シェアハウスを作るようになった経緯


私たちが作っているシェアハウスは、ビルの中にあります。大阪府東大阪市にある「サマービル」という4階建てのビルの3階の、元々2LDKの居室だった部屋を2室繋げてシェアハウスを作っています。この「サマービル」は築50年で老朽化が進んでおり、空き部屋をどうしようかと悩んでいたビルのオーナー様と私たちが出会ったのがきっかけでした。「シェアハウスを作りたい」という私たちと、「空き部屋を活用したい」というビルのオーナー様のニーズが一致して、3階の空き部屋改装が始まりました。

私たちは現在、常時3〜5名、多い時には10名以上の仲間と共にシェアハウスを作っています。そのほとんどはシェアハウスの発起人である マサキ( 有山 正貴 )のつながりで仲間に加わりました。マサキは大阪産業大学に在学中、「オアシス」という大学公認のプロジェクト団体を作りました。他にも奈良先端技術大学院大学や近畿大学などにも活動の輪が広がっています。

「オアシス」は、主に外国人留学生と日本人学生の交流を目的としたコミュニティーで、そこでお花見や遠足、音楽ライブなどたくさんのイベントを企画・運営をしていました。春のお花見では、直前に集客を開始したのにも関わらず40名あまりが参加したり、他のイベントでも多い時には40名くらい来るだろうと予想していたイベントになんと100名以上の参加者が集まり、焦ったこともあるそうです。彼の自然体の魅力とその集客力の成果もあって、彼の周りにはいつも海外から来た仲間や日本人の友達がたくさんいます。

卒業後も、祖母の自宅の一室をAirbnbで貸し出し、海外から来た旅人を多く迎え入れていました。

<シェアハウスを作る過程で、いろいろ考えが変わった>

こうして2019年6月末、オーナーとの出会いからいざビルの空き部屋を改装してシェアハウスを作ることになったマサキですが、建築やDIYの経験がなかったため仲間を呼ぶことにしました。そこで呼ばれたのがとあるイベントで出会ったユウト(飛田裕人)でした。ユウトは近畿大学で建築を専攻している大学4年生。そしてマサキとユウトは意気投合し、この2人をメインに改装を進めることになりました。

その過程で、マサキだけではなくユウトの友人も多く参加するようになり、19歳の哲学者「シュールレアリスト・てるりん」や、千葉県からヒッチハイクで参加しにきた「歩くコメディ映画・シュート」「旅するボディービルダー・しみけん」など、肩書きのクセが強い変な奴が増えてきたため、マサキが考えていた外国人留学生を対象にしたシェアハウスとは徐々にイメージが変わりつつありました。そして、個性的なメンツが次々と訪れる変な空間に強い魅力を感じるようになりました。こうしてマサキは、外国人留学生だけを対象にするのではなく、このプロジェクトを通して出会った仲間や、その仲間が強く勧める友人などを誘って一緒に住もう。そう考えを変えたのです。

<このシェアハウスの良いところ>

シェアハウス「オアシス」は、ただ住むだけの場所にはとどまりません。「オアシス」に住むことで、もっと色んなことに踏み込んで関わることができます。それを大きく3つに分けて、これから説明したいと思います。

①シェアハウスだけじゃない!サマービルの他の要素

実はこの「サマービル」というビルには、シェアハウス以外にもさまざまな役割を持った空間があります。そのひとつが一階にある「喫茶ハレ。」です。ここは喫茶店(カフェ)とコインランドリーが併設された空間で、洗濯物を待ちながらコーヒーを飲んでゆっくりできる場所です。言わばビル全体や地域のリビングルームみたいなものです。ここの店づくりや運営にも、シェアハウスを作っている仲間が関わっています。受け皿の広い自由な店で、イベントをしたり常連さんが欲しいものをメニューにしたり、常にいろんな実験をしながら楽しいモノ好きのメンツがその時々の感性でどんどん店を発展させています。(実は本OPENは10月22日なんですが、工事現場ですでにイベントを何回か開催しています)たとえば、カフェの営業時間後に臨時でバーを開いたりもできますし、自分のイベントを主催することもできます。気軽に洗濯物してゆっくりコーヒーを飲みながらカウンターでおしゃべりするだけでも全然OKです。それぞれが一番居心地の良い関わり方で使ってもらいたい店です。同様に、ビルの2階にある「コジスタ」という撮影用に作ったフリースペースではダンスやヨガもでき、そこも住民であれば安く借りて活用することが可能です。

②ビル全体のリノベーションや場づくり

実はサマービルには他にも使われていない空きスペースがあります。現時点では空室が5部屋あり、その内1室はシェアオフィスにするために準備をしています。シェアハウスの入居者がいっぱいになれば、他の空室を使って増やそうと話をしています。また、広い屋上スペースや中庭なんてものあり、日々そんな有り余るスペースをどう自分たちや他の住人さんが使いやすいように変えていくかを考え、実行しています。「こんなの、欲しいよね!」といういわゆるノリと勢いから全てのプロジェクトやイベントは始まります。だから、シェアハウス「オアシス」に住んでいれば、日々あたらしい空間の開拓の話が飛び交うことになると思います。新しいプロジェクトがどんどん生まれていきますが、それに関わるか関わらないかはそれぞれ入居者の自由です。ただ、もし関われば毎日楽しく多くのことを学べると思います。

③ビルを飛び出てどんどん拡大する

「サマービル」の運営会社である「サン共同ヴィレッジ」は、ビル以外にも運営している施設があります。それは奈良県・生駒市の山の山麓に建てられた「サン」という非日常的な山荘です。ここには、予約のとれないピザ屋さんや最高に落ち着けるカフェが入居していますが、その他にもBBQが出来たりヨガが出来たり、サウナ部屋なんかもあって毎月のように何かしらのイベントが開催されています。「オアシス」の住民になれば、その山荘でのイベント企画や運営にも関わることができますし、ちょっとストレスが溜まった日なんかは山に行って癒しの時間を作ることもできます。(サマービルから車で20分くらいです)それ以外にも、運営者たちの横のつながりでビルの枠を超えて活用できる場所がいっぱいあり、自分たちの居場所をどんどん増やしています。

<「部屋に住む」のではなく「ビルに住む」「村に住む」>

以上の説明を読んでいただければおわかりかもしれませんが、このシェアハウスでの生活は「家賃を払って⚪︎畳の部屋に住む」ではなく、「月々お金を払って、住みながらビル全体を利用していく」という感覚です。部屋に住むのではなく、ビルに住む。実はこの「サマービル」ですが、英語のつづりは「SUMMERVILL」と書きます。この「VILL」は「Village(村)」の頭4文字を取ったものです。つまり「Building(建物)」としての「ビル」だけではなく「Village」としての「ヴィル」という意味もあるのです。部屋に住むのではなく、ビルに住む。ビルに住むのではなく、ひとつの村に住む。そんなシェアハウスにしていきたいと思っています!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?