バディミッションBONDの人間の描き方が素晴らしい(クリア後感想ネタバレなし)
バディミッションBOND、すべてのエピソードをコンプリートしたうえ、何回も読み直すという、近年まれにみるハマり方をしたので、何が良かったのか、面白かったのかを語りたいと思います。
物語の核心部分に関するネタバレはしませんが、使用する画面キャプチャは物語中盤くらいまでのものを使用しますので、ネタバレが嫌な方は早く本編をやってください!
多様な人間を描いていること
人間にはいい奴もいるし悪い奴もいる。一人の人間の中にも善の部分と悪の部分がある。人それぞれ様々な志向があり、考え方が相容れなくて衝突をすることもあるし、和解することもある。という、当たり前だけどなかなかゲームでは表現されにくいことを何パターンもごく自然に描いていて、そういう世界は安心します。
一見ステレオタイプな描かれ方をするキャラクターも、意外な一面があったりする。こういうタイプの人ってこうだよね、みたいな決めつけが非常に少なくてとてもよかったです。
ジェンダーバイアスが非常に小さいこと
前項とも関連しますが、女性の描かれ方が最近やったゲームの中では断トツにフラットです。これは本当にすごい!
敵の下っ端にも普通に女性がいるし、ルークの同僚である警察官のキャリアの中にも女性がいる。
主人公ルークたちが所属するBONDチームの司令官も女性です。
本作のヒロイン的立場である歌姫スイというキャラも自分の意思を持ち、自分の力で歩こうとする女性です。セクハラにも断固とした態度で対応します。
何なら一人の人間の中に男性的とされる特徴と女性的とされる特徴の両方があるということを自然に描いている!
素晴らしくてため息が出ます。
だからメインキャラクターの4人が全員男性というのはそれはそれでものすごく楽しかったけど少し寂しい感じがしました。
例えば、女性版BONDって成立するのだろうか?なんてことを夢想します。次回作でもスピンオフでもいいからぜひ女性版がやりたいな!
人間関係の濃密さ
多様な人間が織りなす人間関係はそれはもう濃密で、人間関係を想像したり深読みするのが大好きな私は、それはもう本当に楽しかったです。
主要な4人キャラクターがそれぞれバディを組むので6パターンの関係があるのですがそのどれもを丁寧に描いている。ここでいう丁寧というのは、添えぞれのキャラクター間にしかない「関係性」を6パターンそれぞれ違った形で描いているということです。みんなが友達になるわけではない、相性が悪い奴もいる、でもそのキャラたちなりの理解がある。着地点がある。関係性の深まり方がある。
ものすごいテキスト量で表現される関係性のエピソードで、余白がないなと感じていましたが、プレイヤーの想像に任せるのではなく、それぞれの独自の関係性をしっかりと描き切ることが大事だったんだなと、全部終わった今なら思います。
ゲームでしか表現できないこと
あまりにも説明しすぎるし、ゲーム部分は正直言ってあんまり面白くない。選択肢があるけれども展開が分岐するわけではない。これはゲームじゃなくてもよかったのでは?と思っていましたが、最後までクリアして、ゲームとして発売してくれてよかったし、これはゲームでしか表現できないものだったと思いました。
要所要所にボタンを押すだけの簡単なアクションを求められます。時にはプレイヤーとしては従いたくないアクションもあるのですが、でも拒否はできない。間違えた時にはやり直しになる。プレイヤー側には葛藤やストレスがあるけど、自分でやったという責任感?達成感がある。
勝手に進んでしまうアニメと違い、ボタンを押すまでは先に進まないゲームだからこその余韻や緊迫感があったと思います。
何よりもゲームじゃなければ手に取らなかったと思うので、そういう意味でもゲームとして発売してくれてよかったです。
リメイクや続編があったらせめて潜入パートはふつうのボタンアクションにしてほしいな…。救済策をたくさん用意してくれればアクション苦手な人でも大丈夫だと思うから…。
キャラクターが魅力的だしセリフ回しが面白いです。仲が悪いキャラ同士の舌戦は最高で何度噴出したかわかりません。濃いストーリー、濃い人間関係が好きな方にはとてもおすすめです!
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