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宇治出身のプロレタリア作家、中西伊之助(日本共産党元国会議員)の小説『あがた祭』の巻頭
秀逸の一文だ。

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 山城の宇治は、山と水と、千年前の古典の夢の中に息づいてゐるやうな町である。

 たれでも、一度あの宇治の町へはいつて、豊太閤が煎茶の水を掬んだと云う宇治橋のほとりに佇んだものは、一生あの空と、空の下の山と、その山と山との間から迸り出てゐる宇治川の水と、葦の間に立つてゐる千年の古塔と、それから鳳凰堂の鳳凰の姿とを忘れかねるであらう。
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藤原頼通が平等院を建立。
源頼政が自刃。
山城国一揆の衆が平等院で掟、自治確立。
足利義昭が槇島昭光とともに槇島城の戦いに敗れ足利時代終焉。
豊臣秀吉が宇治川流路を変え宇治橋を落橋。
治安維持法に反対し凶刃に倒れし山本宣治が眠る。

歴史の分岐点にいつも登場した町

宇治は美しい。

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