心と身体への信頼

私たちは、生まれたときに身一つで地球に降り立ち、その後、様々なものを手に入れていきます。

皆、洋服を身につけているし、生活の場に物が少ないという人はいても、全く何もないという人はいないのではないでしょうか。

物に囲まれて生きていると、いざ身体の調子がいまいちだとなったとき、身体の調子を整えたり病気を治すには物が必要だと無意識に思ってしまうのも自然な流れなのかもしれません。

しかしながら、私たちの身体には自分の身体の調子を整えるいくつもの働きが備わっています。自分の身体の働きを使うことで心と身体の調子を整えることは、結構できるものなのかもしれません。さらに言うなら、薬や治療方法が見つかっていない病の場合は、既存の薬剤や治療方法を利用することに加えて、自分の心身の働きを最大限活用していくことが必須といえるのではないでしょうか。

そのようなことを、長い間考えつつ生活したり仕事をしたりしてきたわけなのですが、まず必要なことは、今のところ、自分の心と身体への信頼かな、と思っています。今のところ、というのは日々考えていると新しいことに思い至ったりするからです。今日の考えはあくまでも今日までのもの。新しいことに気付いたら、必要なくなったものは感謝して手放し、新しい気付きを取り入れて思考を再構成するほうがよいように思います。新陳代謝はどんな場面でも大切です。

心や身体のバランスの崩れを感じ取ったとき、まずは自分の身一つで何ができるかを考えます。我が家には基本的に痛み止めや風邪薬などの常備薬がないので、物に頼るのはいくつかのステップを踏んだ後になります。

例えば身体のどこかが痛い、となったら、なぜ痛いのかを考え、身一つで原因に対処する方法を考えます。それは動かしすぎたせいかもしれないし、動かさなかったせいかもしれません。身体の使い方に無理があったせいかもしれないし、循環が滞ってしまったからかもしれません。その背景には悩みや心配のような心の動きも関係しているかもしれません。

自分の行動や在り方を振り返ってその痛みが発生したプロセスを理解します。心と身体の声を聴くというわけです。

ちなみに、これをするときには自分がリラックスしやすい環境を準備すると、効率がよいように思います。静かな家がよい人もいれば、人がいる公共の場の片隅がいい人もいるかもしれません。私の場合は自宅の床の上やお風呂の中、痛い場所に手を当てて呼吸に意識を向けるとやりやすいです。

心と身体の声を聴くことができれば、治癒のプロセスにしっかり乗ることができます。そのまま安静にするのがいいかもしれないし、ちょっと運動する方がいいかもしれません。市販薬を使うのがよいかもしれないし、専門家の診察と治療を受けるのがいいかもしれません。ここで大事なのは、常にケースバイケース、ということと、自分の判断を信頼して責任をもつということです。

心と身体に対して必要な手当てを行ったら、自分の心と身体の力を信頼しながら効果を冷静に見極めます。効果が薄ければ違う方法を考えてやってみます。それを繰り返していきます。

自分自身に対して、信頼という暖かい眼差しと事実を見極める冷静な眼差しの両方を持ちながら心と身体を整えていく。健やかに生きることはその積み重ねなんだと思っています。

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