next Level」(2018年)も聴いてみましたが、やはり印象変わらず。何ですかね、個人的にはなにかこう、アクのようなものが欲しいです。キレイだけ上手いだけの歌はあまり好きじゃないんだなあ、と思いました!


14位、Angel Haze「Back to the Woods」、この人も知りませんでした。自分がいかに限られた範囲でしかヒップホップを聴いてなかったか、ということが判明してきました。日本語の記事で当時いくつか「デトロイト生まれの」って書いてありましたが、なぜ生まれを押し出す!?彼女自身は、15歳の時に親とブルックリンに引っ越して詩を書き始めて、とかなんでNYのラッパーでいいんじゃないかと思うんですが、、、

ダークでヘヴィーで、それだけじゃなくて独特な感じもあってカッコいいです。適度にメロディーがあったりキャッチーな感じにもなったりもします。リリックも良さげです。コレはかなりいい作品なんじゃないでしょうか。カムバック作らしいですが、どうやら13年に「Dirty Gold」で華々しくデビューした後、ドラッグの過剰摂取と精神病で、病院通いだった様子。

そのアルバムも聴いてみました。確かに、今回紹介された「Back to the Woods」と比べると、かなり売れ線感がみなぎっています。それでもカッコいいとこはカッコいいし、独特な感じもあります。でも何だか常にテンションが高いポップな感じがあって、個人的には少々疲れます。

12年に出て話題になり、そのメジャーデビューのきっかけにもなった、ミクステ2つ、「Reservation」と「Classick」も聴きました。どちらもいいけど、前者のほうが好きですかね、1曲目からとてもいいです、Clams Casinoみたいな。他も、暗めの曲でポーティスヘッド感があったり、アフリカっぽいリズムでMIAっぽかったり。色々なことをやってますが、どれも曲自体がいいです。こりゃ才能あるわ、てなるわけな内容です。

「Classick」の思いっきりローリン・ヒルのトラック(モノマネも入ってる?)のほとんどカバーは、何なんだ、て感じで嫌でした。

メジャー盤はやや失敗感がありますが、間違いなくユニークな才能なので、今後も期待大!といきたいところですが、今のところ15年のこの「Back to the Woods」が最後のアルバムです。シングルをいくつかは出しているようですが、、、

今回のこの、2015年のベストを聴いていくやつ、完全後付けですが意外とおもしろいのは、ここにある作品はすべて6年前ということです。激流のようなヒップホップシーンにおいて、6年は結構な年月です。当時から今の間に、アーティスト達にも色んな変化があるでしょうが、今こうして6年前の作品を聴かれる、聴いてその前後、特にその後を見るのは、少し悪趣味感はありますが非常に興味深いものがあります。これは、現時点で自分が知ってたアーティストがほとんどいないという言い訳じみた説明にもなります。6年間、元気で(なくてもですが)いい作品を出し続けれるアーティストは、本当に一握りなのかもしれないと思いました。


13位、Travis Porte「SAQ」、また知らない、、、残りも1つも知らないかもしれないと思い始めてきました。すごいぞFact、、、このアーティスト、1人かと思ったら(Travis Scottみたいに)、兄弟含めた3人組です。アトランタなんで、やっぱりついMigosのこと考えちゃいますね。

2009年に5本、10年に3本、11年に2本とハイペースでミクステを繰り出し、結構勢いがある状態で満を持してメジャーデビューのスタジオアルバム「From Day 1」を12年にリリースします。かなり売れたようで、今こうやって記録だけ見ているとここが彼らの絶頂期です。その後も人気はありますが、16年が最後のミクステリリースになっています、、、

今回紹介されている「S.A.Q」も、次の年の「285」も、まだまだ人気あったみたいなのに、どうしたんでしょうか、、、

まず、デビュー前のDatpiffで1番再生回数が多い(135,969)、11年の「Music Money Magnums」を聴いてみます。内容は、元気があって明るくて、かつしっかりとした作りで非常に勢いを感じます。これは人気でるわー、て感じです。

駆け足的ですが次にメジャーデビュー盤を聴きます。人気に乗じて、て感じはほぼなく、マジメに取り組んでいる落ち着いた音楽性を感じます。ただ、内容は申し分ないはずなのに、なぜかアルバム全部聴いた後、やや中途半端な印象が残ります。

「S.A.Q」では、その落ち着いたシリアスさとオリジナリティを煮詰めた感じで、かまりのクオリティがあるサウンドが展開され、それは「285」も続きます。どっちもかなりいい内容です。突出した曲がないのがやや残念ですが、こういうユニットの存在はアトランタの層の厚さを物語っているような気がします。


12位、KeithCharles Spacebar「We’re All a Little Triflin’」、この人も全然知らないです。今回の特集の前書き的な文章に、「Awful Recordsが多くなっちゃった」みたいなことが書いてありましたが、Lord Narfに続いて2人目の登場です。

重たいスカスカな、でも雰囲気のあるビートから始まります。低くつぶやくようなラップでかなり好みです。かなりいいです。次の曲もゆったりとして、独特の浮遊感があります。極端な音の少なさは、聴いてるとかなり独特なものに感じます。時々鳴るベースだけっていうスゴいトラックもあります。おもしろいし、曲も地味にいいです。

後半はさらにR&Bテイストも入ってきて、でもシンプルでミニマルなままで不思議な雰囲気になります。これはかなりいい作品だと思います。

4年前に出ていた「BeforeCommonEra」、ジャケになぜか日本語で「ビフォアコーモンエラー 一般的な時代の前に」と、ヴェイパーウェイヴともまた違う雰囲気で書かれてるのが気になって聴いてみました。まず出だしは、サンプリングループですが、ループに既に強烈な個性があります。普通にありものトラックもあります。日本語の理由やヒントは、音の中にはなかったです。

ソロのアルバムは、これと紹介されたやつの2枚だけで、その後は2020年に1曲、21年に1曲を発表、みたいな1年1曲のスーパースローペースです。

2011年に制作されて、当時リリースされてなかったという、Awfulの創始者Fatherとのコラボ作「Hooker」っていうのもありました。こちらは、2/3ぐらいトラックも作ってます。静か目なジャージーヒップホップかと思いきや、どんどん変な音楽になります。静かな怪盤っぽい感じで、かなりいいです。

ここらでAwful Recordsも少し調べてみました。アトランタのレーベルで、アルバム22枚リリース中6枚がFatherでした。Slugが4枚。意外なところでFaye Websterがあって、「Atlanta Millionaires Club(名盤です)のあのラップは、この人(Father)だったのか!」と、1人プチエキサイティングしました。

あとは、、、Abraちゃんぐらいしか知らなかったです。Playboi Cartiも在籍してたらしいです。

主なリリースは、2014年から19年までです。18年に大手であるRCAと契約を結んだみたいなので、たぶんそのへんからレーベルとしての活動がないように思えます。それとも全然別の動きをしているとか、、、

レーベルとしては、個々のペースを尊重しつつ特に縛られない、自由なフォームを形成する集団、みたいな感じです。吸引力がある人物主導の、自然なよくあるパターンですね。自由な分、盛り上がった頂点あたりで短命に終わる特徴があると思います。


11位、RJ & Choice「Rich Off Mackin’」、もう「知らない」って書くのもバカバカしくなってくるぐらい知らないです。このユニットは、RJのほうが有名なのかな?RJ名義でミクステが数枚、RJMrLA名義でメジャーからのソロ作があります。

今回紹介されているこの作品は、分厚いシンセベースが多い、R&Bヒップホップでかなりメインストリーム寄りな感じです。自分はあまり好んで聴かないタイプのサウンドですがシンセベースは大好きなので、これは結構好きでした。何度か聴いていると、どんどんさらに好きでした。いいアルバムです。

去年のコロナ期になってから、これの「2」が出ています。シンセベースは引き続き更に低音が強まり、よりR&Bも強まって歌の要素も増え、グッとアダルトな感じになっています。これもいい内容でした。

RJのソロだと、2013年にDJ Mustardプロデュースのデビューミクステ「O.M.M.I.O」があります。23曲も入ってますが、基本はやはりシンセベースメインのシンプルな反復フレーズとひたすらラップ、なぜかキャッチーではないのが特徴ですかね。トラック自体は80年代っぽい感じが多いのは、テーマっぽいお母さんと関係あるのかな、、、

このシリーズは、15年に「2」、16年に「3」があります。ざらっと聴いた限りですが、全部同じような感じです。

そしてYGとDJ Mustardのレーベルからデビューの「MrLA」、YGはもちろん、Ty Dolla、ScHoolboy Q、Quavoなどがゲストです。丁寧に作り込まれた気合いのサウスヒップホップがややノスタルジックに展開されます。いい内容だと思うんですが、自分には特に好きになる要素もなかったかなあー、、、

記事によっては、19年の「On God」がデビューアルバムと書かれてあり、本人も「RJMrLAとしての本当のデビューアルバム」とか言ってるみたいですが、こういうの本当にどうでもいいと思います。個人的には、作品はどんな形であろうともすべて平等に評価すべきであって、ヒップホップ世界のこういう、ミクステのデビューだの、スタジオアルバムのデビューやメジャーのデビュー、本当のデビュー、とか、何べんやり直そうとしてんねん、て感じです。人生何度でもやり直しができるし、そういう気持ちをずっと持っているのはいいことですが、本人がそうやって形にこだわるのは正直ウザいです。


半分折り返した。ふー、、、


10位、The Outfit TX「Down By the Trinity」、たぶん今回、最後までいって知っていたのはDenzel Curryだけだった、しかも紹介されていたのは聴いたことない作品だったので、1枚も聴いたことがあるやつがなかった、ってなりそうです、、、ていうか、この人たちDatPiffでも1番再生回数が多いやつで3,104、少ないやつだと73とかで全然聴かれてないんですけど、、、

てことは、、、この特集から6年たってこの数字は、ここでベスト10に選ばれても全然影響がないってことでは、、、と、つい不純なことを考えてしまいます。

しかもこの「Down By〜」だけ、DatPiffにもlivemixtapeにもないんですよね。ジャケもこれだけ雰囲気違ってなんか不気味だし、、、と思いながら聴いたら、何だこりゃ?かなり不思議な音世界でした。ジャケ通り不気味な雰囲気もあるんですけど、何というかもはやラップでもヒップホップでもないような、、、しかしかなり魅力的です。自分がこういう感じが好きってのもあるんですが。

とにかく不思議な雰囲気、音楽です。自分が知ってる中で1番近い感じで言うと、Screeming Jay Hawkinsですかね。

彼らはダラスのトリオで、Mel、Dorian、JayHawk、高校の時から仲良しで、このユニットを組んでもずっと一緒に行動してる(一緒に住んでる?)ぐらいなようです。2010年頃から活動を始め、最初のリリースは12年の「Starships & Rockets: Cooly Fooly Space Age Funk」という長いタイトルで、思わずFunkadelic とかSun Raを連想しますが、内容も結構近いものがあります。全体的にはもっと冷ややかな感じですが、サイケデリックでスピリチュアルでスペーシーな雰囲気です。ヴェイパーウェイヴ感もあります。ヒップホップというより、ラップもある別の何か、みたいな感じです。MVもありますが、個人的には音だけ聴いてたほうが謎感があって楽しいです。

正直とても気に入ったんで、コレは全部聴こうと思いました。次の作品は、の前に「OG Ron C & The Chopstars Present: Starships & Rockets: Cooly Fooly Space Age Funk (Chopped - Not - Slopped)」ていう作品があります。自分には非常に分かりにくいですが、よくあるChopped & Screw盤のちょっと違う感じ?みたいな。タイトルが長くなって、曲数が増えてて、CDだと2枚分サイズになっている企画盤です。

で、次の年の13年に出た「Cognac/Four Corner Room」が、これまた分かりにくくてですね、Melのソロアルバム「Cognac」とDorianのソロアルバム「Four Corner Room」の同時発売というより2枚で1つの作品として、みたいな。ジャケもそれぞれあるし、量的にもCD2枚分という、、、Melソロのほうは14曲78分だし、、、そもそもJayHawkはどこに、、、

たぶん、こういう音を作るようなユニットだから、何か変わったことしたかったんじゃないですかね。仲が悪くなったんじゃなくて、「俺たち、こんな形になってもちゃんとThe Outfit, TXだぜ!」っていう自信みたいな。完全な憶測ですが、、、

実際、聴いてる分にはそんなに前作と違和感ないです。より内省的な雰囲気にはなってる気がするけど。一層クールな感じもします。Melのほうがストイック寄りで、Dorianのほうは遊び多めな感じです。

次の作品は15年の「Deep Ellum」というEPで、これはダラスのホットなラッパーを紹介するプロジェクトのようで、全8曲10人のアーティストがfeatされています。ダラス盛り上げたいのです。

彼らはインタビューでも度々、ダラスのシーンは無視されていると感じていて、理由も分かってるけど今はおもしろいアーティストも沢山いるんだ、ということを言いたいらしいです。もちろん自分たちのことも入っているでしょう。しかし、人一倍牽引している意識があるようで、MelはこのEPが出る少し前に、Viceに「Dallas Has the Best Rap Scene in the Country That You're Not Paying Attention To」という記事を寄稿していました。とても素晴らしい地元愛と言えます。

心して聴くこの作品は、謎な部分が減ってスッキリした分聴きやすくはなり、面白味は後退しましたが、基本ダークなトラップで各曲聴きごたえ充分です。

そういう背景というか経路を踏まえて、いよいよ通常のアルバムの形としてはデビュー盤以来の、今回紹介された「Down By the Trinity」が登場というわけです。なるほどー、と思ってしまいました。

ここでは、ファーストにあったサイケデリックなワケわからなさとその後のダークなトラップが融合していて、1つの頂点みたいなことになっています。ラス曲の浮遊感あるトラックに延々と続くギターソロは、一体何なんだろう、、、とか。いいエンディングです。名盤だなー。

次の年の16年に次のアルバム「Green Lights: Everythang Goin’」が出ますが、これがまた企画色が強くて、MelがファンだったというサウンドプロデューサーStunt N Dozierにトラック任せて、メンバーはラップに専念するという、、、結果は、普通のトラップアルバムになっています。同じ年に今度は5曲入りEP「Breakfast At Rudy’s」が同じ布陣で出ますが、こちらも当然同じような内容です。

自分はこういうダークでヘヴィーなトラップ大好きだし、作品自体も完成度高いんですけど、、、なんですかね、少しがっかりしています。

17年に「Fuel City」という10曲入りのアルバムが出ますが、ジャケが3人じゃなくて2人になっています。最後の曲に「feat. Dorian」とわざわざ書いてあるので、この曲にしか参加してないのかな、、、と思いましたが、いくつか記事を見ても全部ダラスのトリオ、としてしか紹介されてないので、気のせいかな、と。内容はますます普通になっています。

そしてついに、18年に1枚のEP「4 Degreez」とアルバム「Little World」を出して、今のところそれが最後のアルバムです。しかもEPのジャケにはやっぱり2人しかいない、しかも「Outlaw Mel & Outlaw JayHawk」って、、、Dorianの行方が気になります。

まず、サウンドが「Down By〜」の頃の冷んやり不気味な感じに戻りました。これは個人的にはウェルカムなことです。しかも一回りタイトになっています。

Dorianは、まだメンバーだけどミックスやマスタリング作業のほうの、ほぼ裏方に回ったようです。うー微妙な気持ち、、、

地方の壁は分厚いのでしょうか、結局このTOTXはサクセスしないまま現在に至る感じで非常に残念です。それと、2019年以降っていうのも何かの壁なんでしょうか、今回の特集のアーティスト達、今のところ最後の作品が2018年あたりっていうのが多い気がします。単に発表形態の変化かもしれませんが、アルバム単位が古くなったとか、、、それともヒップホップ世界に何か大きな世代交代みたいな変化が起こっているとか、、、自分にはちょっと大きすぎるテーマなのでパスします。


9位、Cousin Stizz「Suffolk County」、知らない人です。ボストンのラッパー。初めてPlaiboi Cartiを聴いた時の感じに似ている気がします。少し浮遊感のあるミニマルなトラックにメロディじゃないけど反復によりキャッチーな印象のラップ。中毒性のある感じというか。これは確かに、かなりいい作品です。

「Shoutout」がヒットして、一発屋かどうかってところで実力を示したアルバムのようです。ちなみに「No Bells」もシングルヒットしています。登場にして脂がのっている感じですかね。この後、もう1枚ミクステを出して、もうRCAからメジャーデビューして2枚のアルバムを発表してるようですが、結果を先に書くと、そこまで売れなかったっぽいです。

DatPiffのListen、この「SunFolk Country」が54,626、次の「Monda」(2016年)が101,730で、少なくないけど内容と話題性を考えるとそこまで聴かれてるわけでもないのかな、と。

ミクステ第2弾「Monda」も、前作と同じ感じですが、更に幅広く、そして悲しみと郷愁のようなものを纏わせながらも、ゆっくりずり落ちていく感じがあって(リリックの内容までは分かりませんが)とてもいいです。じわじわきます。これは名盤だと思います。

そして、1年後の17年にRCAからいよいよメジャーデビュー「One Night Only」があって、そんなに今までとも変わらないんですが、もちろん気合入ってる分、少し豪華なゲストがいたり、新しいことにチャレンジもしています。ただ、それが功を奏してるとは言い難く、アルバムの出来としてはまあまあかな、みたいになっている気がします。すいません、えらそうに、、、

そして今度は2年たって19年、メジャー第2弾「Trying To Find My Next Thrill」が出ます。City Girls、Smino、Freddie Gibbsと、ちょっと意外な豪華ゲストがいますが、今回もそんなに功を奏してないような、、、もうあまり言うことも何もない感じですかね、、、


8位、Ethereal「Final Fantasy」、出ましたAwful Records!、と言っても今回のこの記事に出会うまで知らなかったんですけどね、、、このEtherealさんは、なんだか創作量もペースもすごいです。この2015年でも、紹介されたもの以外に4枚あるみたいだし、そもそもAwfulが設立される前から作品出してるし、今年ももう出してるし、、、どうやらBandcampに載ってないやつもあるみたいで、、、おまけにDatPiffやlivemixtape、MixtapeMonkeyには作品ないし、、、

基本的に自分は多作系は大好きなんで、もうこの時点で興味津々です。多作系の人の作品一個一個ずつを評価するのは難しいし意味ないと考えるほうなんですが、Lil Bみたいなもので、何でもアリなくせに、どれもそのアーティスト特有のものになっていて、どれがいいとかいう話じゃないんですよね。例えあっても、一聴してダメなものも実は全体で重要だったり、、、全体で、というか活動そのものがアートというか作品みたいなところがあると思います。だからもう、「できるだけ聴く」しかないんですよね。それが1番楽しいし。

音楽とあまり関係ない部分の特徴としては、車椅子に乗ってて日本のアニメとか文化が大好きってところですかね。後者はジャケのアートワークや初期の音にも反映してます。サウンドは最初にざっくり言うと、暗めの諦めた感じのトラップ中心で、あまりもうクラウドとか言いたくないんですが、、、かつ、女性の声も結構入ってオシャレな感じもあります。正直、作る音の量とクオリティとセンスは天才だと思います。本当にどれを聴いてもすごくいいです、、、って10枚ぐらい聴いた段階ですが。

だから、今回紹介されているこのFFも当然すごくいいです。そして他のどのアルバムを聴いても同じくらいいいです。もっともっと売れててもおかしくないと思うんですが、たぶんこれから絶対そうなりますね。

いちおうこの2015年に出したやつだけ感想書きます。まず、「I Think I’m On Fire」と、それの「2」、これは70’sソウルのスクリュー、ヴェイパーな感じで、女性の声(歌)が多用されててかなりオシャレ感あります。トラップというよりZero 7っぽい感じというか。ラップは相変わらずダルーい感じで、サウンドとも合っててすごくハイセンスです。

次に「Heat Death 2」、柔らかシンセのフージョン・トラップ・インストって感じです。これまたセンス爆発してます。多彩な多才だー。

「Catalyst」、白昼夢のようなサイケ感覚のモコモコ・ダーク・トラップ。これは、今年に「2」が出ています。2のほうは、大まか同じ路線ですが、サウンドがモコモコじゃなくなってパキパキに覚醒的な感じの音になっています。声にオートチューンも今更かかっていますが、そんなにありがちな感じもしなくていいです。

個人的には、この人は今回の特集の最大の収穫ですかね、まだ終わってないですけど、、、


7位、Kool John & P-Lo「Moovie」、説明にラチェット、ハイフィー、Gファンク、ときてGファンクしか知らないんですが、ラチェットは前に調べた時は、「勘違いした娼婦」ってことだったので、今回は「ラチェット ヒップホップ」で検索したら、「ラチェットがクラブで踊るのがトワーク」って出てきて、知らない言葉が増えただけでした。ヒップホップ用語辞典みたいなサイトには、「ダサいもの」と、、、

YGとDJ Mustardが自分たちの音楽を「ラチェット・ミュージック」と呼び始めたようなので、ベイエリアの人達に使う意味はこのへんの感じってことですかね。

次に、「ハイフィー ヒップホップ」で検索して分かったことは、「キーク・ダ・スニークがたくさんキャンディーを食べるから生まれた言葉」、「エネルギー、ライフスタイル」、「すごくエネルギッシュで、ベースラインと沢山のモブ要素を持っている」、、、目眩がしてきました。ちゃんとした意味だとかなり重い意味を持っているようですが、まあ、、、ここでは、E-40とかMac Dreとかの感じぐらいの意味だと思います。

用語が分からなくても、このアルバムは素晴らしいです!新鮮さがあるのかどうかは分かりませんが、とにかく全編いいです。ついでにKool Johnが所属しているレーベル、コレクティブであるHBK Gangのコンピ「Gang Forever」(2013年)を聴いたら、これもまたすごくよかったです。

ざっくり言うと、哀愁のないベイエリア・サウンドって感じですかね。確かにベースラインが重要です。サンプリングは基本的にないです。コンピのほうは、全曲いい曲です。これはかなり名盤な気がします。

他のメンバーたちのソロも少し聴いてみました。Iamsu!「Kilt Ⅱ」(2013年)、Sage The Gemini「Remember Me」(2014年)とか。基本、面子が同じなのでそんなに変わらないけど、、、ソロだと少し内省的でトラップでシリアスかな、、、自分はコンピが1番好きでした!


6位、Starlito「Introversion」、ついに知ってるアーティスト2人目が登場しました!っても、ついこないだ知ったんですけどね、Don Tripと組んだStep Brothers(3まである)で。なかなか多作なサウスのディプレション・トラップ王子です。

これを機会に、まだ聴いたことがない他のアルバムも聴いてみました。まずは、唯一日本語の記事があった「Black Sheep Don’t Grin」(2014年)、なんでコレだけ日本では発売の時のニュースがあるんだろう、、、?

内容はやはりディープなディプレッション・トラップです。こういう低くブツブツ言うラップ、好きなんですよね。ラスト曲では結構ギンギンなブルースギターソロが展開され、そのままポストロックっぽいトラックになって驚きました。すごくいいと思います。

次にDatPiffで1番再生回数が多かった「Red Dot Free」(2016年)、最初のMike Will Made-Itの「T-White」からカッコいい。他にもSonny DigitalやDJ Mustardの曲があったて、さすがの出来。12曲中3曲が、「stepbrothers」名義になっててどういう造りのアルバムなのかイマイチ分からない、、、11曲目の「Finito」なんて、Chief Keefの「Faneto」だし、、、少々寄せ集め感はありつつも、いつも以上に重苦しくてハードで憂鬱な感じのいいアルバムでした。

次に初期めのアルバム「Mental Wafare」(2012年)、、、と思っていたらStarlitoは最初の作品が2002年で、その後03年から年に数枚のペースで、この「Mental Warfare」までに30枚近くアルバム出てました、、、しかも最初は、All $tarって名前でCash Moneyと契約までいったみたいで、、、でもメジャーのファーストになるはずだった「Street Ball」は、結局出なかったようです、、、

この頃のStarlitoの声はまだ荒々しいとこもあり、逆に弱々しすぎるところもあります。曲の音質や音量もバラバラです。アルバムとしての完成度はあまりないですが、聞き応えはあります。表題曲と「Substitute」、「Game Ober」は結構ブルース色があって、彼の声はブルースだったのか、と気付きます。そしてこのアルバムも、ラストの曲ではギンギンブルースギターソロが炸裂しています。

2003年にマーティン・スコセッシが「ザ・ブルース・ムーヴィー・プロジェクト」っていう、7本の映画をまとめたオムニバス形式の作品を作った時に、その中の1つ「ゴッドファーザーズ・アンド・サンズ」で、チャックDとコモンがブルース・ミュージシャンとセッションするっていうのがあって、それはなんか失敗してるかなあって感じだったんですけど、このStarlitoとか、ブラジルのBaco Exu do Bluesとかのほうがよっぽどカッコいいブルースを演ってる気がします。トラップ・ブルース!

最近めのやつで、Trapperman Daleという若手っぽい人とのコラボ「Trapstar」(2018年)は、めずらしくトラックが明るめでクリアでタイトな感じで、新鮮です。Daleさんは結構テクニカルな感じで、このデュオに何か意味があるかは分かりませんが、11曲30分はあっという間に過ぎるぐらいのスムーズな感じはあります。コレはコレでいい気がします。

同じく18年の「At War With Myself Too」、ジャケからしてもうディプレッションでアローンな感じですが、内容もかなりそんな感じです。ラップももうアッパーになることもなく、低くブツブツ言うスタイルです。一度、彼のブルースに気付いたせいか、このアルバムにもブルース・フィーリングを随所に感じます。

ラップする声の後ろに、歪ませてエコーがかかったもう1つの声を入れているのが、とても効果的です。オートチューンとはまた違う効果があって、語り手もしくは主人公の二重性、多重性を感じます。この作品は、彼の一種の完成形のようなものを勝手に感じます。そのぐらい、いいアルバムです。

それにしても、2002年から数えるとリリース活動も、もうすぐ20年になるんですね。次に出るアルバムも非常に楽しみです。


5位、Slug Christ「The Crucifixion of Rapper Extraordinaire」、4人目のAwfulですね。なんてヒドいジャケだ、、、期待大です。内容は、、、こりゃスゴい、混沌ですね。トラップ要素、ラップ要素あるけど、時代違えばサイケデリック、アシッド・フォークのアウトサイダー系名盤か、ダーク・エクスペリメンタル・エレクトロニック系というか、、、

サウンドの形容詞はさておき、かなりおもしろいです!薄気味悪くはあるけど、終始リバーヴの霧が深いですが、音のセンスは天才的な感じです。こういうのがアンダーグラウンド・ヒップホップ・レーベルから出てるっていうのがまたおもしろいですね。

気に入ったので、他のも聴いてみました。去年出た、Nedarbとの「Deep (in) Learning」、はてNedarb?と思ってたら、Hookのトラックを作ってる人でしたか、クレイジー同士な感じですね。

と思ったら、出だしは思いっきりLil Peepっぽい。クラウドラップですね、分かりやすい感じの。その後はちょっと変なおもしろい感じにはなるんですが、やっぱり狂ったLil Peepって感じで、しかも特に曲がいいってワケでもない、、、

同じく去年出た「Inner Worm, Inner God」、これが最新ですかね。これもリルピー路線なんですが、少し曲がおとなしめに、キャッチーになってる気がします。そうなると今度は、Yung Leanっぽくなりますね、、、リルピーからヤンリーへ、て感じです。でもこっちはちょっといい気がします。この路線を続ければ売れるかもです。

ちょっとテンションが下がってきたんで、「The Crucifixion〜」と同じ年の15年に戻ります。「Plant Mentality 2」、あれこれもリルピー路線、、、ちょっと音がローファイで、昔で言うLo-Fiギターポップみたいですが。

そういえば、ローファイと言うと今ではヒップホップみたいですね、Lo-Fiヒップホップ。もちろん全然違う音楽です。ジャンル名リサイクル。「R&B」みたいです。そのうち「シティポップ」も、全然違う音楽になるかもしれません。ちなみに、数年前に中国にツアーに行った時、「シティフォーク」ってやつが流行ってました。

結局他では、14年のジャケもタイトルも悲惨な「Genocide」が、内容はおもしろかったけど、「The Crucifixion〜」が1番良かったです。


4位、Don Trip「Godspeed」、ここでDon Trip!上位がStep Bros VS Awful、みたいになってきました。自分は、Step BrothersはStarlitoのほうばかり着目してて、正直Don Tripは聴いてなかったです、、、

自戒を込めて心して聴くも、やはりかなり地味というか普通というか、、、どうやらこの作品から、リリックがいいようですが、、、それでも何度か聴くと、ただの平坦な地味な何てことないトラックが、何だか結構いいような気がしてきました。この、タネも仕掛けもないトラックたちが何だか沁みるんですよね、、、13曲目「Medicine」、14曲目「Leaning」、そしてラス曲の「Losing Streak」とかは、なんていい曲だー、て感動しました。すごくいいアルバムでした。

なので、その後に出た作品を聴いてみます。18年の「Christopher」、これも同じような感じで、超地味だけど誠実な感じでとてもいいです。ラップもだいぶ穏やかな感じです。ラストの「I Sware」は思いっきりエレクトリック・ブルースです。粘っこいなあー、さすがメンフィス〜。このへん、Starlitoと相互作用とかあるんでしょうか。いい関係だなー。これまた非常にいいアルバムでした!

そして、今のところ最新作らしい19年の「They Don’t Love You」は、更にトラックが地味になってるんですが、この輪郭のないシンセのミニマルな感じは結構クセになってきて、ラスト2つ、「Handicap」と「Trust Fund」では、なんていい曲なんだー、と感動してしまいました。最初どの曲も、トラックの音がラップの声に比べるとミック小さいなあ、とか思ってたんですが慣れるとこれはこれで。


いよいよベスト3!第3位は、Freddie Gibbs「Shadow of a Doubt」で納得です!確かにグレイトなアルバムです。2位は、Young Thug「Slime Season」、これも当然でしょう。今回の超上級者用みたいなセレクトの面子の中に、この2つが当然のように入ってることが少々意外ですが、、、

そして輝ける第1位は!、、、Archibald Slim「Don’t Call the Cops」、Awful Recordsでした!当然知りませんでしたけど!DatPiffにあった、「He’s Drunk!」(2014)とか、Listenが2,086とかで、、、いいんですかこんなに少なくて!?1位なのに!、、、しかも聴いてみると、かなりいい内容です。

このアルバム1位に選ばれたアルバム、1位にして超ド級にシブいです!これまたタネも仕掛けもないような激シンプルなトラックですが、Don Trip同様、浮遊感のあるシンセと引き締まったビートだけの実はかなり上質なブツを繰り返し聴いていると、相当に浸れます。これまで、いい意味で変化球ばかりの印象だったAwfulから出てるっていうのがまたいいです。しかも結構リリース量も多い。

しかし、このアルバムと同じ年の暮れに「Last Days In the Barrio」という、これまた更に輪をかけてどシブいアルバムを出して以来、EPとシングルは少しあるものの現在までアルバムのリリースはないです。

どシブい、と書きましたが、このアルバムは相当いいです。これが(今のところ)最後なんて勿体ない、、、

EPでは、17年に3曲だけの「Veritas」があって、それが最後です。一体何があったんでしょうか?

2020年6月に、HYPEBEASTという雑誌がArchibald SLImにインタビューしています。Fatherをゲストにしたシングル「Til’ I Wake Up」が出たからですかね、3年で1曲か、、、それによると、ここ数年は精神状態が良くなかったこと、LAやNYをウロウロしてて音楽制作はあまりうまくいってなかった、と話しています。Awfulのことを聞かれて、今はもう自分は関係ないけど、もともと学生の時にみんなと知り合って、1部屋に10人ぐらいが集まって1つのマイクで、あれこれしてたから、そりゃあ何か新しいことも生まれるわけだよ、みたいなことを(たぶん)懐かしそうに話してました。これからの展望に関しては、色々やりたいけど今は何でも流れが早いから、じっくり作るのは難しい、みたいなことを言ってたんで、たぶんまだ当分アルバムリリースはなさそうです。ちょっとさびしいですね。


結局知っていたアーティストは20人中6人、この記事で14人も新しく知ることができたワケです。そして、Awfulが5人、Step Brothersは2人ともトップ10入りと、、、あれ、Awfulのボスが入ってない!?Fatherが、いつか出てくると思っていたのに、、、これまた意外です。


今回の特集で出会えてよかった!って思った作品は、
Denzel Curry「King Remembered Underground Tape 1991-1995」、Lord Narf「Sick」、Angel Haze「Back to the Woods」、The Outfit TX「Down By the Trinity」と「Starships & Rockets: Cooly Fooly Space Age Funk」、Cousin Stizz「Monda」、Ethereal「Final Fantasy」、HBK Gang「Gang Forever」、Starlito「Mental Wafare」と「At War With Myself Too」、Slug Christ「The Crucifixion of Rapper Extraordinaire」、Don Trip「Godspeed」と「They Don’t Love You」、Archibald Slim「Last Days In the Barrio」
です。ああ、楽しかったー!

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