あかりちゃん

私は何度でも「START DASH SENSATION」に殺される

『アイカツオンパレード!』18話「君のエントランス」は、「自分だけのプレミアムレアドレスを作る」という夢を持つ姫石らきにとって「夢が叶う瞬間」であり、この作品が始まった当初から提示され続けてきた物語が一つのゴールにたどり着いた話だった。
世界を超えて生まれた数々の出会いを、リボンで可愛らしく着飾った姫石らきのリルリボンストーリーコーデは作品の垣根を超えてつながる『アイカツオンパレード!』だからこそ誕生し得たものだろう。
また「らきの夢の『原点』であるリボンで着飾ることで完成する」という展開は、アイカツ!シリーズがこれまで展開してきたコーデをめぐるいくつかの物語を思い出させてくれる。
姫石らきの物語としても、アイカツオンパレード!としても外す事ができない素晴らしい一話であったが、今回したいのはそういう話ではない。
この18話でサプライズ的に使用された「START DASH SENSATION」の話である。

「START DASH SENSATION」。

こだまさおりが作詞を、石濱翔が作編曲を担当したこの楽曲は、アイカツ!が好きな人にとっては「不朽の名曲」であるとともに、「絶対に死ぬ」「イントロの一音を聞いただけで膝から崩れ落ちる」として知られている。
なぜなら「START DASH SENSATION」はアイドル・大空あかりが投影された楽曲だからだ。

大空あかりは『アイカツ!』三年目から主人公を務めたキャラクターだ。
二年目までの主人公を努めた星宮いちごにアイドルとしての素質を見出されてアイドルの世界に飛び込んだ経歴を持つ彼女だが、最初の頃は本当にアイドルの才能があるのかよく分からない存在だった。
なにせ彼女が我々の前に姿を表した時は星宮いちごの格好をしていて、その第一声は「星宮いちごです!」である。「大丈夫かこの子」と思わないわけがない。
スターライト学園に入学した当初も実力的には未熟で、「本当に大丈夫か?」と思ったし、「星宮いちごの次のアイカツ!を担う主人公です」という事が明かされた時も「凄い判断だ」と思ったわけだが、いつしか自分だけのオリジナルスターを信じて、失敗を恐れつつも挑戦していく大空あかりを応援したい気持ちになった。
大空あかりには憧れの星宮いちごほどの絶対的な才能はないし、仲間達と比べると「唯一無二のもの」というものはない。しかし何事にも真剣に向き合い、自分に出来ることを一つづつ積み上げていく彼女の姿には「頑張れ!」と強く思ったし、それが報われた時には「あかりちゃん、良かったね」と心からの言葉が出てきた。

そんな挫折と努力と諦めない気持ちで進み続けてきた大空あかりが最後にたどり着いたステージで、「スターライトクイーン」という憧れの先輩ですら手にできなかった栄光を勝ちとった楽曲、それが「START DASH SENSATION」なのだ。なので、アイカツ!好きはイントロの一音の中に、大空あかりのこれまでの日々を見出して死んでしまうのも当然のことだろう(この他にも大空あかりの歌を担当したるかさんの「初披露のステージで泣いてしまって最後まで歌いきれなかった」というエピソードとか、ライブ好演のエピソードも乗っかっている人も多い)。

そんなわけで。
18話で大空あかりが出てきて「おっ、あかりちゃんか」と思った直後に、イントロの一音で「START DASH SENSATION」であることを瞬時に理解した私は「あああああああああああ」と声を上げて絶命し、復活後は「あかりちゃーん!!!!!!!」と叫ぶ珍妙な生物と化したのだが、冷静になって考えてみるとあそこで「START DASH SENSATION」を引っ張ってきたのは「ここが姫石らきのスタートラインである」ということを考えてのことだろう

『アイカツオンパレード!』のスタッフは、

「アタマの中で膨らむイメージ」を形にした世界で一つだけのコーデ。
それを身に纏うことでなる「あたらしいわたし」。
それが今やって来た感覚を掴んでスタートラインに立った姫石らき。
その先には今までとは違う空と、夢が待っているよ。
だから「始めよう」。

そういうメッセージを姫石らきに送りたかったのではないか。
そしてそれを送るのに最適だったのが大空あかりだったのではないか。
だからあえてスターライトクイーンになった時のライブにしたのではないか。
そう思えてならないのだ(欲を言えば二番の「あの日があって今が 最高になる」のところを使ってほしかったが、それは『新作を作れ』と等しいことなので我慢する)。

この後の19話は箸休め的なエピソード(アイカツ!好きの心が休まるとは言ってない)で次週からはまた話が動くようだが、どうなっていくのだろう。
そして「START DASH SENSATION」が来たということは「輝きのエチュード」も期待して良いのだろうか。
楽しみすぎて死にそう。


プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。