「Bob Dylanを観る」という行為【ライブ備忘録】
4月16日(日)、Bob Dylanを東京ガーデンシアターで観た。本来ならば2020年4月に開催される予定だった『BOB DYLAN And His Band ! In Show & Concert !』が新型コロナによるパンデミックで中止に。結果、今回『"ROUGH AND ROWDY WAYS" WORLD WIDE TOUR 2021 - 2024』と題されたツアーの一貫として再度日程が組まれたわけだ。
もう有名ではあるが、Bob Dylanのライブは録音・録画に関する取締りが厳しく、入場時に専用ケース(YONDER)に自身のスマートフォンを入れ、それは会場を出るまで自らで開封することができない。その他パソコンやカメラ、レコーダーといった録音・録画ができる機器もスタッフに預ける必要がある。以前彼を観た時も同様のレギュレーションだったので特に驚きはしなかったが、2023年にもなって“強制的に電子機器に触れない状況を体験する”のはかなり刺激的だ。
この日のセットリストは以下の通り。コロナ禍に突入した直後にリリースされた最新アルバム『Rough and Rowdy Ways』の楽曲を各所を配置、それらの間に膨大なアーカイブからDylan本人の(少々マニアックな)選曲が差し込まれて完成した珠玉の構成は贅沢この上でない。
Watching the River Flow
Most Likely You Go Your Way and I'll Go Mine
I Contain Multitudes
False Prophet
When I Paint My Masterpiece
Black Rider
My Own Version of You
I'll Be Your Baby Tonight
Crossing the Rubicon
To Be Alone With You
Key West (Philosopher Pirate)
Gotta Serve Somebody
I've Made Up My Mind to Give Myself to You
That Old Black Magic (Johnny Mercer cover)
Mother of Muses
Brokedown Palace (Grateful Dead cover)
Goodbye Jimmy Reed
Every Grain of Sand
海外メディアでも取り上げられたGrateful Dead「Brokedown Palace」のカバーは1コーラスのみで、歌詞を忘れたのか途中で切り上げられてしまった(その後、名古屋公演でフルコーラス完走したそうで…羨ましい)。そうしたトライ&エラーを今もなおライブで試みているあたり、何ともDylanらしい。
正式デビューから60年以上、現在81歳のBob Dylan。形式上ツアー毎にタイトルは付けられているが、スタジアムなど大規模な会場ではなく、ホールやライブハウス、イベントにフェスなどを主体とした現行のツアーをみな『Never Ending Tour』と総称している。きっと命の灯火が消えるその瞬間までこのツアーは続くのだろうし、彼にとってはその名の通り“永遠に終わらないツアー”なのかもしれない。この旅がいつまで続くのか、また日本の地を踏むのか。それは、神のみぞ知る……。
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