どこかへ置いてきてしまった何かを

画像1 休憩室がすく頃を見計らってコンビニへ行く。ぼんやりした頭に効く物を思い浮かべながら歩く。チョコレート、ブラックコーヒー、ミントタブレット? コンビニを出ると、エコバッグが風をはらむ。朝方までの雨はとうに止んで、街路樹の葉が陽射しに手を振っている。周囲には誰もいない。ふと思いついた。マスクを外してみよう。白いゴムを片耳だけ外して、たっぷり空気を吸いこむ。近くには幹線道路。でも鼻腔が脳へ伝えたのは排気ガスではなく、かすかな甘さと青草の香り。なつかしい何か。風が頬を撫でて初夏にさよならを告げた。

ここまで読んでくれたんですね! ありがとう!