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小説とか詩とか

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瑞野が書いた小説や詩をまとめています。短編多め。お暇な時にぜひどうぞ。
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2020年3月の記事一覧

小説『We laugh in the innocent world』

長い夢を見ていた。 テレビから流れてくる、ビッグアーティスト死去のニュース。悲しみに暮れるファン、旧友からのコメント、通夜、葬儀、お別れの会、出棺。 「日本の音楽シーンを駆け抜けた人物が、また一人旅立ちました」手垢がつくほど繰り返されてきたアナウンサーのコメント。 そこでぷつりと場面は切り替わる。 そのアーティストのライブの中に俺はいた。なぜ死んだ人間のライブを俺はいま見ているんだろうか、そんな大きな疑問は、観客から湧き上がる大歓声と乾いたギターのリフにかき消されてい