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2023年春季職団戦振り返り

週末に行われた職団戦での戦いを振り返っていきます。
職団戦は同一職場のメンバーで戦う5人制の団体戦で、ねこまどチームは前回に引き続いてAクラスでの出場となりました(S, A, B, C, D, E, Fの7クラス)。今回のAクラスは持ち時間30分の切れ負けで戦われます。

1局目:日本製鉄(1)

初戦のお相手は四段くらいの若者。私の先手で相掛かりの序盤になり、後手が△2四歩と突いて銀冠を目指すのに対して▲4四歩を突き捨てる形。類例のある形で、図の▲5七角への対処が後手の課題です。

お相手はここで長考のすえ△4二角と打ちましたが、▲9五歩と端に手を付けて先手の方針がわかりやすくなりました。広瀬ー藤井の竜王戦第5局(9筋の突き捨てがある形)では後手が△8四歩と辛抱していますが、いずれにしても人間的には先手が指しやすい形と思います。

このあと、9筋の端攻めを見せられた後手が△6五銀と角取りで暴れてきた局面が先手にとっての分岐点。実戦は▲5七角でしたが、代えて▲4四角と出る手がわかりやすかったようです。△3三金を気にしましたが、そこで▲6二角成△同玉▲9三歩成で問題なく先手優勢でした。

最善を逃しましたが、結局は優位をキープしたままなんとか初戦を制することができました。チームも4-1勝ちで初戦突破。降級がなくなってほっと一安心です。

2局目:総務省(1)

2局目は総務省のおじさま。駒を並べる手つきはいかにも指しなれている感じです。戦型はふたたび相掛かりになりました。


図の△6五銀は積極的な作戦で、こちら(盤面反転につき実際には後手)が▲8八銀を上がっていないのをとがめています。持ち時間が短い将棋ではこの直前に▲2二角成△同銀▲8八銀と守備隊形を整えておくのが無難ですが、今回は30分あるのでじっくり読みを入れて対策を練っておくことができました。図から▲2四歩△同歩▲同飛として、6四歩が浮いている後手の愚形をとがめにいきます。△7六銀~△8七銀成はさすがに間に合いません。


しばらく進んで上図。▲6四飛を見せて△6三金を上がらせたのは先手のポイントで、ここは丁寧に指して優位を拡大したいところです。△7六飛の横歩取りを狙われているこの局面で次の▲2九飛が味の良い一手でした。△7七歩には▲同桂ですし、△7六飛には▲7七銀で次の▲7二角が残ります。こうなると手番を渡された後手に思わしい手がありません。実戦の△8二飛にも▲8三歩と打って(▲7二角の狙い)指しやすくなりました。▲8七歩を保留した効果です。

この将棋に勝ってチームは3-2で勝利。無事に3回戦進出を決めました。

3局目:アクセンチュア(1)

昼休みをはさんで午後はアクセンチュアのチームと。お相手は若者で、角換わり早繰り銀の新型同型になりました。私が先手で、図から▲4五歩△同歩▲同銀と定跡の仕掛けを敢行します。この仕掛けがあるので図の同型はあまり見なくなっています(とはいえ鉱脈はあります)。

先手ペースで進んで下図、ここからの数手がどうだったか。

図から▲4三歩△同玉▲5二角△4二玉▲4三歩△同金▲7二成銀△同角▲7四角成と進めましたが、左辺の馬を作る感触がよくなく最善を逃している感はあります。代えては△4二玉に対して▲7二成銀△同角▲3四角成とこちらに馬を作るか、▲4三歩△同金を入れたあとなら▲7二成銀△同角▲6三金と挟撃体制を築いて▲2四飛を急ぐ方が優ったようです。


なんとか優勢を維持して迎えた図。駒得が大きく優勢ですが、次の手が切れ負けの将棋らしい負けない一手でした。馬取りにかまわず▲4七馬と成銀を取ったのがそれで、手番を握って▲2一歩成の楽しみに期待します。
このあともなんとかまとめ切って勝利。チームも3-2の接戦を制して4回戦進出を決めることができました。


4回戦:電通(1)

ベスト8に進出して次の戦いは電通さんと。メンバーを見ると奨励会有段経験者の方とベテランの強豪の方がいます。こちらの戦力と比較した結果、全体的な棋力としてお相手のほうが格上と判断。この2人がこちらのエースとあたらないような組み方をして(この2人に負けるのは仕方ないと見て)ほか3人で3勝を挙げるプランを立てました。

私のお相手は勝手知ったるフォロワーさん。三段の強豪ですが、ここを勝たないとチームの勝ちもありません。局面は対四間飛車穴熊に進み、こちらは銀冠に組みました。図から▲3四歩と打って角の行き先を尋ねたのが場合の手。△1五角には▲1六歩△5九角成▲3三歩成で対処可能です。ここから中盤のねじり合いが始まりました。

しばらく進んだ図。数手前からこの図を想定して進めていましたが、この△2五桂を見て方針に迷いが生じてしまいました。いいときは簡単にの鉄則通り、▲3二飛成△7三角▲1二竜で問題なかったようです。のちの△6一銀の飛車ぶつけが味よく見えてしまいましたが幻覚で、その際は先手からも▲5三角成の狙いが生じているので不満ありませんでした。実戦は▲3七桂△3三歩▲4五桂(ここ▲2四飛が優る)△3四歩▲5三桂成と進めましたが、若干不利に陥ったと思います。

難しい押し引きが続きますが、切れ負け将棋のためいくつかの変化を読み切らないうちに決断する場面が連続します。なんとか逆転に成功した図で、手厚く▲8七金打と投入したのが穴熊戦&切れ負け将棋らしい一手でした。自玉さえ厚くしておけば負けがありません。このあともなんとか押し切って勝利を挙げることができました。

感想戦中は結果がわかっていなかったのですが、その後お相手のチームが賞品を受け取っているのを見て準決勝進出を悟りました。結局、オーダーのプランをなんとか実現しての3-2勝ちで、やれることをやることの大切さと自チームの運の良さを実感しました。


5局目:NTTデータ(1)

トーナメント準決勝に進出し、これに勝つとAクラス2位以内確定でS級への昇級が決まります(1位2位+慰安戦優勝の3チームが昇級)。お相手は学生将棋出身の強豪を擁する強敵です。迎えた一戦、私の将棋は残念ながら序盤から失敗してしまってあまり見どころのないものにしてしまいましたが、自戒のために局面を紹介しておきます。

雁木対早繰り銀の将棋(便宜上先後逆)。よくある序盤に見えますが、飛車先の歩を突かずに右銀を繰り出すお相手の指し方がうまく、実際には後手番のこちらとしては仕掛けが成立しません。ここはいったん自玉を整備するのが筋でした。連戦の疲労もあり短絡的に▲7八銀△5四銀右▲3五歩と仕掛けましたが、さすがに一番悪い条件で仕掛けてしまいました。このあと△4二飛の反撃が厳しく勝ち味のない将棋となりました。図では駒組みを進めて一局ですが、作戦負けの感はあります。

私が負けてチームも1-4負け。この将棋のせいで2-3負けになるよりかはだいぶマシですが、ここ数年で何度か「あと1勝でS級」というところまで来ているので残念な結果となりました。チームメイトのエースは持ち時間を20分余して勝っていたので、格の違いを見せつけられました(笑)

振り返って

今回の大会はコロナ情勢の若干の改善もあり、長い持ち時間で戦う久しぶりの大会になりました。チームメイトや応援に来ていただいた方、監督のほか、事前練習会にご参加いいただいた皆さんには感謝の一言です。個人的にはS級を目指すためにはもうすこし本腰を入れて将棋に取り組まないといけないなと実感しました。とはいえ普段やっている朝活や勉強法(指した将棋をソフト解析して修正)がすこしずつ結果に現れてきたのは収穫でした。20分切れ負けと30分切れ負けでは読みの深さが格段に違うこともわかりました。

秋の職団戦も頑張りたいと思います。

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