ゲームメモ006: 熱血高校ドッジボール部(アーケード、FC、PCE)
熱血高校ドッジボール部。
有名なゲームだし、ジャンルの題材となったスポーツも有名だけど、あんまり競合他社によるライバル作品がない不思議なゲーム。
プロリーグが無い、中継がテレビでやってないからかな。
題名から分かる通りドッジボールのゲームだ。
しかも「熱血硬派くにおくん」の続編タイトル。ケンカゲームの続編が、どういうことかドッジボールゲームになった。
筆者は初めて遊んだのはアーケード版で、その後小学生の頃にファミコン版をメチャクチャたくさん遊んで、中学生くらいでPCエンジン版にハマった。
筆者は世代的に「昔のゲームで”ゲーセン版が最初に出て、あとから家庭用に移植されたゲーム”は、ほぼ全てゲーセン版こそが最強であり神。家庭用は劣化版」というふうにどうしても考えてしまう。
しかしこの「熱血高校ドッジボール部」は家庭用で追加・変更された要素が大変面白くできており、初めて「どちらも好き」と言えたタイトルだったと思う。
そもそも何でヤンキーの喧嘩ゲーの続編がドッジボールだったのか
当時の開発や企画にGOを出した役員に聞かないとわからないことなので憶測だけど。
「くにおくん」は売れたけどヤンキー向けだったので、次は駄菓子屋ターゲットで子供向けのものを作ろう。みたいな話があったのかもしれない。
前作の(ケンカアクションだった)「熱血硬派くにおくん」はゲーセンでかなりヒットした。
ゲームに出てくる「くにお」や「りき」と同じような髪形や服装をしたヤンキーのお兄ちゃんがよくプレイしていた。
当時小学生だった自分としては、遊んでみたかったけど、そんな怖いお兄ちゃんが遊んでるところにはなかなか近づけなかった。カツアゲされるし。
あと、操作も少し難しかった。ボタンも3個あったし。覚えちゃえばそこまで複雑じゃないんだけどね。
でもドッジボールは学校でやったことがあるからルールも知っているし、ボタンも2個(ファミコンと同じ数)で簡単そうに見えた。
そもそも筋金入りの喧嘩最強ヤンキーが運動部でドッジボールすんのか
そういう人がいてもおかしくはないよね。スラムダンクの桜木もヤンキーだったし。
アイシールド21にもヤンキーが数名仲間にいたっけ。
ヤンキーが題材だからなのか、この熱血高校ドッジボール部は通常のドッジボールと一部ルールが異なる。
内野手は、ボールが当たっても外野に移動することがない。
体力の続く限り内野にとどまって戦い続ける。
力尽きたら死ぬ。内野手が退場するのは死ぬときのみ。
これいま思うと、ボールに一回当たるたびに退場シーンを挟んでたらテンポが悪いし、退場シーンは面白くもないけど作るからには容量も食うだろうし、省略しちゃおう的な感じだったのではないだろうか。
引き算の面白さだ。
見事なデフォルメだと言っていい。「くにおくん」シリーズなら違和感ないし。
「必殺シュート」がぶっ放せる
熱血ドッジのおもしろかった要素を分解していきたい。
最初に思いつくのは「必殺シュート」だ。
ボールを持って走り、ジャンプし、頂点付近でシュートボタンを押すと必殺シュートが出せる。いわゆる「なっつシュート」だ。
しかしタイミングは少しシビアで、リズムを覚えないと失敗して普通の球を投げてしまうことも少なくなかった。
アーケード版では、プレイヤーが出せる必殺シュートは一つしかなく、くにおくん以外の仲間キャラは必殺技を出せなかった。
ファミコン版やPCエンジン版では、全ての内野手が2種類以上の必殺技を出すことができた(しかもみんな違う技を持っていた!)
ボールを持った状態でダッシュして、一定歩数(7歩だっけ)走ったらシュートボタンで、第2の必殺シュートが出せた。ダッシュジャンプシュートとは違う技が出た。これは家庭用ナイスアレンジだと思った。
どのチームを使うか、チームの誰を内野手にするか?を、必殺技の好みで選ぶことができたのだ。
全シュート、タイミング合えばキャッチできた(家庭用は)
アーケード版は、敵が放ってくる必殺シュートが2種類あった。
いわゆる「モズ落としシュート」と「ぶよぶよシュート」だ。
モズ落としはタイミングシビアだけど一応キャッチすることが出来た(はずだ)が、ぶよぶよシュートはキャッチ不可能だった。
家庭用移植版は、だれが放つ何のシュートであっても、すべてタイミングさえ合えばだれでもキャッチすることが可能だった。
その分、消える魔球とか、だんだん加速するシュートとか、高速で飛んできたと思ったら一瞬静止し、カクっと曲がって再度動くシュートとか、タイミングを狂わせるような必殺シュートがいっぱい実装されてた。
AB同時押しでジャンプ
ファミコン版のくにおくんやダブルドラゴンなど、テクノスジャパンのゲームはAボタンもBボタンも攻撃に使われていて、ジャンプのボタンが無いのでAB同時押しでジャンプする。という仕様のゲームがわりと多かった。
テクノスのゲームを1個でもやりこんだことがあるユーザーならばすんなり理解できるのだけど、初めて遊ぶ人にとってはちょっと複雑だった。
スーパーマリオやロックマンなど有名なアクションゲームは「Aボタンでジャンプ、Bボタンで攻撃」が主流であったためだ。
アーケード版の「熱血硬派くにおくん」や「ダブルドラゴン」はボタンが3個あり、真ん中のボタンがジャンプであった。
ファミコンやPCエンジン、セガマーク3など当時の8ビットゲーム機のコントローラーは、ボタンが2個しかなかったため、アレンジが必要だったのであろう。
パンチとキックを1ボタン(Bボタン)にして状況によって技が自動で変わるようにして、Aボタンはジャンプ。とするのか、それとも2つのボタンで多彩な攻撃を出せるというところは残し、ジャンプを同時押しにするのか。という2択だったのではないかなと思う。
熱血高校ドッジボール部はアーケード版もボタンが2つであった。Aボタン…即ち第1ボタンでシュート(キャッチ)、Bボタン…第2ボタンでパス(避け)だ。そして同時押しでジャンプする仕様だった。
ドッジボールのゲームであるため、マリオのようにジャンプで崖を飛び越さないと落ちて死ぬ。というような状況はゲーム内に全くなく、必殺シュートを打たないならばジャンプをしなくてもゲームをプレイできた。
ジャンプは「より高度な、強力な攻撃を出すための、上級者のために用意された要素」だったと言える。だから同時押しでも構わないという判断だったのかも?
また、ゲーセン版を遊んだ後にファミコン版に移行したユーザーにもわかりよかったのではないかなと思う。
家庭用で追加されたモード
ファミコン版では以下の要素が追加された。
筆者はPCエンジン版も良く遊んだ。ファミコン版と比べるとマイナーな作品かもしれないがいい出来だった。
競合
80、90年代のアーケードや、ファミコンスーファミ、PS1くらいまでの時代って、あんまりドッジボールのゲームって他に出てないよね…?
「ドッジ弾平」がかなりいろんなハードでゲーム化されてたけど。
あとSDガンダムやSDの仮面ライダーなんかがドッジボールするゲームがスーファミで出てたっけ。
あとPS1で男塾の「怒馳暴流(どっぢぼうる)」が出てた。
それとGBAで「爆熱ドッジボールファイターズ」が出てたね。
Wiiのマリオパーティー的なスポーツゲーム集(タイトル忘れた)にもドッジボールあったかもしれない。
GBAの「爆熱」は、くにおくんのIPじゃないんだけど、熱血ドッジのスタッフが開発したゲームだった。
最近のスマホやインディーゲーム、ネトゲ界隈、アジア界隈なんかには、可愛らしいキャラのドッジボールのゲームがチラホラあるっぽいけど、フルプライス買い切り家庭用でないものは今回は割愛する。
ドッジボールは子供の頃に遊んだことがある人が多くてなじみがあるけど、やはりプロリーグが無くプロアスリートを観る機会がないことからも、「ファンが買うゲーム」という形ではゲームにしにくいのかも。
余談だけどPCエンジンには「あっぱれゲートボール」という、ゲートボールのゲームが出ている。
おそらく家庭用ゲーム機用フルプライス買い切りソフトでゲートボールゲームは競合が全くなく、全宇宙でこれ1本だけだったのではと思う。
これも憧れのプロがいなく、ファンが買う。という需要が無かったことが理由じゃないかと思う。
くにおくんのドッジボールが他の競合タイトルより頭一つ抜けて、未だに有名なのは、破天荒なルールと必殺シュートで爽快に遊べたからではないかな。
[B] で ぬけます.