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【シェアバイクでプチ旅】ラフ∞絵展

だいぶ陽が伸びましたね。会社帰りのタイミングでも、まだ30分くらいは夕暮れの時間を楽しめます。時差出勤して少し早めに職場を出られたので、天気が良く気持ちがいいので自転車に乗り、夕方からでも楽しめそうなギャラリーをアートアプリで検索してみました。

その結果、東京千代田区外神田にある3331 Arts Chiyodaで開催されているラフ絵の展覧会「ラフ∞絵(ラフむげんえ)」がヒット。本日最終日(昨日ですが)だったということもあって行って来ましたので、簡単にご紹介したいと思います。なお、サムネイルの写真の通り、会場は元々中学校だった校舎を再利用した施設です。

ラフ絵ですが、作者の頭の中に浮かんだアイディアやコンセプトを短時間で簡単に描いた絵のことを指す言葉だそうです。大まかな描かれた設計図や立面図などにも見られ、要はアイディアが固まる前の段階で直感的に描かれたラフな(大まかに描かれた)絵ということになるのでしょう。

展開会は4人の漫画家のラフ絵が一斉に見られる奇跡の豪華企画で、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」作者の秋本治さん、「FINAL FANTASY」シリーズの天野喜孝さん、「機動戦士ガンダム」のメカニックデザインを手がけた大河原邦男さん、「魔法の天使 クリィミーマミ」のキャラクターデザインを担当した高田明美さんの4人のラフ絵約800点以上が展示されていました。一部は、ラフ絵と比較する形で完成原画も展示されていて、ラフ絵ならではの良さに触れることが出来ました。(展示品は撮影禁止なので写真はありません)

面白いのは「チェンジ・アンド・チャレンジ」と題した、4人の代表作品を別の人が描く試みの展示コーナー(ここだけ撮影可)。例えば、天野喜孝さんが秋本治さんの「こちら葛飾区亀有公園前派出所」を描いたりしています。

事前に調べもせずにいきなり行きましたが、検索すると関連報道がネット上にありました。本展覧会は「作品が生まれる瞬間に迫る展覧会」と謳っているだけあり、こち亀のネーム原本もたくさん展示してあって、まるで作品が生み出される場に立ち会う出版社の担当のような気分に浸れました。


会場では、4人それぞれのインタビュービデオが流れているのですが、ラフ絵についての示唆に富む内容で、こんな言葉が印象に残りました。

作品は完成してしまえばそれでおしまい。でもラフ絵は頭の中にあるまだ未完成のものを引き出していく感じ。

どんな感じしたらいいのかわかっちゃう。色とかこれだなって。描いていて気持ちがいいという感覚がある。

キャラクターの持つ雰囲気や性格が入る『入れ物』を描いている。

いつも立体的なイメージも頭の中でぐるぐる回しながら、周辺のもとキャラクターの境界線を描いている。

絵としてのカッコよさを追求してばかりだと、立体にしたときに破綻する。常に上や後ろから見たらどうなるかなど、絵に見えないところを意識している。

ラフ絵は完成品に至る放物線上に点在している。

(人前に)出しても出さなくてもいいのがラフ絵。何回描き直したっていい。

私の記憶に残った言葉なので、一字一句まで正確とは言えませんが、心の中にすっと入ってくる言葉たちでした。

入場料は安くなく、金欠時なので、本当にチケットを買ってしまっていいのか、入口で何度も悩むほどでしたが、やっぱり見て良かったと思える展覧会でした。いまもその余韻に浸っています。

私と同じような余韻に浸りたいからでしょうか。ギャラリーショップで展覧会の図録が飛ぶように売れていました。