オレ。

大人になったらいつの間にか出来るようになるんだろうなと思っていた事が35歳になったって出来てない事に愕然とする。
そんな事が幾つもあるのだが、その中でも今、一番の問題は「共演者を自然な感じで下の名前で呼び、敬語抜きで喋れない」という事だ。

僕らの仕事は、レギュラー番組じゃない限り共演する人はその場その場で変わる。
その時期によく一緒になるなぁと思う人(俗に言う旬だった時期)もいるし、昔よく一緒になったけど久しぶりに一緒になったなぁと思う人もいる。

結構困るのが、後者の方だ。

昔、よく一緒になった時に少しずつ距離感を縮めてようやく敬語抜きで喋れるようになった人だとしても、僕に備わっているのが昔のファミコンくらい脆弱なセーブシステムな為、久しぶりに会った時に全てリセットされてしまい、また敬語に逆戻りしてしまう。

すると向こうは「あれ、前までタメ口で喋ってくれてたのに急に距離出してきたな」と思い、何かギクシャクしてしまうという事を呆れるくらい繰り返している。
こうなると分かっているのに、それが出来ないから余計にタチが悪い。

出来ない理由の一つとして、「しばらくお会いしてないうちに数々の実力者と出会って、『コイツって別に大した事無かったんだ』って思われてるんじゃないかな」とか思ってしまう事も大きい。
そして何故か年々心のシャッターの滑りが良くなって、ちょっとした事で簡単に閉まる。

しかし、良い加減そろそろそんな事を言っている場合じゃない。本気で。

本来、仕事の場所は実力主義であるのだがやっぱり、人と人だよなとも思う。
自分が好きな人が言う言葉と、ギクシャクしている相手が言う言葉じゃ同じ事を言っていたとしてもウケ方が変わってしまうのは仕方が無い。(何%かの本物の天才には関係無いのかもしれない)

だからどう考えても本番始まる前の5分くらいの待ち時間に自然と良い感じの会話を交わして、柔らかい雰囲気で始まった方が良いに決まっているのだ。

さて、じゃあどうしたらそれが出来るのか。

ここまで一切やってこなかった奴が、いきなり次の収録であった時に「〇〇ちゃん」と呼んでタメ口で喋ってみる?

出来るわけがない。距離感ぶっ壊れたと思われる。

「インスタ載せたいから写真良い?」なんて神の領域の言葉だ。

じゃあ喋りかけられるのを待つ?

良いわけがない。なんてプライドの高い奴なんだ。お前から喋りかけろ、向井。

しかし、プライドなんて無くせと言う割に、自分にもうちょっと自信を持てなんて言うもんだから現在脳内がパニック状態だ。

程よくプライドを捨て、程よく自信を持てた時に絶妙な割合のオレが完成するのかも知れない。(ここでの「オレ」は「俺」と「カフェ・オレ」が掛かっているというやつだが、別に上手くはない。)

取り敢えず今の結論としては、頑張りますという事しか無い。

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