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『アイカツプラネット!』最終話前に半年間を振り返ってみた

1月から放送開始となった『アイカツプラネット!』は、6月13日の放送で最終回を迎えます。
「最終回」と言っても20日や27日にも放送が予定されているため、「半年間展開されてきた物語の終了」と言ったニュアンスが強いようですが、「半年」という長い期間、毎週早起きして楽しんできた作品の最終回ということで、何とも寂しい気持ちで胸がいっぱいです。お疲れさまでした。

さて『アイカツプラネット!』も完結間近ということで、最終回前に『アイカツプラネット!』についての気持ちを書き出しておこうかなと思います。

異なる二つの世界と身体があるからこその物語

『アイカツプラネット!』は実写ドラマとアニメを組み合わせた作品です。
「アイカツプラネット!という仮想空間内はアニメ」「それ以外は実写ドラマ」「双方を行き来する」という構成でしたが、「上手くいっていたかどうか」でいえばまあまあ上手くいっていたんじゃないでしょうか。
現実とアイカツプラネット。
二つの世界に二つの姿があるからこそ「トップアイドルのハナの影武者を務める舞桜」や「現実世界では物腰穏やかなお嬢様、アイカツプラネットではパンクでロックなアイドルである響子/ビート」といったキャラクターが描けますし、シオリのように「一歩を踏み出した証」としてアバター制作を挟むことで「あちら側に入れた」という演出もされていましたね。アイドル以外は全員現実を模した姿だからこそ、アバターを持つアイドルが特別なんだ!というのは面白かった点でした。
愛弓/キューピットも「現実世界でもアイドル」という設定があることで、トップアイドルの演出においてもこの辺りは上手に使われていたかなと思います。
アニメと実写ドラマの割合もがっちり決まっているわけではなく、物語に応じてフレキシブルであることは特に良かった点でしたね。このおかげで各パートに「実写!」「アニメ!」みたいな感覚はなく、シームレスさを感じることが出来ました。

余談ですが、アイカツプラネットへと移動する際は必ず「アバターの自分」と向き合っていたのが最高でした。

キャラクター

「実写ドラマとアニメの複合作品」という映像面でのコンセプトがあったためか、物語としては奇をてらった要素はなく王道的な物語だったかなと思います。
物語としては王道的ではあるものの、「トップアイドルの仕事をいきなり体験していく」という序盤は舞桜の初々しい反応と、「正体を隠さなきゃいけない」という設定による秘密感のドキドキさ加減は楽しかったですし、参加してくるキャラクター達のことを考えると、あえて物語面でトリッキーなことをしなかったようにも思うので、個人的には納得できるし良かった点ではあります。

キャラクター面では、前述した愛弓/キューピットとアンがよかったですね。
またラスボスとなった明咲/ローズも「何物にも縛られない。故に無敵」と言ったタイプで、色々考えているキャラクターが多い本作では「強いことが納得しかない」キャラクターでした。

アニメっぽくない挿入歌

『アイカツプラネット!』で、「これまでのアイカツ!と違う」と強く感じたのは音楽でした。
特に挿入歌ですね。これがあまりアニメでは聞かないような音作りをしていたように思います。
ただそれは「アニメっぽくない」というよりは「イマドキのアイドルが歌ってそうな音楽」に近く、本作の特色を考えるとこの音楽面での変化については好意的に受け止めています。
シリーズとしては初めて「バトル」に比重を置いたCGライブですが、空間支配バトルめいていて面白かったですね。
筐体の段階で「戦っている」という空気がある振付ではありますが、本編で物語が乗った状態で見るとより一層そういうバトル感は強いように見受けられました。
ドレシアバトルも「どちらが勝つのか」とワクワクさせてくれますが、そうしたバトルステージの積み重ねがハナ対ローズの最後の戦いで見せた「ドレシアバトルの結果が勝敗に関与しない決着」だったんじゃないかなと思います。空間支配がステージだけでなく観客にまで及ぶのは熱かったです。

なお楽曲の中でも特に好きだったのは「レディレディレディ」。

名曲でしたね。

アイカツプラネット!はアイカツ

最後に。
「『アイカツプラネット!』はアイカツ!だったのか?」と言う点についてですが、少なくとも私にとって『アイカツプラネット!』はアイカツ!だったと思います。
これは「「アイカツ!アイカツ!」という掛け声でジョギングをしているから」とか「ボルダリングとはいえ崖のぼりがあった」とかそういうことではありません。本作の「根底にあるもの」がアイカツ!を感じさせてくれるからです。
私にとってアイカツ!シリーズとはコミカルだけど「くじけそうな自分との戦い」を真摯に描き、だからこそ実るものがあることを美しく見せる作品でした。
才能がないかもしれない。努力が実らないかもしれない。
でもそういう内なる声や外からの視点に屈することなく、努力に努力を重ね、周囲の躍進に焦る気持ちと向き合いながらも一歩づつ自分の足で進んでいくから、その人にしか宿せない輝きが生まれる。
そういうものが「アイカツ!」の魅力なんじゃないでしょうか。
そして、『アイカツプラネット!』にもそんなシリーズ共通の魅力があったと思います。
「明咲のハナ」の影武者から始まった舞桜は、日々のアイカツ!を経て「今のハナ」を開花させました。
それは舞桜が周囲の期待や焦る気持ちに屈することなく、歩き続けたからこそ得られたものでしょう。またこれは本人とアイドルが二分されている『アイカツプラネット!』だからこそ描けたものでもあります。

残すところあと一話。
最後にどんな花を見せてくれるのか。楽しみですね。


プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。