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AMリーグ ロゴ制作秘話

こんにちは

麻雀動画専門編集マンのヤマダです。

動画編集の他に各種デザイン業などもしています。

今日はAMリーグのロゴ制作秘話ということで、ロゴ制作に至った経緯や制作のプロセスをお話できればと思います。

制作に至った経緯〜ひろーさんとの出会い〜

AMリーグの発起人であるひろーさんとは以前に名古屋でお会いしたことがあります。

某雀荘で開催された大会で参加者として来られていました。

麻雀警察としての活動を始める少し前だったと思います。

ひろーさんとは大会終了後の飲み会で初めてお話させていただきました。

僕はその時、本業のデザイン業の知識を活かして、名古屋の雀荘を紹介するブログ記事などを書いていました。

その事をお話しすると、ひろーさんは興味を持って自分に色々質問をしてこられました。

「自分もなにか麻雀で活動したい」

そこで自分は活動するための表現方法として、(ちょっと詳細は忘れてしまいましたが)使っているアプリケーションだとか、デザインの勉強法とかを話したような気がします。

その時の第一印象として、すごく熱意のある方だなと、そんな事を思いました。

それがひろーさんとの出会いでした。

その後すぐ、みなさんご存知のMリーグが発足し、
ひろーさんはMリーグの打牌を取り締まる、麻雀警察としての活動を開始されたことは記憶に新しいですね。


で、そこからなんやかんや時が経ち、
僕は麻雀YouTuber向けに動画編集を請け負っていました。

その編集した動画をひろーさんが見てくださり、自分の動画も編集してほしいということでお声がけ頂いたのが、今回のロゴ制作に至るキッカケでした。


後日LINEで連絡をもらいました。

「アマチュアMリーグという企画を行うのでロゴを作って欲しい」

その内容は
●スリアロスタジオさんを1日貸し切りにする。
●麻雀YouTuberなど発信力のあるメンバーによる麻雀対局

といった内容でした。

スリアロスタジオさんの1日の貸切料金は約230000円。

値段としてみると高額です。

実際はプロのスタッフが4人体制で、かつMリーグでも使用しているような高画質・高機能のカメラ、スイッチャーなどの高額機材を使用した高品質の対局映像を撮影できることをふまえるとむしろ妥当な値段であると思いますが。

それにしても個人でこの金額を出すとなると、相当思い切ったなと思います。

加えて招集されたメンバーもあの堀内正人さんを始めとした錚々たる顔ぶれが揃いぶみ。

これを聞いた時、思わずワクワクした気持ちが込み上げてきたのを覚えています。

ひろーさんのテンションからも並々ならぬ熱意が伝わってきました。

当然「やります、できます」と返事をしました。


納期は2日しか無かった

こうして引き受けたAMリーグのロゴ制作でしたが、この話をされたのが、なんと収録の3日前。

できたロゴを見てもらって、修正等を加える前提で行くと実質2日くらいしか余裕はありません。

ロゴ制作にかかる時間は正直まちまちで、
求められるあらゆる要素がバチッと決まればすぐにでもできますが、
決まらなければああでもないこうでもないと時間がかかることもあります。

なので最低1週間あるいはそれ以上、納期に余裕をもたせることが多いです。(あくまでも自分の場合)

とはいえ、引き受けたからにはやるしかありません。

時間は厳しいですが、なんか漠然といいものができるという感覚がありました。


Mリーグを意識して

最初にひろーさんからロゴデザインについての要望を伺った際に「Mリーグに寄せたい」というものがありました。

良くも悪くもですが、Mリーグの存在は意識しないわけにはいきません。

当然のことながら丸パクリはダメです。

色々と問題が起こる可能性があります。

しかしながらMリーグは現状、麻雀の映像対局における最高峰でありますから、意識しないわけにはいかないのです。

意識しつつ、麻雀のリーグ戦であるということをひと目で伝えつつ(今回はトーナメントでしたが)、パクリと言われないように細心の注意を払わないといけません。

そういった微妙なバランス感覚のもと、ロゴ制作に取り掛かります。

ロゴ制作の順序

ロゴ制作の順序として

1. 対象となる媒体・企業・業界の知識や通例を学ぶ
2. 学んだ事項をリストアップ
3. それらをもとに手書きでスケッチ
4. スケッチしたものをアプリケーション上で書き起こす
5. ブラッシュアップして展開

だいたい以上のような流れになります。

知らない業界のロゴを制作する場合、1と2は不可欠で、ある程度時間をかけないといけない部分ですが、
麻雀の世界のことは他の業種に比べれば遥かに理解していますので、ここは省くことができました。

ですので3のスケッチから今回は始めていきました。

●実際のスケッチの一部

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こんな感じでノートに自由にスケッチしていきます。

いきなりPC上のアプリケーションを前にしてあれこれ考えるより、圧倒的にイメージをつかみやすいです。

今回は麻雀のリーグであることをロゴの形でひと目で伝えたかったので、麻雀牌をモチーフにするパターンに決めました。

おおよそのイメージが固まったら次はPC上で作業をします。

ロゴにはシンボルとタイポグラフィと2つの要素があり、ものによってはどちらかのみのパターンや、両方使用するパターンなど色々あります。

今回はシンボルとタイポグラフィ、両方使用するパターンでいきます。


元となるフォントを決める

次はフォントの選定です。

フォントというものは無料・有料含めて、この世の中に無数にあります。

僕はモリサワというフォント会社のモリサワパスポートというモリサワのフォントが使い放題になるライセンス製品を利用しています。

https://www.morisawa.co.jp/products/fonts/passport/

今回はそのフォントの中からいくつか候補を選び、最終的に「RoG2サンセリフStd U」をベースにすることにしました。

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理由としては
* 力強い
* インパクトがある

といった理由です。


ですが、このままだとちょっとスタイリッシュさに欠けますので、ここから調整を入れていきます。

具体的にはこのフォントは横に太いので、横幅を縮めました。


さらに元となるフォントはゴシック体でカクカクしてるので、ほんの少し丸みを付けて硬い印象をほぐします。

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そのまま文字を並べただけだとあまり面白くないのと、
AMリーグならではの意味も持たせたい、という自分の意図もあって、文字で少し遊びを入れようと趣向をこらしました。

アマチュアのAの文字にフォーカスして、Aを少し大きくして強調し、

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LEAGUEの中のAをリーグの頂点を目指すという意味も込めて山のようなデザインとして手を加えました。

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こうすることで文字の中に意味も持たせられるし、Mリーグのパクリと言われる可能性を消しているわけです。


シンボルマークを作る

さて次はついにシンボルマークの作成です。

シンボルマークはロゴの一番の顔となる部分なので、大事に作らないといけません。

スケッチの時に決めたとおり、シンボルは麻雀牌をモチーフにすることに決めました。

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この立体的な麻雀牌の中にAM.LEAGUEの「A」「M」「L」の文字を当てはめていくデザインにします。

麻雀牌の3つの面に文字がピッタリ収まるよう、調整して形を整えます。


こうしてできた初期デザインがこちらです。

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世に出たものとほとんど同じですが微妙に違うところがあります。

それはまた後で語るとして、特徴を見ていきましょう。

配色は青・緑・赤という麻雀でよく見る色使いにしました。

また特定の形の中に文字を入れ込むというアイデアは、Mリーグのロゴだけでなく他にも見られるよくあるアイデアですが、

Mリーグのロゴの形は丸みを帯びた六角形の中に文字が均等配分になるように配置されています。

対してAMリーグのロゴでは、麻雀牌をモチーフにあえて均等にならないように文字を配置しています。

こうすることで見る人に麻雀牌の形をひと目で伝えつつ、差別化を図り独自性を確立させています。

「Mリーグに寄せる」という要望はいただいたものの、デザイナーとしてパクリと言われるわけにはいきません。

きちんとした理由と目的をロゴに込めて形にしています。

この案ともう一つ別のデザイン案を作り、ひろーさんに見てもらったところ、
こちらの麻雀牌モチーフを採用していただきました。

その際いくつかの修正点をいただき、細部を調整してできた完成形のロゴがこちらです。

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最初のパターンと比べると、赤字のLの部分を太めにしました。
どの文字にもできるだけ均一の存在感がほしいということでの修正です。

それに伴い、文字と文字の幅を少し広めに取りました。

個人的にこのロゴの中で好きなポイントは、
麻雀牌の角の丸みを表現した部分ですね。

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微妙なカーブがお気に入りです。

麻雀牌は硬いものですが、
見た目には硬すぎず、やわらかく親しみやすい雰囲気を出せたのではないかと思います。


●他にも色々なパターンを考えました

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評判は上々で、ほっと胸をなでおろす

こうしてロゴは出来上がり、何とかAMリーグ収録日前日の夜に、データを送ることができました。

ひろーさんいわく、ロゴは大好評だったとのことで、実際に堀内正人さんの動画内でもカッコいいとのお声をいただき、

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画像出典:YouTube/https://youtu.be/SWa1aEhhNUY?t=1m19s

麻雀特化ゾーン・ワケベさんも1戦目の実況解説の際にカッコいいと言ってくださり、作ってよかったと心から思いました。


選手たちのモチベーションの向上になればと思った

今回ロゴを作りながら考えていたのは、

「このロゴが世に出た時にどういう反応を作り出すことが出来るのか?」

ということでした。

形だけカッコいいというだけではなく、
それがあることでなにかポジティブな効果を生み出すことができるだろうか。

そこで漠然と思ったのは、発起人のひろーさんをはじめ、選手のみなさんのことでした。

Mリーグを見てれば感じることもあるかと思いますが、
Mリーグの良さはその世界観の演出です。

世界観については今回の選手の1人である平澤元気さんも言及していましたね。

世界観があることで、視聴者の皆さんに大きな盛り上がりを感じてもらうことができます。

この世界観というものは、視聴者のみならず、選手のみなさんにも確実に影響があると思います。

ひとつビシッとしたロゴがあることで、世界観づくりの一端を担うことができて、

それにより選手のみなさんのモチベーションが上がったり、いい緊張感が生まれたり。

そしてそれが面白い対局につながったらどんなにいいことでしょう。

このロゴがそうした良い影響を与えることができたら、デザイナーとしてこれほど嬉しいことはありません。


ということで、AMリーグのロゴ制作秘話についてお話させていただきました。

お読みいただきありがとうございました!

麻雀動画専門編集マンのヤマダでした。


お仕事の相談はこちらまで
mjmovieeditor@gmail.com


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