【総合商社の片隅から】 今時点の仕事を語っておく
美術館のイベントとかに参加していると、「何をされているのですか?」とか聞かれることがある。
「会社員しています」
としか答えられないのだが、全くもって詰まらない回答だ。聞いた側にとっても、答えた側にとっても。
サラリーマンというのは、守秘義務もあるので、仕事の内容をベラベラ喋るわけにもいかない。とはいえ、仕事上の関係もないのに、社名を言うのも変だし、商社マンですと答えるにしても、仕事内容が世間で想像されるような「商社マン」らしくない。
扱っているものが目に見えるものなら分かりやすいし、型にはまった仕事なら答えやすいが、言語化も難しいし、分かってもらうことはまず無理であるからこそ、付加価値があるのかもしれない。
まず、商社には、ルーチンワークというものがない。(もちろん、出勤簿に打刻するとか、メールや書類に目を通すとかはあるが、これらは仕事の単位ではない)ルーチン化出来る仕事は、マニュアル化して他人に任せることで、新しい仕事(価値)を創るのが本来の仕事とされるからである。
でも、だからといって
世の中に存在しなかった、新しい価値を生み出しています。
とか
誰もやったことのないことにチャレンジしています。
とか、言っても、ポカーンとされるに決まっている。最近、新聞に掲載されたような案件なら語れるかもしれないが、そもそも、そんなことを自慢げに話すのは自分の趣味じゃない。それに、自分ひとりでやっているわけではなく、あくまで組織としてやっていることだから、そう言い切るには違和感がある。また、その時々でやっていることの中身は変わっていくし、人事ローテーション(2~3年で交代)もあるので、自分が仕掛け役でも実際の立ち上げは自分じゃなかったり、その逆のケースもある。
その点、美術館にくるような人は、たいてい、アーティストですとか、キュレーターですとか、ギャラリーやっていますとか、美術メディアの記者ですとか、美大生ですとかで、何と分かりやすいことか。その点、羨ましい…
自慢と取られる可能性を排除して、敢えて語れば、以下の感じになるだろう。