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映画、漫画、アニメ、とにかく一言書きたくなった作品を妄想を大きく羽ばたかせて徒然なるままに感想を書いたものです。
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#映画

才能を持ってしまった者達の悲哀と運命。フェイブルマンズ感想

スピルバーグの自伝的映画。フェイブルマンズ(複数形になっていることに注目されたい)。幼少期から青年にかけて、彼の一家に起こったとりとめのない出来事を一本の映画にしていく。いかにして映画人スティーヴン・スピルバーグは完成したのか。その軌跡を描く。 この映画はスピルバーグ少年がカメラを回し、編集し、みんなに見せるという場面の繰り返しで進む。とりとめのない日常の出来事。映画を編集するかの如く彼の少年時の家族の生活を撮り、編集し、観客に見せる。その営みがメタ的に一本の映画になったの

あの頃最強だった俺たちの青春賛歌~かぐや様は告らせたい ファーストキッスは終わらない~

人は羽化した状態で生まれてくる。子供のころは自由に飛び回れる超能力者だったが、辛すぎる現実をやり過ごすために、心の内に繭を作り、いろんな物を背負いこむうちに背中が曲がり、いずれは老いて惨めに這いつくばる芋虫となり、無念の内に死ぬ。 社会性と引き換えに、飛び方を忘れる哀れな生き物。それが人間だ。 さて、『かぐや様は告らせたい』は三期アニメ化された漫画原作アニメだが、最新シリーズが特別上映として映画館で放映された。文化祭でウルトラロマンチックな初キスを遂げた白銀とかぐやだったが

インド版イップマン「RRR」感想

「RRR」バーフバリの監督の最新作とあっては見に行かざるを得ない。 近年、経済発展目覚ましく、もはや途上国とは言えないレベルまで成長を続けている。娯楽産業もしかり、インド映画の最高峰ともなるとハリウッドにまったく引けを取らない出来のものばかりだ。アクション、ドラマ、CG技術、なんといってもダンス。 そしてインド映画は、「RRR」で騎馬戦ガン=カタという新たなデンジャーゾーンに踏み込んでいくのだった。 時は1920年の英国統治時代。山深い村落に住む部族の虎殺しの若者ビームは、

白石の最高傑作!オカ森 お待たせしました、NEOが出ます!

白石晃士監督の最新作、オカルトの森へようこそを見てきたぜ!白石監督といえば、コメディホラー(?)の金字塔で、作品の中で全身にアルミホイルを巻きつける事や、呪いを遮蔽するビニール袋(コンビニで貰ったやつ)を常備する事を奨励し、霊体ミミズの脅威の啓蒙活動に尽力している。 ホラー映画監督黒司こと白石の元に、赤い隕石の落下を捉えた奇妙な映像が投稿されてくる。 空に一筋の赤い軌跡が伸び、隕石が落ちる。直後に背後から忍び寄る黒い塊に霊体ミミズを植え付けられてしまう・・・。 この映像を

劇場版バイオレンスアクション見てきた

みちたか君オッス! 先日公開された劇場版バイオレンスアクションを見てきた。かわいい専門学校生のケイが動いて殺す、同名原作漫画の映画化だ。 「ぷるるん天然娘特急便」一見デリヘルのホームページだが、巧妙に隠されたダミーサイトで、相応の価格で非合法な武力派遣を斡旋している。そこのトップデリバリーヒットガールが主人公のケイだ。普段は商業系の専門学校に通い簿記の勉強をしているが、ひとたび仕事となると、目にも止まらぬスピードで斬って、撃って、走って、飛び回って、瞬く間に屍の山を築き上げ

神々の山嶺 感想 名前のない衝動に駆られて

神々の山嶺見た。よく眠れた。 マロリーのカメラがとっかかりになってるが、ほとんど話に関係が無い。予告編でもミステリーが〜とか言ってるが、マジで全然関係ない。 マロリーが登頂していようがいまいが、それは単なる事実であって、マロリーを理解する事は出来ないし、お前には関係がない。 序盤の滑落シーンが怖すぎてほとんどホラー。命掛けてまでなんで、しかもより過酷な条件で山に登るのか?てっぺんの先にもまたてっぺんがあって、どんな高山も通過点でしか無い。その荒業の先に神々に至る道があるのか

映画ゆるキャン△感想 四の五の言わずまずは劇場に来い

映画ゆるキャン△を見てきたぜ。その日、劇場はコッテリした同類に包まれた。 名古屋のタウンペーパーを発行する出版社に勤務するリンちゃんは、大垣に飲みに誘われホイホイとついて行ってしまう。 初めは「苦手なんだよな」と言っていた千明を『アキ』呼び、からのサシ飲みやるまでに打ち解けていてまず涙だよね。 劇中で「二代目グビ姉」を襲名した大垣は名古屋コーチンの手羽揚げを豪快に頬張りスーパードライで流し込みつつ、ある相談を持ち掛けた。 山梨の地域振興課に転職した大垣は、リンちゃんにキャ

ベイビーブローカー感想 見る前に韓国の赤ちゃんポストについて知っておいたほうがいい

ベイビーブローカー見てきた。『パラサイト』のソンさんと『万引き家族』の是枝監督のタッグ。これだけで見ない理由はないな。 赤ちゃんポストに投函された赤ちゃんを、非正規の手段で横流しして養子縁組仲介料をせしめるセコイ男たちが主人公。 そこに、一度は捨てたがどういう心境の変化か、赤ちゃんを迎えに来た母親がやって来る。育てる自信はない、しかし、赤ちゃんは心配だ、養子縁組でいい家に引き取られて金が貰えるんだったらそれが一番いい。 そんな利害の一致から、男たちと若い母親は里親探しの旅に

シン・ウルトラマン 感想

シン・ウルトラマンめちゃくちゃ面白かった。けど、万人にオススメできる作品では無いwウルトラマンある程度見てて、洒落が通じる人には刺さると思うけど・・・。 ウルトラQで始まるの最高だな。初めはウルトラマン抜きで頑張るんだけど、大人(上位者)の都合でウルトラマンが出てこざるを得なくなる。この辺のメタ含んだ脚本は特撮の歴史を踏まえた物だろうかw? ウルトラシリーズ特有の構図に紛れて、エヴァとか庵野作品を思い出させるシーンが埋め込まれており観客を飽きさせない。特撮のパロのセルフパロ

映画「帰ってきたヒトラー」がここ最近で一番面白かった

ナチス式敬礼(右手上げるやつね)するだけで逮捕される現代ドイツで、ヒトラーの恰好したおっさんが無双するヤバイ映画。こんなにそっくりな人よく見つけてきたな。話し方とか演出がかなり似てるんじゃないかな?あのネットミームで有名なシーンも劇中でパロってあるぞ!? 以下、ネタバレ。見てない人は今すぐ見よう。 時は現代ベルリン。地下壕で一人拳銃自殺を図ったはずのヒトラーが時を超え、21世紀に蘇った。初めは連合軍の凝った情報戦と思ったが、新聞を見ることでどういうわけか2010年台にタイ

蒼穹のファフナーthe Beyond 最終話見てきた(微妙にネタバレあり)

ファフナービヨンド最終話みた。 17年続いたシリーズもいよいよ終幕。エヴァみたいなアニメを作ろうというコンセプトで始まったが、できたのは全然別物だった。 卒業を選んだエヴァに対して存在(ザイン)を選んだファフナーは対照的だ。 ファフナーシリーズの楽曲を手掛けるangelaさんも、エヴァの楽曲のコンペに参加するために上京してきて、そのつてで本作に参加したらしい。舞台挨拶でも散々ネタにされてたけど、一樹と真矢のあのシーンのイントロでもう「あ、来たわ」って思ったよね。 君は

三池監督作品「殺し屋1」感想 Killer7との関連性(Killer7の重大なネタバレあり)

バイオレンス映画の代名詞、三池崇史監督のヤバイ映画「殺し屋1」を見た。 イチは普段はパッとしない、堅気の仕事もロクすっぽできない、すぐに泣く、気弱そうな青年だが、ひとたび暗殺の仕事となると泣きながらヤクザ軍団を踵落としで惨殺!一瞬にして血の池地獄に変える。 新宿ヤクザの若頭、垣原が親分を殺った犯人を情報収集と拷問で探し回るという形式で進む。当然殺したのはイチを始めとする殺し屋を指揮するジジイのはぐれ者集団で、ヤクザさんチームと殺し屋さんチームがぶつかり合うのだ。この垣原が