見出し画像

花菖蒲 時代を超えて つなぐ色

先週末になりますが、近所の公園に花菖蒲を見に行って来ました。シーズンも終盤でしたが、200種以上に及ぶ花菖蒲の殆どが開花!なかなかの見応えでした。

場所は、吹上しょうぶ園

江戸時代に盛んに品種改良された花菖蒲は、優れた種が現れると交配して特性を失われてしまわない様に、受粉した花が種を作る前に花を折り、ひたすら株分けして増やして来たそうです。つまり、名がついた品種は全てクローンなんですね。

そんな中、外来種である黄菖蒲との掛け合わせで出来た黄色い花菖蒲が目に止まりました。ガイドさんが言うには、黄菖蒲との交配種は「雑種」扱いで、古来からの品種の保存に尽力されて来た方々からは、なかなか受け入れられないのだそうです。

江戸系 東鑑(あずまかがみ)

確かに、江戸時代から伝わる優れた品種の雅さは、色の魔術師とも言われる通り、芸術品としか思えないレベルです。とはいえ、かつて数多あった種のうち今に伝わるのは、一部に過ぎません。園芸種は、決して「自然のまま」で存在出来るものでは無いからですね。

そんなことを考えながら園内を巡っていると、花菖蒲の原種にあたるノハナショウブに近しい長井古種が目に止まりました。

長井古種の野川の辺(のがわのあたり)
古種を基に品種改良したと思しき長井系の長井清流

素朴な古種と比較すると、色に華やかさが載っているのが分かります。古種でも充分美しいのですが、美しさを求める人の心に限度はないのかも知れません。

先日、皇居東御苑でも見た五月晴れもありました。

園内一面に咲く花菖蒲を見ていて、自分にとっての一番を見つけることが大事なんだろうなと思いました。

とても覚え切れない数の品種

最初は綺麗と思った花を片っ端から写真を撮っていても、だんだん苦痛になって来て、心惹かれた花だけを品種が書かれた札と一緒に撮るようになって来ます。別に図鑑を作っている訳でもないですしね。出来れば、最初から一番好きな花だけを見つけて撮りたい。自分にとっての究極の花だけを…

本当は、それが一番難しいんですけどね