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Lunch 何を食えばいいのか、そして希望の光(西村曜)

 お昼ごはん
 何を食えばいいのか。

 こんにちは。
 西村曜です。

 毎日忠実にやってくるお昼ごはんの時間。

 何を
 食えばいいのか。

 どう
 食えばいいのか。

 いかに
 生きるべきか。

 改行を重ねることでことばに重みをもたせてみました(ほんとうにもたせられているのかは不明)今回のテーマは「お昼ごはん」。ほかのおふたりはサンドイッチだったり冷やし中華だったり、じつにお昼ごはんらしいお昼ごはんを食べていらっしゃいました。そして、わたし。

 そもそもお昼ごはんは、食わなくてはいけないものだろうか。いや食わなくてはいけない。夕方には徒歩で買い出しにいくのです。重い荷物を下げてえっちらおっちら、夕方とはいえまだまだ厳しい日差をうけて歩くのに、そのうえ空腹だとすると地獄の苦しみです。空腹は熱中症を誘引するそうですし……。

 ということで冷蔵庫の点検です。おっ夫がごはんを冷蔵してくれている。ありがたい。買っておいたおいしいしじみの佃煮もある。ありがたい。納豆も三パックもある。食べ放題です。ありがたい。

 しかし、しかしいまのきぶんはごはんではない。ちゃぶ台を返すようですが、とにかくごはんは食べられない。わがままだと言われればそう、わがままです。おもうにお昼ごはんというのはいちばんわがままを発揮できてしまう食事ではないでしょうか、知らんけど。

 朝ごはんはいいのです。夫が作ってくれるし。ごはんとおみそ汁と副菜一品と、たいがい食べるものは決まってるし。夕ごはんも、いいです。夕ごはんはその日のごはんのハイライトなので、日ごろから夕ごはんに向けていろいろ買っておくから食材に難儀することはいまのところないし。なにより夕ごはんはわたしの当番で、夫もいっしょに食べるものだから、それがモチベーションになっている面はぜったいあります。

 ところがお昼ごはんです。まずわたしが作らないといけない。そして食べるのはわたしひとりだけ。ここでもうモチベーションはほぼ絶たれています。そのうえうちはお昼ごはんのために食材を買っておくということをほぼしないから、食材にも乏しい。買い置きや使い残しの食材をあれこれパズルのように組み合わせて献立を考えなくてはならない。モチベーションは虫の息です。そして、食べるからには毎朝決まったものを食べている朝ごはんとはべつに、なにか変わりばえのするものを食べたい。うーん、もうむりです。モチベーションのモチもない。餅はあるけど食べたくない。食べなくて済むものならそうしたい。でも買い出しに向けてとにかく何か腹に入れないと……。

 冷蔵庫に希望の光はなかったので(この「希望の光」とはうちの実家でよく使われる言い回しで「買い置きのなかのめぼしい食材」を指します)食材置き場をがさごそ。ホットケーキミックスが出てきました。おお、ホットケーキミックス。たまごこそありませんが牛乳はあるのでなんとかなるでしょう。でもなあ……。ボウルとかフライパンとか、洗いたくないよなあ……。さらに出てきたのは即席麺いろいろ。即席麺はきぶんじゃない。パスタも却下。

 と、ここで(冷凍うどんがあるかも)とおもったのです。麺つながり。そしてこの気づきが、おもえば勝利のポイントでしたね、と試合後のインタビューにて言うやつです。冷蔵庫は見たけど冷凍庫は見ていなかった。冷凍庫を開けると食べかけのスーパーカップと、保冷剤と、冷凍イカ。イカかあ。おっ冷凍うどんがひとたま。イカうどんか……イカうどんってなんだ……? と、そのとき見つけたのです。「超熟」のしぼんだ袋が、冷凍庫の底にぺしゃりとあるのを。

 冷凍食パン……! といっきに勝機を取り戻し袋を掴んだところ、何枚か食パンの手ごたえ。よかった、冷凍食パンがある。袋を開けると、なんと二枚もあります。よかった、明日のお昼ごはんも確保です。

 冷凍食パンをはんぶんに切ってトーストするとなんだかきぶんが上向いてきて、いそいそとコーヒー豆を挽いて豆乳ラテを作りました。結果的にコーヒー道具の洗い物がたくさん出て、ホットケーキを焼いていたほうが洗い物もすくなかった気がしますが、そんなことはもはやどうでもいいのです。バターも四角く切って、はちみつバタートーストと豆乳ラテのお昼ごはん。すばらしい。なにより明日のぶんの冷凍食パンも確保済みなのです。なんとすばらしい。問題は、明日の昼になったらもう冷凍食パンのきぶんじゃなくなっているかもしれないことです。明日もお昼ごはんどうしましょうね……。

食パンを冷凍しますこの先のわたしを照らす希望の光

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