【リプレイ】『納涼! ナリク夏祭り』

この文は「ローグライクハーフ」のプレイヤー作シナリオ『納涼! ナリク夏祭り』(作:東洋 夏)のリプレイです。
出てくるキャラ:リナちゃん、スキア様(よその子)
親御さんの許可が取れましたので、公開します。うちよそです。



基本ルール ↓

シナリオ↓

◇◆◇

リナ レベル10
技量点1 生命点9 筋力点5 従者点0
手1、手2:両手武器(斬撃) 鎧:板金鎧
特殊技能:【かばう】【全力攻撃】【全力防御】
持ち物(MAX9):①ランタン
金貨20 食料2
スキア様とともに、リエンス家主催の夏祭りの警固役として雇われた。

スキア レベル10
技量点1 生命点7 魔術点6 従者点0
手1、手2:なし 鎧:布鎧
特殊技能:【炎球】【気絶】【氷槍】
持ち物(MAX7):①ランタン、②軽い武器(打撃)
金貨20 食料2
リナとともに、リエンス家主催の夏祭りの警固役として雇われた。

◇◆◇

今日はここ、ロング・ナリクで夏祭りがある。東の国の夏祭りを模したイベントだという。
あたしとスキア様は主催のリエンス家に雇われて、揉め事があれば対処するよう言われた。

◇◆◇

①出目32 お化け屋敷の本物

揉め事があれば対処しなくてはならないが、特になければ遊んでいいと言われた。せっかくスキア様と一緒なので、色々と見て回ることにする。
「ぎゃぁぁああああ!!!!」
悲鳴が聞こえたと思ったが、どうやらここはお化け屋敷のようだ。
飛び出してきた客が、「なんだあれは! 本物がいるじゃないか!!」と騒ぐ。
「どうなってるんだ! おい!! なんとかしろ!!!」
なんとかしろと言われても。
取り敢えず2人でお化け屋敷に入る。よくできた化け物が脅かしてくるけど、どれも『本物』とは言えないように思う。東の国の夏祭りを模しているということで、出てくるのは東の国にいるヨーカイとやらだと入口に書いてあった。
「ヨーカイ……なんだか面白いですね! ……あれ? 今、何か……」
視界の端で何かが動いたような気がした。
机の上の頭骨が、あたしたちに反応するようにふわりと浮かぶ。
「ええええええ!!! すすすすスキア様!! ほ、ホンモノですよ!?!?」
「おい、くっつくな。動けないだろうが。それと、あの程度のアンデッドなんて、他でも見ただろ」
それはそう。なんだけど、いや、その、……正直に言うと、くっつく口実がほしかっただけ……
浮かんだ頭骨は「イチャイチャしてんじゃねえ」とばかりに襲いかかってきた。

〈小道具じゃなかった頭骨〉
出現数:4 レベル:3

第0ラウンド
【炎球】 スキア成功
頭骨4→1

スキア様の炎魔法が頭骨を焼く。炎に包まれた骨はぽとりとその場に落ちた。

第1ラウンド
【攻撃ロール】 リナ ファンブル、スキア失敗
【防御ロール】 リナ成功

第2ラウンド
【攻撃ロール】 リナ成功

「すごいです! さすがスキア様!!」
「だからくっつくな! まだ1体残って……」
最後の1体があたしとスキア様を引き裂くように突っ込んできたので、鎌で叩き落とす。邪魔しないでと睨みつけると動かなくなった。

②出目12 焼き鳥屋

お化け屋敷を出たが、騒いでいた客はいなくなっていた。骨は黙らせたし、まあいいか。
歩いていると、綺麗な色の鳥人が焼き鳥を焼いているのが見えた。鳥が焼き鳥を……? と思ったけれど言わないでおく。
「うまク焼けていル、そウ思いまス!」
焼き鳥は好きだ。1人分は金貨3枚とあるので金貨を渡す。
「タレと塩がありまス!」
「えっ? ああ……スキア様、どっちがいいです?」
「両方買えばいいだろ」
スキア様も金貨を出した。
「ありがとウございまス!」
行儀は悪いけど、歩きながら焼き鳥を食べる。美味しい。

③出目11 弓矢で的当て

焼き鳥の串をゴミ箱に捨て、振り返ると金髪の青年と目が合った気がした。何か屋台の番をしているようだ。せっかくなので覗いてみる。
番号が書かれた板を弓矢で射抜くと景品がもらえるらしい。
「……気になるのか?」
「あっ、はい……!」
「どれがほしい?」
えっ、えっ、まさか取ってくれるのですかっ!? あたしのために!?
景品は蜂蜜キャンディと治療のポーション、それから魔法の武器だという。食べたらなくなってしまう飴やポーションよりは武器がいい気もするけれど、それはそれとして飴ちゃんがほしい。
「じゃあ……あの、飴で……」
「……いいのか?」
すると金髪の青年が、それぞれ一度ずつ挑戦できると教えてくれた。だが、1回挑戦するのに金貨5枚かかるのだ。
「あたしがお金出しますから……!」
スキア様は無言でお金を払うと……

【器用ロール】(目標値:7) スキア成功

ストンッ!
放たれた矢は7番の板に吸い込まれるように刺さった。
「おめでとうございます、魔法の武器ですね」
どんな武器にしますかと青年が聞いてくる。
「悪い、外しちまった」
か……
「かっこいい〜〜〜!!!!!」
「うおっ!?」
いけない、声に出てしまった。
でもでも、今のはイケメンすぎるでしょ!?!?

青年が若干困ったような笑顔を浮かべている。……あ。武器の種類ね。
鎌ならこれと、黒と青の大鎌を差し出された。控えめに言ってかっこいい。厨二ゴコロをくすぐられる。
「ありがとう! スキア様も、ありがとうございます! ……でもいいんですか? スキア様丸腰なのに」
スキア様は、手袋をしているだけで武器は持っていない。正確にはカバンに入っているのだが、使うつもりはなさそうだ。魔法だけでなんとかするつもりなのだろうか。
「俺はいいから、お前が持ってろ」
優しい。
「はい! スキア様からのプレゼント、大事にします!!」
もらってばかりでは悪いので、あたしも青年に金貨を払う。弓矢は初めて使うので、取り敢えず狙いはキャンディだ。
青年に使い方を教えてもらって矢を放つ。

【器用ロール】(目標値:3) リナ成功

放たれた矢は、ヘロヘロと飛んで、なんとか3番の板に刺さった。刺さったのが奇跡なくらいの飛び方だった。恥ずかしい。
青年から受け取った飴をスキア様に渡す。
「ん。サンキュ」

④お祭りハプニング 3 酔っ払いの喧嘩

お互いに贈り物をしていると、何やら騒がしくなってきた。
「あっちで酔った冒険者が喧嘩をしている!」
「「……!!」」
スキア様とアイコンタクトして走り出す。
駆けつけると、冒険者らしき2人の男が武器を構えていた。その足元はふらふらと おぼつかない。何やら言い合っているが、呂律が回っておらず何を言っているのか分からない。
周りにはまだ人がいる。あたしはもらった武器を構えた。

〈酔っ払い冒険者〉
出現数:2 レベル:5

第0ラウンド
【気絶】 スキア成功
冒険者2→1

スキア様の魔術で片方がガクンと膝をついた。残りの1人がこちらを向く。彼は喧嘩の相手が倒されたことで更に怒ってしまったようで、武器を振り回しながらこちらに来る。

第1ラウンド
【攻撃ロール】 リナ ファンブル、スキア失敗
【防御ロール】 リナ失敗
リナ生命点9→8

攻撃しようとして、足がもつれた。うっかりスキア様の服を掴んでしまい、2人してその場に倒れ込む。男の武器がポカっと頭に当たった。
「何してんだ……」
「ごめんなさい!!」

第2ラウンド
【攻撃ロール】 リナ成功
冒険者1→0

ふらふらとした足取りの男を鎌の柄で小突くと、男は仰向けに倒れてそのまま眠ってしまった。
男が倒れた拍子に、金貨が6枚散らばる。迷惑料としてこっそりもらうことにした。焼き鳥代だ。

(プレイヤー心の声:後になってログを見返したら、最初の【気絶】で2人とも眠っていました……。無駄にダメージを受けてしまった……リナちゃん、ごめん)

⑤出目13 これはとても興味深い盆踊り

人々が輪になって踊っている。中心のやぐらでは男の人が、何か楽器を棒で叩いている。
ボンオドリというらしいその踊りを、1人のラクダ人が眺めていた。
なぜかそのラクダ人に話しかけられ、ボンオドリの解説を求められた。どうして???

【筋力ロール】 リナ成功

ボンオドリなんて作者も殆ど知らないのに、判定に成功してしまったからには説明しなければならない。あたしは作者にウィキペディアで調べてもらって説明した。
ウィキペディアに書いてあることをそのまま読んだだけだったが、ラクダ人は満足したようだ。飲み物をおごってくれると言うのでお酒が飲めないことを伝えると、ラムネを渡された。美味しい。

⑥出目21 ベーブル売り

もらったラムネをスキア様にも勧めたが断られた。間接キスが嫌というよりは、お前がもらった物だろ、という感じだった。
歩いていると、ロング・ナリク名物のベーブル屋を見つけた。ベーブルは、作者や読者さんにも分かりやすく言うなら人形焼きだ。ベーブルの屋台は他の場所にもあったが、あたしが思わず足を止めたのには理由がある。
屋台の店主はあたしたちを雇ったリエンス家の当主だった。
「なん……っ」
「しーっ。黙っておいてくれたまえ。私だって祭りを楽しみたいのだからね」
2人分のベーブルと、金貨5枚を口止め料としてもらった。焼きたてのベーブルはとても美味しかった。

⑦出目33 陰謀の香り

ベーブル屋を後にして歩いていると、どことなくアヤシイ3人組が目についた。キョロキョロと落ち着かない様子は楽しんでいるようには見えず、はっきり言って不審だ。スキア様も同じように感じたらしい。そっと近づくと、リエンス家の屋敷を襲撃する計画が聞こえてきた。敵対しているドラッツェンの兵士が偵察に来ていたのだろう。
「どうします?(ひそひそ)」
「襲撃を計画してるんなら、捕らえた方がいいんじゃないか?(ひそひそ)」
──ガサッ。
スキア様の顔が近くて動揺したあたしは、隠れていた茂みを揺らしてしまった。兵士がこちらに気づく。
「お前な……」
「すみません……」
兵士が近づいてくる。
「何か用か?」
「話は聞いていた。俺たちはリエンス家に雇われているからな。拘束させてもらう」

〈潜入ドラッツェン兵〉
出現数:3 レベル:4

第0ラウンド
【気絶】 スキア ファンブル

スキア様が魔術を使おうとした時、突然どこからか野良猫が飛び出してきた。
「はぁ!?」
スキア様は猫に魔術を当てないように気を遣い、魔力が霧散してしまった。猫は一瞬こちらを見たが、すぐに逃げていった。

第1ラウンド
【攻撃ロール】 リナ成功
【気絶】 スキア成功
兵士3→0

あたしの鎌とスキア様の魔術で、ドラッツェンの兵士たちは全員その場に倒れた。
リエンス家の人に事情を話したところ、危険を未然に防いだので金貨20枚をもらった。

⑧お祭りハプニング 2 迷子

子供の泣き声がする。それも、聞き覚えのあるような……
「りにゃちゃん!?」
「うぇえ……う? ねーね?」
泣いていたのは妹のりにゃちゃんだった。ヘルままとはぐれた上、転んでしまったらしい。
「ままが、まいごなの……」
「うん、うん。ままがねー。困ったねえ」
スキア様が的当てでもらった飴をりにゃちゃんに持たせた。優しい。
その時、りにゃちゃんを呼ぶ声がした。
「まま!!」
「りにゃちゃん! いた!!」
「まま、まいごになったら だめなの!」
りにゃちゃんがヘルと出かける時、基本的にヘルが迷子になる。少なくともりにゃちゃんの中ではそうなのだ。どう考えても逆だけど。

◇◆◇

──ドンッ! ドーン!
音と光に驚いて空を見上げる。花火だ。
「綺麗……」
「そうだな」
いつの間にか、ヘルとりにゃちゃんはいなくなっていた。気を遣って2人にしてくれたのだろう。
今なら、この雰囲気なら、スキア様と手を繋いでもいいだろうか……なんて、そんな勇気はないけれど。
花火を満喫し、屋敷に戻る。ベーブルを焼いていた当主はもう戻っているのだろうか……

◇◆◇

……という、夢を見た。
夢だった。スキア様に取ってもらった武器も、報酬でもらった金貨も、何もなかった。
でも別にいい。とても素敵な夢だったし、実際この夏祭りは今夜行われるのだ。もちろん、あたしとスキア様は警固役として雇われている。正夢になる可能性だって十分にあるのだ。期待していこう。
素敵な一日になりますように!

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