ささやかな飯テロ 08:米を研ぐ

白飯

食事全般を『ご飯』と言いますが、米を炊いたものも、やはり『ご飯』です。
日本人の『ご飯』にかける意気込みは、そんな単語からも伝わってきます。

そんなご飯事情も時代と共に多様化し、コシヒカリとササニシキくらいしか認識のなかったブランドも、いつのまにか増えており、一方で、玄関開けたら2分でご飯のCMが懐かしいと感じられるレベルに、いわゆるレンチンのご飯も定着しています。
また、米を炊く行為についても、用意するお米が『無洗米』という、研ぐ必要のないものが多く売られる一方で、キャンプブームの追い風も受けて、様々な器具、スタイルで米が炊かれるようになりました。
ご飯は炊飯器で炊くものだ、と思い込んでいたところに、土鍋のご飯を知って驚いたものですが、最近では、メスティン飯やシェラカップで炊くご飯、下手をすると、会社の給湯室で炊けるような0.5合炊きの炊飯器兼お弁当箱まで出回っています。

いや、やっぱり、日本人は米ですよ。

一方で、『銀シャリ』という単語、あまり耳にしなくなりました。
お笑いコンビの名前じゃない銀シャリ。
ツヤツヤに輝き、ふっくらしつつもピリッとしたシャープさがあるご飯を言い表す単語として、最適なネーミングだと思いますが、如何ですか?

でも銀シャリ、言わないですよね。
絶滅しちゃったんですかね。

銀シャリには、上手に米を研ぐ、という行為が欠かせませんが、その実、無洗米が根付くなど、精米技術と保存技術の発展により、そんなに気合を入れなくても美味しく炊けるようになったのが一因かなぁ、などと思っています。
そもそも、『無洗米』ですから、米を『研ぐ』必要はないんでしょうね。
米は『洗う』ものであり、炊飯したことのない若い人が洗剤で洗った、なんて冗談も出てくるくらい、洗う行為なんでしょう。

米の構造を大雑把にみれば3層から成っています。
一番外側が、いわゆる『ぬか』です。
一番内側が『白米』となり、ぬかと白米の間に『糊粉層』があります。
精米では、そのぬかの層を取り除きますが、更に無洗米にするには、糊粉層を取り除きます。
「無洗米が何か味気がない」と言われるのは、そういう理由でしょうね。
逆を、糊粉層の残り加減が旨さを左右すると言って良いのですが、旨味の部分を上手に残しながら余分な部分を削り落とす技術が精米技術という訳で、飽くなき探究心というか何というか、頭が下がる思いです。

さて、米を研ぐ。
ポイントは、米の周りについている『粉』です。
精米の度合いによって異なりますが、おおよそが『ぬか』と思って間違いありませんので、これを除去すれば、美味しいご飯が炊けます。
そして、除去すべき粉も、昔ほど付着していないので、サッと洗えばOK、という感じですかね。
ある意味、正解ですが、せっかくなら1つコツを覚えましょう。

米を研ぐ時、水を流しっぱなしにしても良いので手早く作業する。

最初に水を入れた時点で白濁すると思いますが、それを米が吸う前に捨てる、というスピード感です。
水を入れ、ざっとかき回し、バーっと水を捨てる。
これを手早く3回ほど繰り返します。
これだけです。
このあとは、完全に白濁しなくなるまで研いでも良いですし、適当に切り上げても良いでしょう。
当たり前ですが、炊く前の米は乾燥した穀物です。
これは、乾いたスポンジのようなものだと思ってください。
そのスポンジが砂まみれになっているのが、ぬかの粉が付いている状態で、これを水に漬けると、スポンジが水を吸う勢いで、砂まで吸着されてしまいます。
それを防ぐためのスピード感ですね。

水の側に洗い出された粉が、再度、米に吸着される前に除去することで、余分なぬかを洗い流せます。
残った部分は、糊粉層+白米となりますが、ブランドや精米の度合いによって違うので、この先は、個別判断の案件になります。

最初の3回、素早く研ぐだけ。
本当にこれだけで違いが出ます、出るはずです、出るはずなんだけどなぁ(笑)
お試しの際は、お気に入りの飯の友を用意するのも良いですが、銀しゃりの塩むすびも良いですよ。




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