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ルークが抱えているものーバディミッションBONDネタバレ考察①

バディミッションBONDが面白すぎたので、ネタバレありの考察をしていきたいと思います。ネタバレが嫌な方は本編をぜひやってみてください!
ネタバレが気にならない未プレイの方にもわかるように書きたいと思いますが、わかりにくかったらごめんなさい。

ルークとは

孤児であったルークは警察官だったエドワードに引き取られて、暖かい関係の中で心を取り戻し、「二人でヒーローになる」という夢を親子で目指します。ところがルークが16歳の時にエドワードは殉職してしまいます。ルークは父の遺志を継ぎ警察官になる、というのがルークの生い立ちです。非常にまっすぐでおちゃめな好青年として描かれます。あまりにも「ヒーローを目指す」と臆面もなく言い放つので周囲からはちょっと煙たがられています。
正直、少年漫画によくある熱血キャラかと思ってあまり注目していませんでしたが、物語を最後まで終えた今は、最推し(この言葉使ってみたかった)になりました!彼の内面をいろいろと想像するとあまりにも切なく、またあまりにもまっすぐで泣けます。そのルークについて思う存分語りたいと思います。せっかく勉強しているので心理学的な知識も交えつつルークの傷つきと回復、父エドワードの関わりについて考えてみたいと思います。

ルークの悪夢

ルークは作中でたびたび炎に包まれる悪夢を見ます。

何度も見る悪夢

この悪夢は疲れているときや、怪我をしてうなされているときに見ていて、バディエピソード(以下BE)3「ルークからの信頼」の中でチェズレイに相談しています。ルークにとって睡眠が浅くなりがちになる悩みの種です。
原因は、8歳くらいに火事で家族を亡くしたこと。火事に遭った後遺症で8歳以前の記憶は思い出せないとチェズレイに説明しています。悪夢から起きると激しい動機がして冷や汗をかき、そしてひどく悲しい気持ちになるといいます。

物語が始まった時点でのルークは、死ぬかもしれないような事故、災害に遭ったことでトラウマを抱えている状態にあったと思われます。

ちなみにトラウマを負った後におこる主な3つの後遺症は①再体験②回避・麻痺③過覚醒です。
ルークはこのうちの①再体験を悪夢という形であらわしているわけです。
また記憶喪失は、心を守るために辛すぎる記憶を忘れることで、トラウマの影響の一つです(解離性健忘)。とても明るくておちゃめなルークですがハードな人生を生きていますね(なぜ彼がそんなに明るいのかについては後で考察したいと思います)。

炎は怖くない

しかしちょっと不思議なことがあるのです。トラウマになるような記憶がある人は、それによく似た状況や、それを思い起こさせるシチュエーションに拒否反応が出やすいです。トラウマがなぜ生じるかというと、命の危機にかかわるような恐ろしい体験をもう二度としないためなので、恐ろしい体験に似た状況や場所を避けるのは当然のことです。

しかし、ルークは「火事で家族を亡くしている」のに、炎上する建物の中に取り残された人を相棒と助けに行く(バディエピソード13「ヒーローとは」)というシチュエーションでも全く動揺していません。

炎の中で使命感に燃えるルーク
全然動揺していないルーク

ものすごくトラウマが喚起されそうな状況だと思うのだけど、まったく動揺していないということは、炎の中で死にそうになった、ということがルークのトラウマではないということでしょう。
(あるいは「相棒とヒーローでを目指すこと」が彼から恐怖を取り除いている可能性もありますが)

何がトラウマなのか

では何が彼のトラウマなのか。彼が無気力になる時が作中で2回あって、1度目は所属していた警察に裏切られて投獄され拷問を受け続けた時、2度目は信じていた父に騙されていたと知り、捨てられた時です。

ルークにとって警察とは、父とのつながりを感じ続けられる拠り所だったと思います。警察から裏切られるということは、父とのつながりが断たれる非常に信じがたいことだったでしょう。
また、心の拠り所そのものだった父が実は自分をだましていたという、モクマの言う「最悪の展開」となったときは、世界が壊れるような、絶望といっても過言ではない心理状態だったでしょう。
その時、彼が繰り返して言うのは「誰ともつながっていない」という言葉です。
彼のトラウマとは、炎とかそういう状況に依存しているのではなく、「絆が断たれること」「つながりを感じられなくなること」であることがわかります。

ルークの炎の悪夢はいつも「ひとりにしないで!」という叫びで終わります。

物語の後半でルークは実は彼の本当の名前ではなく、友達がルークを生かすために自分に名前を譲ってくれたことがわかります。
上の画像の「快活な少年」がルークなのですね。
ルークのトラウマ、つまりルークが最も恐れているのは「一人になること」なのです。上記の無気力な時に救ってくれたのは2回とも仲間でした。仲間とのつながりを感じることで、彼は辛い記憶を思い出すことができ、そして自分自身でいられることができるようになりました。
しかし、悪夢の原因にもなった、8歳の時の「炎の悪夢」の後に救ってくれたのは、皮肉にも彼をだましていた父エドワードだったのです。
このエドワードとの関わりで彼がいかに救われたのか。それを次回は書きたいと思います。彼の明るさについても考察したいと思います。

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