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『ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュみんなでおらぼう!~in SAGA』の佐賀尽くしに圧倒された

3月17日に開催された『ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュみんなでおらぼう!~』は、『ゾンビランドサガ』に登場したものが全て詰まっていた総決算的なライブイベントでした。

オープニング曲となる「徒花ネクロマンシー」から始まって、最終話のエンディングを飾った「FLAGをはためかせろ」で締める。
発表順も含めて「アニメの物語を可能な限り再現しよう」とする試みには「劇場総集編」のような面白さがあったし、「Temptation from the Hell」の使い方や「DEAD or RAP!!!」への接続の仕方は本当によく練られておりとても面白かったのだが、「次もやるよ」となってしまった時に「ここまでのことをやってしまった」という事実が厳しい壁となって立ちはだかってくる。
なぜなら同じことをやっても新鮮さがまったくないからです。
なので「7月にまたライブをやります!」ということが発表されてからというもの、「嬉しい」と素直に喜ぶ気持ちがある反面「もう新規でやれることがもう特にないのでは?」という気持ちが常にありました。
3月から7月までの間に楽曲面では特に追加がなかったことも「前回と同じ事をやるのかな」という気持ちに拍車をかけます。
前回のライブが悪かったわけではないのです。むしろ予想を遥かに超えてきて最高でした。しかし舞台となった佐賀県、それも最終話でライブをした聖地で凱旋ライブと語る以上は「前回とは違うもの」がどうしても見たかった。原作再現以上のものがあってほしかったのです。
そうした不安感を胸に今回もライブビューイング会場へと向かったのだが、心配は稀有なものでした。
「佐賀県凱旋ライブ」に相応しい素晴らしいものを見せてもらいました。
最高ってのはこういう事をいうんですよ! 最高に意味がわからないものでもあったんですけども。

まず「佐賀県知事である山口祥義氏から『ゾンビランドサガ』への感謝の言葉と、佐賀県の熱いアピールが行われ、知事自らライブの開始を告げる」という展開が意味がわからなかったです。
「佐賀県を盛り上げてくれた」というのは理解できるにしても「一アニメのライブイベント」に県知事ともあろう人間がメッセージを送るどころか、「それでは始まります」と開始を告げる。完全な特別ゲスト扱いですよ。もうこの時点で笑いが止まらなかった。「やりやがった!」という思いで胸がいっぱいで、腹を抱えて笑っていた。

カウントダウンが終わってフランシュシュが登場した後の一曲目は「特攻DANCE」。前回ライブでは中盤で大きく盛り上げたこの楽曲が序盤どころか一曲目に持ってこられたことに驚かされましたが、続いて披露となった「DEAD or RAP!!!」は「三石琴乃本人が自身が演じた山田たえがプリントされたビーチボールを投げ入れる」というまさかの展開で「一曲目に特攻DANCE」以上に驚きました。三石琴乃の出番は本当にここだけなのも意味がわからない。
この時点でもう考えることを辞めて、何が出てきても楽しむモードにスイッチが入り始めました。
佐賀県コラボ商品のクイズ(司会は本作の唐津弁を方言指導した方)がメインのMCが行われた後、フランシュシュは一度捌けてインフォメーションのコーナー。
これまでの楽曲に新曲二曲を追加したベストアルバムの発売を始めとしてこれまで伏せられていた情報が乱れ打ち。「ベストアルバム発売をこの段階でサラッと発表するんじゃない(予想はしていた)」と思いつつ、「次は何をやるんだろう」という気持ちになっていたら「徒花ネクロマンシー」。
その後の「アツクナレ→目覚めRETURNER」は七話の再現。前回は昼公演でしかやっていない演出なので、今回で七話の再現もソフト化決定ですねこれ。
ただ前回より動きのキレは良くなっているので見ごたえは今回のほうが上かなと。「アツクナレ」も「目覚めRETURNER」も前回は比較として適切ではないぐらい圧巻の出来でしたね……。その後の「To My Dearest」は前回と変わらないものの、田中美海が珍しく泣きかけていたのが印象的。本当にプロ意識が強い人なので、あれは本当にちょっとレアなものを見たなと。曲の力が強すぎるのもありますが(永遠に過去の存在になったリリィから、今の父親へのメッセージですしね、あれ)。

特別ゲスト扱いでアイアンフリルの「ゼリーフィッシュ」ですが、まあ映像だけなので省略。

「ヨミガエレ」についてはもう「これをやるためにここでライブをやっているようなもの」なので、私には特に語ることがない。「『これが見たかった!』と思うものが120%で描かれた」という言葉で察して欲しい。
そしてアンコール前最後の曲は「光へ…」。

アンコール後は江頭2:50分登場。
応援動画という体裁でコラボしていたこと、佐賀県出身と繋がりがあるとはいえ、まさかの男の登場にLV会場でも大盛りあがり。「徒花ネクロマンシー」が終わってからは「エガ!エガ!エガ!」というコールが鳴り響く異常な事態でした。

ただその後の白竜(佐賀県出身)の演説動画の意味のわからなさと二期の発表は完全に悪ノリの領域を突破していて、「あいつらは集団幻覚を見ている」と言われても仕方がない気がしている。本当なんだ!信じてくれよ!

本当のアンコールは「フラッグをはためかせろ」。そして全員合唱の「徒花ネクロマンシー」。
「光へ…」でも「フラッグをはためかせろ」でもなく「徒花ネクロマンシー」が最後になる辺りに「次がある」ということの良さを噛みしめるわけです。
続編があるということはいいことですね。ありがとうフランシュシュ。ありがとう佐賀。

最後のMCの「ライブのために気合を入れるべくネイルをしてもらう際に、『適当にサングラス入れておいてください』と注文したら、左手薬指に入れられた」という本渡ちゃんと、新婚旅行も兼ねてこのタイミングで妹のライブを見に来た姉に「馬鹿野郎。佐賀だから行くんだろうが」と諭された衣笠さんのエピソードは好きすぎました。
あと河瀬茉希の「泣くことを期待されてるんだろうなー」という空気を察して泣こうとする辺りの人の良さと、田野アサミの「楽曲が増えていない」という内情について述べた後、「振付師を始めとしたスタッフさんが色々と工夫してくれて」という辺りは良かったですね。

最後に

楽曲が全く増えていないので「大丈夫?新しいもの、ある?」という不安感を「フランシュシュの佐賀凱旋」という強烈なコンセプトで突破したようなライブだった。
「ゾンビランドサガのライブイベント」というよりは「フランシュシュのライブイベント」で、「佐賀県に縁のある特別ゲストを多く登場」させ、原作再現を最小限に留めながらも、外してはならないところは外さずに決めていく。凄かった。「こういうの、一発限りの変化球とはいえ行けるんだ」と唸らされた。最高だったので続編も期待していますし、次のライブも「何言をやってくれるのか」を楽しみにしてます。そろそろ宮野真守登場もよろしくお願いしますゾンビ。

ところで今回のライブ、「本物の小学生が参加している」ということが分かって「ファンの年齢層が厚い」の裏付けが取れたのが個人的には熱かったです。あと田野アサミさんが全体的に「観客を小学生だと思っているのでは?」な感じで煽ってくるのが最高でした。サンキューゾンビランドサガ。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。