見出し画像

イサの氾濫

沖縄から戻って来たら注文してた本が到着していた
『イサの氾濫』この物語の舞台は東北、青森八戸だ。

東日本大震災から約1年後、進学で出た東京でそのまま働くものの仕事も生活ぱっとしないまま40代になった主人公。彼は一度も会ったことの無い叔父の夢を観るようになる。 その叔父の名は勇雄、従兄弟は「イサのじちゃん」と呼ぶ彼は前科もある破天荒な乱暴者のイカ釣り漁師だった。震災後初めて故郷に帰った主人公の故郷の街での物語。

東北には縁をいただき、主に宮城の方に、震災後に何度か足を運ばせていただいた。そのときに憶えた胸に残ったしこりが久しぶりに疼いてしまう、そんな物語だった。イサより年長の角次郎のイサと東北の話は本当に印象深いものがある。「あれが戦国時代に生ぎでったら大将がもしんねぇな…  いんや、イサならむしろそれ以前の東北に住んでった蝦夷のほうが似合うべな」
蝦夷とは、東北を征服に来たヤマトに抵抗した、この地域の勇敢な部族。その勇敢さで「まづろわぬ人」と呼ばれた。

角次郎は話す
「今の東北には、あいつみてぇなやづが必要だど」
「みな、人っこよすぎるべ」
「こったらに震災ど原発で痛めつけられでよ。そったら被害こうむって、まっと苦しさを訴えだり、なぁしておらんどがこったら思いすんだって暴れでもいいのさ、東北人づのぁ、すぐにそれがでぎねぇのよ」
「東北人は、無言の民せ。蝦夷征伐で負げで、ヤマトの植民地さなって、米、ムリクリつぐるごどになって、そのせいで大勢飢え死にするし、はじめで東北全域が手ぇ結んで戦った戊辰戦争でも負げで、白河以北、一山百文なんて小馬鹿にされで… ハァ、その重い口ば開いでもいいんでねぇが。叫んでもいいんでねぇが」

やがて主人公は「オラががイサだ!」と走り出す。
同窓会の打ち上げで友人らが叫ぶ「がんばろうニッポン!」を追い払い、同一化、従順を否定し、やがて大勢のイサが仲間に加わり東京に矢を放つ。

この物語に心を熱くした山形出身、酒田の歌姫こと上々颱風の白崎映美は仲間を募り、このバンドを結成した。


「がんばろうニッポン」「がんばろう東北」
あの震災から13年

2024年 元旦 能登半島地震
「がんばれるニッポン」に 果たしてなれたのか。

東北に限らず この国に 私たちに
今、必要なのはイサの魂なのではないかと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?