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小説とか詩とか

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瑞野が書いた小説や詩をまとめています。短編多め。お暇な時にぜひどうぞ。
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2023年1月の記事一覧

小説『日向と日陰』

昼夜を問わず眠り続けることが、私はよくある。 ステージで上手く活躍できなかった時や、 激しいレッスンで、心と体をすり減らした時や、 心なき声を浴びせられた時。 どんなに追い詰められても、眠っているときだけは、自分がひとりであることを実感できて、安らぐのだ。家に帰って、羽毛布団の中に潜っていると、まるで自分の体がすっぽりと大きな麻袋の中に詰められているような気分になって、このまま誰かに海に沈めてほしくなる。 世界は全て日陰と日向でできている。 沢山の人の注目を集める華々

詩『春と青を繫ぎ合わせた天才』

大画面のなかで誰かが誰かを愛して 誰かと誰かがぶつかり合って泣いて そして誰かが短い生命を廃業していく この季節の感動は大量消費されていく 彼らは彼らなりの人生があるさ 真似することは出来ない特殊な状況下だ 埃被った藍の制服捨てて 堅く馴染んだ礼服身に付けて 憧れに染まった髪は黒に戻して 誰かの期待にはそれなりに応える 僕らの行く先には 希望しか残らないんだ 進む方角は 日が登る前方のみだ 辞書なんて引かない頭の足りない季節を 難しい言葉で例えるのは野暮だと思う ア

詩『光線銃』

直線的な光が壁に当たり 無機質な影を創り出す 当たり前のようで当たり前でない物理 その集合体が今この星を作っている 月と太陽の関係性 そんなふうにして君を輝かせられたらいいなと思う そんなふうにして僕を留められたらいいなと願う あの日はそう思っていたのに 君はザラッとした言葉で僕をなじる もう返す言葉もそこにはなくて 頭の中は『終わり』という一文字ばかりで いつからだろうか 互いのダレた気持ち感じていたのは 何もしなくても過ぎていく時間が楽で 身を任せるばかりだったね

アイドルマンガ『湯島坂四十六回転』第三話 #ジャンププラス原作大賞

この作品の詳細はこちらのURLから。 戦友の澄を失い、心に穴の開いたままの櫻子。 しかし、それとは裏腹に櫻子の人気は一気に熱を帯び、2ndシングル「月に照らされて、キミと」のセンターに櫻子は抜擢される。しかし、櫻子の仕事量が増えていく一方で、真子は冠番組での姉妹ネタ以外ではなかなかその才能が開花することがなく、じりじりとくすぶるようになってきた。櫻子も真子も、満たされない想いを抱えながらアイドル生活を送ることとなった。 そんな折、「最近湯島坂に影響されて作詞を始めた」と

アイドルマンガ『湯島坂四十六回転』第二話 #ジャンププラス原作大賞

この作品の詳細はこちらのURLから。 湯島坂461stシングル「幸せの在り処」の発売が決定する。 センターは湯島坂きってのビジュアル担当・白川澄。 櫻子と澄は、学生時代の親友であり、セレクション時代からの最大の戦友だった。その縁もあり、櫻子は大いに喜んだ。澄のメディア露出やメンバー一丸となったプロモーションにより、湯島坂の人気にじわじわと火が付きつつあった。 しかし、シングル初披露ライブの直前、澄の致命的なスキャンダルが報道され澄は無期限活動休止に追い込まれる。MVの

アイドルマンガ『湯島坂四十六回転』第一話 #ジャンププラス原作大賞

この作品の詳細はこちらのURLから。 湯島坂46結成。 その後、冠番組「ユシマ・ユニバーシティ」が放送開始。 第一回の企画からいきなり【第一回学力テスト「湯島坂46初代・NOT知性クイーン」決定戦】が放送され、櫻子が初代知性クイーン、真子が初代NOT知性クイーンに決定する。そこから真子が櫻子に一方的な尊敬の念を抱くようになる。 元来、孤独な性格だった真子は櫻子の包容力、そして知性的な姿に女性らしさを感じており、それからしばらく後の「バレンタインデー理想の告白選手権」企画

アイドルマンガ『湯島坂四十六回転』プロット #ジャンププラス原作大賞

あらすじ2019年「知性の香りがするアイドル」をコンセプトとした「湯島坂46」が誕生。キャラ重視の現在のアイドル路線を脱却、知性や上品さを演出できる「ワンランク上のアイドル」を目標とした。 主人公は湯島坂46の「聖母」こと篠宮櫻子と、自由な妹的存在の佐藤真子。一見すると水と油のような二人だが、真子の『お姉ちゃんが欲しかった』という何気ない願望から発展し『まこさく』というペアでファンの間で定着していく。 スキャンダル、中傷、仕事格差。様々な問題と正面から向き合い、葛藤する二