【dejiren #n01】「始まったな」「ああ、全てはここからだ」

本稿は【nest】データ活用 Advent Calendar 2023の記事です。

『④2024年に向けて…今年の振り返りと来年の目標宣言』で期待される内容になるよう努力しましたが、少々欲張って詰め込んでおりますこと、ご了承願います。

面倒くさいのが嫌い

同じことを繰り返す、いわゆる『単純作業』というヤツですね。
ゲームの序盤などでウデマエを上げるために行うもの、要は、成長に必要な修練は別にして、業務などで発生する単純作業は、まぁ、面倒くさくて嫌いです。
結果的に時間と労力がかかったとしても、何らかの形で自動化したいクチです。
そんな私が出会ったのが、ウイングアーク1st社が提供する『dejiren』です。

全人類上司化計画

この計画は、ウイングアーク1st社、2019年のイベントで語られた壮大な計画です。
『人間を単純作業から開放する』という理想は称賛すべきものです。
しかし、それから数年経った今、多くの人々がDXの名の元で、全人類作業員計画でも進んでいるかの如く、入力装置の一部としてポチポチとワープロや表計算の画面に向かい、仕事という名の作業を繰り返している現実は変わりません。
何にせよ、Google Apps Scriptでポチポチとコードを書いて自分DXを進めていた身でしたので、運命の出会いを果たしたdejirenに飛びついたのは必然の結果です。

スパルタンX

当時、満足が出来る機能レベルになかったdejirenを使っていましたが、なんとなく動作が見えた頃、ウイングアークさんの当時の担当者『かんなさん』(※美少女ではありません)から、「ユーザー交流会で、ちょっと話をしてくださいよ」と軽い感じでお誘いがあったのは、2022年の暮も見える頃。
この手のイベント初登壇でしたので、dejiren+MotionBoard(の画像だけ)+desknet's NEOという組み合わせ事例を入念に用意しましたが、その発表だけで頭がいっぱいいっぱい、緊張して右も左も分からない私に対して、当日の会場で「ワークショップの発表を」「乾杯の音頭を」と追加して頂ける教育的配慮。
鮮烈なnestデビューでした。

さて、今年を振り返ろう

そんな経緯があったものの、それでも、dejirenの可能性を信じ、nest教に入信しました。
nestは、巷を騒がすようなカルト教ではありません。
ウイングアーク1stのユーザー会です。
というか、メッチャ優秀です。(nest Membership Portal
そんなところに『dejirenのお時間』を投稿したのが、今年の7月でした。
実際は、『dejiren #01』といった感じのタイトルでしたが、読み物として続けるための工夫が必要だと感じ、色々と考えた結果、『みなさま、dejirenのお時間です』に落ち着きました。
この辺り、インターネットの黎明期の頃、10年以上も毎日駄文を放流してきたスキルが無駄に役に立った感じですかね。
とはいえ、nest教の最大宗派は『MotionBoard』です。
確固たる数字はありませんが、MotionBoardの話題が多いですし、食いつきも違いますし、コメントなど反応の数も違います。
そんな完全アウェイを自認する状況ではありますが、定期的に投稿を続けた結果、ユーザーナレッジの中に『dejirenのお時間です』というカテゴリが追加されるまでに至りました。
寄席における色物的な位置として認められたのか、もしくは、運営的に「定期的に大量のドキュメントを投稿されたら他のが埋まって見えなくなるわ!」という危惧があったのか、その真相は定かではありませんが、結果的に、ありがたいことです。

肌で感じるアウェイ感

そんなこんなで、一部界隈で『お時間の人』と認識される程度になったものの、やはり、投稿に対する反応の数は違います。
投稿に対して『いいね』と思っても、dejirenのユーザーではない方が多いので、それを試す手立てがないんですね。
また、MotionBoardの活用は現場のプロセスを大きく改善することが出来ますが、dejiren はどちらかと言えば、全体最適を視野に入れたツールです。
現場担当というより管理部門向けになりますので、nest教の多数派信者の皆様とは、一部合わないところもあるかも知れません。
致命的なのは、dejirenの立ち位置です。
MotionBoardは、可視化ツールの代名詞的存在です。
すでに実績・事例も多いですが、その導入効果が、想像であっても、十分に高いものをイメージできます。
その一方、dejirenは『なくても回る』というケースが少なくありません。
要は、DXというヤツと同じなんですよ、これが。
既存の業務を見直して、無駄な作業を廃して生産性を向上しましょう!というアレ。
自虐的な意味合いを除いて、「今、オレがやっている仕事は無駄だ」と思っている人がどれくらい居るでしょうか?
DXの難しいところは『悪いところ』を見直すのではなく、『今やっていること』を下手すれば否定する決断が必要なところにあります。
業務の自動化など、手持ちのツールを組み合わせれば、それなりに出来そうな事が多いので、あえて、費用を払ってでも使うだけの価値を見出すのは難しいという評価が、dejirenに限らず、自動化ツール全般に対して多いと思います。

『システム脳』という壁

システム屋さんは嘆きます。
ユーザーがシステムとかデータの事をまったく考えない。ローカルで適当にデータを集めちゃって、結局、使えないゴミばかり増えている。
ユーザーさんは嘆きます。
現場も知らんシステム屋が何か言っとる。
大局的に眺めれば、『現場が作ったゴミシステム』のために会社が傾いた、という話は聞いたことがないので、システム屋さんの言い分は大袈裟だと思いますが、それは、現時点での話であって、この先、そんなゴミの面倒を見るために手作業ばかり増えたとしたら、上昇する労務費に、減る人手という話と大きくぶつかりますので、一概に大袈裟で済ませることも難しいですね。
私の中では、学校で役に立たないプログラミングを教えるなら、データベースの初歩、テーブルの正規化でも教えた方が、自称エクセル職人が生み出すVLOOKUP集合体によって生み出された混沌のようなスプレッドシートの増殖を抑制できると思っていますし、マスタ管理を単語登録だと思っている部門担当者を根絶出来ると思っていますが、教育関係は、その内容より『やってる感』を出すことが目的なので、そこに期待するのは150年くらい早いと思っています。

シン人類補完計画

このようなギャップが存在する中で、企業のシステム担当者は、IT投資に見合った100%に近い成果を求められます。
成果と言っても、システムやデータの話をしても通じない環境で、何を基準に達成したと判断出来るでしょうか?
もちろん、それを導入することが目的ではありませんので、それ自体で成果を云々言うのも見当違いではありますが、それはそうなんだけど、という部分があるわけですよ。
であれば、そんなところで『定義不詳の100%』を求めて足掻くのは精神衛生上、よろしくないのではないかと思ったりするわけです。
「いや、それでも業務だから」と言う人もあろうと思いますが、100%の成果とやらを達成した時、経営層は言うでしょう。
「よくやったな!」ではなく「100%を達成したら、次は120%を目指せ」と。
(※弊社のことではありません。ブラック的な一般論から想像したセリフです。)
それよりも、システム担当という横のつながりを強化して、日本全体のITレベルを例えば、30%から40%へ底上げしたほうが早いんじゃないかと思うようになってきました。
だって、会社は違うかも知れませんが、話が通じるんですよ。
社内で話は通じないシステムやデータの話、それが不思議なことに業種・業界が違っても、システム担当者であれば話が通じます。
これは、ユーザー会などのイベントを通して痛いほど知りました。
初めて聞く業界の話、初めて知る業務形態、そんなところでも、システムの中の人の話は、不思議と既視感を持って心に届きます。
また、多少理不尽ではありますが、社内で繰り返しIT投資の重要性を説いても響かないくせに、社会の『周りがこうやってる』を肌で感じるようになると、むしろ、あちらから話を持ってくることが多いのではありませんか?
例えば、最近だと、こういうセリフに集約されるでしょう。
「AIで何か出来ない?」
であれば、「DXはこういうものだ」という空気をシステム担当者ネットワークで作ってしまえば良いんじゃないでしょうか?
教科書的には「DXはトップダウンで!」と言われたりしますが、じゃあ、そのDXを語れるトップというのを出してください、って感じが現状なんですよ。
もちろん、トップの方の『判断力』は簡単に真似できるレベルではありません。
であれば、社会全体で『DXとはこういうもの』という空気や雰囲気を熟成すれば、そこからトップが判断するのは、特に難しい話ではない筈です。

dejirenでつなぐ未来

2024年も、dejirenを推し続けます。
dejirenは、異なるシステムをつなぐハブであると宣伝していますが、それだけでは活用は出来ません。
どの業務を、どの手順を、どういう形で置き換えれば上手くいくか、という組織再編も含めた大きな変革があって、初めて成功します。
しかし、そんなアイディアを出したところで、それらを『自社だけで』実現しようと思うと、色々な壁があります。
であれば、そのアイディアを共有し、それを活用できそうな会社さんが先に実現し、結果を出して頂いた方が、よほどDXの実現に近づきます。
そんなアイディア共有の場が『ユーザー会』ですね。
ゲームで言うところの『ギルド』みたいなものですが、nestというギルドは、優秀な冒険者が多いので、おそらく、そういう役割を担える有力なユーザー会だと思います。

ささやかな目標を掲げて今年を締めましょう

と言ったものの、弊社もDXとは程遠い位置にあります。
あれだけdejirenの事を書いているのに、その実態は、記事の数に比例していません。
言い訳を添えるなら、DXというヤツには「これなら代わりがある」という申し訳程度のシステムではなく、「これ以外考えられない」という圧倒的なパワーと実力が必要なので、なかなか、そこまで届かないのが現状です。
幸いにして、dejirenは12月のアップデートで計算機能や文字列の分割や結合など、基本的なデータ処理が可能な関数ブロックが追加され、先に追加されたデータベース機能と合わせて、かなり実用に耐えられるレベルに近づいてきました。
年末にして「始まったな」が高まってきたところで、来年は、皆様に発表出来る事例が増やせるように精進したいと思います。
あれ?この目標、ささやかなのか?ちょっと心配になってきた…

来年も、よろしくお願いします。



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