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国語力を伸ばす「視聴話写Route4+1」 1

1、国語のできない原因は、非常に見つけにくい
 
  だから、国語力を上げるのは難しい
   だから、国語力の差は大きい
2、進学塾は国語をどう教えているか
 
  進学塾では「長文切り抜き問題」
  「長切問題」は、解ける子には解けるが、解けない子には解けない

目次

1、国語のできない原因は、非常に見つけにくい

 例えば算数なら、計算力を高めるだけで、テストの点数はある程度上がります。また「××算」なら「××算」だけをしっかりと学習すれば、その「××算」については比較的よく解けるようになるでしょう。
 社会ならもっと明示的です。例えば「京都」の地理を学習すれば他の地方のことは全くわからなくても「京都」の地理については答えることができるでしょう。

 しかし国語はちがいます。国語力を構成する要素には、大きくは「読解力」と「記述力」があります。「読解力」を構成する力の要素の中にも「文字を読む力」そして「語彙力」「想像力」「共感力」など感受性に依るものもあります。
 「記述力」にも、「漢字の書き」から「言葉のつながり」、「文章の構成」「創造力」などが必要です。

 さらに国語力全部に必要な力として、修飾・被修飾の関係など「言葉のつながり」「文法」「論理的思考力」などもあります。

 またそれらの力が相互に影響を及ぼし合っていますから、語彙力ごいりょくが足りなければ修飾関係も見分けられない、修飾関係が見分けられないと、文法力が身につかない、などと、一つの要素が多くの要素とからみあっています。

だから、国語力を上げるのは難しい

 さらにそれらの多くの要素が並行的に関わり合っていますから、国語力を上げるために「これが原因だから」とか「ここを伸ばせば」という一対一の対応がなかなかないのです。強いて言うなら、全ての要素を同時並行的に上げていくしか、国語力を上げる方法がない、ということです。

 これらが、国語力を上げるのは難しいと言われる所以ゆえんです。

だから、国語力の差は大きい

 ですから、小学生で、大学入試の問題を解ける子もいれば、高校生でも小学生レベルの作文が書けない、中学生レベルの読解問題が解けない子もいます。

 私は「これは」と思う生徒には、どのぐらいの国語力があるかを試すために、さまざまな試験をさせてみます。国語力の高い子だと、小学生でも京大の文系国語の二次試験の問題(但し、現代文に限る)で、50%以上正解します。私の知っている限り、小学6年生で最高75%ぐらい正解した子もいます。

 模擬テストで100点満点をとった子もいます。算数で100点というのは珍しいことではありませんが、国語で100点は、なかなかないことです。
 私はこの100点のテストについて、疑問がありました。そしてその疑問点をその子本人にぶつけてみました。

 「××番の選択肢の問題について、あなた『ウ』と答えたけれど、どうして「ウ」と答えたの?私は、ここは、『イ』が正解じゃないかなあと思ったんだけれども。」
 すると彼女は、こう答えました。
 「はい、私も『イ』が正解だと思ったんですけれど、この出題の感じだと『ウ』と答えて欲しいのかなと思って」

 要するに、その文章の筆者の考えからすると正答は『イ』だろうけれど、出題者が求めているのは『ウ』ではないかと、前後の出題傾向を見て判断したというのです。
 これが「本当の国語力」なんですね。ここまでできている彼女に、現代文の読解について、私が教えることは何もありません。

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