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【全文無料】白単メタビート概説 第2回:白単メタとは何か

1.はじめに

 こんにちは。ミズノエです。
今回は【白単メタビ】に関する最も基本的な部分、その動きと強み、弱みについて解説していきます。

今回の結論を一言で言えば、このデッキは
「相手の動きを牽制してテンポを奪い、負けない盤面を展開する」デッキです。
この説明を深めるため、まずはTCGにおける「アドバンテージ」についておさらいしておきましょう。

2.”アドバンテージ”とは

 DMをする時、皆さんはどのくらい”アドバンテージ”について意識しているでしょうか?ある程度の腕があるプレイヤーなら自然と考慮に入れたプレイができているかもしれませんが、それとは正反対に、全く考慮せずカードをプレイしている人もいるかもしれません。

 アドバンテージとは、簡単に言えば「使用しているカードの枚数・質やゲームの優劣」のことです。アドバンテージは参照されるカードの種類やゲームの動きによって更に細かく分類されます。もっと正確に、詳しくアドバンテージについて知りたい方は他の記事も参照してください。
・ハンドアドバンテージ
・マナアドバンテージ
・ボードアドバンテージ
・テンポアドバンテージ 他

カードゲームのやりとりは、アドバンテージのやりとりです。
どんなアドバンテージをどう稼ぐか?これがデッキの強みに直結します。

アドバンテージを語る上でよく問われる事象は以下のようなものだと思います。
「手札が3枚よりも、5枚の方が強い」
⇒単純な枚数比べ
「≪エナジー・ライト≫で増える手札は何枚だろう?」
⇒手札を1枚消費し2枚ドロー=1枚増えた
「マナが1枚増える呪文より、2枚増える呪文の方が強い?」
⇒コストが同じならそうだが…
「なぜ≪スパイラル・ゲート≫は2コストなのに、≪アクア・サーファー≫は6コストなのか?」
⇒クリーチャーとして場に出るというアドバンテージ
「手札1枚を使って、相手の手札を1枚捨てさせた。枚数で見れば一対一交換、テンポで見れば?」
⇒場合によって違う。考えてみよう。

 ”プレイング”を語る際においても、アドバンテージの考え方は非常に重要です。”プレイング”とは勝つためにアドバンテージを最大化させること、”プレイミス”…いわゆるプレミはその大部分がアドバンテージを最大化できないプレイングと言い換えることができると思います。

デッキが事故る、という事象も「本来のテンポアドバンテージを得ることができない」と説明づけることができますね。

3.【白単メタビ】の戦い方

 アドバンテージについて確認したところで、いよいよ【白単メタビ】の戦い方を説明します。

①メタクリーチャーによって「テンポアドバンテージ」をとる。
②ドローソースによって「ハンドアドバンテージ」を得る。


この①②を繰り返すのが【白単メタビ】の最も基本的な戦い方です。
 ゲームの中のどこかでビートダウンないしワンショットによる勝利を目指すことが殆どですが、殴り方のプランニングは決して一様ではありません。たまに≪ジ・エンドオブ・ユニバース≫によるEXwinが採用されることもありますね。

「テンポを奪う」そして「手札を稼ぎボードに変換する」このどちらも【白単メタビ】の重要なアイデンティティです。

もう少し詳しく見ていきましょう。

①メタクリーチャーによって「テンポアドバンテージ」をとる。
 2~4ターン目まではメタクリーチャーの展開に専念することが殆どです。適切なメタクリーチャーの選択と中盤までのプランニングも序盤の重要なプレイングです。
 クリーチャーの展開によってメタを張るためボードにも、ドロソの性質上、しばしばハンドアドバンテージにも関与しますね。クリーチャー横並びこそ【白単メタビ】の強みであり、弱点です。

話が逸れました。「テンポをとる」ことについて。
メタクリーチャーは相手の行動を制限する能力をもったクリーチャーです。
メタクリーチャーに対応するためのターンを相手に消費させることで、実質EXターンを得たかのように自分の動きを伸ばすことができます。
「相手のテンポを奪い、その隙に自分のアドを稼ぐ」
自分のテンポスピードと相手のテンポスピードの差を広げ、保ち、勝つ。
これはこのデッキの最も重要な思考です。

メタクリーチャーの種類によって稼げるターンに違いがあります(後述)

②ドローソースによって「ハンドアドバンテージ」を得る。
 
メタを張って殴るデッキは数あれど、ゲーム中盤にまとまった数(3枚~)のドローができるデッキは【白単メタビ】くらいしかないのではないでしょうか。ドローと展開を一致させ、ガチガチの盤面を作ることがこそ【白単メタビ】の最大の特徴です。
 
 いままで(23年6月現在)の【白単メタビ】では4・5ターン目に≪サザン・ルネッサンス≫や≪シェケダン・ドメチアーレ≫などのドローソースで息継ぎを行い展開を伸ばしていくことが多いです。それ以降のターンでもドローソースを連鎖的に使用し、更に手札を増やしていきます。

 【サザン】時代には≪コアクアンのおつかい≫や≪ジャスト・ラビリンス≫など呪文によるドローもよく使われていましたね。メタリカ軸では≪龍装者バーナイン≫のように置きドロソも採用されました。

 敢えて書くとするなら、ここで稼ぐハンドアドバンテージは全て「ボードアドバンテージに変換するために稼ぐ」という事です。今後メクレイドやその他の山札からの踏み倒し手段が確立されたなら、【白単メタビ】の展開方法も大きく変わる可能性がありますね。

4.【白単メタビ】の強み

 このデッキタイプの強みとして今回挙げるのは以下の通りです。
〇相手のミスを誘発しやすい
〇構築と立ち回りの自由度
〇圧倒的なハンドリソースによる選択性
以下に細かく解説していきましょう。

〇相手のミスを誘発しやすい
環境外の山全般に言えることでもあります。
 【白単メタビ】に属するデッキはいつの環境も大体Tier3以下、大会で対面して初めて経験を積むという人も少なくありません。こちらの手の内が割れていないという事は、それだけ相手の意図しない動きで攻めることができるという事です。共通したリストも無いデッキですから、私自身も対面した際は無限の可能性を予想してプレイすることを強要されます。
 ただ、このデッキタイプは他の地雷山とは少し違う挙動をします。豊富なメタクリーチャーが相手のテンポを奪うため、相手にそれを対処するプレイを同時に押し付けるのです。
 このデッキに対面した際の相手の挙動は様々です。除去に固執する人、自分の動きを曲げながらもリソースを確保しようとする人…。まさに相手の腕が見えます。先述の通り、プレイングとはアドバンテージの最大化。【白単メタビ】はアドバンテージ差を押し付けて勝つデッキです。アドバンテージ差を広げて勝つデッキが、そもそもアド差を広げやすい構造をしている、非常に良い噛み合い方をしています。
 もっとも、相手が上手ければ上手いほどこの強みは薄れていくのですが。

〇構築と立ち回りの自由度
 
この話題は取り上げるデッキをより具体的に、今回は【白単ゴルギーニ】を例に解説していくことにします。お手隙の方は適当なサイトで【白単ゴルギーニ】のリストを探してみてください。おそらくどのリストも平均8枚くらいのパーツが異なっているのではないでしょうか?
 【白単メタビ】において、採用されるパーツ(後述するがメタクリ、ドロソ、補助札に分類できる)とその枚数は確立されておらず、完全に乗り手の経験とセンスにゆだねられているのが現状です。研究が進まないくらい弱い山と言われればおしまいですが…。本シリーズ「第4回:【白単メタビ】の構築」では構築する上でのパーツの分析と採用基準について触れる予定です。
 【白単ゴルギーニ】は前身の【メタリカサザン】のような種族の縛り、また≪サザンルネッサンス≫の言及する「コスト3以下の光獣」の縛りから解放されました。これにより、より多様なメタクリーチャーが採用され、単純に選択肢は印刷される新規メタクリ以上に多様化しています。
 採用札が変われば自ずとデッキの持つ立ち回りのキャパシティも広がります。≪ドラン=ゴルギーニ≫の動くがままに刻むルート、しっかり盤面を整え≪ジャミング=チャフ≫詠唱と共に突っ込むワンショットルート、極端な例を挙げれば【青白サザン】のように成長ダンテの動きを盛り込んだアグロプランも実現できるでしょう。

〇圧倒的なハンドリソースによる選択性 
 中盤以降のゲーム展開において、【白単メタビ】は必要パーツをアクセスできるまでドローし続けるという挙動を実現できることが少なくありません。この項目で触れる強みは、単純なハンドアドバンテージを得ることの強みに他なりません。手札が多いという事は、相手に対して適切な札を、必要な枚数(重要)使いやすくなるという事。ドローが増えれば、ピン投のフィニッシュ札にアクセスするというプランも一応取れます。

5.【白単メタビ】の弱点

若干現実の話をします。
好きでこのデッキを握る人は受け入れつつ戦いましょう。

【白単メタビ】の弱点
まず、基本的に刺さらないメタクリはバニラと同義です。
仮にデッキの全てのメタクリが相手に刺さらない場合、あなたは小学生以下のバニラデッキで戦わなければいけないことになります。

このデッキはどこまで行ってもカードパワーの低いウィニーのデッキです。速攻のようなゲームスピードも基本ありません。相手の足を引っ張り、相手にこちらの水準に降りていただく非常に謙虚な山です。前回、「メタクリで相手に原始時代以下のデュエマにさせる」と書きましたが、言ってもこちらも大概。エアガンを持った中学生が大人から武器を取り上げて戦うとして、無事に武器を奪えるでしょうか?武器を奪ったとして、勝てるでしょうか?割とそういう次元です。

もう少し具体的な話をしましょう。
デッキの動きに焦点を当てると、このデッキの弱点ないし負け筋は、
〇こちらのテンポを奪われると止まりやすい
〇ドローソースが連鎖しないと展開不十分になる
〇相手のテンポを奪いきれないとバニラビートになる

こんな感じです。詳しく見ていきましょう。

〇こちらのテンポを奪われると止まりやすい
 更に悪いことに、このデッキのテンポは奪われやすいのです。なぜなら、

①第一のドロソによる補給まで手札が結構シビア
 細っせえんだ序盤のリソースが!!!!!!!!!!!
 ⇒回すとわかります。≪シェケダン≫や≪サザン≫は手札ラス1で召喚することが多く、そこに合わせてハンデスなんかを喰らうと目を当てられません。ただ、この弱点は構築である程度緩和することができます(メタクリを減らすこととの兼ね合いになってしまいます)。

②盤面とリソース、そしてテンポが全て直結している
 ⇒おそらく最大の弱点。盤面を処理されると、展開を取り戻すためのハンドリソースも得にくくなってしまいますし、更にリソースを確保するための動きが先送りになってしまうことさえあります。≪シェケダン≫≪サザン≫の展開とドロー量の低下、動かない≪ドラン=ゴルギーニ≫、進化元を失う≪キラスター≫、メタを突破し動き出す相手の札…。一度崩れれば展開はボロボロです。
 光文明のカラーパイよろしく、序盤から一定の優位を貫くワンサイドゲームが求められます。失ったアドバンテージを巻き返すのは難しいと言っていいでしょう。

③展開した盤面も比較的溶けやすい
 どれだけ偉ぶっても盤面に並ぶのは大部分がウィニーです。≪テック団≫をはじめとする大量バウンスや全体マイナスの被害を受けるリスクは対面を見ながら意識する必要があります。

〇ドローソースが連鎖しないと展開不十分になる
 ぶっちゃけ1枚のドローソースじゃ足りません!光文明のメタクリーチャーは種類が多く網羅性がある反面、単体のスペックは程よく低く調整されています。≪ミクセル≫や≪プーンギ≫のように相手のマナソースが増えるにつれ効力を失うものがいるように、その都度必要なカードを展開しつづけ、マウントを維持しなければなりません。
 そもそもドローソースが手に入らないときはかなり厳しいゲームを強いられます。早期に殴りきるようなリスクを受け入れたゲームプランを取らなければ勝てないこともしばしば。「最低一枚のドローソースを手に入れ、ドローを成功させて初めて土俵に立てる」このデッキはそう言っても過言ではありません。

〇相手のテンポを奪いきれないとバニラビートになる
 
テンポを奪いきれないパターンは以下の通り
 ・相手が除去札でメタクリを突破する
 ・相手に対応したメタクリを展開できない
 ・相手が奪った以上のアドバンテージ(特にマナ)を稼いでくる
 上記の展開は回し手のプレイングミスによって引き起こされることが度々あります。相手の展開の予測とケアを意識したプレイングである程度詰めることができる要素です。
 ただし、相手の先攻2t≪メンデルスゾーン≫など、止めようもなく勝ちようのない動きがあることも確かです。

以上がこのデッキタイプの弱点解説になります。
並びに、【白単メタビ】の概念的な部分の解説もここまでになります。
次回、第3回では実際のゲーム中に意識するプレイングについて触れていこうと思います。



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