ちょっとした一言が成果を分ける

ビジネスマン向けの記事だが、タイトルに惹かれて読んだ記事がなかなか「示唆」に富んでいて良かった。その記事とは、

できる上司が気持ちよく部下に動いてもらうためにやっていること3選

だ。

そもそも、自分には、厳密な意味での部下がいない。仕事のお願いをする立場だが、お願いする先は、業務委託先だったり、兼務者だったり、派遣会社の方だったりして、ストレートな指示命令系統下にいない。だからいくら仕事をうまく進められるようになっても「できる上司」には該当しない。

また、記事の内容は英語圏での事例がベースになっているので、日本でもそのまま適用できるか分からない。

とはいえ、人にお願いごとをする際、最後にたった一言添えるだけで、承諾してくれる確率が2倍に上がるというのだから、読んでみても損はない。

紹介されていた具体的な事例は、人通りがあるところで寄付を募る際、最後に「でも、あなた自由です(but your are free)」というと、まるでマジックにように、寄付に応じてくれた確率がになったというもの。

一瞬、自由ですって、刑務所などの牢屋から解放されるとか、悪い魔法の呪縛を解かれるとか、職場の「空気」に流されないとか、あるは村落共同体のきつい縛りから解放されるのかと思ったが、全く違うようだ。

40以上もの比較実験を通じた分析成果によると、人は「選択の自由」を与えられることによって、「自分が納得した上で行動したい」という自律性への欲求(自分の行動を自分でコントロールしたいという思い)が満たされ、協力的になるため、結果が上記のような反応の違いとなって表れる、と分析されています。

なんだか難しいですが、これを仕事に「えいや」と応用すると、

「でも、最終的な判断はあなたに任せますね」
「でも、やり方はあなたが決めてください」
「でも、自分がいいと思うタイミングで対応してください」

のように、相手の意思を尊重する姿勢をとることで、お願いされた人が、自分自身で納得した上で、自発的な行動してくれる、という訳。

どうでしょうか? つい、日本社会では以下のように裏を読んでしまいませんか?

「でも、最終的な判断はあなたに任せますね」→責任とれるなら勝手にしろ
「でも、やり方はあなたが決めてください」→結果がどうなっても知らんぞ
「でも、自分がいいと思うタイミングで対応してください」
 →つべこべ言わずにいますぐやれ。出来なくても、納期は厳守だ。
  パワハラになるからそうは言わないけど、言いたいことは分かるだろ。

これからは、そんな風に、言われてもないことを勝手に察してはいけないのかもしれません。

記事の話に戻ります。

アメリカの事例ですが、ショッピングモールやスーパーマーケットで、次の2通りの声かけでアンケートへの協力を依頼した

A:「少しお時間よろしいでしょうか?」と呼びかけてアンケートを依頼
B:「あなたは他人に協力的ですか?」と問いかけてアンケートを依頼

この違いで、アンケートの回答率は

A:29%
B:77%

と、倍以上の差が生じたそうです。しゅごい!

しかし、日本では、全くもって使えないかもしれませんね。もし日本の街頭で、赤の他人にいきなり「あなたは他人に協力的ですか?」なんて聞ける訳ないじゃないですか。何かの怪しい勧誘と間違えられますよ。

でも、まあ、ダメ元でやってみますか…

街頭でいきなり、通行人を呼び止め「あなたは、他人を信じますか?」って


アメリカの大学での事例によると、納得してもらったら、すぐに具体的な計画を立てさせることが大事だそうです。

大学の講演会で感染症のリスクについて説明し、聴いていた学生にワクチン接種を受けるかどうか確認すると、殆どの人が受けるという反応、ところが、実際に受けたのは3%。そこで、次の講演会では、その場でスケジュールを確認させ、空いている日に受診する予定を入れさせたところ、約3割の人が実際に接種したとのことです。

なので、間を置かず、その場で、仮でもいいので予定を組んでもらうことが、依頼したことを(気持ちよく?)実際に実行してもらう上でのコツ、なんだそうです。これを自然な会話の流れの中で、やれればバッチリ。

では、早速やってみましょうかね。

というわけで、xxxすることが大事なんだよ。で、いつスケジュールは空いてる?

どう考えても、押しの強いキャッチセールスマンとしか思えませんが、これくらいプッシュ、プッシュ、押していかないと、営業成績は上がりません。部下にやるのはもちろん、子どもにも、やってみますか。

xxxxだから、xxxすることが大事なんだよ。で、いつやるの?えっ、て今でしょ。

古い。絶対言うこと聞いてくれる気がしません。