見出し画像

MOMATで過ごして日が暮れて

今年は夏休みを取らなかったので、少しでも有給を消化できるように、時間をやりくりしては、半休を取って、あちこち足を運んでおります。その分、色々と諦めなくてはならないことも多いのですが、今の自分にとっては必要なこと。以前の激務からは考えられないような生活スタイルではあります。

さて今回は、竹橋にある東京国立近代美術館(MOMAT)のご紹介。現在、2つの企画展が同時開催されていますが、実のところ年間パスポートで見られる収蔵品展だけでも半日では見切れない展示量があります。

その中でも、個人的に魅せられたのがこちら

画像1

川瀬巴水の「日本橋」(「東海道風景選集」より)です。この絵の日本橋は、1932年当時の日本橋の様子だそうですが、現在の橋の上に高速道路が掛かっている無残な姿と比べてしまうと、何とも言えない気持ちになります。

画像2

ギャラリートークに参加しましたが、学芸員の方の解説によると、川瀬巴水の「東海道風景選集」の特徴は大胆な構図にあり、写真のような見えた通りの記録ではなく、見たものの印象から構図を再構成して作られているそう。またこのような細かいカラフルな絵が、多色刷りの版画で刷られていることにも驚かされます。MOMATの収蔵品ではあるものの、版画は傷みやすいので、なかなか展示されないそうです。

画像3

図録やカラー刷りの美術雑誌や作品集を見ても、本物とは色合いが異なるだけではなく、印象が全く異なります。出来るだけ本物に触れる時間を作りたい。うまく論理的に説明出来ないけれど、本当に触れる時間の蓄積が、長い目で見て大きな人生の質の差になっていくように思えてならない。