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『To The Moon』感想日記

以前にセールで購入して積んでいたのを、最近少しずつプレイしてクリアしました。
総プレイ時間は5時間くらいです。

SFサスペンス系のヒューマンドラマ風なアドベンチャーゲームで、毎晩少しずつ進めていたのもあって、海外ドラマを見ているような感じでした。
クリアした後も、すぐ、Switch版で発売されている続編の『Finding Paradise』も遊びたくなったので、海外ドラマにハマるのってこんな感じなんだろうなと思いました。

グラフィックは懐かしいRPG風のドット絵なんですが、どちらかと言うと、スーファミ時代のそういう作品をプレステ2やDS時代にリメイク移植しました、みたいな風合い。(伝わるでしょうか…)

ところどころ日本語訳や動作が怪しいところがあって、序盤の方は、このゲーム大丈夫だろうかと心配になりました。
しかし、プレイしていく内にストーリーに引き込まれていって、時々首を傾げつつもあまり気にはならなくなったので、なんかまぁよかったです。

ストーリーに入り込んでいけたのは、BGMに拠るところも大きいと思います。
終始ドラマティックで美しい音楽が流れていて、それだけでも心動かされました。
特に、作中で登場人物の1人が作曲した、比較的重要な意味を持つ曲が何度も流れるのですが、その曲が素晴らしくて、思い出すだけでちょっと泣けてきそうになるくらい、心に残りました。

物語の設定上、時系列を少しずつ遡りながら話が進んでいくので、最初の方は状況がよく理解できなくて、主人公であるドクター2人と戸惑ったり推測したりしながら、ゲームを進めていくことになります。
それが、ある程度まで話が進んで全体像が見えてきたところで、理解できなかったシーンを振り返ってみると、あの時の状況や台詞はこういう意味だったのかというのが分かってきて、そういう発見が面白いゲームでもありました。

ストーリーは細かくチャプター分けされていて、一度見たチャプターはプレイ中にいつでも見返すことができるようになっています。
患者のパートナーであるリヴァーという女性の行動や台詞のひとつひとつが、後から見返したときに、その意味と込められた想いが痛いほど伝わってくるので、私はそこで泣けてしまいました。

死の間際にある患者の心残りを機械で記憶を操作して書き換えることで叶える、といった話の設定は、最初はどうなんだろうと思っていました。
人生は必然の成り行きの積み重ねみたいなものなので、違う道を選んだとしても、そこでまた別の心残りみたいなものが生じて、記憶を書き換えてもキリがないんじゃないかと思いました。

しかし、この物語の患者ジョニーの月に行きたいという願いは、その夢を叶えること以上に、どうしてそう思うようになったのかという記憶を探すことの方が重要でした。
もし死後の世界があるのなら、ジョニーは記憶を取り戻すことによって、上書きされた記憶の中だけでなく現実世界の中でも、大切な約束を果たせたということになったのではないかと思います。
とても後味の良いハッピーエンドでした。

2人の主人公ロザリーンとワッツも、プレイしている内に段々と愛着がわいて好きになれました。
作中でワッツの体調が好ましくないことが度々仄めかされていて、それについての伏線回収もないままストーリーが終わってしまったので、続編で語られるのだろうかと気になっています。

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